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沈香

沈香(じんこう・イーグルウッド) −その材質−


さて、歴史を踏まえて紹介してきた香木(こうぼく)ですが、今回はその香木の中でも稀少な沈香(じんこう)を詳しくご紹介するとともに、弊社の「もっている」ものをクローズアップしてみたいと思います。

香木の「沈香」という名ですが、読んで字のごとく「沈む香り」と書きます。
またの名を「沈水香」、「沈香木」。
英名はeagle wood(イーグルウッド)。主に貿易名となっているようで、樹脂化したものはagar wood(アガールウッド)と称され、病理的に樹脂で満たされたものはgaharu(ガハル)と呼ばれている。
いずれにせよ、日本では沈香といったほうが耳当たりも良いと思いますね。
植物としては主にジンチョウゲ科アクイアーリア(読み方により、アキラリア)属のものを指し、稀にトウダイグサ科のものもあるという。
つまり、特定の一樹種だけではなく、「そうなったもの」を沈香と呼んでいるのです。
産出国は主にインドやタイ、ベトナム他の東南アジアです。
日本には推古4年(595年)淡路島に漂着した丸太を燃やしたところ、素晴らしい香りが立ち上ったために、朝廷に献上したと日本書紀に記されているくらいに歴史のあるものです。
そして、聖徳太子が観世音菩薩を作られ夢殿に納められ、聖武天皇の時代に中国から渡ってきたものが蘭奢待(らんじゃたい)だといいます。

沈む木といえば、世界で一番重い木「リグナムバイタ」が思い浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。
リグナムバイタも脂分が多く、船の回転摩耗部品であるスクリュウなどに使用されていたほどに耐水性、自己潤滑性による耐摩耗性共にとびぬけた性質を持っている物ですがこちらは沈むことは沈みますが、さすがに沈香にはなりません。
精油成分が違うからでしょう。

沈香の意味する沈む木というのは、確かに水に沈む事も指していて実際に沈むものもあるのですが、水に沈みその流れに洗われている間に木質部が浸食され、香り樹脂の沈着した部分のみが残った事によるものでしょう。
ですので、樹種や沈着の具合によっては水に沈まないものもありますし、沈まなくても良い香りを放つものも多々あり、香りは樹種によっての違いもあるのでしょう。
というのも、樹種で大別すると沈香だけで1000種類、更に高貴な伽羅でも100種類あるそうです。

私も知識のない時は、これは何の木なの?!と感じたのですが、限定して用いるのではなく、沈香においてはその香りによって種類を大別していますので、木材マニアの皆さんは樹種を知りたくなる気持ちをぐっと押さえてご覧ください(笑)。
また、香木についてはここでは木材としての観点からのみお伝えしようと思います。「香道」までに及ぶ、壮大な世界はとても私では語れるようなものではありませんので、「香」に興味のある方は専門書を紐解いてくださいね。

それでは早速紹介。

沈香 1














これが、沈香です。
置いているのは胡桃(くるみ・ウォールナット)130幅一枚物フローリングの上ですから、大体の大きさがわかるでしょうか?!
手に取るとこんな感じです。

沈香 3














無知な人間では、誤ってゴミとして処理されそうな位、「なんじゃこれ?!」なサイズですが、立派な沈香木です。
ね、全然材木というか、木ではないでしょう。
こんな木片の何がいいのか?!!普通はそう思います。ですが、普通でない「木の虫」戸田材木店戸田昌志にとっては、とてもお宝なのです。

先に沈香は樹脂の塊の様なものですと書きましたが、やはり樹脂の多いものは良く香ります。
文献には、沈香の中で焚かずとも香るものを伽羅、焚いて香るものを沈香と区別している物もあるくらいに、香りの違いがあります。
何らかの要因で原木に菌が寄生し、その部分に樹脂を分泌し、沈着し熟成したものが伽羅になるとも言われますし、先にも書いたように、沈香も最初から沈む木ではないのです。
沈香の原木となるものは、正常な状態だと主に比重0.4近辺の木材ですから、桧とほぼ同じくらいの密度の木材です。
それが、傷ついた部分などの防腐作用としてのバクテリアの作用によって樹脂が分泌され、それが大きくなると木は枯死してしまい倒木する。
それが永い年月で浸食し樹脂の部分のみ残ったものが沈香木になるのです。
だから、沈むというのが、必ずしも沈む木を指すのではないことがわかると思います。
因みに白檀はインドマイソールをはじめ、インドネシアやオーストラリアやニュージーランド、ハワイやスラウェシに産しビャクダン科の木(sandal wood)ですが、決定的な違いは寄生樹であることです。
根から寄生して大きくなるものなので、通常想像するような「木」のイメージとは少し違う樹木が原木となります。


そして話はもどり沈香ですが、そこには香りを予感させる樹脂が見えるものもあります。

沈香 2














これも細長く、なんか切れっぱし、というようなものですがこれがまた良い香りがするのですよ。
この沈香のを拡大してみると少し光る部分が見えます。

沈香 4














写真ではわかりづらいですが、丸くなっている先端部分から私の指にかけてが
「キラッ」と光っています。
昔は石炭のことを「黒ダイヤ」と呼んだりしていた歌がありましたが、まさしくその様相。なんといっても、価値のある「金」と同等から数倍くらいの値段のつくものもありますから、これはもう白金ならぬ「黒金」ですね。
それくらい高価なものです。

脱線してしまいましたがなるほど、黒光りした部分はとても香りが強く感じます。
当然そうですね。
普通は白檀にせよ沈香にせよ、粉末すら練り物などにして線香などに使用するくらいですから、こんなに沈着していると香りも強い事が想像できると思います。

沈香の名前は聞いた事があるけど実物を見た事が無いという場合も多いと思います。
また、粉末やお香用の小さくカットされている物しか知らない、という事が普通ですが、沈香も元々は「木」ということを見ていただけると思います。
貴重な沈香木の塊。
一般的には早々見る事が無いのではないでしょうか。
白檀をお求め頂いたお客様も、白檀その物を見た事が無いので木のままの塊が欲しいとおっしゃってご来店いただく事が殆どですので、この沈香木もまた然り。
気分を沈める時や、落ち着いたひと時の為にとっておくのもよいでしょう。
そのままの状態でキーホルダーや根付けとして携帯して、持ち歩ける香木と言いのもいいと思います。
粉末や切り材とは違う、木としての沈香の神秘を感じていただけると思います。
ご入り用の場合はご相談ください。

木という植物の材料という観点とは違った素晴らしさを見ていただけることと思います。



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!