空を見上げて

よみがえる雄姿 紀ノ川神代樟in紀伊風土記の丘


以前から出てきたという事実は知っていたのですが、それからどうなったのか気になっていた木がありました。
それも、知らないうちに結構とりあげられてたみたいで、メディアでも報道されていたのですが、先日やっと会いに行くことが出来ました。

紀ノ川神代樟 3



宇宙船ではありません。
もちろん小高い丘でもありません。木の株です。
大きい・・・・!!



高さ7m、直径3.9m、幹回り12m

これは、平成23年9月の台風12号によって和歌山県は紀ノ川に1300年ぶりに姿を現したクスノキです。
いわゆる材でいうところの神代木です。

紀ノ川神代樟 6


このクスノキは、今から約1600年前に芽生え、樹齢約350年を数えると言われるものです。
この木がこうして見える大きさになっていた1300年前といえば飛鳥時代頃。
やはりその時には、このような巨木が紀州には多く存在したのでしょうか。
紀伊国=木の国、と称された和歌山だと納得です!
以前に製材されたことを紹介した、同じく紀州は有田川に現れた「紀州有田川神代樟」(勝手に命名)も、同じく和歌山県から出てきたものです。

有田川神代樟


今でも大阪府堺市や泉南地方では樟の巨木を見る事が出来ますが、そんなクスノキ達が林立していた時代があったのかと思うと、思わず心震えます。

また、このクスノキが珍しいのは巨樹であり根株として残っていること。

紀ノ川神代樟 5


神代として出土するものは、昔の火山活動や洪水などで立木が折れたりして流され、これだけ大きな株の部分がそのまま見つかるということは稀だからです。
もちろん、魚津埋没林博物館の様に海中埋没林の場合は見事に根がそのまま残り、本当にエイリアンの襲来かと思うようなおそろしく感じる程の存在感を見せつけてくれますが、殆どの土埋木はここまで見事な根を持っていないはずです。

紀ノ川神代樟 4


しかしながら、樹齢は約350年と推測されたそうですが、クスがいくら大きく成長する樹木だとはいえ、このスケールからいくと優に500年オーバーかと思っていた想像程ではなく、もちろん確定ではないにしろ大きさと樹齢とのギャップを感じるほどの大きさ、と言えるでしょう。

その巨躯は大きさのあまり、移動させる道路事情を考慮して3分割されて運ばれてきたといいます。
その為に、3つの胴体は展示の為にボルトで固定されています。
いっそのこと、ヘリコプターでそのままの状態で運んで欲しかったなぁ・・・と思ったりしたのですが、平成24年の7月に川から引き上げる折、25tクレーンで失敗し70tクレーンでもワイヤーが切れ、3度目の正直の70tと50tの2台による連携でようやく川岸に引き上げる事ができたという話を聞くと、おそらくヘリも飛べないのかもしれません。
というか、街中に落ちたりしても大変ですし、現実は無理ですけれど・・・

紀ノ川神代樟 1



クスノキは紀伊風土記の丘という施設の入り口前に展示?!されているので、その大きさの為すぐに目につくのですが、普通は大きさばかりに気をとられがちです。
が、この株はクスノキ。
クスノキと言えば、昔は虫よけ等の為に材から「樟脳」を採取していたという位に独特の香りを持っています。
それは幾千年を経て土中・海中・川中にあったとしても絶えることはありません(今まで見た中では・・・)。
だから、施設の風向きによっては「神代樟特有の香り」が漂ってきます。
予備知識がないと、近くの花か何かの匂いがえらくキツイ日だなぁ、と感じるかもしれませんが、通常のクスノキの様な「メン○レー○ム」を彷彿とさせる香りではなく、もう少し柔らかい涼しげな香りがします。
この香りがとても好きで、自宅のお手洗いはクスノキのカウンターと神代樟の敷き板の香りで満たされています。

いつも自宅でその香りに慣れている同行した子供達はすぐに、「めっちゃ匂いするぅーー!」と言っていました。
是非その香りを体感してもらいたいものです。
どこかの角度からは香るはずですから、廻りを一周してみてくださいね。

紀ノ川神代樟 7


もう期間が迫ってきていますが、このクスノキの発見から展示までの足跡を追った写真展が、同施設で5月6日まで開かれています。
傍には移動の時に切り落された樟の枝の部分が展示されています。
原則触ったりすることはできません(でも普通に触れる・・・)が、匂いをかいだり
することが出来ますので、期間中にお出かけの方は施設内部も見学してみてください。
入館料も驚きの大人190円!!しかも子供無料。
安すぎます。ありがたや・・・

紀ノ川神代樟 2


もし、入館まではいかなくとも、このクスノキが展示された時に配布されたと思われる資料を受付傍の資料販売棚で見る事が出来ます。
300円で購入できますから、それだけでも購入したいものです。
写真展に出ている写真も、掲載されています。

パンフレット

そして、その写真展を通り過ぎると別の展示になるのですが、ちょっとストップ!
木に興味のある方ならば素通りはされないでしょうが、別の展示に移る入り口の両端にこれまた興味深い丸太が2本。
どう見てもクスと同じく神代丸太。
(写真撮影禁止の為写真ありません。残念。)

綺麗に年輪を見る事が出来る事からクスノキとは異なる針葉樹である事が想像できますが、では一体何なのか?!
最初に思い浮かぶのはスギ。
神代といえばスギ、と思う位に神代木でも多くを占める樹種ですが、念の為に香りの確認を・・・・・・・・

おぉ!!この香りは・・・
息子達曰く、「コーラの匂いがする!!コーラや!」

流石は我が息子・・・正解!!!

私も同じく「コーラ、若しくは似た炭酸飲料のサイダーの様な香り」と表現しているその神代は、「神代桧」です。
神代の樹種の中でも珍しい神代桧が、何の説明もなく2本もゴロっと立ててあるのは何かわけでもあるのか?!
どこから来たものか?!
興味が尽きません。

我慢できず、ご存じかどうかわからずも受付のおねぇさんに聞いてみました。

そうしたら、以前に「熊野地方の展示」を行った時に、その地方の方から「不要だから持って帰ってもいいよ」といって頂いてこられたものらしく、これと言って謂れもなく、また、どうして熊野の方が持っておられたのか、保存はどうされていたのか、などは謎のままでした。
当時を知る学芸員さんも岩手に転勤されたということで、それ以上は知ることができませんでしたが、稀少な神代桧を素通りするのは勿体ない!
また、万が一処分されたりすることのないように、おねぇさんには「珍しい神代桧ですから、大切に保管展示してください」とお願いをして帰りました。

おねぇさんは「僕たち、木が好きなん?!」と聞かれていましたが、一応「木が好きなのはお父さんです・・・」と言っておきました。
もっと、木が好きな人に見てほしいもんですね。

紀ノ川神代樟 9


またこの施設は、館内だけではなく敷地内を散策できるようになっていて、樹木や花を見たり、少し時間をかけた散策コースなども設定されていますので、これからの季節緑の中を爽快に歩く事が出来ますから、今回は時間の都合でそこまではいくことが出来なかった私も、次回また訪れてみたいと思っています。

蛇足ながら、この施設の近くには木の神様とされる「五十猛命(いたけるのみこと)」をお祀りする「伊太祁曽神社」があります。
五十猛命は、日本に木を植えられた神様として知られていますから、神代(かみよ)のクスと対面した後は、木の神様を拝んでいかれると良いのではないでしょうか。

しかし、今回の様なクスノキが現在も生きていれば、本当にそれその物が神様の様に感じます。
巨樹に会うといつも感じることです。
発見から移設のニュースを聞くまでは、どこかの市場に製材されて出てくるのではなかろうか?!と気が気ではなかったのですが、材にならず保存されることになって良かったと思います。
施設を訪れる木に興味のなかった方も、このクスノキを見て縄文飛鳥の歴史とともに樹木にも関心を持ってもらえるといいなぁ、というのが感想です。

キリスト教のイエス様ではないですが、時代を超えてよみがえった神様の様なクスノキ。
現代の私たちに何を伝えてくれるのか・・・
それは受け取る人次第・・・

紀ノ川神代樟8



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弥栄のくすが、いま見ごろ


以前に紹介した、我が町大阪府茨木市のお隣に位置する摂津市(せっつし)に根をはる巨樹、弥栄のくすがとても見ごろです!

というのは、つい最近まで立っていた文化住宅(大阪風に・・)がとりこわされているため、府道からついにその巨躯の全体を眺める事が出来るようになっているからです。


弥栄 1














以前は両脇を文化住宅に囲まれていた為、その全体を十分に拝むことはできなかったのですが、今はとても綺麗に見えるのです。
それも、夕刻の西日を受けてその木肌の一枚一枚を確認できそうな程に感じる午後5時半頃がお気に入りです。

若干赤みがかった陽光を受けるその巨躯と、あおあおと茂った若葉がとても美しいです。

文化住宅のあった場所は、工事用のフェンスにて囲われていますから、もしかすると建築計画があるのかもしれませんから、今の内が本当に見ごろかもしれませんよ・・・・

弥栄 3














弥栄のくすの雄姿をおさめるチャンスです。
巨樹好きで、大阪近辺を廻られる方は是非寄ってみてくださいね。

弥栄 2

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大阪府内一の樟 薫蓋樟と対面


弊社に来ていただくお客様のなかには、結構な比率で巨樹や名木に会いに行っていらっしゃる方がおられます。
当然旅行がてら、ということもあるでしょうが、その土地の著名木をお目当てに行かれる方もいらっしゃいますね。

私も外出時にはできるだけ下調べをして、有名な木には会いに行く様にはしているのですが、よく考えるとまだ「地元大阪」の著名木のうちの重要な一つは取り上げていませんでした。
過去に超地元、茨木市は弊社近くの「水尾の樟(みずおのくす)」や、吹田の線路沿いにひっそりと立つ「弥栄の樟(やさかのくす)」、それに樟以外では超希少であまりにも有名な「野間の大けやき」を紹介していますが、実はまだ府内最大の巨樹であり、全国でも有数の巨樹であるものをご紹介していません。


それは、この巨躯。


薫蓋樟 8


 写真左のおばさんと比較すると、その大きさに驚きます。










そう、この巨躯を大阪の街の中で普通にみられる事で有名な「薫蓋樟(くんがいしょう)」です。
いわずもがな大樟(おおくす)なんですが、さすがに国指定天然記念物で大阪緑の百選に選ばれる大阪一の木だけあり、迫力が違います。


薫蓋樟 2

























神社の境内にそびえているんですが、巨躯を拝む前にくぐり門(?!)があるので、遠くからは正確にその容姿の全景を拝む事はできません。


薫蓋樟 1



 鳥居の奥がくぐり門です。











そのため、その巨躯の存在を意識しながら近ずくわけですが、わかっていても対面の前にはいつもビビります。
その威圧感というか、少なくても数百年〜千年単位で存在しているその異形と畏敬の念に、少し身が震えるのです。
ですので、必ずその姿の前で一礼し、尚且つ社寺仏閣の場合はご神体にもお参りさせていただくのです。
そうすると、少し近づきやすくなるような気がします。


その儀式を今回も踏襲し、鳥居前で一礼しくぐり門の背後で立ちはだかる影に向かってもう一礼して門をくぐろうとしたのですが、やはり凄い迫力!!
それが今回の薫蓋樟の一番の特徴。


薫蓋樟 5















薫蓋樟 3









 少し横手から見ると形がわかるでしょうか?

 うにょうにょ伸びてます。












普通はこの手の巨樹は、根を踏むことや根周りの土が踏み固められることを防止するために、防護柵や展望デッキが施されていることが多いです。
その方が当然木にとっては良いのです。
屋久島の縄文杉の様に、巨樹に近づける事から心ない一部の人間によって、「記念に」や「お守りに」といいその皮を剥がれ、見るも無残な裸状態にされるような惨状を受けてからでは遅いからです。
実は木は、皮をはがされると弱り、最悪枯死してしまいます。
ですから、皮を剥ぐなんて殺人ならぬ「殺木行為」なんです。

一昔前は、あの縄文杉でさえもその巨躯に触れることができたというのに、人間はなんと愚かなのかと悲しくなった想い出があります。

そんな事情があるのですが、府内一番であり、全国でも有数の巨樹であるにもかかわらず防護柵の類がないのです。
というかもう、くぐり門を押し倒しそうな位に幹を張り出し、社殿との限られたスペースに鎮座しています。
ですから、容易に触れることが可能なのです。

その為、くぐり門を抜けようかというところからその異形の一部が顔を覗かせるのですが、瘤状になったその部分が今にも飛び出してきそうな感じがして、門をくぐるまで若干の逡巡を与えます。


薫蓋樟 6




 行く手を阻むかのようにくぐり門につきだすその異形。









それを超えると、頭上には通常の100年生クラスの樟の幹、いやそれ以上の太さの枝が張り出していて、常緑の緑の葉が美しい印象を与えます。


薫蓋樟 9



 巨樹にはいつもある由緒書き。










薫蓋樟 10



 これらを読むのも、訪れる楽しみの一つです。










この薫蓋樟、推定樹齢は1000年以上といわれているそうです。
それは納得です。

しかし、この薫蓋樟の近くには、ポツポツと100年生位の樟をみることができます。
この神社の鳥居のすぐ横にも、市が指定している保存樹である樟があります。
普通に見るとすると、そこそこ大きな木なのですが薫蓋樟と同じ場所にあると、その迫力も薄れます。
おそらく他の場所にもあるのか、若しくはあったのかは定かではないですが、昔は大きな樟が結構自生していたのではないかと思われます。
薫蓋樟はおそらく別格だったのでしょうが、有用な形状のものはもしかすると木材として伐採されたのかなぁ・・・と考えていました。


この薫蓋樟。
緑豊かで、損傷もこれといっては大きいものも見当たりませんので、まだまだ元気だと想像しています。


薫蓋樟 7


 大きくなったその腕に、肘掛がこしらえられていました。











大阪が全国に誇れるシンボルとして、野間の大けやきとともに、後世に残していきたい貴重な財産です。
みんなで大切に保存したいものですが、その巨躯に触れられる数少ない巨樹でしょうから、生命の力を頂きに静かに、根に注意しそっと触れてみるのもいいかもしれません。
きっと、何かを語ってくれることでしょう。
大阪においでの際は一度旅程に入れてみてくださいね。


薫蓋樟 4




 大先輩に一礼!!!













薫蓋樟所在地(地図に必ず載っています。)

大阪府門真市大字三ツ島1387 三島神社内

参詣用駐車場あり

また、徒歩で15分ほど南に行くと稗島のくすという樹齢400年といわれるくすにも出会えます。

*弊社記事では、くすのきの漢字表記を「樟」としています。通常は「楠」が知られていますが、正確には樟脳のくすのきを表す時は「樟」を。楠の場合はクスノキ科のタブの木を意味するときに用いられますので、「樟」と表記しています。



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