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魅惑の杉ワールド 第二話〜巨樹・巨木〜


さぁ、シリーズ第二話はお待ちかね(私が・・)の、日本の杉の巨樹・巨木を紹介します。
杉の圧倒的な存在感、近寄りがたいほどの様相、そして古くから守られてきた杉と地域の人との深い絆などなど。
「桧舞台」といった言葉がありますが、桧に比べて少し陰の薄い感のある杉ですが、巨樹巨木に会うとそんなこと吹っ飛んでしまうくらいに、木々の命と神々しさにただ立ち尽くすのみです。

杉の巨樹はこれまでにも「杉の大杉」「高井の千本杉」「ひぜんや大杉」、「大杵社の大杉」などを紹介してきました。
今回はそんな中で、私が今まで会ってきたその他の存在感あふれる巨樹達をいくつかご紹介します。(記事の都合上、各杉の謂れなどは割愛しています。申し訳ありません。)

まず一番手はうっすらと暗く静かな境内にその存在感をあふれさせている朝倉神社の大杉です。

朝倉神社 1
























ここ、実はあんまり「ひいて」写真が撮れません。
正面から写そうにも逆行と社殿がかぶさり、さらに他の樹木の葉があるためにどうも全景が撮りづらい。
にしても、上のアングルでわかる様に背が高い。
太さも当然のことながら真っ二つに裂けた幹を並列で天へと押し出すその様はまさしく杉なのですが、それにしても枝ぶりなどは出方や伸び方などが少し日本海側の杉に近い様な印象を受けるところがあり、もしかすると、このあたりの地域がウラスギとオモテスギの中間地点か?!などと邪推をしてしまいます。

朝倉神社 2
























大きさがわかりにくいかもしれませんが、それでも太平洋側にお住まいの皆さんの想像する杉とは少し趣が異なっているのではないでしょうか?!
社殿をひっくり返しそうなほどに聳えるその姿は、まさしく見上げるしかない様な、そんな気分になる杉の巨木です。

所在地:京都府南丹市園部町千妻岡崎7

京都府指定天然記念物
駐車場なし


さて、次は異形といってもいいでしょう。
近寄りがたい雰囲気満点の八つ房杉です。

八つ房杉 1














拝んでいる私を見てもらえば、根元の太さがわかるでしょう。
しかし、この八つ房杉は単純な幹の太さというよりも四方八方に幹を伸ばしている様が、今にも襲いかかってきそうな様相なのです。
どうすればこのような姿になるのかと思いますが、これも自然のなす姿。

八つ房杉 2














幹の中心部を見るともう、一本の木であるというよりも上に伸びずに横に枝を張る事で、自身の場所を確保したといったところでしょうか。
枝張りが大きすぎて、八つ房杉の周りにはワイヤーがいたるところに張りめぐらされています。
そりゃ、これだけの垂れた大きさの枝(?!)を支えることはできないでしょう。
この異様なくらいに枝を伸ばしているのがこの八つ房杉です。

所在地:奈良県宇陀市菟田野佐倉76

国指定天然記念物
駐車場あり

さぁ、次もまさしく「正統派杉」と呼びたくなるくらいに見事に伸びた杉。
それも2本並んでいるのは杉の大杉かと思いたくなるのは私だけではないはずです。

栢野の大杉 1
























境内にかけられた歩道を挟んで林立する巨木。
栢野の大杉です。
ここは周りに大きな植栽もなく、鳥居をくぐるまでもなく巨大に聳える杉を眺める事が出来ます。

栢野の大杉 3
























二股に分かれている部分がありますが八つ房杉の様に、異様な枝ぶりや幹の状態はなく、通直に育つ針葉樹のイメージを保持しているといったところでしょう。
幹に触れると、厚い杉皮がとても温かく弾力性がある事がわかります。
住宅の屋根を見ていただければわかるとおり、私のいつも通りのパターンで冬の巨樹めぐりですので雪がありますが、雪の降る地域にも関わらずに枝があまり垂れていないのも、なにか親近感を感じたところなのかもしれません。

栢野の大杉 2














当然、柵を乗り越えて抱きつきに行きたい!ところですがグッと我慢し、ギリギリのところでその背丈を眺めます。
こう見るとしだれていますね・・・(汗)
こうやって見上げるというのは、やはり偉大な先輩の大きさを感じる瞬間でもあります。
まだまだ元気そうな幹ですから、これからもその雄姿を拝ませてくれることでしょう。
蛇足ながら、何かのツアーバスも停まっていました。
パワースポットツアーだったのか、若い女の子たちが「すごーーーいぃ」とかいいながら記念撮影していました。

所在地:石川県加賀市山中温泉栢野町ト49

国指定天然記念物
駐車スペースあり

さて、最後はこれまた怖ろしい杉の巨樹。

西光寺 1
























うひゃー、でたぁー・・・
こわいこわい。
膝上まで雪に埋もれながら、誰も踏みしめていない雪の参道を通り抜けてたどり着いた先には、接近を拒むかのような異形の巨躯が待ち構えていました。
西光寺白山神社の杉です。

これが山中だったら、もしかすると近寄ることはできなかったかもしれません。
明るい日中の町はずれだったからこそたどり着いたような場所。
それ位の存在感であり、これこそがウラスギか!!?と思わせるような枝垂れ方をと枝ぶりを呈しています。

西光寺 2














もう、あっちゃこっちゃにグニャグニャと枝を伸ばし、今にも伸びてきて捉えられそうです。
ハ○ー・ポッ●ーに登場していれば、必ず動いていたことでしょう。
もう、この鞭の様な枝で一撃です。
いや、ご神木ですからそんな事は無いのですが、近寄るのに数分、もっとかかったのは私がビビりだったからなのと、やはり畏敬の念を抱かざるを得ない見事な巨杉だったからです。

西光寺 3














やっとお近づきになれました。
上を眺めると枝を広げた傘に包まれている様で、さっきまでとは反対に何か守ってくれているような気になります。
不思議なものです。
もちろん、考え方次第ではありますが、巨樹に会う人が悩んでいたり病んでいたり考えるところがあったり、迷っていたり、若しくは幸せな時であっても、やはり如何に異形の神でも拒むことなく受け入れてくれるということが、偉大な木々の前で人が心を開き、またパワースポットなどといわれる所以の一つなのではないかとも思います。

所在地:福井県勝山市鹿谷町西光寺5−17

市指定天然記念物
駐車スペースあり


以前の記事にも書きましたが、「身を美しくする」と書いて躾(しつけ)、「立木を見せる」と書いて親(おや)と読みます。
物があふれ、木の重要性や道具などとなり身近にある大切さをしみじみと感じ、時には親子で山に入り立木を眺めていた時代はとうの昔。
これは仕方のない時間の流れですが、今も現存する巨樹巨木達は、自身の存在を通じて、親子の意味やそこから生まれる躾られた人間性を説いているのかもしれません。

パワースポットと言われるのもよいかもしれませんが、パワーをもらうと同時に数百年数千年間動かずに生き続けているその姿に、違う何かを感じられるといいなぁ、と想っています。

さて、次回は世界に目を向けましょう。
世界で最ものっぽなスギ属のお話。



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生きていた(?!)化石 「イチョウ」 其の参


さすがにはるか昔より続く歴史を持つ「生きた化石」イチョウ。
なかなか語り尽くすことができませんね。

第三回目は樹木としてのイチョウそのものについてです。

前回の記事にある様に、イチョウは社寺仏閣にも多くの巨樹を残しています。
ご神木として残っている物が多く、樹齢も高く見事なものを見る事が出来ますね。

薬師の大イチョウ







 あしからず、いつものごとく冬の巨樹めぐりですので、葉はありません。

 福井県勝山市の薬師の大イチョウです。











元々イチョウは、仏教僧により神聖な木として見られていたことも理由の一つだと思いますが、それと共に長寿や希望、統一のシンボルとして見られていた事も大切にされてきた理由でしょう。
それに伴ってかどうかは定かではありませんが、花言葉も「長寿・鎮魂」ということなのでやはり社寺に多いのは納得のできるところでしょうかね。

長寿や希望という言葉を用いる時、イチョウに関しては戦争時の広島への原爆投下爆心地から、一番近かったもので1130mのところにあった木が、翌年に咲いたそうです。他にも近くに合計4本残っていたそうですが、この事からも前回から続くイチョウの生命力を見てとれるものであると言われています。(爆心地近くの樹木ではたしか、桜もあり元気に咲いたといわれていたと記憶しています。)
当然、木が残っていてもあれほどの甚大な傷をもたらした爆撃には、それらの言葉を引用するのも不謹慎かもしれませんが・・・

さて、生活のなかでも銀杏は実用的に用いられています。
ぜんそくや咳、膀胱炎にきき生色でがんに効く(*)とされ、加熱したものは消化を助けると言われています。
毛細血管の血流を良くしてくれるので、記憶や集中力の停滞を防止しアルツハイマーや片頭痛の改善に期待されているそうです。
(*)医学的根拠の元での結果ではありません。あくまでも伝承としてのお話です。

ある程度、イチョウについて知ってらっしゃる方や植物に興味のある方ならば御存じでしょうが、イチョウの木にはオスとメスがあるのです。
男の子と女の子がいるということですね。
えーーっ!!、と思われる方も意外にいらっしゃるでしょうね。木にオスとメスがあるなんて。実際、私も無知なうちはそんなこと真剣に考えもしていませんでした。
さらに驚きなのは1896年(明治29年)、平瀬作五郎氏が「イチョウは精子を持っている」ということを発見されたことです。
花粉管が破れて精子が飛び出し、花粉室の液体の中を泳いで造卵器の中に入り受精する、というシステムだそうですが、とてもリアルな説明も、「イチョウの木がそんな活動しているのか?!」と訝しくなってしまいますが、それがシダ植物から裸子植物への進化の途中の状態といわれるイチョウの特徴かもしれません。

そして実を造るべく所(林内)では意図的に「ほとんどがメスの木」だそうです。その方が実がたくさんできるからだと思われそうですが、そうではなく、オスがたくさんいると実が出来過ぎて小さくなってしまう為に、わざとオスの数を減らしているそうです。
人間で言うともう、ハーレム状態ですね。なんとも羨ましいイチョウめ!!

基・・・

もうここまでくると、イチョウを木だとは思わなくなってきたのではないですか(笑)?!
さらにさらにイチョウにはもう一つ、人間の様な所があります。
さて、どこでしょう・・・

答えは「乳」です。

宗英寺のイチョウ
 少し垂れているのがわかるでしょうか。(画像クリックで拡大してみてください。)

 三重県亀山市の宗英寺のイチョウです。
 右側の彼も巨漢ですが(笑)イチョウは負けていませんね。(因みに私の友人。無理矢理連行!あんまり感動なし、私がっかり。)


一度でも老樹に会われた方ならなんとなくご存じか、もしくは異様に見えるかもしれないその「乳」を目撃されていることと思います。
正しくは内部に大量のでんぷんを含んだ「気根」というものですが、老木になると枝から地面に向かって垂れ下がってくるものがあります。
特に雄の老木の乳を煎じて飲むと、母乳の出が良くなるといわれその事から全国に、銀杏の大木のある「子安神社」が各地にあるのです。
そういえば巨樹めぐりをしていると、結構みかけますよ子安神社。

*乳の写真は後日の記事 「イチョウサイド(再度)ストーリー」も参照してくださいね。

とっても人間ぽい(?!)イチョウの話はここまでで、少しロマンチックなお話をしましょう。
前回、ケンペル博士がイチョウを日本に発見し欧州へ持ち帰ったことを書きましたが、実はかの文豪ゲーテさえも、そのイチョウをフランクフルトにて鑑賞し黄葉の美しさに魅せられたそうです。
そしてそのイチョウの葉を恋人に送っているそうです。
ゲーテが知ってか知らずか、イチョウの葉はしおりにすると「紙魚(しみ。本などの紙を食害する銀色っぽい体のすばしっこい虫)がつかない」といわれています。もしかすると、銀杏の葉を受け取った恋人は、そのイチョウの葉を好きな書物にはさんでは、ゲーテの事を想い浮かべたのでしょうか・・・・
そうかんがえると、あの葉がハートに見えてこなくもない・・・かな。

最後に、ほぼ日本中の街路にて目にすることのできるイチョウ。
それは、公害に強く病虫害に会うことも少ないことと、成長がある程度早いことが街路樹としての資質に合う事から用いられているものです。
とはいえ、成長が早い事によって大きくなりすぎたり、黄葉は美しいですが、その落ち葉がごみになる(私からするとけしからん考えですが、それでも近隣の方は迷惑なのでしょうか・・・)ということから早々と伐採されたり、これから黄葉という時に無残にも枝を「ぶった切って」しまっているのを各地で見かけます。
そのままにしておくと銀杏の潰れた時のなんともいえないあの匂いがあることも避けられない事情なのはわかります。
が、こういうときはやはり、木が生き物であることを忘れた人間の手前勝手で植えられた木々のことを想わずにはいられません。
また、古くは防火のためにも植えられたイチョウ。
生活に深く関わっていたんですねぇ。お寺などにも、本来はそういった目的で植えられたものも少なくないそうです。

本当の最後に、これだけ珍しくすごい特徴をもつ銀杏の中でも、特に珍しい種類が全国に数本あるのです。
それは「オハツキイチョウ」。

オハツキイチョウ 1













これは説明版のとおり種子が葉の上にできるもので、植物学上もとても貴重なものだそうです。

オハツキイチョウ 2




 巨樹というわけではないですが、会っておかないわけにはいきませんよね。








オハツキイチョウ 3



 ただ、結構葉が上に位置するため普通のデジカメではとらえづらかったのが残念なところ。







と、もうどこまで何を語ったかわからんようになるくらいに歴史のある木イチョウ。
結構近くにある木が、こんなに永い歴史をもっているということはなかなか語られないのではないでしょうか。
今年の秋は、是非これらの蘊蓄をかみしめながら(笑)、美しい黄葉をたのしんでくださいね。


追:後日談の「イチョウサイド(再度)ストーリー」も是非ご覧くださいね。



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

福井の道端の大タモ


いやぁ、求めているといろんなものに出会える。
以前から書いていることですが、やはり何かつながるところがあるんだろうかと想う事がしばしば。

今回は単刀直入に。
出会ってしまった(大げさですが)。

福井のタモ 3

























民家がぽつぽつと建つ、とある山中の整備された道端に立派な樹を発見。
丁度カーブを曲がったところに突然その姿を現すその巨樹。

これは本当に立派で、背丈こそ高くありませんが、しっかりと太い幹は力強さを感じさせます。
とはいいながらも、案内板も樹種の紹介も、県の指定も受けていないと思われる、本当に何も手がかりのない、ひっそり?とたたずむ巨樹です。

福井のタモ 8



 横からみれば、幹の太さが想像できるでしょうか?









私も恥ずかしながら、瞬時に立ち木まで樹種を判断できるほどの腕前がないため、何の木だろう?!有名なはずなのに・・・と撮影しながら佇んでいると・・・

福井のタモ 7

 ひょっこりと顔を出したトカゲ君。
 巨樹に手を出さないか、みまもっているのかな?!

 実は、この「彼」は後で熾烈なバトルに巻き込まれるのですが・・・





トカゲ君の巣?のすぐ横にはお地蔵さんが立っておられます。


福井のタモ 5


 花が供えられています。大切にされているんだろうな・・・と感じていると、一台の軽トラックが。

 この巨樹の前には無人の野菜直売所があり、そこに来られた地元の方でした。

 何気なしに挨拶をし、念のために樹種を聞いてみると・・










なんと、この木は「タモ」だというではありませんか。
その方の実家にもタモがたくさん植わっていたのと、昔から聞いているので、間違いないそう。
いわれやその他を聞いてみようと、話を進めてみたのですが、残念なことにこの巨樹については樹齢も謂れも、正確な情報がないそうです。
いろいろと調べた方もいらっしゃったそうですが、やはり公開するほどではなかったそうで、今では本当に伝える人も少ないとか・・・
たまに、私のように都会から来た人が尋ねることがあるそうですが、基本的に有名なわけでもなく、市や県で指定されているわけではないので、地元の方の好意で保存されているそうです。

昔は学校の待ち合わせの間に上って遊んだもんやがな・・・、とおっしゃっていましたが、私は登ることは控えました。
折角の盛り土を落としてしまうかもしれませんしね。
でも、子供たちを包む巨樹の役割。都会ではなかなかわからない感覚でしょう。

福井のタモ 6














しかし、道路と反対側は少し弱った部分があるものの、盛り土や雑草の手入れなどをされているそうなので、樹精が弱っているというわけではなさそうです。
ただ、周辺の集落の方だけでは、手を入れるにも限界があるでしょうから、タモの生命力を信じるという方法が今は一番の策なのが歯がゆいです。

そんな話をしている間に先ほどのトカゲ君、一歩も動いていない。
なんでかな?とおもっていたら、すぐ後ろに蛇がおる。
両者、気配を感じ取りあいながら牽制してる。
生死のバトル。
トカゲ君助けたいけど、自然の摂理と思いとどまって眺めること10分。
「ザザァっ!!」と音したとおもったら、トカゲ君ジャンプ。
蛇もびっくり、あわてて追うけどトカゲ君は既に排水溝へ。
大樹の下での生死のかけひき。スゴイの見た。


福井のタモ 4














少しわかりづらいけど、私と比較。
背丈はそんなにないけど、ホントに幹は立派です。

福井のタモ 2




 風格のある幹。ボコボコが何ともいいがたい雰囲気。










いつも巨樹には興味を持っているとはいえ、あちこちで出会うわけではありません。
が、今回のようにたまたま通って出会うこともあるんです。
しかも、名もない巨樹に。
願うことの大切さと信じることの意味を感じるような気がします。

出会えたことに感謝し、これからもずっと健康な姿で立っていてくれることを望み、その地を後にする私でした。


福井のタモ 1















福井のタモ所在地

福井県の山中。
コレに関しては、お知りになりたい方はショールームまでお越し下さい。
あまりに人が押し寄せても、樹にとってはしんどいかもしれません。本当に好きな方にはお会いしてお伝えいたします。



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!