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一位樫

白樫・赤樫・一位樫


建築に使われる広葉樹木材で、今も昔も変わらぬ人気を保っているのが通称「森の王様=オーク(ナラ)」です。
、その大きく美しい木目から住宅の内部枠材や入り口などのドア、また、フローリングは当然中心となる用途ですが、ヨーロッパでは家具用材としてテーブルや椅子の材料として賞用されてきました。

ただ、以前の「オークって樫の木?!」や、先日の外国籍のお客様との会話の上でのお話にある様に、オークを語る上で説明しないといけない樹種があります。
以前の記事をご覧になっていただくとわかりますが、それは「樫(かし)」です。

ここでもう一度樫と楢(ナラ)の違いをみてみましょうか。

まず、どちらもブナ科のドングリのなる樹種です。材の外観にも似たところがあり、どちらも「斑(ふ)」といわれる組織を持っています。
ただ、木の外観から葉、そしてドングリも異なりますし、材質や材観も異なります。

ややこしい表現の「オーク」というのは、もともと北米や欧州で落葉性のコナラ属(約400種!!)の総称として使われていたものだそうで、その言葉が日本に入ってきたときに、最初に「オーク=樫(かし)」と訳してしまったんでしょうね。
外国産オークには、ホワイトオークとレッドオーク(これらも多種な材の総称)という分類がありますから、日本の白樫・赤樫と対比されて余計に混同したのではないかと思います。


ホワイトオーク



 ホワイトオークの挽き材










楢(なら)の落葉性に対して樫(かし)は基本的に常緑ですから、その点で既に異なっています。

世界にはブナ科だけで7属850種あるそうです。
そこまで細かくはできないので、せめて材質の違いが明らかな、樫と楢の違いだけはしておいた方がいいかもしれません。(他の樹種はいまのところ混同されていない様に思います。)


さて前置きが長くなりましたが、今回はその有名なオーク=楢の話・・・・ではなく、もう一方の樫の話です。
ブナ科の仲間、楢やぶな、栗やくぬぎと同じようにドングリのなる木なのですが、その材質には大きな違いがあります。
それは、それらより明らかに重硬であり堅牢であるということです。
比重と呼ばれる基準重さの数値は材によって違いもありますが、0.74から1.02といわれていますから、1.0を超えるものは水に沈むので、それほど重硬だということです。

そのため、古来よりもっぱら強度や硬さを要求される用途に用いられてきました。
だんじりなどの車軸材としてや、木槌材、また昔は所持に届け出の必要があったらしい木刀などです。
また、船の櫓羽根や舵として柾板がかなりの量を供給されていたそうですが、近年は他の木材製品と同じように、その用途に使われているのを見かける機会も少なくなってきました。
他には三味線の棹材としてや、拍子木としても有名でやはりそれも比重の高い材質によるものでしょう。
どれも今ではそんなに需要のない物の様に思われますが、性質上樫でないといけないとして、その用途に供されてきた物ですから、これからも大切に使い続けてほしい樹種であります。

そんな樫材の中でももう少し分類があり、白樫・赤樫・一位樫(いちいがし)などが用材として有名なところでしょうか。
ワインなどの栓をするコルクを作る「コルク樫」や、最高の炭材とされる「備長炭」で、時に日本産材中で最も重い木とされていることで有名な「ウバメガシ」は特殊な用途でしょう。
(木材の重さについては諸説あり・・・また次の機会に。)


白樫は赤身(芯材)と白太(辺材)の区別が不明瞭で、全体的に灰褐色のような色合いですが、ところどころに虫害による「偽芯材」と呼ばれる黒っぽい縞が出ることがあるのが特徴です。


白樫牡丹材

 黒筋の入った白樫。
 木口から見てみると、どこか黒柿の様な雰囲気です。










これらを縞模様ととらえ、牡丹材と称する場合もあるそうですが、白から灰色がかった薄い色合いに不均等な縞の為、一般的には敬遠されますしその部分は比重は健全材と変わらないのに、耐衝撃性は劣り力がかかった場合にポッキリと折れてしまうことがあるそうですので、用途によっては注意が必要です。
それ以外の場所は重硬で堅牢な割には弾力性があるため、専ら道具の柄やカンナ台として重用されています。

一方赤樫も、道具の柄やカンナ台として使われていますが、それらの用途としては白樫よりもよいとされているようです。


赤樫




 赤樫材。名前のイメージほどは赤くありません。








近年ではその材がなかなか入手しづらく、道具の柄にしても赤っぽく塗装して赤樫としているものもあるので注意が必要です。といっても、白樫と赤樫のその違いまでわかる職人さんは、塗装品は購入しないでしょうけども。
また、先にあげた木槌としての用途では柄は白樫で頭を赤樫とするのが最良だそうです。
その理由は赤樫の方が割れにくいからだそうです。
すごいですね、昔の人はそんなことまで考えて木を使っていたんです。


また、代表的なこの赤白の樫以外に一位樫(いちいがし)があります。
中には、その材色が赤いからか、赤樫と混同されている場合もあるようですが、必ずしも赤樫が赤いというわけでもないのが木なので、材色だけで判断はできないのと、針葉樹の「一位(いちい・別名アララギ・オンコ他)」と混同されそうですが、それとはまた違い、樫の中でも材が最も均密であることから「一番=いちい」の名がついたとか、樫類で一番長寿で巨木になるからだとかいわれていますが、定かではないそうです。


一位樫 2





 一位樫の斑。









一位樫 1





 柾目面ではこんな感じの樫目です。









ただ、樫類は乾燥が難しいことから、注意が必要なのですが綺麗に仕上がった材面は、楢(なら・オーク)の虎斑やぶなの燃えるような斑とも違う「樫目」を見せてくれます。


白樫柾 樫目


 白樫正柾の樫目













白樫 樫目




 ゴマの様な斑が並びます。











楢(なら)正柾虎斑



 因みに楢の正柾虎斑はこんな感じ。

 ね、まったくちがうでしょ?!







白樫 1




 正柾以外はこんな表情です。









いつも特殊な用途に使われてきた樫ですが、その音の良さを利用した町の防災用の拍子木や、重さを利用し小さな文鎮としたりすることもできますし、木工用の木のダボ(二つの木材をつなぎ合わせるのに使う部材)としては重要な役割を果たします。
特殊材ですので、どんな寸法でもというわけにはいきませんが、樫をお探しの時、一度お声かけ頂ければと思います。
小さな材はいくつか在庫もございます。

永年、オーク(なら)の陰に隠れていた良材「樫」に、もう少しスポットを当ててみたいと思っています。


樫材
















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・ご注意:

文中にある様に、偽芯材が入る場合がありますので、必ずしも参考書籍類の様な真っ白で斑の通ったものばかりではありません事をご理解ください。


白樫



























木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!