空を見上げて

今年度の伐採木の下見 今年もスタートです。

7月に、大阪研修の様子をお伝えした弊社の伐採企画ですが、2018年度の伐採に向けての伐り旬がやってきましたので、今年も選木に行って参りました。

下見4


いきなり出てくるのが、「こんなに曲がりくねっていて、使い物になるのか?!」と思われる木々。
スギやヒノキで垂直に気持ちよく成長しているものもある中で、やはり被圧されたり他の木に負けそうになっていたり、若しくは頑張って成長する為に光を求めてさまよっているものもいます。

そんな中を、今回も学生さんと一緒に、山の中の立木を見て回ります。

そこに、目移りするような通直で綺麗な材がいきなり飛び込んできます。
見上げた青葉と樹皮の対比の美しいこと!!
上を見上げて口をあけたまま、見とれてしまいます(笑)。

下見5


しかし中には、こんなに曲がっているのにどうしてそれがいいの?!と、普段はまっすぐで素直な原木生産を目指す頭が、理解不能な?マークで一杯になるようなものを見て「これはえぇなぁ!!!」と言ってみたりして、歩いていきます。

もちろん、その理由もきちんとお話します。

下見6


といいながらも、この写真。
驚きませんか?!
どこいくねん!こいつはっ?!?!

普通ならばこのような木、残ってないと思います。
人工林やその近くではいろんな理由(大人の?!)で意図的に残す場合を除いて、確実に「排除」されているはずです。

しかし、私たちはこれを「えぇやんかぁ!!これ!」と、近寄っては眺めて喜んでいるのです。
生徒たちの頭にはおそらく「やっぱり、大阪の人達は少しおかしい・・・」と思ったはずです。
昨年、木材の用途や曲がりについて少し授業をしたとはいえ、実際にこの曲がりを見ると驚くはず。
皆さんもそうですよね。これ、どうすんの?!って。

なので、きちんとこの木を選木した理由を説明するのです。
それで、やっと納得。(それでも、いつもの通直木の選木は何だったのか?!と思っていると思います。)

選木の前後には、こうやって寸法を測ってくれます。

下見3


今回も、直径的にも立派なものが多すぎて困ってしまうくらいでした(汗)。


普通の材木屋ならば、太くてまっすぐで節の無いもので・・・・というような選木基準になりますが、この企画は別。
ほっそりしたものでも、まっすぐでなくても、節があろうとも、住宅の部材となった時の機能性や美しさ、そしてなにより今現在の育った環境に合わせた使い方を考えながらの活用になるので、四角くい材木になって綺麗かどうか、が基準ではないんですよね。



しかし毎回の事乍、とってもいい曲がりの材がたくさんあり過ぎて困ります(笑)。
もちろん、通常なら喜び勇んで使いたい通直材ももちろん。
そして樹齢も100年超えクラスがいくつも・・・
零細材木屋にとっては、一度には使いきれませんがその分、少しづつ大切に、授業を兼ねて活用していきたいと思っています。
そしてすこしづつ輪を広げて、手刻みの大工さんや山と材料の本質を知りたいと思う大工さん、お施主さんを巻き込んで大きな流れを作っていくつもりですので、今年度以降も御期待くださいませ〜!!


下見1



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久し振りにコテコテの・・・


コテコテ、といえば大阪の代名詞のような感じで通じるところがあるのではないかと思うのですが、私の場合のコテコテは残念ながらそれではありません。
もっとすっきりとしたコテコテ(?)です。

松 赤柾無垢フローリング 1

何かお分かりでしょうか?
これは今から加工に取り掛かる無垢フローリングです。

20年ほど前は定番(?!)とまではいかなくとも、高級な住宅には大変よく使われたものです。
特に和風の住宅には・・・

そのときには「ラオス松」や「カンボ松」といっていました、松の柾目のフローリングです。
弊社では柾目の無垢フローリングは百年杉柾フローリングを紹介していますが、このような松の柾目のフローリングも製作可能です。
わざわざ製作可能、としたのは定番商品としてご案内しにくいからです。

先ほど昔は定番だった、としたのは現在は使われる場面が極端に少ないことと、拍車をかけて良質な材料の入荷が少ないことが大きな理由です。

木材というのはいつの時代も、優秀な木材といわれると利用されつくし、なくなりかけると似たような材料で代用する、というのがサイクルになっているのですが、分かりやすいところでは、日本のヒノキの大木がなくなり台湾ヒノキや米桧に変わり、最終的にはラオスヒノキ(今でもスーパー銭湯のヒノキ風呂として目にする)というものが流通し、台湾ヒノキは現在では大変入手困難になっていますし、松においてはラオス松の入荷が細ってくると中国松と称して似たような目合いの松を代用してきました。

ラオス松は油気に富み、色合いも濃く年輪も細かなものが多く良質なものが多かったように思います。勿論、中国松もいいものがあったのですが、現在ではラオス松どころか中国松も入荷がかなり細っている現状。
柾目のフローリングの木取りの難しさは百年杉柾フローリングにてお話していますが、かなりの大木からでないと、綺麗な柾目をとることは出来ませんから豊富だといわれた中国松といえども、資源量が少なくなっているのかもしれません。

そういった使い切っては次を探す、というようなものではなく、木材利用をもっと幅広く捕らえて、いろいろな答えを出すべきだと思うのですが、お施主様によってはやはりこだわりもあり、今回はご指名の中国松を使うことになり、先日検品に向かった次第です。

柾目のフローリングは、木の目のおおらかさというものはあまりありませんが、通直に続く柾目の流れはとても心地の良いものですし、まさに自然の持つリズムである、1/fゆらぎといわれるものに通じる「心地よさ」を感じます。
それが長さ4mにもなると、壮観で、見事としかいえません。

松 赤柾無垢フローリング 3

因みに、私が今までの仕事のなかで一枚の伝票に一品目で記載した価格でもっとも高額だったのが何を隠そう、実はラオス松柾目のフローリングでした。
桁を間違っていないか、幾度確認したことか・・・
何せ、一枚の値段が、普通の高級無垢フローリングの一坪の価格に相当するくらいでしたから、その額は推して知るべし・・・です。

しかしながら価格ばかりではなく、それだけの価値のある木材ですから、出来上がったお宅は迫力満点。
こんなコテコテの部分があります。

松 赤柾無垢フローリング 4

これが松のフローリングの見せ所。
ヤニが出てくる、とか言わないでくださいよ。
松の上物は、老齢木で樹脂をため込んだものを「肥え松」といい、銘木扱いをされています。
全てがそうではありませんが、中には肥え松に相当するコテコテにあぶらの乗った「刺身」のような原板もちらほら。
仕上がりが楽しみです。

貼り上がりを紹介することが出来るかわかりませんが、貴重な松の柾目のフローリング。
私には懐かしく、皆さんには新鮮だったでしょうか?!

原板の状況によっては製作可能です。
定番商品として紹介することは出来ませんが、気になる方はお声かけくださいね。
納品の日を心待ちにしながら、加工出来上がり待ちです。

松 赤柾無垢フローリング 2


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筋骨隆々 地蔵大松


お正月が明けて成人式も終わり、いよいよ本格的にスタートというように感じている方もいらっしゃるでしょうか?!
今年はだいたいのところが7日(月)からスタートだったようで、きっちりと一週間を過ごしてからの成人式連休でしたので、例年よりはお正月気分が抜けるのが早かったのではないかと思います。

さて、お正月といえば色々ありますが、最近はあまり目にしなくなった門松。
松は常緑樹であることと、「松竹梅」や神様のおりられるのを「待つ」と称され縁起物とされる事が多い樹種ですが、それがことさら巨樹となると「そういえば、そんなに大きな松みたことないなぁ・・・」というように感じるのではないでしょうか。
実際私がそうなのです。
どこでもみかける庭園樹としての松と巨木の松では全くまた異なるので、すぐ目につきそうなものですが、やはりスギやクスノキの巨木に隠れて、あまり表には出ていないようです。
といいますか、やはり数が違いますからいたしかたないところですね。

そこで今回は、お正月スペシャル(?!)ということで私が出会った数少ない松の巨樹の一つ、三重県の地蔵大松を紹介しましょう。

地蔵多松 3
























いきなりウネウネとしてますが、ほんと、この写真が示す通り、御堂と休憩スペース?がすぐそばにある為に、道路側の反対からは枝ぶりも含めた全体像をおさめにくいうえに、イメージ的には大阪の樟の巨樹「薫蓋樟」のように横方向に枝を伸ばしています。

針葉樹である松にしては意外に感じるくらいです。
当然、人の決めた標準樹形などに当てはまるほど、自然は大人しくないですよね。
これくらいに育ってみろ!!、そう言われている様に感じました。

地蔵多松 4
























訪問した日はとても天気が良かったのですが、私の写真の腕前の限界点である「空を含めた時に巧く写せない病」がこの時も絶好調?で、樹皮は陰になるわ、葉も殆ど黒いわで、後ろの風景ばかりが際立ってしまっていますが、その辺はご勘弁ください。

地蔵大松 1














この地蔵大松、三重県の天然記念物に指定されているのですが、興味を引くのはその事よりもやはりその名前ですよね。
解説板にある様に、曽我氏と物部氏(あー、どこか昔に学校で聞いたような・・・・)が仏教信仰をめぐって対立し、物部氏が滅ぼされたため、それ以来仏教以外の礼拝を厳重に禁止したそうです。
そのため、当時地蔵菩薩を信仰していた現在の地蔵大松周辺の人々は、礼拝していた地蔵菩薩をそばの掘りに埋め、目印として松を植えたのが現在の地蔵大松だといいます。

地蔵大松 6














目印に植えたにしては目立ちすぎるくらいに巨大に、且つ猛々しくなったものですね。
主幹の下部の方は、大きな岩の塊の様な感じに見えますし、水平に伸びる枝はまるで今年の干支「巳」の様です。

地蔵大松 7














地蔵大松 5














これらの写真だけでも、普通に考える「松の木」の概念を超えていると感じるのではないでしょうか?!
もうちょっとほっそりとしているか、幹から細い枝が伸びているかな、位のイメージではなかろうかと思うのですが、実際私と比べてみると改めてスケールがお分かり頂けるかと思います。

地蔵大松 9














このアングルからすると、あんまり幹の扁平感もなく感じられますね。
何本もの支柱に支えられている所を見ても、その枝が四方に腕を伸ばしている様がお分かりいただけるのではないでしょうか。

しかし、支柱をしてもらう前でしょうか?若しくは病気か何かか、それとも樹齢の影響か、地蔵大松も樹木医の方の手当てを受けているようですね。
比較的大きな枝があったのであろう部分(上の写真の丁度私の頭上の辺り)などがカバーで覆われています。
何カ所か確認できるのですが、やはり巨樹には保護が必要なのかもしれません。
流行している松くい虫の被害も心配なところです。

それにしても、伝承の通りだと樹齢なんと1400年程という事になるようですが、うーむ、そこまでの樹齢にしてはとても元気に見えます。
ほんとに筋骨隆々、若者の様です。樹皮も美しいです。

地蔵大松 11














しかし待てよ・・・
西岡常一棟梁によると、見た目に若々しく元気に見える大木の方が内部が空洞などの場合が多いそうです。
それに対し、今にも命つきそうな巨木の方がかえって内部までしっかりとしているそうですが、地蔵大松や如何に・・・
1400年の命をつないで、お地蔵さんの力によりここまでの姿に成長できたのでしょうか・・・
それもまたロマン!正確な樹齢など「へーーー」に過ぎません。
知りたいような気もしますが、巨樹を前にするとその存在だけで十分な気持ちになりますね。

地蔵多松 10
























もちろん、地蔵大松も地域の方に守られているのでしょう。
周りにはロープが張られていますので、決して立ち入らないようにしましょうね。

地蔵大松 8















前回までの記事で書いたように、今年も有難い事に私の拙い記事を待って下さっている方からのお声をいただいています。
会うたびに、巨樹の記事楽しみにしてるよ!といって下さる方や、巨樹巨木写真展いつするの?!なんていう声も頂いたりしています。

まだまだそんな事が出来るような物ではありませんが、少なくとも記事上では少しでも巨樹巨木の魅力を伝えていきたいと思いますので、今年も「仕事してないんちゃうか!?」と突っ込みながらご覧いただければ有難いです。
こんな記事から繋がっていただける御縁もいくつか頂いていますから、ね。
よろしくお願いします。

地蔵大松 2















地蔵大松所在地:

鈴鹿市南玉垣町5536−1
駐車スペースあり



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!