空を見上げて
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茂みかきわけ袂まで 〜沢田の大杉〜


自分でも意外なほどに、超々長期掲載となってしまった「樺(カバ)を知る!」シリーズ。
書き出すと止まらない樺への想い・・・
カバザクラとの誤解解消も含めて、ため込んできた想いが爆発したシリーズとなりました。
その影響?!で、ずっと掲載できていなかった巨樹の記事を久しぶりに更新したいと思います!

私が巨樹をめぐる時には、巨樹の書籍やネット記事を参考に予習をしていくのですが、情報があるからこそ助かるメリットと、知っているつもりで油断してしまうデメリットを感じることがあります。
今回でいうと、油断。

今から紹介する場所もそうですが、同日に廻った場所でことごとく油断によるちょっとした後悔をしてしまいます。
例えば、社寺の境内にある巨樹と認識して向かうと「裏山」に位置している為、10分ほどの間を暗い林間を進まなければならず、挙句到着すると「熊!出没注意!!」と、ご丁寧に熊が襲い掛かろうとする実写写真を付けた看板があってチビリそうになり、護身用ストックの不携帯をくやむこと。
又は、道路からすぐの位置にあると確認し向かった現地では、今年の長雨の影響もあってか雑草が生い茂り、足を踏み入れ難い状態になっているものの、巨樹はもうその目の前。登山靴でも履いていればまだ向かうつもりになるものの、普通の靴では当日降っていた雨の影響でズブズブになってしまう上、あちこちに「マムシ注意!!」の看板も・・・
もう、えぇ加減にしてくれよ・・・とげんなりするのですが、自然の生き物の中に入るのは私の方なので、上記の状況を確認するべきなのです。

さて、そんな油断とともに訪れたのは島根県吉賀町指定の天然記念物である、「沢田の大杉」。


沢田の大杉 1


大杉手前の道路にある解説板。
樹齢800年とありますが、胸高周囲が7.2m。
巨樹を目の当たりにして大きさに圧倒されるものの多くは、経験上では胸高周囲10m以上のもの。

それからすれば、そこそこだな・・・・
そんな考えが先入観となり、この大杉を目にした時の驚きをさらに大きくしたのかもしれません。

大杉までは道路から小道を少し歩き、視界が開けた先にあるのは墓地。
そして、その背後に驚く樹形を呈しているのが、沢田の大杉でした。


沢田の大杉 3


この日は、しとしとと降る雨で空はどんより、そしてその影響で大杉の背後の林は吸い込まれるように暗い状態。
その条件が、異形の杉の存在感を非常に高めていたのは言うまでもありません。
対面して先ず、先ほどの胸高周囲のデータのみで判断できないことを実感。
太さだけではない存在感。
それが巨樹を印象付ける大きな要因であることはわかっているつもりですが、数字に左右されるのは人の常・・・

離れた場所からその見事な樹形を眺めるのももちろん良いのですが、やはり近くでその姿をつぶさに観察したいと思うのも人の常・・・

しかしながら上の写真の様に、大杉の周囲には膝上に達しようかという高さの茂みがあり、近づくための道がない。
いや、もしかすると違う場所から入られるのかもしれないものの、ムシ暑さと雨で探す気力がない・・・

悶々としながらカメラのズーム機能を使って、撮影をする。


沢田の大杉 4


写せば写すほどに近くに行きたい。
けれども目の前にはグリーンの壁・・・

雑草の中がどうなっているか分からないこと、そしてなによりもここに来る前に訪れていた場所に「草むら、マムシいるぞ!」の看板があり、自然の生き物大嫌い(出会いたくない)な私にとっては、目の前の雑草がマムシの巣窟に見えて仕方ないことが、足踏みをさせる理由でもあるのです。

とはいえ、もう少し近づきたい・・・えぇーい、かき分けて行ってやる!!
そう決心し、手持ちの傘(こんな時に限って、よそ行きの傘・・・)をたたんで除草棒代わりにし、足で踏み固めながら草の中を進んでいくことにしました。
そしてやっとたどり着くことが出来たその姿は、遠くから眺めるのとはまた異なる印象的な姿でした。


沢田の大杉 7


年月を経た暴れ杉というのか、神秘的な異形というのか。
幹の上部で横方向へ張り出した後に天に枝先を向ける姿は以前紹介した、岩倉の乳房杉と重なります。
そしてその乳房杉も、離島ではあるものの島根県。
乳房杉には近づくことが出来ませんが、沢田の大杉はその傍まで来ることが出来ました。

見あげる枝は、自然というよりも野性的と形容したくなるような様相。
しかしながら、よく見ると枝が剪定された跡があります。
折れたのではなく、人為的に切られています。
先端が枯れたのか、理由はわかりませんが管理の手が入れられているようです。

ということは、私が訪問した時がタイミングが悪かっただけで、普段はきちんと整備されているのかもしれません。
草むらも刈りこんであるのかもしれません。
そう信じよう。

沢田の大杉 10


大杉の周囲は完全に開けていて、空を見ても空間の占有率は100%と言っていいくらい。
周囲の竹に取り囲まれているのか、もしくは竹が入り込めないのか、見事なほどに独立した占有空間なのです。
そんな状況なので、天に伸びる枝の外側に向かって小枝が伸びて、そしてその小枝からまた枝が伸びる形で広がっていることが、異形を増幅させているとも感じます。

大杉に手が入れられているのは、墓地から見た大杉の奥に回れば分かります。


沢田の大杉 11


巨木を振興している状態でわかりやすいのは注連縄ですが、ここでは祭祀の跡でしょうか、写真の様な御幣様の飾り物がありました。
この手前には、竹と縄で造られた手製の簡易鳥居のようなものも・・・
先の様に、大杉の周囲は開けていてちょっとした「広場」の様になっているのですが、もしかすると祭礼というか地域の祀りごとがこの場所で行われているのかもしれません。

そういった事情は地域の方に聞くことが一番なのですが、この日は雨の中草むらをかき分けたことと、蒸し暑い上にマムシの恐怖。
そして写真からは決して伝えることのできないもう一つの原因によって、撮影後は一刻も早く車に戻りたい心境でしたので、情報収集する気にはなれませんでした。


沢田の大杉 14


左に立つ私と比べると、大杉のサイズが分かってもらいやすいですね。
幹の太さもさることながら、上部の分岐した大枝の広がりと太さの迫力は圧巻。
扁平であるとはいえ、大枝の一本ずつが通常の幹一本に相当するような太さなので、重力に反して頭上にあることが恐ろしくもなるほどです。


沢田の大杉 8


さて、サイズ感はこの比較で伝わると思われるものの、伝えることのできない早く戻りたい原因。
それは、この状況から想像に難くない「蚊と虻の襲来」です。

どこか余裕で大杉に持たれているように見せていますが、カメラをタイマーセットする時には顔周辺から足元まで、ブンブン・プ〜ンプ〜ンと寄ってくるのです。
大杉の隣に来ても、動くことをやめるといつの間にか吸血されている始末で、一秒たりとも動きを止めたくない状態。
しかし、動いていると雨に濡れているのか汗なのかわからないくらいにびっしょりと濡れてくる自分の汗でべたつく為、写真のアングルや明るさに集中できない。
普段であれば、刻々と変化する状況によって表情の変わる巨樹を前にすると、帰りたくなくなるものですがこの時ばかりは一刻も早く撮影を終えて戻りたい気分。

例えるなら、ラピュタの中心部に到達したムスカが飛行石を手にラピュタを手中にしようとしたとき、彼の周囲に虫が群がってきていたような状態・・・
もう、一心不乱に周囲を払いのけているような、そんな感じです(汗)。

それでも、戻り始めると別れが惜しいもの。


沢田の大杉 13


草むらにカメラをセットし、近づきながら上る時に見上げるようなアングルで一緒にカメラに収まりました。
想像以上に見事な姿と、撮影できた写真のアングルにちょっと自己満足を感じた沢田の大杉。

実際の私は、マムシへの警戒と虫たちの襲来に神経をすり減らしヘトヘト、服は汗でビショビショで満足と同等以上の疲れを感じていました。
その上、時刻は午後5時半。
今からの帰宅には5時間以上の高速道路走行が待っているのです。
事前情報との違いは油断でしたが、帰りの移動時間は巨樹を堪能する為の代償。

双方に疲れを感じながら、それでも心動かされる巨樹との邂逅を止めることはできない。
改めてそう思う、雨の夕暮れとなりました。


沢田の大杉 5


沢田の大杉所在地

島根県鹿足郡吉賀町沢田 指月神社東側
(もしかしたら、神社側から到達できるのかもしれないが検証していません。)

道路広い場所に駐車可能


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今願うなら、早期収束を・・・ 〜那智大社参道大門坂の巨樹と、那智の樟 胎内くぐり ◆

美しい参道をくぐりぬける那智大社への道。

夫婦杉5

この道を一人占め出来る瞬間は、この先にはきっと神仏がおられるのであろうと確信する気持ちになるほど、見事なものです。
私もまだまだ世間知らずですので、全国にある有名な参詣道や杉並木、古道などを見ずして語るべからずなのですが、これだけの木々に囲まれていると、そんな気になってしまうのです。


さぁ、その美しい参道である大門坂をぬけ、いよいよ境内へ。
大門坂から境内までも見ごたえはあるのですが、そこは巨樹のために申し訳なくも割愛・・・
そして到着、お目当ての那智の樟です!
神格化された別名は、樟霊社。

那智の樟1


むむ?!
迫力が今一つ・・・というか有難さが少し薄いような・・・

そうなんですね。
私が訪れた時はちょうど工事中で、クスのすぐそばには足場と工事用の無機質なシートが・・・
これだけは仕方ありません。

とりあえずは一通り写真をと思いながらカメラを手にするのですが、撮影当時はなかなかな人出で足場があるために、どうしてもみなさんクスの前で立ち止まるために、なかなかいい写真が撮れない。
仕方なく先に近景を撮ることに。

正面に人が多いなら、ぐるっと回ってすこしづつ・・・と思っていると・・・

那智の樟3


おぉ、ぽっかりと幹に穴が・・・
まぁ、巨樹にはよくあること。
前回の大門坂の樟にもあったように、内部が空洞になっているんだろうな。
そう思いますね。
しかし、幹回り8m少々という樟の巨樹としては驚くほどではないその姿以外に、那智の樟が特別に神聖視されているのは、実はこのぽっかりとあいた空洞の中に入られる・・・いや、その空洞の内部をくぐり抜けられる!からです。

わかるでしょうか。
くぐり抜け、です。入るというのとは違う、くぐり抜ける。入口とは異なる出口があるということ。

この那智の樟の大きな特徴は、この空洞を願い事を記載した護摩木を携えてくぐり抜け、出口にて初穂料とともにそれを納める「胎内くぐり」(体内ではない・・・)なのです。

くぐり抜け、というその事実を自身で確かめる以前に外国人の観光客の皆さんと、初老の観光客の皆さんが出口らしきところから少しずつ出てくる・・・

その様子を見ていると、少しありがたみが減少する(失礼・・・)様に感じたので、私も早速に胎内へ入らせていただくことにしました!!

那智の樟18


入口となる部分には石の鳥居があります。
有難く護摩木を携えて早速内部へ・・・・・

那智の樟4


鳥居をくぐった後、すぐに目に入るのは急に下る階段。
そうか、内部は根の方か・・・

イメージとしては、地上面がそのまま続いていて入口と水平に入っていくのだと思ってしまいますが、そうではないんです。
朽ちていったのだろう木質部分が退色し、まるで岩場の様。
崖を洞窟の中へ降りていくような感覚です。


那智の樟16

この感覚では、内部は相当狭いんだろうなぁ・・・そんな想像をしていました。
特別深いわけではないのですが、明るい場所から入るからなのか視覚の順応がすぐには行われず、一瞬の間どれほどの広さがあるのかわからない状態に・・・

普段の生活では、視覚がさえぎられるような闇というのを経験することは滅多にありませんが、闇のなかで視覚という感覚が立たれると、意外と人間の感覚は研ぎ澄まされるものだと感じます。
それは以前に、かの有名な善光寺での経験から。
奇しくもその善光寺での経験も「胎内巡り」!
本堂の下、真っ暗闇の中を進んでいく経験をしたわけですが、当初は本当に光の無い世界というものにおびえる自分がいるのですが、そのうちに少しづつ意識が先鋭化してくるというか、そんな感覚になったことをふと、思い出しました。

那智の樟7

もちろん、そこまで大げさな闇ではないのですが、岩場の中に取り込まれてしまったような世界の中で頭上から光が差し込む。
少し暗い部分に慣れた目に、一瞬にして光が。

それも、胎内深くに潜り込んでいる為に頭上から差し込む天上からの有難い道標の様に感じるのです。

那智の樟6

もちろんそれは、地上へ出る出口の明かりなのですが、、、、って、階段がまた(勾配)きつっ!!

しかし、この位置から外の光と空を見上げると、そこに見える緑の枝が空に浮かんでいる様で、そしてまさしく那智の樟の胎内に抱かれて、人としてではなく別のなにかとして外の世界を眺めているような錯覚に陥りそうです。

内部へ進む前は、どこか吸い込まれるような印象でしたが、内部から眺めていると差し込む光に導き出されるような、そんな感覚になります。
不思議なものです。

誘われているような心もちで階段を上がると眼下には、樟の視線で世界が広がるようです。

那智の樟14

あぁ、そうか。

こうやっておよそ800年、見続けるうちに神格化されていったんだなぁ。
この景色が変わりゆくのはどのようなスピードだったんだろうか・・・そんなことを思います。

そして、出口となる階段をおりて護摩木を納めました。
どんな願いをしたかって?!
もちろんそれは、世界の巨樹に逢えますように!、ではありませんよ。

もう少し、いやもっと現実的でした。
現在の様にウィルスが蔓延するとは思っていない頃の訪問ですが、もし今願うとするならばもちろん、一刻も早いウィルス流行の収束です。

胎内に携えたその願いや祈りは、差し込む光と一緒に外に導かれ神仏のもとに届けられる。
そう信じたい気持ちです。

那智の樟15

やっと人通りが落ち着き、那智の樟とのツーショット・・・ではなく、私のカメラのセルフタイマーがピコピコいっててもお兄さんが・・・
まあ、それも一つですけども、世の皆さんはやはり様々なお願いを携えてこられるようです。

もちろん、胎内くぐりではなく本堂を熱心に拝んでおられる方が多いのですが、みなさんどのような願いをもっておられるのか。

樟を眺め終え、奥の社殿へ向かうと目前には滝が・・・

皆さん、熱心にカメラを向けておられる。
記念撮影のカメラマンさんもいらっしゃる。
で、私もパシャッと・・・

皆さんは社殿とともに、この景色が楽しみなようですが私はすでに一仕事も二仕事も終えた後(笑)。

余裕で眺めていると、数組の方にシャッターを押してもらうように頼まれる。
そういえば昔から、観光地ではシャッター押す係よろしく、見知らぬ人にしょっちゅう頼まれていたなぁ・・・と、仕事でしか出歩くことのなくなった今を思いながら、「はい、もう一枚いきますね〜!!」とか言ってシャッターを押すのでした。


この時のお願い、今叶っているのであろうか・・・
こうやってなんとか仕事が出来ているということは聞いていただいたということか。
もう一度お礼に「くぐりたい」、那智の樟です。

那智の滝


那智の樟 樟霊社胎内くぐり所在地

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字那智山 那智大社拝殿前
 


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今願うなら、早期収束を・・・ 〜那智大社参道大門坂の巨樹と、那智の樟 胎内くぐり  

最初にお伝えしておきます。
今月の巨樹の記事は、2回?3回?!シリーズになります。
というのは、それくらい見どころが多い上に多くの巨樹が立ち並ぶ並木道を通るから。

私の長々とした文章の変わりに、先に解説板をご覧頂いておきましょう。

夫婦杉6

石畳のことや、大門坂と呼ばれる旧参道の由来などの詳細が書かれています。


この参道の先に目指すのは、日本一の落差を誇る那智の滝を望む那智大社。

その名瀑布を有する那智山にも、当然のごとく巨樹は存在します。
多くの参詣者が訪れる那智大社。現在では大社のすぐそばまでバスで上がることもできるものの、その参道となる大門坂は巨樹好きではなくとも、石畳のグレーと木々の緑が非常にすがすがしく、大社までのみそぎ登りの様な雰囲気。
大門坂手前に駐車場が整備されているので、是非歩いて上ることをお勧めします。

そして登り始めていきなり現れる巨樹。
それが通称、大門坂の夫婦杉。

夫婦杉4


各地に夫婦杉というものは多く存在しますが、こんなに均整がとれたというか仲良し夫婦というか、良い環境にある夫婦も珍しいのではないかと思います。(私の背後が入り口側)
太さも立派、葉の青さもとっても気持ちが良いものです。
樹齢はおよそ800年。
威厳があるはずです。
これから神聖な場所に立ち入る、という心持ちにさせてくれる存在の様な気がします。


夫婦杉2

大門坂、といいますがまさしくこの夫婦杉が門であるような雰囲気。
登り口から見ると、下り枝などがあり大きさを少し覆い隠してしまうようですが、反対からみるとはっきりとその大きさを視認することが出来ます。
通常であれば、これで立派な一か所の巨樹訪問となることろですが、ここでは盛大なプロローグに過ぎないのです!!!
この立派な大杉の門をくぐると、少しづつ登り始めることになるのですが、とにかく参道が美しい。
そう思って登り始めると、遊園地のアトラクションの様にすぐに次の巨樹が目前に迫ります。

これもまた見事な存在感を示す、クスノキ。
通称、大門坂のクスノキ。


大門坂の樟2


こちらも、推定樹齢800年ということですが、こちらの方がより一層古老感があるというか、まさしく巨樹古木というお手本のような姿の様に見受けられます。
もちろんそれは先入観なんですが、人間が決して体験することのない数百年間という時間の流れを、視覚的に体感させてくれるかのような、ある種くたびれた感がたまりません。

大門坂の樟3


名木としてや単純な巨樹としてみると、過日の加茂のクスなどには到底かなわないのですが、大門坂参道に並ぶ荘厳な杉並木の中において、広葉樹の存在感は大きく、常緑広葉樹の緑が杉の緑と交わっている様子が非常に印象的に映りました。
それでも、巨さでいうとこんな感じ。

大門坂の樟8


地際で幹内部まで欠損している部分が、どこか蒲生の大クスを思わせますし、もしかするとこの先は巨樹の世界に通ずるトンネルになっているのでは?!と思わせるような「入口感」も、たまらなく興味をそそられてしまいます。
世界の巨樹のスケールに比べると、決して大きな部類ではないと思うものの、参道を登って参詣される方には外国の方も多くいらっしゃって、我々と同じように巨樹の迫力を愛でるような視線を感じました。

大門坂の樟5


本来ならば、一つ一つを丁寧にみていきたいのはやまやまで、記事文章も羅列したい気持ちがあるのですが、一向に進めないこと必至ですので、写真紹介が多くなることをご了承ください。
といっても、私がこの参道を登り切る迄にかけた時間はおよそ2時間強。
これでも結構急いで撮影をし、止まりたくなる気持ちを抑えて(もちろん、この日も他の予定掛け持ち・・・)の道中ですから、2回シリーズで納められるのかどうか・・・・


巨樹や木、そして山や森が好きな人にとってのこの大門坂は、のぼることもそうですがその空間にいること自体がとても特別で、道を急ぐことが非常にもったいなく、横にそれたり振り向いたり、時には日差しが変わった部分に戻ってみたり、もちろん立ち止まることもあり。
その一瞬一瞬がとても特別に感じるのです。

参道の杉並木3


それが大門坂であり、参道の杉並木全体として県の指定を受けている「大門坂のスギ」となるのです。
鬱蒼としているように見えて、当日も晴れてはいるものの時折パラッと雨が落ちるような曇天入り混じる天気でしたが、全く暗さは感じられず、どちらかというと少し湿気た荘厳な感じが心地よい位でした。

ところどころで、朽ちた枝が伐られているものがあったりするんです。
切り口をみても、内部が空洞になっていて普通は興味を持たないようなもんですが、そんな枝(といってもそこそこ太い)ですら感激するほど年輪が細かいんですよね・・・!

参道の杉並木4


こんなのを見ていると、本当に前に進めない・・・
でも、急いでいくのは勿体ないので、次の予定の時間を推し量りながら少しづつ進み、なんとか次回で本題の那智大社での巨樹対面となるのですが、これがまた珍しい「胎内くぐり」なるものがあるのです。

その様子は次回にお伝えしますね。


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言い伝えか現実か?! 〜滑り落ちた巨樹 臥雲の三本杉〜

先月紹介した、日下野のスギは覚えていらっしゃるでしょうか。
天使の咆哮の如く、集落のある谷に向かって構える姿に圧倒されてしまうのです。

その記事の最後に、「数百メートルの距離にある」と書いたもう一つの巨樹。
それを今回紹介したいと思います。
連続して近くにある巨樹を紹介する意味は一つしかなくて、近くにあるのであれば一度で訪れたいから、です。
私も実はおかげさまで暇な人間ではないので、巨樹巡りをするといっても毎回貴重な時間(早朝5時に現地着とか・・・)を使って廻っている為、近くにあるのであればできるだけ「一筆書き」で廻りたいのです。

どうしても、拙記事は巨樹のページではないために多くの巨樹を掲載できず、近くに存在するものでも紹介していないものが数多くあります。
しかし今回は、前回の最後で対比させたように「人里と神域」の双方のスギという形で紹介したく、「臥雲の三本杉」をとりあげることにしたのです。

長野市街地から西、私の毎年恋焦がれてやまない白馬八方尾根方面へのみちすがらの山あいの、臥雲院という古刹が舞台。


臥雲の三本杉 11

巨木巡りに慣れている私にとっては良いドライブコースである山道も、街中ばかりを走る一般の方にとっては少々距離を感じてしまうかもしれませんが、道も細いわけでもなく時間さえあればゆっくりと到達できる長野市中条日下野地区。
目的地近くになると、斜面が開けた場所に写真の石碑とともに現れるのが、臥雲の三本杉です。

上の写真で左側に写っているものがまさしくそれなのですが、このアングルからはどのような性質の巨樹なのかを想像することはできないと思います。

杉の巨樹は様々なパターンで私を驚かしてくれますが、今回はその歴史に驚く巨樹なのであります。

あってほしくはないものではありますが、いつ起きるかわからない自然災害。
この山あいの地にも、およそ170年前に大地震があったそうです。
その時の史実を物語る存在として残っているのが、この三本杉だというのです。

臥雲の三本杉 8


近づいてみてもものすごく扁平で、ゴツゴツとした木肌と歴史を感じさせる痛みを受けた幹の状態などが、風格を思わせるものの、太さや存在感という観点でいうと、驚くほどのスケールではありません。

しかし、史実にある災害を伝える存在としての驚きは、単にそのものの大きさだけでは知ることができないのです。だからこそ、大切に、そして貴重な存在として人が語り継ぐことのできない永い歴史を称する存在として、そこにあるのだと思います。

この三本杉の驚くべき事実というのは案内板によると、180m上方から「滑り落ちてきた」ということです!


臥雲の三本杉 6


1847年の大地震の際、現在の地に滑り落ちてきたのがこの三本杉だというのです。
そして滑り落ちてきたために、斜面に不自然に傾いて立っている。
幹が扁平なのもその影響があるのかもしれませんね。

臥雲の三本杉 7


正面?!からみると、幹が襞のように割裂しているような印象を受けます。
そして、傷ついた幹を修復する樹木の特性として「巻き込み」をすることで、傷の部分を覆い隠すことがありますが、滑落と共に避けてしまった部分を包み込むべくしてこのような形状になったのではないだろうかと、推察しますが真相はわかりません。

むしろ、180mも滑落してこの状態で立っているものだと感心してしまいますが、それよりも、こんな巨樹を滑落させる大地震というのは、集落にとっての影響も相当なものだったと拝察します。
そしてこの状態を維持していることで「生き証人」として、史実を後世に残す存在でいてくれるありがたさを感じます。

臥雲の三本杉 1


もちろん、スギという樹種の性質を考えれば納得もできます。
幹が割裂しようとも、光合成し根を張ることができるのであれば残された主幹から成長をすることができるでしょうし、切山の大杉で顕著に見られるように伏条更新するほどの生命力ですので、根付くことができるのであれば生き残ることができたのかもしれません。

一部分からみると、600年ほどと推定される樹齢の割にはかなり老いている様にみえるものの、反対方向からみると印象は一気に変わります。


臥雲の三本杉 2


初めからこの傾斜に対応してきたかの様に、太く強く大きく見える幹。
そして羽をたたんで佇む孔雀の如く、細かく美しくみどり鮮やかに斜面下部へと延びる枝は、若々しくすら感じてしまいます。

人は見かけによらぬもの、といいますが巨樹もそうです。
この三本杉のように、一方向からみると太い幹でありながらも裏側は殆どが洞の様な状態になっているものも、各地で見られます。

長生きをして、これからも史実を伝えていってほしいと感じるも物の、生命力を感じるその美しい枝は、精一杯光合成のために斜面へ伸び、もし地面へ着いたのならば、そこから伏条更新で後世へ自分のうつし身を残そうとしているようにも見えるのは私だけでしょうか。


臥雲の三本杉 3


今の人里に自然災害の史実を伝え続けてくれる臥雲の三本杉。
私の様に訪れる人間をどれだけ迎えたのでしょうか。

そのたびに、どのような目で眺められているのかを感じながら、少しでも史実を感じてもらえるようにとその姿を保持してきたんだと思います。
巨樹は人間よりもはるかに長い時間軸の存在です。

だからこそ、貴重な存在に感じ大きさに圧倒され、どこか力を秘めているようにすら感じる。
その存在は様々な影響を与えます。
どれだけ人間が叡智を極めても、植物程の時間を生きることはできません。
人間が経験することのできない時間というものを、その存在で感じさせてくれる存在。それが巨樹なのかもしれません。


臥雲の三本杉 15


樹下に立っているつもりでも、その傾斜角でのけぞってしまうほどに傾いている幹。
直立していたであろう時代を想います。

しかし今は、この傾斜した姿こそがこの杉の存在そのものであり、知るべき史実。
時代は変わり災害も変化し環境も変わる。
三本杉が教えてくれる史実に対して、自分たちがどのように向き合っていくべきなのか。
訪れる人一人ひとりが考えるきっかけを持つことに、意味があるのかもしれません。


里にあり、人々に伝え続けてくれる存在、臥雲の三本杉でした。


臥雲の三本杉 14



臥雲の三本杉所在地

長野県長野市中条日下野3374 臥雲院の下にあり

邪魔にならない様、道路端に駐車できます。


 
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人里木霊す天使の咆哮 〜日下野のスギ〜

大阪の木材業界の方には少し知っていただいているかもしれませんが、担当は毎月発行される大阪中心の木材組合誌の紙面において、巨樹巨木のコラム記事を担当させていただいています。
ちょっとだけ、以前に紹介したことがありますが、そちらのほうも先月で連載三十回を超えました。
まだ三十回か・・・と思うくらいですが、もう四年になるほど続けさせていただいている(途中、紙面の都合で掲載されていない号もある)のは、非常にありがたいこと。

仲買たより

そして、ご覧いただいているブログ内の巨樹巨木の記事はなんと、今回で120回目!!
本当にそんなに投稿しているのかと、自分でも驚きますが、若干数回に分けての掲載などもありますので、単純に120本紹介しているわけではないのですが、そこまで巨樹の記事を掲載していることに、自分で少し誇らしく思ったりします。

というのは、単に巨木の写真と所在地などを掲載するページは多くあります(それはそれでいい。巨樹の存在や情報を伝えることが大事だから)が、私がしたいことは、いろいろな角度で、しかも材木屋が見る視点も加えての巨樹の紹介です。
巨樹巨木を前にして、材木屋目線でというのも非常に不謹慎なところではある(以前にも何度か、違法伐採未遂扱いされた経験あり・・・)のですが、枝の出方や周辺環境、木材を扱う上での木としての存在など、普通の方とは異なることを考えていることを、この記事や組合誌にて掲載をさせていただいています。


前置きが長くなりましたが、もう自分が何百本の巨樹に出逢ったのかわからなくなるほどの中で、出逢ったその瞬間に「これは・・・・」と口をつく形容詞を途中で失うような印象を受ける巨樹があります。
相対的に巨樹の数の多い杉の中にも、言葉を失い、その存在を受け入れる時間を大切にしたい!と思うような巨樹は多く存在します。


巨樹はもちろん、良質な木材を多く輩出し見事な山々を擁する長野県。
その中心地である長野市の西の山間に、山の神様を感じる杉の巨木が存在します。
その杉は神社の境内に存在するのですが、普通の神社ではありませんでした。

市内から山道をぬけ、集落が点在する中の山上に位置する大内山神社。
その境内に、日下野のスギという巨樹が存在します。

杉の木立を抜ける参道。

日下野のスギ 12


この石段を上ると境内、と思いながら歩を進めるのですが、登り切ったそこは自然の世界。
いや、神域という言葉よりももっと人に近い。
近いというよりも人の世界ではなく、人が存在する世界ではない、木々の世界とでも言いたくなるような、林立する杉各々が闊歩しているような、「根の階段」を上る道が続くのです。


日下野のスギ 13


杉並木らしく、足元は杉の葉でフカフカとしているのですが、地表はその葉で赤黒く頭上も写真よりもうっそうとしているので、杉だけが生きる世界に人が迷い込んでしまったかのような印象を受けてしまいます。

もちろん、現実的に階段状の歩道が設けられてはいるのですが、この状況で用意された道を歩むのは普通の人たち。
私のような変人は、あえてこの木々の用意した根の階段を上り、足でその地を感じ巨樹への礼拝の瞬間までの禊を行うのです。


登り始めてすぐ、その瞬間は訪れます。
目の前に現れる巨躯。
日下野のスギです。

日下野のスギ 14



第一印象は、立派!!

様々な巨樹に出逢っていると、自分なりにその巨さだけではない視点ができると思うのですが、この日下野のスギは山間部の杉巨樹として、期待以上のお立派な姿を見せてくれるものとして、納得のできる姿でした。

日下野のスギ 15

案内板には「樹形の整った杉の巨木」とありますが、ある意味見事に整っています。
巨樹としての威厳をもち、高く聳え他を寄せ付けない存在感を見せつけています。

目通り幹回りは11.4mとあるように、県内では国の天然記念物である「月瀬の大スギ」に次ぐ巨樹であるらしいです。
確かに、単純な大きさでいうならばそうでしょうが、その存在感は山の神。
パワースポットと称され、その存在感に神様の存在を感じるような「岩倉の乳房杉」に似ているようにも思います。
そちらは近くへ足を向けることはできませんが、こちらはすぐ近くでその存在を感じることができます。


日下野のスギ 2


少し枯れたような、それでいて力強く太い幹を誇示し猛々しく聳える姿は、山の神が宿るであろうと推察するにふさわしい姿。
もし、社殿がなくすぐ近くに道がなく、もちろん民家がないような山中であるとすると、もうその姿は合掌するしかないような、そんな存在であると感じます。

日下野のスギ 9


樹齢は千数百年以上という伝承のようですが、雪深い当地の気候に耐え幾度も枝を失ったのではないかと思しき幹。
苔の緑と赤茶けた杉の皮の色合いが、若さと歴史を共存させているように感じます。

社殿の隣に位置し、しっかりとその根を下ろしているように見えますが、実はこの幹のすぐそばは結構な斜度の傾斜になっています。
すぐ下には、まだまだ若い杉の木立が広がるのですが、眼下に彼ら若木を従え下界を見下ろす大天使の様だ、と神様というよりも若干キリスト教的(?!)な神聖さを感じます。

余談ながら、天使にも階級があるようでいろいろな呼称が使われますが、日下野のスギを例えるのならまさしく「大天使長」。
すこし偶像的になりますが、私の中では大天使長のルシファー(ルシフェル)なのです。

日下野のスギ 3


天使や悪魔といったお話は、いろいろなところに見られますが、一般的には堕天使として語られる場面の多いルシファー(ルシフェル)。
そのルシファーの姿(といっても拝謁したことはない・・・もちろん)と重ねてしまうのは、神聖な姿だけではないのです。
先の乳房杉に神聖さを感じるのは、記事にも書いたように「風穴」の存在が非常に大きいのです。

自分のいる世界が一瞬にして変わる。
そう感じさせるような風穴の力がある上に、近寄ることのできない神聖さが相まってのパワースポット感なのです。

それとは異なり、日下野のスギは「天使の咆哮」としか思えなような形相が、私に「大天使長・堕天使」である姿を想像させるのです。

それは斜面側に身を移すと鮮明になります。


日下野のスギ 4


幹の下部。
真円で高くそびえるはずの杉の一部に、突き出た・・・いや意図があってその内部より出でたような突出部。

天使が叫びをあげ、秘めていた思いを吐き出しているような、そんな「塊」を見ている感覚。

日下野のスギ 5


近くにいると、そんな意識に囚われます。
それが、神を感じるようなその姿から、どこか身近な存在であるような、禁断の果実を口にしてしまった人間の、少しの良心に寄り添って神に叫びをあげる天使の咆哮のように感じてしまうのは、無論私だけでしょう。

しかし、巨樹との出遭いで感じる印象というのは人それぞれですし、そうだからこそ巨樹は人々の心をつかむのだと思います。
クスの巨樹には「トトロ」のような妖精がいるのかもしれません。

しかし、異形の姿を見せるスギには神聖さではなく、どこか人間と同じような迷いをもった姿に見えて仕方がないのです。
近寄りがたくもあり、それでもどこか人の傍にあるような、不思議な感覚。


日下野のスギ 8


樹木や木材としての目線を向けるのは全く意味がないと思うのですが、あえて言えば幾度となく雪の影響などを受け、これほどの姿に成長するまでには過酷な時間を過ごしてきたことと思います。
幾本もの幹が空を刺す姿であり、暴れ狂うように枝を出す様は天使というようりも、やはり悩みぬく堕天使。

もしかすると、日下野のスギは神様ではなく煩悩うごめく人間世界を知る堕天使の姿かもしれません。


まったく話は変わりますが、実はこの場所は長野県のマリッジサポート課(そんなのあるんだ。すごい長野県!)がお勧めするデートコースにも掲載されているんです。
調べていて少し驚きました。
この姿をどのようにカップルが眺めるのか。
静かで少し暗くも感じる杉木立に、カップルの熱が冷めないのか。
やはり巨木をパワースポットとして合掌するのか・・・(頼むから根際に立ったり皮をはいだりしないでね・・・)
 
いや、その前に山道のドライブで彼女が車酔いしないのか?!と心配したり・・・

邪推を重ねる余地は多いものの、私にとっては見事な天使だった杉巨樹の一つ。
数百メートルの距離にあるもう一つの杉の巨樹、「臥雲の三本杉」が非常に人里感を抱かせるのと対極的な存在に、人の世と神の世の狭間を感じたのは、あくまでも私見の域を超えません。

奇しくも、この巨樹が神代に続く「神代杉」と称されていることを除いては・・・・・・


日下野のスギ 18


日下野のスギ所在地

長野県中条日下野(大内山神社境内)

わずかですが駐車可能(ほぼ人は来ないと思われる。)


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初めての遠征で初めての感激 〜加茂の大クス〜

さて、皆さん。
本日1月7日より、弊社の令和2年の通常営業を開始いたしますので、本年も一年よろしくお願い致します。

毎年年始の営業初日の記事は、巨樹巨木の日本一を紹介してきているのですが、さすがに日本一ばかりを追うこともできませんし、今年はこの後に紹介する記事の都合もあって、「日本一だと思っていた」巨樹を紹介することにします。


現在、各地方からもいろいろとお問い合わせをいただくほどに、全国の木材を扱うようになり各地を訪問する機会も増え、木のことも一般の材木屋さんよりはある程度分かるようになったと自負してはいますが、正直つい20年ほど前までは、恥ずかしいくらいに無知なものでした。
もちろん、ある程度業務に差し支えない知識は持っていましたし、それなりの事は知ってはいましたが、インターネット検索も普及しておらず、知識を得るソースが少なかった時代ですから、求められることも少なかったこともあり、自身の周りのことしか見えておらず他の地域の事は殆ど知らないも同然でした。

そんな時期、初めて遠方にでる機会があり、無知だった私でもその名を聞いていた木に逢いたい、と思った一本の巨樹がありました。
それが今回紹介する、加茂の大クスです。

加茂の大クス 2
(右に移っているのは外国人旅行者。老夫婦がクスを目当てに来られたらしい・・・)


淡路島を経由し鳴門方面から東西に走る徳島自動車道を西へ向かい、北も南も険しい山に囲まれた徳島県三好郡へ。

当時は初めて、と言ってもいいほどに自身で企画をして山や製材を回るということを行動に移したその時に、日本一の巨樹に逢ってみたい、と思ったのはある意味当然でした。
外の世界を知らないカエルが、ぴょんと外へ飛び出すと未知の世界が大きく広がり、想像してもしきれない巨樹という存在にあこがれていた時期。

特別巨樹ばかりを巡っていたわけでもなく、今の様にネット検索をするわけでもなかった当時、「かもうの大クス」なる巨樹があるようだ、ということしか知らず、しかもそれが訪れる予定の徳島県にあるらしい、ということで期待に胸を膨らませて向かったことを、今でも覚えています。

因みに紹介する写真は近年撮影のもの。
当時はデジカメの性能も良くない上に、写真になれていなかったもので、掲載できるようなものではありませんでしたので、あしからず。


徳島県での用事を済ませて、人づてに聞いた通りに向かった先にあったのが、開けた土地に孤高にたたずむその姿でした。

加茂の大クス 1


何とも雄大で美しい樹形。
解説板の「一樹、森を成す・・・」というのも大げさではなく、立派であることを森と例えたくなる気持ちも理解できます。
樹齢1000年以上、幹回り13m、枝張り東西46m。
日本一であるとの表記。

巨樹としての迫力では、様々な樹種の上でカツラが印象に残るものが多いのですが、カツラの巨樹の場合は「ひこばえ」が多く、1本の巨大な幹という印象ではなくて異様に大きな剣山という状態なので、単幹での幹周り13mは立派です。
また、その雄大な枝ぶりは、「この木何の木」のモンキーポッドを彷彿とさせます。

その大きさと見事な枝ぶりで、数少ない「国指定特別天然記念物」に指定されています。
以前にも杉の大杉でお伝えしたように、天然記念物の中でも「特別」がつくものは非常に珍しく如何にこのクスが貴重なものかということが分かります。

加茂の大クス 7


巨樹巨木にはつきものではありますが、一時期樹勢が弱った時期があったそうです。
広大な広さを確保されている当地も、昭和に入り農地や宅地の開発が進んだ時期があり、その時期に弱りが見えたそう。
しかし、周辺の農地を公園化し(それでこんなに広々としているんだ…)、治療も施して樹勢が回復。
驚くべきことに、東みよし町の産業課のホームページによると、樹勢回復後には解説版記載の幹周りからさらに太くなり、2007年には16.72mになったというのですから、なんとも素晴らしい回復力

幹回りの表記や計測にはいろいろな基準や計測がありますから、一概には何とも言いにくいところですが、数字に納得できる迫力と生命力は十二分に感じることが出来ます。

特別、という冠のつく巨樹は珍しいのですが、それは日本一なんだから当たり前!と当時の私は思っていました。
だって、「かもうの大クス」が日本一だと聞いていたんだから。

それは間違いではありません。たしかに「かもうのクス」は日本一なのです。
しかし、そのクスは当地のクスではありませんでした。
なんと!、「かもう」違いならぬ「かもう」と「かも」の勘違いで、当地のクスではなく正しい日本一は以前にも紹介している「蒲生のクス」だったのです!!


加茂の大クス 10


無知というのは恐ろしいもんですね。
解説版にも書いてあるものだからてっきり、これが日本最大の巨樹であるクスノキだと思い込んでいました。
情報をもたないということは、情けない話です。
しかし、双方ともに「特別」天然記念物にしていされていますから、当地のクスも数ある日本のクスの巨樹のなかでも非常に希少な存在として認知されているという証拠。

幹周りでは、当地よりも巨大なものは多く存在しています。
クスノキの場合は特にですが、我が大阪府の誇る「野間の大ケヤキ」と比較しても、幹回りは大きく変わらず。
それでも、筋肉質で武骨な太さを見せるくびれではなく、「女性特有の美しいくびれ」を想像させる加茂の大クスは、やはり特別天然記念物にたる姿を私たちに見せてくれるのです。

加茂の大クス 4


その美しくくびれた幹の上に、「傘を広げたように」と称される見事な枝ぶりをもっている加茂のクスは、近づいて見上げたりじっくりとその幹を観察したりという楽しみももちろんあります。
しかし、それ以上に贅沢な接し方は遠くから、その全体の姿を眺める事だと思います。

先に書いたように、加茂の大クスの周辺は公園化されていて、広場の様な状態です。
そのため、近くにいることで巨樹に圧倒されるような雰囲気も感じられるのと同時に、ほぼ 360° どの角度からでもその見事な姿を一望できる場所になっています。

大クスの為の周辺整備をしていただいていることが、結果的にその美しい姿を十二分に味わうことのできる空間を作ってくれているみたいです。

加茂の大クス 13


私が加茂の大クスに最初に出逢ったときからすると、ある程度は様々な木を見てきましたし、製材所を回ることも普通になり今では、片道数百kmの道のりも日帰りでこなすほどの出張族になりました。
その間、巨樹にも多く出逢ってきましたがやはり、これほど訪れる人にとっての好条件がそろっていて、なおかつ立派な巨樹というのはなかなかあるものではありません。

だからこそ、最近になってもう一度訪ねたい!という思いになったのでしょう。
本来の目的地は、ここからさらに険しい山を越えていかなければならないところにも関わらず、20年ぶりの再会を果たしにやってきたというわけです。

そんな気持ちをもっての訪問は、「また、逢いに来てくれたんだね」と大クスが迎え入れてくれているような、だれもいない広い空間での公然の逢瀬。


加茂の大クス 14


誤解から始まった加茂の大クスとの出逢いは、後の私の巨樹巡りの出発点と言ってもいいのかもしれません。
そこから少しづつ樹木や木々に関する知識を付けて、今回戻ってくることが出来ました。
今眺めても、最初に出逢った感激を忘れることはありません。


激しく変わろうとする木材の業界の波にさらされることになった現在に、まだ若かった自分の記憶をよみがえらせもう一度フレッシュに送り出してくれるような、そんな気持ちになりました。

次の予定には十分すぎる滞在時間を見込んでいたものの、時間の経過をすっかりと忘れてしまっていました。
去るに惜しい気持ちで振り返った時に見せる大クスの姿は、別れる涙の雨の中で傘をさす恋人の様な姿に見え、人生の限りある時間の中でここに2度も来ることが出来た幸せを、再度感じさせるのでした。

地域のみなさんと、いつまでもその美しい姿を維持してほしい。
そう願って、私はまなざしを目的地である山向こうにうつすのでした。



加茂の大クス 15


加茂の大クス所在地

徳島県三好郡東みよし町加茂1482

駐車場あり、トイレあり


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仰げば恐ろし・・・ 〜島根県浜田市 常盤山の杉〜


私は夏が苦手である。
暑いから?いや、そうではないのです。
暑さには比較的強い(むしろ寒さの方が強いけど・・・)方なのですが、夏に山に入るのが苦手です。

すがすがしくてとても良い、と思うのですがそれだけではなく、人間が心地いい季節は他の生き物にも心地いいわけで、蜂やヒルなどのお友達になりたくないものがたくさんでてきますから、苦手です。
しかし、もっとも苦手・・・いや、会いたくないものがいるであろうことも、非常に大きな苦手ポイント・・・


冬に巨樹を訪れる苦労は、今までの雪にまみれる記事を見て頂ければご理解いただけるでしょう。
何気なしに雪化粧に佇む私と巨樹、という構図になっているものの、その場に立つまでは携帯電話の電波の届かない山道をひたすら登る、つづら折れの山道を四輪ドリフト状態(FF車ですけど〜)の横滑りで駆け上がったりなどしながら辿りついているわけです。
寒そうに見えるダウンジャケットの下が汗だく、ということも珍しくありません(汗)。

それからすれば、夏に訪れる巨樹など心地の良いもの・・・と思うなかれ。
今回訪れたのは日本海側に細長く続く島根県。
高速道路がつながっていないために、東西に長い県の両端への行き来に数時間かかってしまうという、侮りがたい県なのですが、県民性はとってもフレンドリー且つ嘘偽りのない人たちばかりで、私の中での「癒し県」の一つでもあります
(笑)。

そんな島根県の西部、山間の金城(かなぎ)町に常盤山の八幡宮があります。
金城は、地元の水を販売するほどに自然の豊かなところ。
好き嫌いはあるものの、少し甘さと柔らかさのある「金城町の水」はお気に入りです。

巨樹巨木の事前情報によると、幹回り8mを超える杉が存在し、他にも杉の巨木があるとのこと。
幹回り10mを超えると相当なスケールですので、その姿に期待が高まります。

到着後の社殿迄にはすでに一本の太い杉がお出迎え。

常盤山のスギ 3

なかなか立派な杉!!とここで時間をとられてはいけません。
なにせ、この社殿の奥にはさらに大きな杉がいるのです。
早々にお参りを済ませて、どの「奥」にお目当てがあるのかを確かめます。

常盤山のスギ 10

もしや、あの社殿右後ろの??
いや、たぶんそうだ。
針葉樹の濃い緑の新緑!
あそこにめがけていくぞ!!、の前にありがたい事前情報。
これがないと、背が低いものは結構探すことになる場合もあるんですね〜。
ありがたや。


常盤山のスギ 2

掲示によると、社殿前を含む5本の杉巨樹があるとのこと。
巨樹や樹木に明るい方は、表記の「アシオスギ」に注目されることと思いますが、ここではその表記については、掲示板に倣うことにします。

もちろん、目指すはA株。

案内図通りに進むと、境内左奥に裏山へと昇るけものみちらしきものが・・・

常盤山のスギ 9

まぁ、道なんだろうけど普通に竹やら雑木やらで通れない・・・

うぅ〜・・・どれくらい進むのか。見る限り近いけど・・・と思いながらも進み始めると早速Cの杉に。
なかなか立派ではあるものの、意外と傾斜のきついけものみちで、しかも三脚を立てるにも良いアングルが取りにくい・・・ということで、写真なしで通過。
後で気が付くのですが、ここでもし「その痕跡」に気が付いていれば、もしかするとここで引き返していたかもしれません。


歩を進めると、気負う心とは全く異なり意外とあっさりとお目当ての杉に到着。

常盤山のスギ 4

手前と奥。
2本が適度なスペースを維持しながら立っています。
広葉樹の若木もちょろちょろと芽を見せる中、「一時代」を主張するような2本の杉。

ご丁寧に足元には「アシオスギ」の表記。

確かに、西日本とはいえ島根県の山間部は非常に豪雪。
数メートルの積雪も珍しくありません。
その地で生き抜くには、やはりアシオスギでないといけないのでしょう。

常盤山のスギ 1

アシオスギの例に倣って、異様な樹形か?!と思いきや意外とスラッとしていて礼儀正しい(笑)。
素直に伸びた、という印象を受けるそのままに、とても優等生的なアシオスギと感じます。

常盤山のスギ 6

人工林施業の上で、まず淘汰するべき対象として「暴れ木」があげられます。
詳細は割愛しますが、まっすぐ伸びているとはいえ、枝のつき方や成長度合いを見ると、巨木の多くは暴れ木であることが多いです。
失礼な話、巨木を木材にするならば樹齢を重ねているために、成長による癖は非常にマイルドではあると思いますが、林業で言うところの優等生ではありません。

しかし、その個性がまた、人を引き付けるのかもしれません。

この常盤山の杉も、想像よりもやはりスケール感はないものの、その立地であったりその姿のみせる雰囲気は、巨樹そのものです。

常盤山のスギ 5


写真映りを考えると、開けた場所にドカーンと構えているのが望ましいものの、「裏山に主」よろしく仲間とともにひっそりとたたずんでいるその姿は、応援したくなるような気持にさせます。

期待より大きくない、といっても実はこれくらいはありますよ。

常盤山のスギ 7


はい、十分大きい。太い(笑)。
足元の「アシウスギ」ではない「アシオスギ」看板がほんと、妙に気になる(笑)。

杉の巨樹、と考えるとまだまだその称号を得るには若造である、と言えるかもしれません。
それでも、ある程度まとまって生えていることや鎮守の森であることなどを考えると、非常に価値があると思います。

いつもなら、いろんな角度から撮影するものを、雑木と竹に阻まれて、一定のアングルしかありません。
ちょっと物足りなさを感じつつも、別れの挨拶を済ませ杉を後にします。

先程来た道を戻りながら、もう一度巨木たちの写真をとっていると、先程の杉への曲がり道に立っている看板表記Cの杉の幹に、なにやらキズが付いている。

常盤山のスギ 12

むむー!
なかなか人が入っていないのかと思いきや、こんな傷をつける人間がきてるのかしら?!
鎮守の森の樹木を傷つけるとは何事か!!っと、思いながらもう一度Cの大木を眺めました。

そしてそのまま無事帰路についたわけですが、その後にこのキズについて聞いてみると「あぁ、クマでしょうね。クマ。上にいませんでしたかね?!」との返事・・・
ん?クマ?!
熊?!

よく聞いてみると、クマは木のぼりし「クマ棚」を作るとのこと。
その際に登った跡であろうというお話で、聞いてすぐビックリ!
山の野生動物苦手な身にとっては、クマやイノシシは本当に会いたくないものたち。
それも、もしかすると頭上いたかもしれないとは・・・・・

ひえぇ〜。
思い出すだけでも恐ろしい。
見上げる恐ろしさを覚えた杉探訪。忘れられない場所になりました。


常盤山の杉所在地

島根県浜田市金城町波佐545付近 常盤山八幡宮の裏山内

駐車可能



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千年の命の具現化?! 〜堂庭(山)のスギ(千年杉)〜


ここのところ出張で、とても真摯に取り組んでおられる山に行かせてもらう機会が多く、いろいろな山と木材を見せて頂いていましたが、それとともにいろいろなセミナーや講義にも出席していると、こと私のいる木材業界は「木をどんどん使うべき!」というイメージが先行で、とにかく山の木を伐る事が大切、というところがクローズアップされがちで少し疑問を抱くことが多い。(植林もセットで語られるものの、ただ植えればいいという単純なことでもないでしょうし・・・・)

植林をされた山の中でも杉が話題にあがることも多いうえ、60年ほどで成熟して収穫期!というようなお話を聞くことがあるので、うぅ〜ん・・・と考えさせられたりもします。
いつも巨樹巨木を巡っているからなのか、1000年を超える樹齢のものや、まざまざと生き様を見せつけるようなものと対峙すると、利用ばかりではなく考えることってないのかなぁ・・・と思うこともあり・・・・

そんなことを考えていて、久しぶりに思い出したのが「千年杉」ともいわれる「堂庭(山)のスギ」です。

堂庭のスギ(千年杉) 7


複雑に絡み合っているような根。
そしてその傍に並ぶ石仏。
この巨杉自体が信仰対象だったのでしょうか、どのような経緯か定かではありませんが、どちらにせよ拝みたくなるような見事な杉です。

愛知県の豊田市中心部からくると、国道420号を東に進み足助町あたりで脇道へ。
ちょうどのその分岐あたりに、「千年杉」という大きな文字が目に入る。(下の写真とは異なります。)
実は、私がこの巨杉に訪れた時の目的地は別にあり、たまたま通りかかった分岐の「千年杉」が目に入ったことでの訪問でした。
最初に看板を見た時には、「なぬ?!千年杉?!千年?!」と、もし後続車が来ていれば追突でもされそうなほどに驚いて進路を変更したのです。

堂庭のスギ(千年杉) 1

もしや、千年も生き続けているということはよほどの山中にあるのか?!・・・と気にしながら進んでいった先には、急傾斜に前のめりになるように立っている「堂庭(山)のスギ」の姿がありました。
あ、早くも私登場。

堂庭のスギ(千年杉) 9

少し様子を見ている雰囲気。

枯れて折れたのか、途中でなくなってしまったような枝や、枯れているのかそれとも触手であるために葉が無いのか(そんなことはないけれど・・・)、異様な伸び方の枝を伸ばしています。
樹高はおよそ34mほどなので、それほど大きくはないものの、まるで荒れ狂う波をまとっているかのようだ、とでも形容すればいいのか、荒々しさを発揮しています。
露出気味の根、大きな割れ目のある幹、大きく枝垂れながら伸ばす枝、そのどれもが迫力十分。

堂庭のスギ(千年杉) 13


この瘤にまみれた姿の理由は一体?!
日本海側に多くみられるスギには、これに近い異形のものが少なからずありますが、どう考えても太平洋側である豊田市の山中で、この形容しづらいような姿を呈しているのは、やはり1000年の樹齢のなせるものなのでしょうか。
実は千年杉というのは推定樹齢か伝承樹齢かのようで、はっきりとはしていないようです。
それに、豊田市の「名木」には指定されているものの、希少なものの代名詞である「天然記念物」の指定がないのが不思議なくらい。

堂庭のスギ(千年杉) 2


もしかすると、意外と若いのかもしれません。

堂庭のスギ(千年杉) 3

このように、「房」といった印象をうける葉の茂り具合は若さを象徴している、と思ってしまいます。
樹木は、若いときにも多くの葉を茂らせるものでしょうが、反対に老齢になっても茂らせることがあると聞いたことがあります。
自身の最後の力を振り絞るために光合成をする、もしくは多くの種子を残すために葉を出す、といったものだったように記憶しています。
そうすると、あながち推定1000年もあり得るのかもしれないその姿。

しかし、しかしです。
正面から眺めて圧倒されながらも、後姿を拝見してみると、なんとまぁ・・・
とってもすっきり。

堂庭のスギ(千年杉) 5


え?さっきまでの荒ぶる形相はどこへ行ったの?!
もしかして、数歩歩いただけで他の樹についてしまったのか?!
少し襞のような縮模様があるものの、すらっとしたその姿は本当に同一樹種とは思えない!

まさか正面からはこんなことするような気にならないけども、後ろ姿ならば・・・

堂庭のスギ(千年杉) 4

といっても、私と比べるとそのしっかりとした大きさがわかっていただけるでしょう。
スケール感としては十分に巨木であるのですが、まるで阿修羅の面のように表情を変える堂庭のスギ。
一粒で二度美味しい、ともいう?!

いや、失礼。
表面(?!)に戻りましょう。
この巨象の膝、と申しましょうか・・・年老いた生き物の、ひび割れたその皮膚のように思わせる幹の下部。

堂庭のスギ(千年杉) 12


実際にこの場に訪れてまじまじと、この「足」の部分を観察すればするほど、「本当に足だ・・・」と納得されることでしょう。
となれば、胴体がこうなってこの辺が腕で・・・
といった感じに見えてくる、その理由は実際に正面に立ってもらうと分かると思います。
もし、スギに雌雄があるのであれば十中八九、この個体は雄株であるはず。間違いないです。

雄ならではの猛々しさと、その後ろ姿にはさわやかさすら感じさせる堂庭(山)のスギ。


堂庭のスギ(千年杉) 14


電動機械や重機で山も樹木も簡単に伐りだすことができる時代。
植林木の存在とは比することはできないものの、伐って使うだけが山の役割でもなく木々の存在理由ではありません。
伐るために植えられたものであったとしても、山の為や周辺環境のため、他の動植物の為、そして今から100年後や1000年後の山の事を考える時、チップや燃やすために伐りだすこともないし、単に量を求めて価格競争に入っていく必要もないとも思います。

一度の施業で量を確保できるからこそ業として続けられる材木屋でありながらも、とっても複雑ではありますが、使わせてもらうものもあるけれども残す場合もある。
植林地でも積極的に残す選択肢もあるかも知れない。
それを実行されている山があるのは、少し前の出張で目の当たりにした山でお伝えした通り。

最初から人がかかわった山はそのまま放置できないのかもしれない。
なら、関わりを最小限にしてもいいかもしれない。

伐る事だけが林業でもないし、施業でもないんじゃないかな・・・
そんな自分の商売とは矛盾するようなことを考えている時、この千年杉である堂庭(山)のスギを思いました。


しかし威風堂々、「前のめり」にすら思えるその姿は、悩んでも悔やむことがあっても、進むことが大切で行動することが答えを見つける一つの方法である、と言ってくれているようです。
これからも山にかかわり続ける材木屋として、1000年先を見据える力(笑)つくといいなぁ・・・・・・・
もちろん、商売の行き先も・・・・・・・・



堂庭のスギ(千年杉) 8


堂庭(山)のスギ(千年杉)所在地
(豊田市の名木としては、スギとしか登録されていない模様。地名は堂庭山のようですが、一般的には山は付けずに呼ばれている模様です。)

愛知県豊田市葛沢町中本郷66-1

周囲の邪魔にならないように駐車しましょう。
近くには、有洞のサワラなど巨木が数カ所存在します。


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穏やかな一年をその樹に祈る 航海安全の日本一 〜熊野速玉大社のナギ〜

恒例記事として続けてきた、年始の巨木日本一の記事ですが、そろそろ今年でひと段落になりそうです。
いろいろと結び付けて語りたいものもあれば、すでにお正月以外で紹介しているものもあり、次はもう少しネタをためてから再開したいと思います。

さて、そんな区切りの日本一紹介ですが、今年はこれしかないでしょう!というタイミングでの紹介になりました。
というのも昨年は、私の周りでは大阪府北部地震、そして2つの大型台風が猛威をふるい、現在でも被害は収束していないこと。全国的には西日本豪雨と北海道での地震被害など、大きな自然災害が続きすぎたこと。
毎日が当たり前のように過ぎていくことに違和感なく過ごしていることの大切さを、痛感した出来事でした。

本年はそのような災害が起きないように、この樹種の日本一を拝むことにしたいのです。
その樹種は「ナギ・梛」。」
ナギについての詳しくは5年ほど前の記事にて書いていますので、そちらに譲ることにしますが、その名が、穏やかで波のない海の「凪」に例えられることから、漁師さんや航海に出る人の安全や海難除けの木として、古くから大切にされてきた樹です。
また、難を逃れると同時にその葉を断ち切ることが容易ではないために、縁が切れないということで縁起物とされています。

そんな縁起物の日本一で始める2019年。安全な一年になるはずです。そう信じていきましょう。

那智速玉大社のナギ(梛) 3


正面に見えるのが、日本一のナギ・梛である「熊野速玉大社のナギ」です。
ナギという樹種をご存じなければ、巨樹で紹介するにはスケールが足りないのでは?!と思われるかもしれませんが、ナギ自体は成長が遅いため必要以上に大きく太くはならない樹種なので、このようなアングルで撮影して「一本の太い樹」として映っていること自体が珍しいのです。

那智速玉大社のナギ(梛) 2

周辺には柵があるために近づくことはできませんが、それでもナギという樹種特有のキハダの感じや枝の姿、そして葉っぱは確認することができます。
なにより、こう見えても樹齢1000年!!、そして幹周り5m。
ナギ自身は幹周り3mで樹齢400年というお話もありますし、他に存在するナギの巨樹のほとんどが幹周り3m台から4m前半であることを考えれば、堂々たる日本一!なのであります。

樹高は17mほどなので、スギの巨樹のように見上げる迫力はないものの、樹齢を見せつけるような幹の様子や枝ぶりが、巨樹としての風格を十分に感じさせます。
葉っぱは小さいので、離れているところからは認識しづらいですが、周辺に多くの枯れ葉が落ちているので手に取ることができます。

那智速玉大社のナギ(梛) 7

ナギの葉は、同一方向に多くの繊維が並んでいるために、非常に切れづらいことから夫婦円満にもたとえられ、嫁入り道具にも入れられていたとか・・・
もちろん、私の財布にはナギの葉が入っています(笑)。言わずもがな、金縁をいただくために・・・
まぁ、私の場合は話のタネですが、縁起のよいものというのはもっていたいものではありますよね。

那智速玉大社のナギ(梛) 9


那智速玉大社のナギ(梛) 5

案内板にも、ナギの葉は霊威ある熊野詣でのお守りである、とあります。

巨樹、という言葉で印象を与えるのはやはり特徴的な姿や、その幹の太さだと思いますが、ナギに限ってはその「ありがたい縁起」、そしてスギの一部にみられるような乱れ伸びる枝でしょうか。
小さな葉が密生しているような樹形なので、正面からは少し見えにくいものの、裏に回ってみれば1000年の命と風雪が過ぎてきた風格を感じる幹と枝を見ることができます。

那智速玉大社のナギ(梛) 1

スギはスギでも、日本海側や多雪地域に多い「ウラスギ」と称される枝垂れるスギのように、触手を伸ばしているかのよう・・・
これは、1000年の昔から単独で生きてきたからなのか、それとも周辺に競争相手が育つことができなかったのか。
ナギが動物を寄せ付けない「ナギラクトン」(すごく危険な爆薬みたいですが・・・)を分泌しているからなのか・・・

どちらにせよ、唯一存在する幹周り5m超えの巨樹として、単独で存在する姿を印象付けるように見えます。

那智速玉大社のナギ(梛) 6

樹皮があるのかないのか、いや永い年月で樹皮がはがれたのでは、と思わせるような姿。
この特徴的な樹皮がナギの特徴ではありますが、すでにそこも風格に感じます。

どうか本年は、このナギの風格をもって災害なく「凪」の一年になりますように。
そして、木が好きな皆様との縁がつながり一層途切れることのない、無垢の木材の活動が続けられますように。

そう祈りたいものです。

祈りの私に、ナギが縁深い枝を差し伸べてくれているようです!
今年も一年、木にまみれていきますよ!!

那智速玉大社のナギ(梛) 8


熊野速玉大社のナギ(梛)所在地

和歌山県新宮市新宮1丁目1

境内にはオガタマノキもあり。駐車場有。

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平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)  エピローグ〜

洞のカツラ、その見事な姿にしばらく見とれていたい気持ちはあるものの、心を急かせる理由は帰る為にもちろんながらも、再度来た道を戻らないといけないということ。

洞のカツラ 17

若干けもの道のようになっているように見えるとはいえ、昼薄暗い中一人で、クマに怯えながら(涙)草をかき分けて帰るのです。
普通は、苦労してたどり着くと「よっしゃ、来た道やから、怖くないぞ!」と少し思うんですけど、今日はちょっと違う。
クマじゃないんです。もう一つの理由です。
実は、この洞集落は既に住民全員移住し、現在は人がいないのです!(汗!!!)

うひょ〜!!!万が一なにかあったら叫ぼう、と思ってたのに、しかも民家があるから大丈夫!と言い聞かせてきた、小さな心臓はバクバクと脈打っています。

洞のカツラ 13

この連載の当初にも写真をだした石碑ですが、右側の「平成二十三年十二月 洞区民全員転居」の大きな字が見えていませんでした。
なんたることか。
事前情報の集会所と民家という言葉ばかりに気を取られ、目に入っていませんでした。
よく考えると、民家の前に立ち入り禁止看板があるのも見えていなかった・・・・

最初に鳥居にシートがされていたこと。
そして途中の社殿の燈籠にもブルーシートがかけてあったことから、なんとなく背中では人気のなさを感じてはいたものの、山の中に入る自分にそんな情報は必要なく、誰かいるもんだ・・・いや、居てほしい!と信じていました。

洞のカツラ 18

カツラとの出逢いも、別の意味での背中のゾクゾク感を感じていたのはやはり人気のなさゆえでした。
石碑にあるように、往時は富山県との交易でさかえたようですが、車があるとはいえ元々が多くはない住民の数からすると、奥飛騨のさらに奥山に位置する洞地区にとっては、生活という意味での基盤を保ちにくかったのかもしれません。
もちろんそれは、私の勝手な想像なのですが石碑を眺めていると、ものすごく淋しいといいますか、ふるさとを離れるということを思うと、目の前にある民家と集会所が今にも霧と消えるのではないかと感じるような儚い気持ちになってしまいます。

平家の時代から住んできた地をはなれるということは、この立派な石碑をみればどのようなものだったかを思うことができますし、今後も石碑によってその事実は無言に語り継がれていくことでしょう。
感動的な巨樹訪問のはずだったのですが、気がつけば少し物哀しいような、そんなエピローグになってしまいました。







って、まだ終わりじゃありません。
私にこんな大きな石碑を見落とさせた犯人を、この記事にさらさねばなりません!!!

通常であれば、先ずは周辺にて巨樹の位置や存在を知らせる案内を見つける為に、石碑や看板は読むのですが、今回はこいつのおかげで、こんなことになってしまいましたよ!


洞のカツラ 1


ミラーの左、見えますか?

おまわりさん、こいつです!!私に攻撃してくる奴は!!
早く捕まえてください!!!

人がいるなら頼みたい。そんな気持ち。

写真にはただ一匹ですが、実は車の周辺には数十匹?いや百以上?!という景色がかすみそうなくらいの数が飛んでいて、それも何が原因か知りませんけども、車に体当たりしてくるんです!!!
最初は走行中の小石の跳びはねの音かと思っていたのです。
そしたら違うんです。こいつ、走行中からずっとぶつかってきてたみたいで、停車してもずっと「バチン!・・・バチンバチン!!」と音がする。
ドアを開けると絶対車内に入ってくるし、開けないとカツラには行けない。
チクショー!!!


そんなこんなで、停車してから「体当たり」が納まるまでイライラとしていたので、あの石碑を見落としたのでした。

しかも、よく見たら集会所の壁にカツラへの道順が記してある・・・・(涙)

洞のカツラ 11

無意識のうちの道順は正解だったものの、これを見ておけば安心していたのに・・・
いや、住人不在をしっているとなると、そうでもなかったか・・・


しかしながら、以前に同じくビビり巨樹紀行をお伝えした「大古井の千本カツラ」も同じく岐阜県の山中。
巨樹も木材用の人工林も、そして豊かな混交林をも育む岐阜県ならではの、ドキドキ巨樹紀行ですが、もうカツラの場合はある程度の諦めで行くしかありません。

いつになったら慣れるのやら・・・

いつも以上に、巨樹の存在する場所と「ふるさと」について感慨深くなった、今回の洞のカツラへの訪問となったことをここに残しておくことにします。


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平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)ぁ

山道を何キロ走った(通行できずにバックで下ることも含め、)のかもわからないほどに、「ここ以外に集落への道はあるのか?!地図にない道が!!?」と山道を何回往復したかわからない、前回までのやるせなさとは違い、開きかけた道の先は明るく、多少大雨での土砂が車道に流出してはいるものの、今までの事を考えるとドンドン車をすすめられます。

そして進んだその先、民家の様なものが見えてきた!!!!!
おぉ!!洞地区に違いない!!「誰か、だれかいませんかぁ〜・・・」
心の声で、実際は車で走っているのですが、山あいでは民家が見えるだけでも心強く、しかも今回は事前情報にて「集落の方にカツラへの道をたずねた」とあったので、私も訊くが一番!と住民を探しながら車をゆっくりと進めました。
すると、人を見つけるよりも先に目印となる集会所のある広場に到着。

洞のカツラ 21
 
おぉ、この地区の皆さんは、ふるさとを誇りに思ってらっしゃるんだなぁ・・・

この時は、やっとのことでたどり着けたことと、カツラに早く逢いたい一心でしたので、この写真から見きれている一つの石碑には目がいっていませんでした。
なので、後ろに見える集会所も、どの地域にもある「今はほとんど使われない集会所」になっているんだろう、と思っていただけでした。
いや、これも後に記しますが、降車しようとする私を阻む者の存在の為かも知れません。 
そう思い込んでいました。

情報によると、集会所近くの民家の裏手にそのカツラが存在するといいます。
とりあえず、鳥居があるところから廻り込んで、道がなければ民家にお声かけしてみよう!
そう思い、とりあえず待ちに待ったカツラの姿を探しに、昼少し暗い鳥居をくぐり裏山に入っていきました。

洞のカツラ 20

「あれ?!参道に草が・・・
それに鳥居にもカバーみたいなものがかぶせてある・・・
さらに進むと燈籠にもブルーシートのカバーが。
むむ?!
地区の人達が高齢でお世話ができないのか?!それとも?!・・・・・」

こんな山の中で、もし人がきいてたら変人かと思われるくらいの音量で、↑の言葉はしっかりと口から発しながら歩いています。
一つはクマが怖いから(涙)。もう一つは、反対に人がいてほしいから・・・・

いつもどおり、入り口でビビり乍も進んでいくとなにやら道の様な状態になっている。

洞のカツラ 19

方向的にこれに違いない!
これなら安心!、と自分に言い聞かせ歩を速めていくと、おぉ!!!!あの姿はまさしく!!

洞のカツラ b

あぁ・・・・やっと逢えた・・・
今回は、かなりの廻り道を要した上に、何度も諦めかけたので感嘆の声もひとしお・・・
このまみえた瞬間の姿を残そうと、遠目に一枚。
実は、近くに見えますが距離は結構離れているのです。のちほど、昌志メーターでお分かり頂けるでしょう。

その正式?!な姿がこちら。

洞のカツラ c


これぞ、私が抱く森の巨人のカツラです。
太いひこばえが入り乱れ、少し傾斜した沢沿いに、小さな祠を抱きながらたたずんでいる。

まさしく、森のカツラの理想の姿!!!

洞のカツラ 5


紅葉にはまだまだ早い初秋の訪問だったのですが、「新緑」とでも形容したいほどの緑の美しさが命の輝きをみせ、それに対してくすんだカツラの樹皮が、季節の移ろいや時間の経過すら意識させず、ただしずまった山の空気と共に私と「洞のカツラ」との間にありました。


一部を除くスギのような単幹の巨樹巨木であれば、樹高や幹回りの太さ、そしてインパクトのある表情などの「ポイント」を押さえておけば、素人である私が写真で切り取ったとしても、「ある程度」の説得力のあるものが取れると思うのですが、カツラの場合はその私の定石は通じません。
もちろん、出会ったときの姿もそうですが、どのように印象深く伝えるかということと、ある意味どのカツラの巨樹も「同じに見えてしまう」ために、近接写真では違いを伝えにくいというところに、素人泣かせのポイントがあるのです。

洞のカツラ e


特に写真のように主幹?!部分が失われていたりすると、巨樹を強調する太さの基準の○○mという単位では語れなくなってしまうので、いつもの私の好きな見上げるアングルもこのように、中央に青葉が光る!という形になってしまいます。

もちろん、それはそれで美しいのですが・・・

角度を変えてみましょう。

洞のカツラ d


あれ、おんなじだ・・・(汗)。
でも、カツラに出会った時には、こうやって近くにより添って上空を眺めるのが好きです。
葉っぱの青い時は光を受けて、また葉っぱの無い時には空に対比して一層「太い幹のない巨樹」としての存在感を表現してくれるように感じます。

しかし本当は、もうちょっと離れてじっくりとその全体像をお届したいところですが、この10数年でカツラの周辺の木々が成長しているようで、ネットで見た事前情報写真の様なアングルでは、カツラの前に数本の木々がかぶってしまい、うまく撮ることができない!

なんとかギリギリのところから、カツラの偉大さを伝える為に私を含めて一枚撮っておきたい!!というのがこの写真。

洞のカツラ a


単純な大きさが伝わるでしょうか。
本当はもっと離れたいところですが、限界。

しかし、巨樹の時間の流れの中では一瞬かもしれませんが、周囲の木々にとっての10年というのは確実に流れていて、当り前ではあるものの土壌や環境の変化というのは巨樹の廻りでも確実に進んでいるんだ、ということを改めて感じさせてくれました。

洞のカツラ f


もう数十年で、カツラの一部として取り込まれるのが先か、それとも朽ちていく方が先かという祠に手を合わせ、何度も何度も見上げては周囲を歩き、若いヒコバエと古い?ヒコバエそれぞれに触れながら、ようやく出逢えた感謝を伝えました。

本当はまだまだゆっくりと、時間の流れを感じながらカツラと一緒にいたかったのですが、実は私焦っていました・・・
写真を撮っている間も落ち着かず、記事ではゆっくりとしているようですが、相当焦っています。
その理由はいつもの通り、「一人山行きビビり」だからです。

それにもまして、民家の裏と思っていたここは実は、もう今は「民家だった建物の裏」になっていたからです。
エピローグは、岐路の車に戻って冷静になって気がついた、この集落とカツラについてを記しておきたいと思います。



洞のカツラ所在地

岐阜県飛騨市宮川町洞

おそらく、2018年現在からは、宮川町の打保駅北からの山道ルートは道路として通ることができないと思われます。宮川町菅沼から上る道がありますので、そちらから行くと沢の下方に菅沼のカツラを見ることができ、それを過ぎてそのまま上ると、前回写真に出していた林道の分岐T字路に出ます。それを左折(北)して下って行くと集落の先に集会所が見えます。

使われなくなった集会所の前に駐車可能。
集会所の壁に、カツラまでの案内看板あり。(次回参照。)


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平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂) 〜

ここは岐阜県飛騨市の北。
南北に細長い岐阜県においてももう少し北へ行けば富山県、というあたり。
観光上は「飛騨高山」と言われることが多いですが、市街地観光の高山市中心部からすると、車でも1時間・・・いや、今回の目的地までだと1時間30分以上はかかるほど、近くて遠い?!飛騨市の山の中です。

洞のカツラ 24

峠道にはところどころにこのような看板が見られるようなところなのですが、わかってはいるものの万が一クマに出会っても、ゆっくり後退なんてできないでしょうね、私。
絶対走ると思います。
この看板みるだけで、山の中の巨樹に逢いに行くヤル気を半分以上削がれるのですが、まぁそれくらいの山の中だという事です。

大阪から行くと、鉄道高山本線に沿って走る、国道360号線を富山県方面に北上していくと打保駅近くの宮川町に出る。
きりたった山あい、というほどではない川のせせらぎと山の緑が美しい地区だと感じるその宮川町から、今回の目的のカツラに逢いに洞谷という方面に上っていきます。
事前情報では、舗装はしっかりしているということだったので、いつものように愛車で行くには涙が出るような道ではないことが唯一の安心材料でしたが、やはり山あいの巨樹まではそう簡単には通してくれず・・・・・


今までの経験上、山道を上るということはいろいろと問題がある場合が多いです。
工事での通行止め、土砂崩れ、道が既に無い、道があっても到底乗用車では行く気になれない、または行けそうなのに草や枯れ木が数キロも続き「途中で車も人の心もボロボロ・・・」的な時など・・・
今回も、若干の懸念はあったものの穏やかな宮川町の風景を見ながら、意気揚々と車を走らせていたのですが、うぅ・・・・・やっぱり・・・・

洞のカツラ 2

この写真の先はご覧のように未舗装路で、しかもその土さえ見えないほどに草木が生い茂った状態・・・
あぁ、やっぱり・・・
そういえば、事前情報の訪問も優に10年以上前のこと。
どうも、最近はこの道が使われていない様子。このまま歩く?と考えるも、まだこの先数キロはある上に道が見えない状態ではどうしようもない。
その上に、冒頭のクマの看板です。
あぁ、やはり今回も山の巨人には逢えないのか・・・
そう嘆きながら、苦労して上ってきた車一台しか通れない道をひたすらバックして帰路へ。

ここはこの時の巨樹巡りの一番の目玉だっただけに、落胆しながらも「縁がなかったんだ・・・」と思い、一山向こうにいるお目当て巨樹に行くことにしました。
そしたらなんと、そこも・・・

洞のカツラ 3

先程のようではないものの、のぼり始めてすぐに斜面が崩れています。道路には大きな落石と台風で折れた枝が散乱し、こちらも道ではない状態。
とほほ・・・と思いながら、落石と折れ枝を度々降りては手で移動しながら行けるところまで行こうと上り、ようやくこちらは辿り着くもなんと!!
お目当ては道路より15m程下の沢沿い。
しかもお目当てまで降りられる予定の階段が、大雨の土砂崩れで崩壊・・・・

もう、今日は運もない・・・もう諦めて帰ろう。クマがでてきそうや(涙)・・・

と思いながら車に戻るも、「さっきの道(↑の写真)をバックで戻るんやったら、このまま山上ってみようか。もしかすると、山越えしてさっきの目的地にでられるかも・・・まぁ、無理やわな、地図でも道路ないんやから・・・」と独り言が出る。

どこか諦めきれない思いで、とりあえずそのまま車を走らせてみると、割合に進むことができる。

洞のカツラ 25


お?!わりとまともな分岐点!!
方角的に、このT字路を左折すると、先程諦めた目的地の洞地区方面!林道名もそうなっている!!
これはもしや、いけるのでは?!
急にヤル気が復活し、この先の洞集落にてカツラの居場所を尋ねればいいや!、と考えてはいたものの、実際私を待っていたのは、淋しい現実と車の外から襲い来る黒い集団だったのです・・・

次回、本編に続く・・・・

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平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂) ◆

海外、ことヨーロッパにおいて神様を代表する木といえばやはりオークでしょうか。
もちろん、ほかにも伝説の木はありますがゼウスの象徴であるといわれるオークは、木材としての価値や存在感も含めて立派な地位であるといえます。

それに比べて、というのも失礼ではありますが今回のカツラは木材としては、オークほどの価値は知られていません。

桂2

いや、その利用に地域性があるから、といった方がいいのかもしれません。
良質なカツラの材を産していた北海道では、アイヌ民族の丸木船、寒冷地での接触冷感の少なさからフローリング材など、私の周りではもっぱら彫刻材だったカツラが地域によって大きく用途が違っているのです。

そうです、前回京都の桂の地名を出しましたが、同じく京都の葵祭の使の冠にカツラをかざすとなっているらしく、これも用途を限った特別なものだと感じます。
伝承や古典に多く出てくるカツラですが、その時代の人たちはカツラのどのような姿を見ていたのでしょうか。
皆さんは想像できますか?


私はカツラのイメージは2種類で、一つは生業である木材としてのカツラでもう一つは、多くの株を立ち上げて生い茂る森の巨人であるカツラです。
古典に出てくるカツラは、上記のどちらでもないと思いますが、それでも古典の時代から伝えられたであろうその命を、今でもこの目で見ることができる(正確には、そのすべてがその時代からあったものではないけれど・・・)ものの一つがカツラです。

巨樹の多くは時代の流れとともに移り行く世界や、その時代に暮らした人々の営みを見つめ続けてきたはずですが、古典に出てくるカツラのように伝説的な存在ばかりだとは限りません。
むしろ、これから伝説・・・いや言い伝えによって数千年先に残るのだろうと思われるカツラの巨樹があります。

次回に紹介するカツラの巨樹は、平家の落ち武者が隠れ住んだとされる地であり、車では行くことが容易ではあるものの、人里離れた、と言わざるを得ない場所に生き続ける姿をお伝えしたいと思います。


洞のカツラ 21

 

 
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平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)  

いきなりですが木材として考えたとき、カツラという樹種を簡単に想像できる人は、彫刻に携わる方くらいでしょうか。
山登りをされる方は、秋の紅葉で早くからその姿を見せる樹種ですし、なによりもその特徴的な香り(材の香りではなく)を好まれると思いますが、意外と一般的ではない樹木のような気がします。

 

 洞のカツラ 22 

 

カツラについての詳細は以前までの記事にありますが、その意外と知られていないカツラも、古典には多く登場し更には特定の祭事にも伝えられてきたということは、木材関係者には特に知られていないと思いますので、あえて取り上げたいと思います。

この年になっていつも恥ずかしく思うのは、やはり学生自分の学の無さ(汗)、です。
今回のように古典を取り上げたく、肝心の古典古語を理解しようにも、解説現代文を読まなければわからない。いや、読んだとしてもやはりその時代の人たちの気持ちを汲みながら理解するにはやはり古語そのままで読みたいもの。
今から勉強、と思っても知りたいことはほかにも山ほどあり、苦慮するところ・・・
基、そんな古典に登場するカツラはいつもどこか魅力的で幻想的です。
針葉樹のように、現実的な材としての用途などではなく、伝説や神様とともにある、といった感じ。

私の住む大阪府から少し東に行った京都府京都市には、その建築と庭園で有名な「桂離宮」があります。
この桂離宮のある地、「桂」も一説によると樹木のカツラの伝説によって命名されたようです。
「木の上に神が宿る」といわれる「ゆつかつらの木」に因み、月読命がその木の傍らにたち、桂と名付ける、というお話。
「ゆつかつら」自体は、それをカツラに見立てたものということになっているようですが、「ゆつ」は「神聖な、清浄な、葉が茂った」という意味を持っているということ。それにゆつかつらは宮殿の門の前に立っている木、ということで、皇室縁の離宮とカツラ(桂)というのは、伝説上も至極当然の組み合わせ、ということになってくるようです。


神様が宿る、といえばカツラは「たたらば」のあるところに植えられた、とも伝えられています。

洞のカツラ 23
(たたらば跡)

たたらば、とは有名な映画でおなじみの製鉄施設ですが、実はその「たたら」の神様が降りた木だという伝承から、たたらばの近くにはカツラの木がある、ということ。
伝承の一部ですし、広葉樹の森での「たたら」の場合はカツラももちろん近くにあったでしょうから、言い伝えなのかもしれませんが、どちらにせよ、「神が降りた木、宿る木」という点では「ゆつかつら」にも共通していますので、伝説伝承に彩られる木であることに変わりはありませんね。

 

 
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レクリエーション番外編 〜赤西の先代杉〜

今回の散策での大きな目的のうちの一つに、以前から名前は聞いていた数々の巨樹に逢うということがありました。
以前より所在は知っていたものの、渓谷沿いの森林の中にあること、そしてなにより国有林ということで、敷居が高いように感じていたのですが、そこは渡りに船。
もちろん、散策もしたかったのですがやはり、巨樹探訪家(?!)としては「そこに巨樹があるから!」的に遭いに行きたくなるものですから、今回誘っていただいた企画は本当にありがたかったのです。

そこで出逢ったのは、この森林セラピーロードの主役的存在になっている様子のこの姿。

赤西の先代杉1

赤西の先代杉。
小さく見えている看板に「天然スギ」とありますが、ここに来るまでの遊歩道(昔の森林軌道の跡らしい)には、スギの植林場所も多々あり、それらと区別するためにわざわざ表記しているのかと思いますが、言われなくても・・・的な姿を呈しています。

周囲が広く開けたところに、2本のスギが並んで立っているさまは、一目見た時に「杉の大杉」を連想しました。
スギの巨樹の場合は「三本杉」や「二本杉」ほか親子杉などのように、二本や三本が結合したようなものが少なくないですが、この二本は完全に別個体で存在しているものの、見事に並び立っているさまはとても立派です。

赤西の先代杉3


また、いつものような街中でもなく人工林の中にポツンと残った天狗杉のような存在でもなく、国有林の広葉樹の森の一部に縄張りを持っているかの如く残った姿は、単なる巨樹というだけではなく自然の中の摂理の流れの一部分を見ているような気分になります。

その理由は後程明らかになります。

実は、写真には写ってはいませんが先代杉の周りには立ち入りを制限するロープが張られています。
張られている、というか落ちてしまっていて地面にひかれている、という格好ですが、ここもやはり観光なのかパワースポット扱いなのかで、訪れる人が増えた時期があり人為的に縄をされたのだそうです。
一説には樹齢400年ほどという事ですが、それにしては少し樹幹に元気が無いように思いますが、環境の為か人の影響もあってか・・・?! 

道の駅などに出ている写真では、大勢で幹を囲む「お決まりポーズ」の写真があったので、いつもの「昌志スケール」を楽しみにしていたのですが、今回はお預け。

赤西の先代杉5


まだまだ元気!という姿ではないのかもしれませんが、風格は十分。

しかし、平坦なトレッキングにて訪れることができる見事な針葉樹と広葉樹の共存する森で風格を醸し出しているのは、もしかして先代杉そのものだけではなく、その周りに存在する広葉樹たちの緑と、そしてそれらに時代を譲った「先代の広葉樹」たちの姿でしょう。

赤西の先代杉2

私、このアングルがとても好きです。
向こうに見えているのが先代杉ですが、大きな倒木が数本折り重なって、そこに苔が生え、さらにその周辺に新しい生き物が生まれようとしている。

自然の縮図がとてもよく表れているような・・・

忘れてはいけないのは、国有林ではあるものの昔から人の関わってきた森だということ。
製鉄の跡や植林も行われた部分もあるなど、広葉樹と針葉樹の混交林であり人とのかかわりの大きな森の一部なのです。
そこで、こんな大自然のサイクルのようなものを感じることができたことに、とても喜びを感じました。

ただ先代杉の大きさをみて、「パワーだ!」というのではなく、大きく息を吸い水の流れや葉っぱの音をきき、草を踏みしめる。
それこそが、森が与えてくれるパワーだと思うのですが・・・
その縮図が上の写真の様な気がします。

まだ紅葉には早い、心地いい緑と黄色の森で貴重な天然杉に逢うことができました。
山と一言に言っても、やはりいろいろなタイプがあり、それぞれの営みがある。
それがとてもよく見えた、今回の散策となりました。
 

赤西の先代杉4

赤西の先代杉

兵庫県宍粟市波賀町原 赤西渓谷国有林 森林セラピーロード内

渓谷途中までは車両にて行くことができますが、途中より30分ほど徒歩
(立ち入り制限のある国有林内ですから、必ず事前に許可を得ての訪問をお勧めします。)


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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ!