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木材に関する素朴な疑問

全てにおいてヒノキなら間違いない?! 〜木材腐朽について〜


さて、前回前々回と続く木材腐朽について掘り下げる第3回になります。
今回は、たまに、、どころか耐腐朽性についてのお話の時によく聞かれる(確認される、という方が正しい・・・)質問を考えてみたいと思います。

これまでのお話で、木材は腐朽するがメンテナンスや計画性無しに全てが劣化してしまうケースを防げば、耐久年数を延ばすことができることと、腐朽に関係する環境や原因となるものをお伝えしましたが、大抵の場合はこれらの話を詳しくする前に、決まった質問(確認)を頂きます。

ヒノキを使っておけばいいですよね?!

先に申し上げておきましょう。
思いだしてください、前々回で取り替えた柱材はヒノキです。
それを念頭に置いて考えていくことにします。

木材を使用する場合には、やはり「木は腐る」というイメージのもとで、できる限り腐りにくい樹種を選定するという意味で、色々と迷うことと思いますが、しらべていると、熱帯産などの硬木にたどり着くか、防腐や防虫などの薬剤処理や薬品、保護塗料を探し当てることでしょう。
そしてさらに色々とみているうちに、木材は樹種が多くて「腐りにくい、水に強い」とされているものもあるけれども、見たことも聞いた事も無い木材、実際はどれくらいのものなの?!という疑問が出てくるはず。
そのとき俎上に載るのが「ヒノキ」です。

わからなくはありません。
日本人はヒノキの神話の数々や社寺の多くがヒノキで出来ていること、そして住宅の土台や柱にはヒノキが多く使われて来たことをよく知っています。
他の樹種に比べた場合のヒノキの優位性や、事あれば材木屋ですら「ヒノキは耐朽性抜群、あの○●寺もヒノキで出来ているから数百年も現存しているのです。」といいたくなるくらいに、お客様に威力抜群の樹種は他にないものです。

それに、ヒノキの抽出成分であるセスキテルペンアルコールやフェノール類テルペンという物質の持つ殺蟻性が大きな効果を示すために、耐腐朽性とともに、木材の保存性に大きく寄与しているからでもあります。

実際、木材樹種ごとの耐朽性に言及されている中でも下記の様に、ヒノキは「耐朽性 大」に区分されます。

芯材の耐朽性区分(一部省略)

・極大 イペやチークなど

・大   ヒノキ、クリ、ひば、ベイヒバ、ベイスギ、ケヤキ他

・中   カラマツ、スギ、ナラ、カシ、ベイマツ他

・小   トウヒ、モミ、ブナ、ツガ、ベイツガ、アカマツ、クロマツ

・極小  エゾマツ、クス、トチ、マカバ、スプルース、ベイモミ、ラジアータパイン他

しかしながら、この表の題名をしかと確認してください。なんと書いてありますか?!
「芯材の!!耐朽性区分」となっていますよね?!
少し木材を知っている方なら、表を見て、スギが「中」に入っていることをおかしいと思われたのではないでしょうか?!
それも同じことです。つまりはその樹種の芯材を比較しているから、であって、芯材を比較しないと意味が無いから、でもあるのです。
そして、このような表だけを見て、「ヒノキは耐朽性が高い、スギはヒノキより耐朽性に劣る」と言ってしまうのはいささか早計だということです。

思い出してください。
木材のお話で幾度か出てきていますが、木材には芯材と辺材がありその性質は全く異なるものである、ということ。
そして大事なのは、耐朽性を考えるときはどの樹種でも芯材で考えないといけない、ということです。
芯材と辺材の詳しくは別に譲るとして、つまりは木材の耐朽性は芯材の成分が担っている部分が大きく、辺材は栄養価の高い部分がある為に虫害も受けやすいのです。
キクイムシシロアリを考えてください。
キクイムシは辺材しか食害しません(芯材に穿孔することはある)し、シロアリも特殊な場合を除いて辺材と年輪の柔らかい部分を食害します。
美味しいからです。

それは、神話的な樹種であるヒノキであっても例外ではありません。
というよりも、先の表の中のヒノキやケヤキは白太は要注意と注記されていますから、ヒノキを使っているからと言って必ずしも耐朽性が高いわけではないのです。

そして、皆さんが「一般的に入手するヒノキ」は、木の芯の部分を含んではいるものの、表面は芯材と辺材が半々位?!というものか、板材では殆どが辺材というものになるはずです。

桧赤白


それは木材の供給上の理由とコスト面も含め、芯材のみで製材できるような大きさの丸太ではないから、ということと、板材は木の皮に近い部分、つまり辺材の部分で製材するので、自ずと辺材の割合が高くなるから、です。
ヒノキの場合は、芯材の着色不良で芯材でもピンク色に色づいていない場合が見られるのですが、それでも、白い部分=辺材が多いはずです。
昔の社寺ではヒノキの白太を削って使っていたそうです。

芯材と辺材の関係は、ヒノキだけではなく一般的な樹種にほぼ当てはまりますが、「極小」表示の樹種は赤身でも耐朽性が低い為に注意が必要なものです。

ここまでくれば、ヒノキなら大丈夫、とはなかなか言えないですよね?!
私もヒノキは素晴らしい樹種だと思いますし、重要文化財や社寺の数々、そして古くからの身の回りの用品にもとけこんでいる優秀で身近な材であることには変りないのですが、一口に「ヒノキ」と言っても様々あるということを知っておかなければなりません。
有名社寺建築に使われるヒノキ、高樹齢なヒノキ、造林によって計画的に生産されているヒノキ、様々です。
天然の産物ですから、それらの中にもさらにばらつきが存在し、樹齢や土壌なども作用し、含まれる有効な成分の量やその生成に大きく差が出ているものもあるでしょう。


木曽


ですから、冒頭の「ヒノキを使っていれば大丈夫」は決して当てはまりません。
弊社が針葉樹デッキ材に杉赤身デッキ材をすすめている理由もわかっていただけるはずです。
屋外デッキや浴室などの湿気のある場所など、耐朽性の求められる部分はたくさんあると思いますが、用途と費用に合わせた耐久年数を設定して樹種を選ぶことと、木材の耐朽性は芯材を基本として考えるということを覚えておいてもらいたいと思います。(もちろん、芯材だからすべて良いともいえず、辺材利用も様々あり・・・それもおつたえしないといけないですが・・・)

デッキ材


木材製品を少しでも長持ちさせるために、メンテナンスと使用環境の整備、それに高耐朽且つ辺材よりは「芯材が多く含まれる木材」を使用するということを念頭に置いて、チョイスをしていきましょう。

木は腐る、ではなく仕組みを知って「木を腐らせない」をすすめていきましょう。



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木材に影響するカビを含む菌類について 〜木材腐朽について〜


昔の弊社の木場には、ドカッと木材が積み上がっていました。
今なら、すごい在庫やなー、と言われそうなものですが、まだ人工乾燥材など全く普及していない頃は、入荷する木材というのは和室などの為に鉋で削って仕上げてから使うような「化粧材」以外は、ボトボトと水が滴る・・・まではいかずとも本当に立てていると流れてくるくらいの「生木(なまき)」でした。
そのため倉庫内部では用途によって、立てて保管し乾燥させるものと、横に倒して桟木を入れて風を通る様にして乾燥させるものとの双方がありましたので、兎に角場所が必要。

あらゆるところに木材が積み上がっていて、その風景の方が自然でした。
しかし現在では、有難い事に人工乾燥材の普及で住宅部材に使用する木材に関しては、一般的なものはほぼ乾燥材で揃える事が出来るようになりましたので、弊社のうずたかい在庫も次第に少なくなっていきました。

昔を思い出してみると、忙しさにかまけて少しでも入荷材をほおっておくと、梅雨の時期などは即座にカビに侵されたり、腐朽菌の繁殖により薄板を結束してある梱包などは外観は問題ないのにもかかわらず、内部は全体的に腐食しているという、結束を開けて初めて「やってもたーー」見たいな時が稀にありました。
完全な管理怠慢です。

そんなだからこそ、空気が淀んでいると場所を移し換えてやったり、湿気の抜けない場合は並べ方を変えたりして、常に木に触れ気にしていたものでした。
木は生き物。
これは木の伸縮を表す表現である「呼吸」というものを例えて使われますが、まさしく生き物、または生もの、であって、ほったらかしや管理不足では、みすみす払ったお金を腐らせてしまうようなものであるということを、耳にタコができるほどに言われたものでした。
それが現在では、人工乾燥材が主流になり建築材料を自社で乾かすということが殆どなくなったので、材木屋さんもだんだんと大きなスペースを必要としなくなったのです。

前置きが長くなりましたが、前回の腐朽した柱からの続きで大切な木材を変色・腐朽させるカビについてのお話です。

カビ菌 6


カビ!というと、ものすごく汚くて体に悪そうな印象を持ってしまうのではないでしょうか?!

私が想像する実例では、木製のまな板がそういった印象をもたれる一番の「的」です。一時耳にしたのは、飲食店さんで使用するまな板は、衛生上の問題で木のまな板は使用してはいけない、という信じられないお話。

カビ菌 1

テレビのコマーシャルでは、綺麗に見えるまな板でも菌がたくさんついている!ということも報じられていますが、はたして菌は全く許されないものなのか?!また、カビの生える木製のまな板は使えないものなのか?!・・・

皆さんはキノコ好きですか?

率直にいうと、キノコは菌類の俗称で、その他はカビと呼ばれている・・・というと、ちょっと今日の食卓のキノコを躊躇するでしょうか?!失礼しました。キノコ、私大好きです。決して悪者ではありません。念のため。

それでは、カビといって敬遠されているものはいったい木材にどのような影響を及ぼすのか?そしてどうして敬遠されているのかを考えてみましょう。

一般的に言われている「カビ」というのは、木材表面を筋状の菌糸で青色や黒色などに変色汚染させる変色菌があります。これらは、木材が乾燥し、カビの成長に適しない環境になっても木材の辺材部には変色が残るので、木材の価値を相当落としてしまいます。
中でも、ブナやシナノキ、松などに代表される青色変色は要注意で、相当なスピードで汚染されてしまうので、管理に注意が必要なことと、建築の世界では少なくはなっているものの今でも利用される「松」が、伐採時期がきちんと管理されているのは、この「アオ」と呼ばれる変色が生じるからです。

青入り松

因みに、変色菌に侵された材は曲げ強度という物性にはほとんど変化がないそうですが、衝撃強度が若干落ちると言われています。どちらにせよ、せっかくの木材の外観を損なうので敬遠されることは言うまでもありません。

が、変色菌については一部を除いては木材の組織自体を分解(腐朽)することはないと言われています。
その一部というのは「軟腐朽菌」といわれるもので、バクテリアやそのほかの菌類を含めて急激ではない、緩やかな腐朽を生じるのでカビが総じて敬遠されるのは、このイメージが大きいのも一つの理由でしょう。

この軟腐朽菌は、木材の構成組織であるセルロースとヘミセルロースをよく分解し、リグニンという組織も多少分解する力を持っています。多湿な状況下におかれた木材のセルロースに沿って伸び、組織中に空洞を作り軟化させる現象を起こさせるのがこの軟腐朽菌です。

ここで出てきた木材の組織の名前の解説をしておきましょう。
これらの組織はよく「鉄筋コンクリート」に例えられます。

セルロース(木材の50%)は鉄筋、ヘミセルロース(同20〜30%)は針金、リグニン(同20〜30%)がコンクリートの役割をしている、いわば天然の鉄筋コンクリート造が木材なのです。つまりは、それぞれが補助し融合しながら、強い木材とう組織を作り上げているということです。

意外でしょう?!よく強度や性質の違いを比べられる両者が、くしくも似たような構造を持っているのは、やはりその構造が優れているから。自然の持つ意味というのは、奥が深く素晴らしいものだということを改めて実感します。
木材は、一部の例外(有名な紫檀黒檀鉄刀木)を除き、組織の95%が上記の3つで構成されており、残り5%に有用な抽出成分が含まれているのです。因みに「リグニン」の語源はラテン語のlignum=木材で、細胞壁にリグニンが沈着することを「木化、木質化」ということからも、その意味が想像できますね。そしてお分かりの通り、lignumは有名なリグナムバイタのリグナムと同義です。

さて話は戻って、この強固な組織を分解してしまうのが菌類のすごいところです。
その菌類は、木材が侵されたときに呈する色合いで分類されています。

一つは褐色腐朽菌。主に針葉樹を腐らせる場合が多いもので、セルロース、ヘミセルロースを同じ割合で分解するもののリグニンは分解されないことから、侵された材がリグニンの持つ色である褐色になることからこの名がついています。

そして褐色に変色した木材は、変形収縮しボロボロになってしまいます。

取り替えた柱2

もう一つは白色腐朽菌。セルロース、ヘミセルロース、リグニンを同割合で分解し、腐朽した木材は色あせ白色っぽくなりますが、褐色腐朽のような変形収縮はないものの、ほぐれやすくなることが知られています。
なんと、シイタケやエノキタケのような食用のキノコの多くはこの仲間だと言いますから、敬遠されている菌類が食卓に並んでいるということ?!!になります。ビックリ!

そして木材腐朽菌というのは空気中に存在し目に見えず、生存条件が整って初めて発芽し菌糸を伸ばして木材中に侵入するという性質があるため、無菌にすることができない以上、湿度や温度、酸素の供給と栄養分などの、生存条件のどれかを絶たない限り防ぐことはできないのです。

これらの性質を持つカビ、菌類ですが意外と詳しくは知られておらず、一般的に良くないもの、という印象が強く残っていることから敬遠され、カビのつく木材という素材も敬遠されるのではなかろうかと感じます。

カビ菌 3

まな板にしろ、お風呂場のイス(使い始め当初の写真はこちら)にしろ、完全に無害であると言い切ることはできないにしても、食用のキノコやチーズをも含むカビのすべてが悪い、危険であるとも言い切れないことは少しは伝わったでしょうか?!

木材を腐朽させるものは、カビというよりも木材腐朽菌である、ということ。そして、木材の中にはヒノキなどのように、元来含まれる抽出成分のおかげで、腐朽やカビの発生を抑制することができる樹種もあり、抗菌成分を持っていることも知られているからこそ、古くからまな板として利用されてきたのですから、先の菌が成長しやすい環境を作らないようにしさえすれば、上手に木材を生活の中に取り込むことができると思うのです。

少しはカビ・菌に対する偏見が変わったでしょうか?!

そこで次回は、今でてきた「ヒノキ」のもつ力と、それがあるからこそ若干誤解されてしまっている現状を、色々とお話していきたいと思います。

もう少し、シリーズ続きます。




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ヒノキの柱はいつまでもつのか? 腐朽材の教えてくれること 〜木材腐朽について〜


つい先日、弊社の敷地内の電柱を取り換える作業をいたしました。

電柱と言っても街中で見かけるような、コンクリート製の丸い棒状のものではなく材木屋ですからもちろんヒノキの木製です。

取り替えた柱3

そんなに高さが必要無いことや社内用なので多くの架線が無い為に、自社材利用をしているのですが、長年使っているとやはり老朽化してくるのはどの素材でも同じこと。
よく風雨の影響を受ける柱上部から1mほどは腐朽が進んで四角だった木材の角の部分が丸く風化しています。
風化という、日光や雨風の影響で劣化するのはリグニンという成分の分解が生じるからですが、難しく言うと、光によって劣化した部分が雨水によって浸食され木材の成分が溶脱し、表層部が崩壊していくことです。
風化はヒノキやスギなどの針葉樹で、100年に5〜6mmと言われていますが、今回は一日中日が当らない北側の影だったこともあり、相当厳しい環境だったのかもしれません。
指で触ってもボロっと取れてしまうような状態。

取り替えた柱2


それより下の部分は、変色して表面にはひび割れや汚れは多いものの四角の柱の原型をとどめていましたが、最も下の土に接する部分が取り換え時期を物語っていました。

取り換えのサインはこうです。

取り替えた柱1


木製電柱として立ち続けた足元です。
見事にボロボロです。
そりゃ20年は使っていますから、当たり前のことです。殆ど木質部が無くなっているので、立っているのがやっとの状態。
大きく力がかからなくてよかったのですが、ここまで来ると木材としては全く使い物にならなくなっている、と思ってしまいませんか?!
それは大きな間違いです。
ここに、木材はメンテナンスをして使用場所に気を使ってやれば、長期の使用に耐える優れた材料であると言われる理由があります。

普通、長期使用に耐える、となると全く手をかけずにずっと同じ質を維持し続けることを思い浮かべがちですが、木材の場合はそれは無理です。いや、他の材料でも微妙に変化しているけれども、木材は使用環境によってはその変化が顕著に現れるから難しい、ということです。

ご存知の通り、木材は割れますしヤケて色調が変化しますし、腐朽の心配もあります。
しかし、これらをうまくコントロールすれば「ずっと変わらないこと」は無理でも、変化しながら永く使い続けることは可能です。
それを、今回の木製電柱が私に示してくれています。

外観はすっかりと古びて汚れて、部分的に普及が進みくたびれていますので、木材としては寿命が過ぎている様に感じてしまいますが、全くそうではないのです。
撤去の後、電柱を運搬の為に切断してみた部分を見てください。

取り替えた柱4


冒頭の腐れていた足元の写真が嘘のように、四辺の風雨にさらされていた部分はすっかり変色していても、そのすぐ下には新品と変わらない状態が隠れているのです。
これが、古びたヒノキでも一削りすれば香り立つ、と言われる理由です。

近年、大阪木材仲買会館の様に中規模の施設や商業建築、事務所など以前ではコンクリート造であった建物を、木造で建築する物件が見られるようになりましたが、そこで言われる「耐火性能を確保するための燃え代設計」(表面の木材を炭化させて、延焼が広がるのを防ぐ為の寸法をとる考え方)というものがありますが、木材は表面が劣化したとしてもすぐに内部の組織構造に影響するわけではないので、表面の劣化を見越して材料の寸法を大きく設計してやるか、表面の劣化を出来るだけ遅くしてやれば、木材の中心まで使えなくなるということはまず考えなくてもよくなります。

ただし、屋外で木材を使う場合の一番の問題は、木材を接地させて使用することです。
冒頭の写真はずっと地中に埋没させていた部分が腐朽してしまっていました。
つまり、劣化は表面から進みますが、接地させている場合は劣化の進行が早くて、雨や風の影響よりも腐朽菌やシロアリなどの虫害の影響を大きく受ける為に、劣化が大きく「木材はすぐ腐るからだめだ」という結論になりがちなのだと思います。
冒頭の写真を見ると私も同感してしまいそうですが、鉄だって腐食するんです。鉄のパイプであっても、接地させておけば木材と同じことです。

だから木材を使ううえでは、できる限り直に接地させないこと。そして庇や屋根で出来る限り雨風のあたりを少なくしてやること(屋外の柱の上部を銅板で囲うなどでも効果はあります。)、無塗装ではなく塗装をして表面の劣化を促進する紫外線から守ってやること、汚れを取るメンテナンスをすることなどの工夫をすれば、この電柱の様に相当永い間使っていくことが出来るはずです。

一般木材と社寺建築を比べる事に余り意味が無いとは思いますが、社寺が永くその姿をとどめているのはメンテナンスを施されているからですし、できる限り長持ちする様な作りになっていたり、若しくは腐朽や傷みの進むであろう屋根の部材である「垂木(たるき)」などは、傷んだ先の部分を切断しても屋根の下に余分に伸ばしてある部分を押しだすことで、解体して取り替えることなく使い続けられるメンテナンス方法を考えて造られているそうです。
それは、木が劣化することを想定して、それに備えようとしておかないとできない手法です。
ちゃんと劣化した場合の事を考え、それでも永く使えるようにと配慮しているんですね。
社寺だから採る方法かもしれませんが、昔から木材を使う場合は劣化を想定されていたという一つのいい例えだと思います。

今回のヒノキの柱材は、日頃目につきにくい部分だったこともありメンテナンスする機会無くここまで頑張ってくれました。
そして、屋外使用の木材がどの様になるかという実例と、使い方による劣化のスピードの違いを如実に教えてくれました。

屋外に木材を使用する場合には、ある程度の耐久性の目安というものが必要ですが、お客様の「どれくらいもちますか?!」の質問にはなかなか答えにくいもの。
使用環境や今回の様に接地の有無などに影響するからなおさらですが、少なくとも、表面の劣化が大きいものでも全く使えなくなるものではないことは、みてとれたと思います。

以前の記事にて書いていますが、木材を様々な劣化現象から少しでも防いでいく手段を知っていれば、樹種による違いはあるにせよ、永い間木材の良さを味わっていけるようになると思います。
木材は使う人と同じく時間をかけて変化していく材料です。
いつでも見る事が出来るわけでもない、その変化を知ってもらうことでより木材に愛着を持っていただけるように思います。
これもヒノキの柱が教えてくれたこと・・・


次回は、今回の記事の整理で思い出した「腐朽に関する菌 カビ」についてちょっととりあげてみようと思います。
木材から学ぶ腐朽、耐朽性コラム番外編お楽しみに。


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針葉樹と広葉樹


さぁ、今回も終わることのない木材の旅にでるとしましょうか・・・

じつのところ、木に関して色々と書いていくには結構迷うのです。
迷路の様に、ここを書いていくとこっちも必要、こっちに行くとここに派生してこれを書いておきたいなどなど、更に用語的なものが出てきたときには(というか必ず出てくる・・・)それについても書いていくもんだから、だんだん表題からずれていって違う方向に行きかけるのを修正するのが結構大変なんです。
だから、たまには「みんな知ってるけど詳しくは知らん」こともとりあげてみましょうよ。

迷いに迷って不時着点を探すわけですが、うまく着地できるかどうかはその時次第。
今日はうまくいくかどうか・・・

そんな事を考えるのも、どんどんと伝えたいことが湧きでてくるから。


さて、針葉樹と広葉樹と聞くとどんなことを思い浮かべますか?!
植物には色々と種類があって、それを分類する言葉も様々あります。
その中でこと、木に焦点を絞って考えましょう。
いろんな本を見ていても、どうしても最初は裸子植物(ソテツやイチョウほか針葉樹を含む球果植物)と被子植物(広葉樹を含む双子葉植物と竹や笹などの単子葉植物)にわけられています。
僕、実は子供のころは理科やこの被子とか裸子とか難しい言葉が頭に入らなくて、今でもちょっと拒否反応があります。
しかしながら、正式な分類としてはここから始めないといけないので、僕と似た性格の人は少し我慢してくださいね。

先ずは桧や杉に代表される針葉樹から。
針葉樹は、寒冷地にも多く見られ、一般的に針状または鱗片状で常緑の葉をもっていて(唐松などの例外もあり)、全て木本植物、つまり樹木で存在します。

針葉樹 1


その中身は、仮道管(かどうかん)という組織で水分の通導と樹体の支えを担っているのが大きな特徴。
だから、顕微鏡やルーペで見ると「ストローのような組織」がずらっと並んでいるのがみてとれます。

針葉樹


樹種としては後の広葉樹程のバリエーションは無いのですが、通直に成長する樹種が多く、木材としての産出量も多い為、材料一本の長さの必要な場合や安定して数量が必要なものは針葉樹がむいているともいえます。
もちろん、樹種の特性に見合った使い方は必要です。

針葉樹の祖先は約3億年前に出現したと言われています。
たまにテレビなどでCGを使って絵が枯れる太古の地球を見てみると、まっすぐに伸びた木や、地面の際で草の様に生い茂るシダなどと思える映像が出てきて、現在想像するジャングルや原生林とはイメージが違って感じるかもしれません。
それは、古い時代だからではなく広葉樹が登場するのはその更に1〜2億年後ですから、現在の森とは樹木の構成が異なるからなのですね。

変わってケヤキやナラ(オーク)等を持つ広葉樹は、熱帯雨林などから想像できるように、比較的温暖な地に多くの種が存在し、扁平な形の葉っぱを持った双子葉植物のなかで木本(*)植物のものを指しています。

広葉樹 1


樹体を支える木部繊維とは別に道管という組織を持ち、針葉樹では兼用されていた役割を分担して行っていることが大きな特徴です。
その為、顕微鏡をのぞいてみても、針葉樹の様にストローだらけではなく規則的に、若しくは放射状などに目視できるストロー(目視しにくいものもある)が配列されているのが見られます。

広葉樹


それはやはり針葉樹に比べて後発であるだけ高等化しているからだと言われています。
全員で一つの事をするのではなく、分業して効率よく仕事をするというようなイメージかな?!
広葉樹の特徴はその樹種の多さ。
細かく分けなくても相当な数があります。
それも私の記事の振興を悩ます一部分であり、広葉樹の一つの樹種を紹介するとその仲間の事を出さないといけなくなり、そうなるとその種の大本の樹種の事をかいていかなくては、となり・・・・どこまでいくのか?!という話になりがちです。

しかしながら広葉樹の「似ているけれども違う樹種」というのがまたとっても面白いところで、少し前のムクノキのところでも触れたように、ムクノキを紹介すると仲間のケヤキが出てきて、ケヤキの元はというとたどり着くのは「ニレ」となり、一つのつもりが最低3つ位の樹種のお話が混在することになります。
もちろんそれは針葉樹でも同じことですが、広葉樹の方が圧倒的に種類が多く知ることの楽しさを味わわせてくれますが、一点、針葉樹に比べて産出量が少ないという点があります。
桧や杉の様にまとまって手配しにくい、ということです。

そのあたりは、使わせてもらう方が都合に合わせないといけないので、しっかりと理解して選定することですね。

(*)木本

もくほん。対して草本。その字の通り「草か木か」ということ。
簡単にいうと木本の指す木は、複数年肥大上長成長し、樹体を構成するもので草本というのは基本単年か複数年でも肥大生長しないものだと理解してください。
この分類も正確にはややこしいのですが、木であるように思われているバナナの木も、実は幹ではなく、葉柄と言われる部分つまりは草が集合成長し幹の様な形をつくっているだけで、木か草かといわれると木ではないのですね。

しかしながら、こうやって分類して見ても、中には分類しきれないものも出てきます。
針葉樹に分類されているマオウ属 Ephedra とグネツム属 Gunetum の2属は道管を持っていて、南米やニュージーランドのDrimys属やいくつかのいくつかの東アジア産の属の中には広葉樹なのに道管が無く仮道管しか持たないものもあるといいます。
全てくくりきれないから自然。
そんなものがあってもいいでしょう。これも樹木の面白いところの一つです。


最後に寿命のお話。

針葉樹と広葉樹、どっちが永生きだと思います?!
イメージ的には広葉樹かな?!クスノキやケヤキなどの巨木が残っているところを見ても、やはり永生きなのでは・・・
そう思うかもしれません。
しかし、実際は針葉樹の方が永生きな傾向があります。
それは高等化して組織が複雑になった広葉樹に対して、シンプルな構造を持つ針葉樹の方が寿命に関しては優れている?!のかもしれませんね。

太く短い広葉樹か、細く長い針葉樹か?!

よく例えられる「人生」にも当てはまる?かな?!




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ひばあてあすなろ


表題を見ると、なんのことやら?どこで区切って読むのやら?!といった謎かけの様ですが、当然木のお話。

木材の世界は泥沼の様に・・・いや、底なし沼のように・・・いやいや基、深い深い海のように奥が深く、知れば知るほど魅力的なのは言うまでもありませんが、いろいろと知ってくると、各樹種の違いや細かな特徴、外観の違いや仲間の木同士の差が知りたくなってくるもの。
そして木材も生き物ですから、均一に比べる事ができないのである程度の経験や五感で見分ける、みたいな部分があって、そこがまた楽しいところでもありますが、一般の方にするとややこしいところでもあるので、たまに整理してやる必要があります。

その情報を届けるのも、私たち町の材木屋の役割の一つです。

そこで表題のお話ですが、「ひばあてあすなろ」というのは、3つの木の名前が入っているものです。どこでくぎるか・・・
一つは「ひば」、そして「あて」、3つ目は「あすなろ」です。

すべてヒノキ科アスナロ属の木ですが、これがはてさて、なかなか面白い?!ものです。
それでは、順におっていきましょう。

初めに「ひば」。
これは、弊社の木製名刺ケースの素材としてやフローリング厚板の在庫を紹介したりしていますし、私の自宅の土台も実はひばを使っている位に、親しみを感じる樹種です。

ひば

ひばといえば、連想されるのはやはり「天然青森ひばの美林」でしょうね。
もちろん、青森県の木が青森ひばです。
青森県の県名の由来は、冬なおあおあおと茂ったヒバの山からきている、といいますから、そりゃ県の木にもなるというものです。
木曽桧、秋田杉と並び称される日本三大美林のひとつに数えられるそれは、日本の木材の財産と言えるものでしょう。

産地周辺では建築物にも多く用いられていて、桧が入手しづらいところでは社寺仏閣にも使われ、平泉の中尊寺がひば造りで有名です。次にでてくる「あて」様に、塗り物も有名で能代春慶塗があります。

青森ひば、と地名が付くほどの特産である「ひば・檜葉(当て字のようです)」。
正確にはヒノキアスナロ。その樹種の80%が青森県にあると言われています。
青森県では単に「ヒノキ」ともいわれているそうですから、私たちからするとややこしいものですが、他に関東では「ひば」といえば、「さわら」という木を指すこともあるという、わけわからん世界です。
さらに追い打ちをかけるように、園芸品種になると「ヒヨクヒバ(イトヒバ)」、「シノブヒバ」なるものはサワラであって、「ニオイヒバ」は濃い茶色の肌が特徴の木材であるネズコ(米杉・レッドシダーの仲間)であるそうです。

因みに蛇足ながら「米ヒバ」といわれ流通している木材は、色見などが似通っていて、こちらも強烈な香りをもっています(この香りも好きですが・・・)が、これもヒノキ属でひばとはまた異なります。
米杉(日本のネズコの仲間)や米松(日本のトガサワラの仲間)と同じように、日本人が親しんでいる木材の名称にならって似た樹種を読んでいる通称です。
しかしながら、大径木が得られる事で木目はとても美しいものですし、耐久性も問題なく高いので、有用な樹種であることは言うまでもありません。

後にでてくる「あすなろ」との外観上の違いは、枝葉がそれよりも少し小さく、球果がほぼ球形であることと、球果の鱗片の先端がとがり気味でも細く突出しない、ということと言われていますが、そこまで見られるのはやはり学術的専門家くらいでしょうかね。
材としてのひばの特徴は少し黄色がかった木肌とやはりその特有の香りでしょう。
私の知る建築現場では、白木(しらき)という言葉がありますが、主に桧などの白っぽい針葉樹を広く指す言葉の様に使われたりして、和室の敷居や鴨居などの部材の材種を伝える時に使います。広義なので、スプルースなども含めて無垢の針葉樹を指しているという場合もあるのですが、青森ひばは、どちらかというと白木というには、白くはありません。
もちろん、桧も心材である赤身は全く白くないのですが、ヒバの芯材の色合いは本当に独特です。
また、その特有の香りは「好みの分かれる」ところで、こればかりは香りをかいでみてもらわないと、なんとも言いづらいくらい、苦手な方もいらっしゃいます。
私が好きな香りだというと、大抵は驚かれますから普通は嫌われるものなのかな・・・少し残念ですが・・・

しかしながら、それだけの芳香があるということは、様々な精油成分を含んでいる証拠。
その証拠に、住宅の土台にするには最高等級にランクされていますし、シロアリに対する抵抗性も桧よりも高いものがあります。
実はとってもとっても優秀な樹種であるひば。

その精油成分の秘密はヒノキチオール。
台湾桧の講でも触れましたが、元はタイワンヒノキチオールのタイワンがとれた形でヒノキチオールと称されている、桧には微量しか含まれない成分であり、難しくいうとβツヤプリシンという物質。(同様の構造を持つβドラブリンも含む。)
そのヒノキチオールを含む精油「青森ひば油」は100kgのひば材から1kgしか取れない、つまり1%しか出てこない貴重なものですが、さらにヒノキチオール系成分はその中に2%含有されています。

因みに、理科の弱い私には理解できませんが、そのヒノキチオールは「七員環」という特異な化学構造を持っている物だそうで、1940年に野副鉄男さんが発表されたそうですね。
ヒノキチオールの実力はその発表と同じ位に素晴らしく、シロアリやゴキブリ(幼虫)への殺虫性やダニの忌避性、そして抗菌性を持ちながら耐性菌が現れにくいという、スーパーな性質を持っています。
こうやって書いている私も、この性質にとても惹かれて「自宅の土台は必ずひばに・・・」と、土台という建ててしまうと見えない部分に投資し、目に触れる内装にこだわらなかったことを廻りからは「アホな奴」と見られていたようですが、少なくとも、自宅には外から侵入する以外のゴキブリは見かけていませんから、やはり効果はあるのでしょう。
半分自己満足ですが・・・
それに一説には、水虫予防の為にひばの削りかすを靴に詰めていた、という話もある位に抗菌性がある、らしい・・・

そして木材を見たり香りをかいだりするとリラックスできるという事が言われますが、青森ひばにおいては実験で検証もされており、青森ひばの内装材を適度に使用した室内において安静にすることで、副交感神経の活動が高まり、血圧や唾液アミラーゼ活性が低下しリラックス状態になるという結果が示されています。
言い伝えや感覚ではなく、一般的被験者のデータですので実証されていると言ってもいいでしょう。


ただし、天然のものだから万能だ、と思ってはいけません。
ヒノキでもそうですが、いくら自然由来とはいえアレルギーは存在します。
新鮮な食材であってもアレルギー反応がある様に、自然の産物でもご自身の体調に合うか否かは香りをかいでみる、精油に少し触れてみる、一晩同じ部屋において過ごすなどの配慮が必要なこともありますよ。


また、青森ひばは200年生を超えているものが多く、比較的年輪の詰まったものがありますから、木目もとても美しいですし、柾目に挽くと柔らかな印象の板が得られます。
それでも、そんな優秀な樹種であるひばも、私の活動地域である関西ではとても知名度が低いです。
なぜでしょう?!

一つは地理的な問題。やはり昔から桧普請が多かったから?!
そして現実的なところでは、先の特有の香りと材の性が合わないからではないかと思います。
青森ひばは、唐松と争う位に個性的な旋回木です。
つまりは、木材にしても「ねじれてしまう」のです。

実際、私の自宅の土台も、大工さんが加工した後から見る見るうちにプロペラ状にねじれ始め、現場に運び込んでもまだ削る作業をしていた記憶があります。
もちろん、それは乾燥材ではなかったからではあるのですが、それでもなかなか一筋縄ではいかない一面もありますので、桧が供給されるなかでエキストラを支払ってまでは流通しなかったのだろうと想像しています。

木目も綺麗で水湿にもすこぶる耐久性のあるひば。木の浴槽なんかには、高野槙(コウヤマキ)や桧もいいですが、私はひばが一番好きですね。
上手に使って、もっとお客様に良さを伝えたいものです。


2つ目は「あて」。

木材業者で「アテ」ときくと、あんまりいい気はしないもんです。
現在では少なくなりましたが、和室や無垢の木材の加工が大工さん作業だったころは、「これ、えらいアテやんけぇ〜。なんとかしてぇーな。」と言われたもんです。
なんとかして、は交換という意味合いの場合が殆ど。
つまりはこの場合のアテというのは、木材が成長する時にできる「クセ」の部分である「陽疾(あて・コンプレッションウッド)」を指しています。
この部分を含む材料は、加工しにくかったりクセが強いので、取り付け後の歪みや伸縮が大きく、木材として使いづらい場面が多いのです。
それで先の、なんとかしてぇーなぁ、です。

アテ材全てがダメなわけではなくて、それを使える場所を探していってやらないといけないのが材木屋なのですが、それをするには大工さんとのコミュニケーションが必要です。
こういうところにもっていこう、ここに工夫して使おうというお互いの意思が無いと活用できません。
現在の様に、一般住宅における大工さんの手加工が少なくなってくると、そうやってアテ木を活用する話をする機会もめっきりなくなりました。
昔はそういったやり取りも、材木屋の醍醐味の一つだったような気がするのですが・・・そうやって、木の事を少しづつ学んでいったものですよ。

ですので、「あて」ときいて、この「アテ」と混同されないようにしないといけません。いや、混同するのは古い材木屋くらいかな・・・

樹種としての「あて」というのは主に、石川県の木にもなっている「能登ひば」を指して用いられる場合が多いです。

あて

あての由来については、今でも本当に信じたくなる伝承があります。

あては昔に青森ひばの苗を、津軽藩の御法度を破りもちかえって植えたものが地場産業隆盛という大当たりとなった、「当たり」に由来する、と言われています。
そして、青森ひばの苗を持ちかえったものの造林種だから、青森ひばと同種と言われています。
しかしながら、あてという地方名は古くから近畿北部や北陸で使われていた言葉だそうで、有史以前の地層から同種の花粉が見つかったり、群落の発見があることからも青森ひばとは全く同じというわけではなく、遺伝子も異なっているそうです。
個人的には、先のロマンあふれる伝承を信じたい気持ちが強いのですが、明確には後者のようです。

さて、その縁起のいい「大当たり」の伝承をもつ「あて」で有名なのは輪島塗。
その塗りの素地になっているのが「あて」です。
「あて」は、耐陰性の強さの順および、成長の遅い順に「かなあて」、「まあて」、「くさあて」という品種があると聞きます。
聞いた当初は、材の硬さや加工性の違いで言い分けられているだけかと思ったのですが、きっちりとした定義があるのです。
その中でも、輪島塗などの漆器の原料に適しているのは「まあて」だそうです。
漆器だけではなく、木材にした場合にも若干の違いが現れるようですが、私もその違いまでは正確には把握できていません。

木材としての大きな特徴は、青森ひばが「節あり」の材木を造りにくい事に対して、能登アテは節ありの材を生産することができるのが大きな違いです。
青森ひばは大径木や、それにともなう大きな節の入るものが多くありますが、その殆どは木材に製材すると大きく欠けたり割れてしまったり、フローリングなどの板にすると大きな穴になってしまったりするので、土台などの角材以外は基本節なしになるのですが、能登アテの場合は無垢フローリング羽目板などの薄い板材も節ありで作ることが出来ます。

能登アテ(ひば)生き節幅広無垢一枚物フローリング 1


ですので、ひばの特徴を活かしながら節の風合いを楽しみたい方には、能登アテはピッタリの材になるのです。
湿気のこもりやすい洗面所の壁や、爽やかに保ちたい御手洗いの壁などのアクセントに丁度いい雰囲気を作ることが出来るでしょう。
持ち前の黄色みのある色合いと独特な香りは、杉やレッドパインではだすことのできない演出です。

そして最後に「あすなろ」です。
最後に持ってきた理由は、木材利用の上ではほとんどが「ひば」で流通しているため、先にひばを、そして移入されたというロマンを持って「あて」に話を写したかった親心(?!)で、実は、それぞれの基本形はこの「あすなろ」と言われます。

あすなろ ヒノキ科アスナロ属。本州西部から九州にかけて分布の植物。ウラスギのように、伏状更新をする。
漢字では翌檜(当て字のようです。下記参照)。中国表記を羅漢柏、英名をhiba arborvitae 学名をthujopsis dolabrata といいます。
thujopsis はネズコ属 thuja に似た、dolabrata は斧の様な=ヒノキ科最大の鱗片葉、の意味からきています。
そしてあすなろは南方系の木で、これの北方系の変種が「ひのきあすなろ=ひば」と定義されています。学名をthujopsis dolabrata var.hondai
つまりは、ひばも、あても、あすなろも、定義上は元の品種と変種でまとめられてしまいます。
なぁーんや、ここまでひっぱっておいて全然おもしろくないやん、と言わんといてください。
そうやってくくるのは学術上。

それ以上に奥が深いのが実際の木材。お話はこれから。
あすなろは別名を「あすひ」。
漢字表記でもわかる様に「翌檜=翌日は檜」の字のとおり、明日になれば材質・名声共に素晴らしい桧になる、という意味で「明日は桧になる=あすなろ」や「明日は桧=あすひ」と呼ばれている。
そう、私も昔の弊社の番頭さんにそう教わりました。
へぇ〜、むっちゃロマンチック!!と思ったもんです。
かの有名な枕草子にも記されるその説ですが、実は俗説らしいのです!!

実際のところは、「厚葉檜・あつばひのき」という名に尾ひれがついた形で流布された説だそうで、実際の葉も桧より厚いものだから、こちらの現実的な説が有力な様です。
「あす」は厚葉や悪し、陽疾を、「なろ」はサワラという木の地方名を表すというこという記述もあります。
私はやっぱり、真実ではなくてもそういった逸話の残っているほうが断然好きですね。
植物も生き物です。明日は桧になったるで!!くらいの夢がなくちゃ、ね!

ここでまた話がややこしいのは、たびたび出てくる「サワラ」。
これもいつかまとめたいですが、これはひばとは全く似ておらず、どちらかというと桧に酷似しています。
みんなヒノキ科ですが、それぞれ大きな違いを持っています。
見た目にはわからなくても、今回の各種の様に個性があって奥が深いです。
だからこそ、魅力的なんですね。
因みに葉も似ているヒノキ科の中での見分け方は、葉の裏の気孔線という白色の模様がヒノキではYの字型、サワラはX型、あすなろは広がっているという点で見分けがつきます。
とくにあすなろは「まるでスパイダーマンだらけ!」みたいな面白い形です。

あすなろの葉 1


一度探してくださいね。

因みに、前記の「明日は桧になろう」の悲しい?!説に人間の性を重ね合わせた作品として世に出ている「あすなろ物語」の筆者井上靖氏の生家の伊豆では、ラカンマキ・イヌマキの地方名がアスナロと言うらしい。
どっからきたのやら・・・
にしても、明日は桧・・・の行をどうとらえるかはその人次第ですね。
本の紹介には「ついに桧になれない、あすなろの悲しい性を・・・」とありますが、ひばは桧になる必要などありません。
既に優れているんだから。
なんてったって、日本一ヒノキチオールを含んでいるのは「ひば」なんですから。
それだけですごいじゃないですか。
僕は、明日は桧、と頑張っているうちに特有の能力を身につけたスーパーマンのような、そんな存在に思えてなりません。

アスナロ系に通じて言えることは暗い林内でも成長できる材であるということ。
太陽を燦々と受けないと成長できないものとは違い、少々暗くても生存競争に残っていけるその強さは、明日は桧になろう、どころか桧よりも生存競争に強いという特徴になって表れている様にも思えてなりません。
まぁ、私の想像ですが・・・

最後に学術的ではないですが、材木屋として耳にしたあすなろのお話で締めくくりたいと思います。
私がまだ杉と桧の判別がやっとの頃、研修で訪れた会館の一本の標本木をみたベテランさんが、「これ、あすなろやな。」と言っておられた。
私はなんのこっちゃ分からんかったのですが、幸い2人連れだったベテランさんが解説。
こいつ皮は桧やけど中は杉やろ、桧になりきれてへんやっちゃ。あすなろやで。
と。

先に書いた、明日は桧その物です。
それ以来、そんな丸太には出会っていませんので検証はできませんが、きっとそのベテランさんも、あすなろの伝承説をそのままあてはめた材木屋さんだったのかもしれません。
いや、もしかすると関西ローカルで、あすなろの分類が存在するのかも・・・・
その辺検証できる先輩募集中!!です。
全く利益の発生しない木材談義、しませんか(笑)。



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出窓実験室 検証編


さて、現在外は冬。
もうすぐ大寒だということに呼応してか、やたらと風が冷たく感じます。
もちろん、雪国に比べれば全くもってあたたかいのですが、年々寒さが身にこたえるようになってきました。
とはいえ、車中や風の無い穏やかな日は、日差しさえあればとても心地よい日もあります。

そう、日差し。
冬のさなかでも、温かさを感じさせるその力はとても強いものです。

先日の記事では、その日差しによる木材の材色の顕著な変化の様子を掲載しました。
目で見てわかるその変化ですが、ではその変化が起こる木材というものの表面はどうなっているのか?!
以前の記事である、木の床の不思議 視覚編の内容も交えながら考えていきましょう。

人間は自身の目で様々な物を認識します。
それは物体であったり、色であったり形であったり。
私たちは、それがあたかも自分が選択して理解している情報の様に思いがちですが、本当は「そうみえているだけ」ともいえると思います。
人間の目が物事を見る事ができるのは、目に光の情報がはいってくるからです。
光のもつ情報を目が読み取っている、と言えるかもしれません。
といっても人間の目が認識できる光にも下限と上限があります。

虹を想像してください。
あれがまさしく人の目に見える光の上限と下限でしょう。
一般的に色として認識できる光を可視光線というようにいいますが、その範囲は虹の紫色〜赤色に向かう約380(紫色よりの短波長)から780nm(赤色よりの長波長)という波長の間を指しています。

虹


それ以外の部分が紫よりも外側の色ということで「紫外線」、赤よりも外側の色ということで「赤外線」、というんだよ、と小学校の頃に誰かに教わって、無茶苦茶衝撃的だったのを覚えています。
何気に夏場に「紫外線が多いとやけるからなぁー」とか言ってたくせに、そんな意味なの?!と驚いた記憶が・・・
だから、この紫外線や赤外線は目に見えないけれども私たちが毎日受けている目に見えない「感じる光」なのです。

私も含めて人間って、目に見えていれば気をつけるものですが、目に見えないものは信じ難いし、気をつけようがないものですが、それでもみんなが気にするものはやはり「日焼け」ですね。

ここで少し話を戻しましょう。

人間は木材を見て、総じて温かみを感じると答える場合が多いですが、それは木材が赤色よりの長波長の光を多く反射するから、暖色系の色合いが多く認識されるからだと言われています。
その逆に、紫外線の様な短波長を吸収し、反射を少なくしているとも言われます。

そうです、ここが大事。
紫外線は多く吸収すると目には良くありません。
前回書きましたが、雪山で一日好天下にいると、たまらなく目が痛くなる時があります。
目がやけているんですよね。反射の影響を大きく受けているということです。

つまり「日にやける」ということは、目にも肌にもあまり良くない紫外線を吸収しているということ。
そして木材などが紫外線を吸収するということは、目に優しいということです。
木材は、自身の色を変えながら、私たちに優しい光を届けてくれていたのです!
なんとも有難いことです。

また、木は細胞を持っている生き物だといつも書いていますが、その細胞組織がストローのような筒状のものを並べたような構造になっており、それを木材にした時の表面はストローの凹凸が現れるので、それにより光をミクロに反射させて、人の目に対して眩しくなく、優しく温かい雰囲気をもたらしてくれるのです。
では、その凹凸が無いとどうでしょう。
例えば、鏡のように平滑だったら?!
鏡に光を反射すると猛烈に眩しいですよね?!それは鏡がとても平滑だから。写るものを反射させて、その物を見せてくれますが、紫外線などもそのまま反射することになります。
それは木材の塗装も同じ。
表面を平滑ピカピカに仕上げれば仕上がるほど、その反射率は増し眩しく感じます。
フローリングでも、ピカピカ平滑なものは光り輝いているようでとても綺麗だ、と言われますが、実際にそのピカピカばかりだと目が疲れてしまうこともあるでしょう。

リフリーオーク 4


一部の例外は、木材の中でも塗装を施した方が見た目が良くなるものもあるということ。
光の反射と散乱の比率の変化が大きくなる事によって、ナラの虎斑や栃の縮み杢などはひと際際立ってみえるので、その用途によって光沢度を調整したいものですね。

塗装済み 栃の杢


だから前回の実験をしたのです。
ピカピカと光るウレタン塗装と、光沢度をオイル塗装に近づけた低光沢リフリーバーチリフリーオーク、そしてオイル塗装の3者を比べる事で、やけ具合とともに、その変化の違いを見たかった実験は成果があったと思っています。

近頃は、合板フローリングでも日焼けによる変色をカタログ上にうたうメーカーさんが多くなったこともあり、日焼けによる変色の話題を大きく取り上げることは少なくなりましたが、最初にイメージしていた色と違ってきた!と、新品当初の木材の色合いを維持したいと思われる方も少し減ってきたようです。
私も、新品の状態の自宅の床やドアを見た時は、このままピカピカな状態を維持したいなー、と思ったものですが、窓際を始めあまり日の届かないと思われるキッチンの奥側のフローリングまで見事に変色している事に気がついてからは、「木が紫外線を吸収してくれているんだ」と子供たちに話しています。
それによって、私もその変色具合が気にならなくなりました。

住宅の中で最も日焼けによる変色を受けやすいのは平面にある無垢フローリングでしょう。
面積も大きく、物が置いてある場合があり、それをのけるとくっきりと型が付いているということもあるかと思いますが、その時にはしみじみ感じてください。

「あぁ、今日も僕たち私たちの為に色が変わっているんだ」ってね。

そうすれば、無垢フローリングの「一枚一枚の色の違い」は、フローリング選びにおいてはそうそう気にならなくなるでしょう。
その現象が起きることを嫌がるのではなく、理由を理解して付き合えば、問題視することはないのです。
自身の日焼けは喜べなくとも、木材の日焼けは大いに喜べ!?
無垢の木材は目に優しい素材です。
パソコンからの光を気にするのならば、家にいる時に必ず目に入る光を通すフローリングを気にしなければいけないのでは?!
と、ちょっと真剣に思ってしまう木材の日焼け 座学検証編でした。


出窓実験室 7



追加:窓際などで、やけて深い色に変色するのではなく、退色した様に色合いが薄くなるのは、ガラスによって紫外線がある程度カットされ、投下した可視光による光劣化である「光漂泊」だと言われています。
木材中の成分や、投下光線によって劣化の差で色の差が出る様である。
外装木材の場合は、これに水分と埃などが絡んでくるので、更に劣化が進むというわけです。


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出窓実験室より 木材の日焼けリポート番外編 


木材は、人間と同じように日焼けする

カウンター材にしろ、フローリングにしろその用途に関係なく、日射の影響の大小はあるにせよ、木材は購入当初の色合いをずっと残すことはできません。
それが当り前なのですが、やはりご自身がその木材の色目も気にいっておられた場合は、やはりその色変化については知っておいていただかないと、がっかりする場合があるかもしれませんね。

特に特徴的なパープルハートや印象的なリグナムバイタ等の一風変わった風合いの木材ほど、大きく色変化するので注意が必要です。
とはいえ、それが人間と同じように細胞という組織で構成される木材にとっては自然なことですから、変化を楽しんでみようではありませんか!

以前にも、色変化のスピードの早いブラックチェリー日焼けを見てもらいました。
今回はそれと同じことを、我が家の「出窓実験室」にて行った模様をお伝えする「木材の日焼け 番外編」をお届けします。

木材自体の日焼け比較となるとかなり膨大で、同じ木材であっても赤身と白太や、その材自体の色の個体差によって様々ですので、なかなか紹介しきれないのですが、今回はふと、「無垢フローリングとして一般的なウレタン塗装とオイル塗料、それと低光沢ウレタンのリフリーバーチリフリーオークを比べるとどうなるか?!」という自身の素朴な疑問から始まった実験です。

おそらく、合板のフローリングも含めて木材が日焼けして色が変わっていくと言うことを意識しながら使っている方は、決して多くはないでしょう。
実際に日焼けで色が変わっても徐々に変わっていくことで、気がつきにくいです。
しかしながら、意図的に一部分だけを日焼けさせてみると、一目瞭然の違いが出るものです。
実験は、南向きの出窓の上に各サンプル材を並べ、その材の長さの半分だけ紙の覆いを被せておいて、1ヶ月放置した結果です。
なお、試験は秋口に行いました。

先ずはバーチ(樺)の方から。

出窓実験室 1

おぉ・・・期待以上の日焼け具合!!
実験成功といったところです。
もちろん、写真上の色の薄い部分が紙で覆っていたところで、写真下の方が太陽光を受けていた部分です。
そして写真左から「一般的なウレタン塗装」「低光沢ウレタン リフリーバーチ」そして一番右が「オイル塗装」の順番です。

元々、塗料がのると若干黄色がかった部分が強調されるようなところがあるバーチですが、日焼けした部分は一層その黄色みが強くなったように感じます。
各実験サンプルの塗装による違いですが、それは思ったような違いは得られませんでした。
塗装の種類で何かしら違いが出るかと思っていたのですが、並べてみてやっと、若干一般的なウレタン塗装の方が、黄色みが強いかな・・・という位です。

低光沢ウレタン塗装であるリフリーバーチと、オイル塗装を比べても、違いはわかりません。
しかし、私がこの実験で得たかったもう一つの結果が出ました。
オイル塗装と見分けがつかない(どころか、手触りもわかりません)ウレタン塗装であるリフリーバーチ(後に出るリフリーオーク共)と、オイル塗装で日焼けによる違いが出るか否かを調べたかったのですが、結論、日焼けしてもわからない、ということがわかりました。(下写真左リフリーバーチ、右オイル塗装)

出窓実験室 2

全く異なる塗装であるものの、今までウレタン塗装といえば「テカテカ・ピカピカ・ツルツル」なイメージがあったのですが、見た目だけでなく触った質感までオイル塗装に近いリフリーバーチ(リフリーオーク共)の経年変化に似た結果が得られました。

下は一番右に新品のリフリーバーチのサンプルを置いた状態。

出窓実験室 5


そして次はオーク(ナラ)。

出窓実験室 3

こちらは元来少し灰茶褐色な色合いの材面ですが、それが見事に変わっています。
並びは先のバーチと同じ、右から一般的なウレタン塗装・低光沢ウレタンのリフリーオーク・オイル塗装、という順です。

紙で覆っていたところは灰茶褐色ですが、日焼けした部分はやはりかなり黄色っぽい色合いに変化しています。
(オイル塗装の端部が若干変色しているのは、拙息の仕業・・・ご勘弁を)

さて、ここで驚いたのは、バーチでは遜色なかったオイル塗装と低光沢ウレタンとの違いが、オークでは比較的顕著だったこと。
もちろん、若干素地の色がオイルの方が濃いので、その要素もあると思いますが、それを含めても、目視でもリフリーオークは若干の艶感がみてとれました。

出窓実験室 4


私の見解としては、材色の薄いものはその違いが目立ちにくいけれども、材色が濃くなるにつれ、如何に光沢度がオイル塗装と同等の低光沢塗装といえども、材の持つ本来の艶感がでてくるのだろうと思いました。

下は一番右に新品のリフリーオークのサンプルを置いた状態。

出窓実験室 6


とても興味深い結果となりました。

1ヶ月でこれほどの違いです。
まぁ、真南で一日中直射日光という厳しい環境ですが、住宅でも掃き出し窓のように大きな窓があるリビングが南向きの場合は、これと同じくらいの変化があると言うことです。

これだけの変化があると言うことは、それだけ木材が日光を、紫外線を吸収していると言うこと。あらためてみると恐るべし紫外線・・・

つまりは、紫外線の反射を受け止めて緩和してくれているということ。
人間は、常に太陽から紫外線を受けています。
夏場に日焼け止めをせず肌が焼けると、とてもひりひりしますね?!
冬山でのスキーやスノーボードの時にゴーグルなどを着用せずに過ごしていると、天気の良い日は目が痛くなるときがありますね?!
そんな紫外線を木材は吸収していると言うことです。

つまりは、木材はただ焼けていると言うのではなく、紫外線を吸収して焼けているのだから、変色するのですね。
以前に「木の床の不思議 視覚編」でもお話したように、木材はその細胞組織で光の反射を和らげ、そして緩和した光を人間の目に届けてくれています。
ピカピカとしたものは一見綺麗に感じますが、目にとっては厳しい環境です。

少し話が脱線してくるので、次回は番外編から派生して人の目の見え方をおさらいしながら、木材の日焼けのメカニズムをおっていくことにしましょう。

えぇー、こんなに変色するの?!と驚いたり、こんなに色が変わるなら困るな・・・と思われていた方、実はその日焼けにはとても深〜いメカニズムがあると言うことを知ってもらえば、その印象も変わるかもしれません。
実験結果検証編?へゴー!です。

出窓実験室 7


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樺は桜ではありません!!


私の記事を読んでくださる方は大半は御理解いただいていると思うのですが、インターネットの波にはまだまだ誤解が見え隠れしています。

良いといえばいいのだろうか・・・いや、良くない!と私は思います。

未だに良く見る「桜と樺の混同」です。

私の記事や仕事に直接関連した事ではなかったのですが、少し前にインターネットの記事を見ていると、出てくる出てくる、桜のオンパレード・・・
そのほぼすべてがの仲間の木を紹介しているのですが・・・

私に直接関連していないといいましたが、今回は!という注釈つきでして、やはり関係は大いにあります。
なぜなら、たびたび何度も「桜とは?!」という説明を繰り返さないといけないからです。
中には「樺桜(かばざくら)」なる、どっちのことやらわからんような名づけのツワモノもありますね。
一般的に理解されている情報が、桜のイメージと妙に合致しているため余計に誤解が大きくなるのですが、「桜は樺(かば)の木ではなく、樺の木は桜ではなく、桜といっている物の中には樺の木が含まれている」ということを知っていただきたいです。

無垢のフローリングで桜材を探している、という問いかけに対しての答えにフローリング屋さんの担当者も違いがわからないものだから、桜のフローリングだとして、樺のフローリングを提案している場合もありますし(当然弊社ではありません。)、良く似ている部分があるとはいえ、外観や見た目の特徴を伝える時に、どう聞いても樺の事だろうと推測できるような特徴をあげている場合が見られます。


バーチ150S 



 樺の木の無垢フローリング(ロシアンバーチ幅広無垢一枚物フローリング)です。









BC 130-Pユニ



 桜の仲間、ブラックチェリー幅広無垢フローリング(写真は幅広ユニタイプ。)









桜と樺の違いは数回取り上げてきましたので、ブラックチェリー無垢フローリングの記事やその他を参照頂きたいのですが、桜の木というのは、そもそもそんなにたくさん木材として流通するものではありません。
樺の木はまだ流通している量としては安定していますし、なにより淡い色合いに、ピンクの花のイメージを落とし込める「桜のイメージにぴったり」の材質ですから、桜だと思っても無理はないのですが、中には本当の桜材を探していらっしゃる方もおられるでしょうから、なおのこときちんとした理解が必要かと思います。

それに、桜のイメージといっても、あの「ピンクの花びら」はほとんどがソメイヨシノの美しさであって、自生種や木材としての桜を指す場合の真桜は「白い花びらと新芽の同時開花」である場合が多いので、一般的に花見で見るような淡いピンク色とは異なりますから、やはり木材の桜も「淡いピンクの色合い」というイメージから抜け出していただけるといいのですが…

少なくても材木屋サンはソメイヨシノの写真を出したりして、樺材の記事を書いちゃいけませんよ。

・・・・・・むむっ!!・・・・・・それ私だ。ブラックチェリー無垢フローリングの記事にて・・・
といっても、ブラックチェリーはバラ科の桜の仲間ですから、間違いではないのですよね・・。ソメイヨシノとは違いますが・・・

理解して入手する事に関しては樺であれ桜であれ、優秀で貴重な木材に変わりはありません。
が、桜の材の用途に期待していたのに、知らずに手にしてから違いに気がつくということは、避けたいものです。



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桐と竹 木であるのは?! 材木屋なりの結論


さて、久しぶりに少しかたいお話をしないといけないようです。
といっても、私も学者ではないので、そんなに深く学問に入り込むことはないですが、ちょっとおかたい言葉を使わないといけません。

前回の記事、「桐は草?!竹は木?!!さてどっち?」という問いに対してですが、皆さんはそれなりに答えが出たでしょうか?
これ、結構難しい話の様に思うんですけど、私にこの話題を投げかけてくださった東のお客様は、以下の私の持論にすんなり入ってきていただきましたので、皆さんにも届くかな?!
できるだけわかりやすくいきたいと思います。


先の表題について普通、最初に考える事。
ちょっと詳しい方なら、「桐は広葉樹(雑木・ぞうき。一般的に大きめな葉、広い樹形を持つ植物。対して細長い葉、樹形針葉樹・しんようじゅ。)だよね?竹は何科の何属なのかな?」といったような植物学的な分類が浮かぶのではないでしょうか。
まったくもって間違ってはいないですね。
また同じように理科に詳しい方なら、「植物なら被子植物・裸子植物」の区分で考えて・・・ということがでてくるでしょうか?
それもとても素晴らしい答えではないでしょうか。

では、前回お伝えした通り「理科の苦手な、木が好きなだけの」私なりの答えです。

「樹木とは、多年生の木質の幹で自らを支える事のできる植物の事。さして背丈は関係なし。」
です。

多年生とは、字の如く一年で終わることなく生命活動を続ける植物の事ですね。
そして、「木質の幹」というのはまさしく「木材になりえるであろう部分」である年輪などをもつ木の部分ですね。
そして、それによって自分の体を支えて生えている植物の事。

このことは、正確に当てはまるかどうかはわかりませんが、「木本植物(もくほんしょくぶつ)が木である」という事ではないかと思います。
木≒木本植物。
木本(もくほん)植物は、正確な定義までは及びませんが、先に書いた様に木質の幹を持ち、多年生で上長(背が伸びる)成長、肥大(幹が太くなる)成長するものである場合がほとんどです。(ほとんど、というのは、この言葉だけでは説明不足だからです。)
木本の対として草本(そうほん)植物があります。
これも字のごとく、草です。
草は成長はしますが、肥大成長を続けることはほぼ無く、樹齢(草齢?!)数百年というのは、私の知る限りでは聞いた事がありませんし、木質の幹を持つものもない様に思います。


つまり、詳しい植物学上の分類は文献に譲るとして、材木屋なりの答えとしては、「桐は木であり、竹は草の成長したもの」としています。


桐は導管(どうかん)という組織を年輪様に重ねる、楢(なら・オーク)や欅(けやき)などと同じ「環孔材(かんこうざい)」で、はっきりと木質部を持っています。



環孔材 ナラ

 オーク(なら)の木口です。
プツプツと穴のあいているのが見えますか?
 これが導管で、その穴が年輪の様に規則的に並んでいますね。
 それが「環孔材」です。







確かに幹の真ん中は空洞になっていたりしますが、あれは髄芯と呼ばれるところで、導管ではないと思いますがそこが植物の茎の様といえばそう見えなくもない?!ですが、やはり木です。


桐の木




 桐の木口。確かに結構大きな穴があるけど・・・









では竹は。

竹は多年生の植物ですが、年々成長して年輪を作っていく形成層(けいせいそう)という部分が組織内にないそうですし、一定の大きさまでくると太くならず、その太くなった部分も、木質とは異なります。
また、木は年々上長成長を続ける(だいたい寿命の三分の一位の年数までといわれています。)ことと、肥大成長を続けますが、竹は茎の先端部だけでなく節と節の間でも新しい細胞が出来、それが成長するため節と節の間隔が広がっていくのです。
竹は1〜2年で成竹となり、その後は稈(かん)=茎は太くならない。
多年生であるが、10数年で枯れてしまう。

つまり、茎の部分が一定期間太くなっている「草」だと私は考えています。

因みに、つる植物も木ではなく、バナナの幹も葉柄という部分の集合体であるため木ではなく、そして、上記の竹も草が硬くなっただけ・・・であるということです。
そして面白い例を一つ。

樹木の説明でよく言う「●○は、●科の植物だから・・」。
私もよく使いますが・・・
これだけでも、少し迷子になります。
熱帯に多く存在し、立派な大木を多く抱える「マメ科」の植物などは、同じマメ科でも中には「樹高数十メートル、樹幹数メートル」という大きさになる木もあれば、草というにふさわしい、木ではないものも含まれています。
材木屋さんで少し知識がついてくると、「マメ科」なら結構大きな材木がとれる!と思いがちですが、全てが万事そうではないという事ですね。


樹木を考える上で、「針葉樹や広葉樹」また「●○科」というのはとても重要な手掛かりです。
が、それだけでは判断できませんし、今回の私の言葉ももしかすると日々進歩する学問には追い付いていない結論かもしれません。

どうしても、木と草に対して白黒付けたい場合は大学にて植物学を専攻してください(笑)。
全ての物に対してそうあるのではなく、もう少し余裕を持って自分の興味のある物の本質的な価値について考える事が大事です。
知れば知るほど学問的になりがちで、また、学問の用語を借りないと説明しにくいところもある木材ですが、今後もできうる限りわかりやすく、皆さんにお伝えしていけるように精進したいと思います。
今回のかたさはどうかご勘弁を・・・(汗)

中国桐

 桐板。草であれ木であれ良いものは良い。

 それでいいのだ。


















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桐は草?!竹は木?! さてどっち?


先日、東の博学なるお客様から非常に興味深い「お題」を頂戴しましたので、ここに紹介したいと思います。

「桐(きり)は木ではなく、草である。」

こんな話でした。
材木屋としても、木の虫としてもほおっておけない話題ですよね。
みなさん、どう思われますか?
ここに、私に送られてきた文章を一部転載します。ちょっと考えてみてください。


桐は「木と同じ」と書きます。そうです、木と同じ草です。
中略
桐の切口には穴が開いています。水を吸い上げる導管ですね。草にも中空のものが多いですよね。


以上、木材関係の製品を製造なさっている方に伺った話だそうです。
その話がきっかけで、私に連絡いただいたわけですが、上記の話を見て皆さんはどうお考えでしょう、といっても、少し難しいですよね。
つまり、桐の木は木ではなく、草である。なぜなら中心に大きな穴が開いていて、そこを水が通る仕組みが草と同じだから。
しかも、漢字も「木と同じ」と書くのだから。

というわけのようです。
普通はこうやって説明されると納得しますね。
私も一般の人間(木材人ではなく)ならば、めちゃくちゃ頷いているかもしれません。


さて、草か木かの話が出たところでこれはどうでしょう。

「竹は草ではなく木である。」

これも、漢字で言うと「たけかんむり」と「くさかんむり」、草に似ているような・・・・でも、大きく成長するし、材木のように利用もできるし年輪ではないけど節ができて年々成長する・・・
ということは木か!!?

さてさて、いったい答えはどうなんでしょう。
これには、私の大の苦手科目であった理科のお話と、植物学っぽいお話が必要になってきます。
かた〜いお話をする前に、少しだけ考えてみてください。
身近にあるもので、「こうだ!」と思い込んでいるものが、実はまったく違うものであるかもしれません。

次回に続きのお話を少しお硬く?!進めて行きたいと思います。



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お客様からのご質問 -木材販売の難しいところ-


最近少しずつ増えています。
記事の閲覧をしていただくお客様。
有難いです。

それとともに、商品のお問い合わせ以外の事をご連絡いただくことも増えています。
といっても、会社としての仕事内容とは少し離れる「木についての質問等」が多いのです。
ご質問頂くお客様も十分にお気遣いいただき「仕事には関係ない様なことなんですが・・・・・」と、こちらが申し訳ないくらいに遠慮してご連絡くださいます。
材木屋ですし木が好きなものとして、商品以外の事も無垢の木材についてのご相談には快く乗るのですが、近頃は少し回答が難しい場合があるのです。


実は昨年の末、「無垢フローリングについて・・・」とお問い合わせをいただきました。
その内容がフローリング取り扱い商品について、ではなく既に購入し、貼りあがっているフローリングについてでした。
とある樹種のフローリングをご希望での住宅改装だったそおなのですが、いざ施工してみるとお施主様の思っていらっしゃった樹種とは雰囲気が違うように感じ、希望の樹種に間違いはないのかどうか、正しいのかどおかを知りたいということをおっしゃってのご連絡でした。

その材料は赤褐色っぽい外国産の有名な樹種でした。

外国産の樹種には、正式名称以外に通称名があったり、似たような樹種と混同されていたり、近縁種を代用されていたりということが普通にあります。
また、同じ樹種でも港によって名前を変えることもあります。
当然産地によっても違います。

近縁種が代用されていたりするのは、「タガヤサンとウェンジ、パンガパンガ」をご紹介したことがあります。
詳しくはそちらを参照いただきたいのですが、これも一般のお客様だけでなく、材木屋でも区別を知らないところもあるくらいに見分けのつきにくいものもあります。

また、こちらは私も疑問に思っていたことがあり整理した、「ローズウッド」の名称も産地や通称名、代用種が混ざり合ったものです。

これらを見てもわかるように、外国産樹種については必ずしも正式名称でばかり取引されているわけではないということです。
中には近縁種や、同じ名前を名乗れるものが50種ほどあるという場合もあります。
これらにさらに、港による呼び方の違いや、通称名のやり取りが介入し、樹種の特定を難しくしている場合が殆どです。
だから、正確にお答えすることは困難なのです。


また、名称だけでなく木材の外観についても、同じ樹種でも産地や樹齢、製材部分などにより違いが見られます。
日本の桧でも、産地によって油の出具合や硬さ、色合いが違いますから、当然のことですが、日本産の樹種よりも色鮮やかであることの多い輸入樹種の場合は、しばしばその特殊な色調で表現される場合があり、誤解を招く場合もあります。
フローリングではブラックウォールナットも色調で例えられることがあったので、代用の樹種がたくさん出現したことも記憶に新しいです。
もっとも、こちらの場合は近縁種などではなく、全く別の黒っぽい樹種だったりするものの通称名を●●ウォールナットとしていたため、混乱を招いたことはいうまでもありません。


同じように木目のイメージなどもそうです。
先に挙げたタガヤサンだと思っていた木目が、実は似た樹種だったということがあります。
というか、似た樹種をタガヤサンだと思っているところに、本物のタガヤサンを持ってきたところで、イメージと違う、となるのもわかるような気がします。
実際、弊社の本鉄刀木(ほんたがやさん)木製名刺ケース(名刺入れ)も、同じくムラサキタガヤ木製名刺ケース(名刺入れ)の方が、木目も立派に見えるし、よりタガヤサンっぽく!見えるのです。

今回の様なフローリングにしても、殆ど輸入されていないような稀少な「唐木」といわれる木材の名前を冠したものが、現在までいろんなところで見かけられます。
原木は当然ながら、作品製作用の木材一本すらも入手しにくいのに、どうしてそれがフローリングとして提供できるのか不思議でなりませんが、見てみるとこれも大抵は似た木材や、代用材の場合がほとんどです。


こんな例はまだまだあります。
だから私たちは勉強しないといけないわけですが、プロでもそんな感じです。
そりゃ、お客様は迷われますよ。

そして、だからこそ、きちんと説明をして、木を見てもらって、違いを知ってもらっていれば、誤解は少なくなると思います。
私たちのような建築業者にありがちな、色やイメージだけを説明するのではなく、そのものの持つ特徴や長所短所を含めてお互いに理解出来るようにしないといけないのだと思います。
だからできる限り、時間をとっていただき、ショールームなどでお話をし、お渡ししたいのです。

木材が本物・偽物なのではないのです。
人間が本物・偽物として扱っているだけです。

今回のお客様にもお伝えしましたが、もしご希望の樹種とは違ったとしても、その木の持つ特有の良さがあるはずですから、特別な用途ではない限り、使う方もその樹種の良いところを見て使っていく方法を考えていただきたいのが天然素材ですし、巡り合ったその木材を大切にしていただきたい想いもあります。
もちろん、表記と違う樹種を販売することが良い事ではないのは言うまでもありませんから、販売するものがきちんとした知識を持ってお客様に説明しないといけないと感じます。
が、それでも、上記の様に天然素材であり、植物であり、海を渡ってくるうえでのグレーゾーンが存在することも事実としてお伝えしなければいけないのです。


弊社は木材鑑定業ではないので、樹種を同定することはできませんが、私自身が疑問に思っていたことと同じようなことは、できるだけご説明し悩みを取り除ければと思います。
工業製品や機械のように画一化できないのが天然素材ですが、だからこそ、扱う私たちができる限りしっかりと取り組むことが一番かと思います。
それをもって、頼れる材木屋でありたいと、そう思う今回の一件でした。







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黄檀 パウアマレロ


以前に「檀」という字のつく木材の事をご紹介しました。
木材の名前はややこしいものが多く、木を扱っている私たちでも知らないわからない、通称名しか知らないというものも多く存在します。
その中で、「紫檀、黒檀」などと称される稀少で高価な木材の名称について少しお話しました。

その記事の時に探していたメモが最近みつかったので、そこに追記をまた少し。


通称名で「黄檀」と称されるものをいろいろと書いていましたが、もうひとつ。
パウアマレロ(またはアマレロ・アマリロ・ブラジリアンサテンウッド・イエローハートなどなど)というミカン科の木材も時に黄檀と称される事があるようです。

ミカン科だけに!?アマレロ・アマリロというのは黄色を意味するそうで、南米原産の黄色っぽい(黄色といえば、誤解が生じます)色合いと、綺麗な木肌をもっていますが、紫檀や黒檀ほど個性が強いかというと、そうではありませんので、どちらにしても、通称名だと思いますが(黒檀も日本語ですから、ある意味通称名ですが・・・)、もしかすると、高級感を出すために命名したのかなぁ?と思わなくもないです。
何々ローズとか言うような言い方と同じような言い回しかな。
一見すると、少し重いカヤノキか樹種に詳しい方はツゲ?!と思うかもしれませんが、針葉樹っぽい木目に見えたりするので、やっぱりカヤに見えてしまいます。



これが木材の面白いところでもあり、ややこしく誤解の生まれるところでもあるのですが、お客様にとってあまり好ましくない位にわけのわからない名称が肥大しすぎることのない様に、これからも一つ一つ出来る限りわかりやすくお伝えしていきたいと思っています。

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紫檀・黒檀・白檀・・・・・・


植物、こと私にとっては木材になるんですが、やはり難解なところがまだまだ存在します。
わけわからんというか・・・
なんでなの?!どれはどういうこと?!というのがたまに出てきます。
木を扱う仕事の人間ですらそうなんですから、一般の方からすると本当に木材は謎の世界!なのかもしれません。
そのあたりが、様々な長所や優れた特性をもっている木材がなかなか使われていない一つの理由でしょうね・・・

何故割れるの?どうして反るの?表と裏、針葉樹と広葉樹って?!ちょっと知るだけで、様々な疑問がうまれてきます。
それらを解消するのも、私たち材木屋の仕事の一つだと思います。
疑問を納得できる解決に結びつければ、その物の持つ良さを更に実感できることになるはずです。
皆さんの疑問解決に役立つよう、これからも少しづついろんな不思議な話題に触れていきたいと思います。


さて、その不思議のうちで、今回は私が以前不思議に思っていた名前についてのお話です。

木材にはいわずもがな、多種多様なものがありそのすべてを網羅するのは困難なことだと思います。
そのなかでも、特に稀少なものや、珍しいものにはやはり注目が集中するものですね。
例えば、記事で詳しく書いたことのある「ローズウッド・紫檀」類。

これらも、その複雑な分類や名付けでちょっとやそっとでは理解が難しくなっているものの一つです。
だからこそ、皆さん文献やインターネットを通じて勉強されるわけですが、紫檀類とともにややこしい命名があります。
それが今回のテーマ「紫檀・黒檀・白檀・・・・」です。

もともと「檀」というのは、稀少で価値のあるものにつけられるものだったそうです。
赤紫の紫檀、黒い黒檀、白い白檀という具合でしょうか。

ここまでは良しです。

が、たまに緑檀とか、黄檀というものを目にします。

かなり前、中国の木材商の方が大切になさっている木があったので樹種をたずねてみると、「黄檀(こうだん)」とおっしゃっていました。
とても稀少で、ほとんどないんだよ、とおっしゃっていましたが、その木の素性までは伺うことができませんでしたので、真偽のほどは?わかりませんが、一部では黄檀は、白檀の芯材部分の色の比較的濃い部分、つまり黄色っぽく見える部分をさして用いるそうです。

わからなくもないです。

が、因みに白檀の学名はsantalum albumで、albumというのはもともと「白い」という意味があるそうなので、やはり、白檀は白を意味するのが正しいのかもしれませんね。


また、南米原産のパウアマレロ(またはアマレロ・アマリロ・ブラジリアンサテンウッド・イエローハートなどなど)という木材も時に黄檀と称される事があるようです。

アマレロ・アマリロというのは黄色を意味するそうで、その名の通り黄色っぽい(黄色といえば、誤解が生じます)色合いと、綺麗な木肌をもっていますが、紫檀や黒檀ほど個性が強いかというと、そうではありませんので、どちらにしても、通称名だと思いますが(黒檀も日本語ですから、ある意味通称名ですが・・・)、もしかすると、高級感を出すために命名したのかなぁ?と思わなくもないです。

追加すると、黄王檀(こうおうだん・きおうたん)又は黄金檀(おうごんたん)が上記のアマレロを指すこともあったり、または全く異なる縞の美しい木材であるココボロを指すこともあるので、ここでも要注意(汗)。


また、赤檀というものもあります。
これは「ローズウッド・紫檀とは」の記事で解説していますが、紅木紫檀の事を指して用いる言葉のようです。
これは木材の文献に掲載されていますから間違いなく用いられていたものでしょう。
確かに、紅色というか赤が美しい樹種ではあります。

他には先にあった緑檀。
こういった呼び方は木材業界ではしないのですが、一部で命名されているようです。
推測ですが、どうもリグナムバイタの事を指しているようです。
「生命の木」とか、「緑に輝く」その他、リグナムバイタであろう説明が添えてありましたので、おそらくそうでしょう。
ただ、リグナムバイタ自体は今ではそんなに大きな原木が入手できないであろうことや、ワシントン条約のからみから近縁の樹種を指しているのではないかということも推測できます。
ややこしいですが、どちらにせよ、木材業界のきちんとした呼称ではないであろうといことですね。


黒や赤や緑・・・・ホントに正しい呼称ではないものもあるようですが、どちらにせよ、大切な木材資源には変わりありませんので、有効に利用したいものです。
が、これらの呼称の紛らわしさに惑わされ、誤解を生んでいる商法は木材のややこしさを助長するので、出来るだけ正式に統一された呼称を使いたいものです。
そうすると、やはり言語の世界と同じように、英語名を覚えておかないといけないのでしょうが、その土地にしかないものもありますので、それも一つの方法でしかないですね。
わかりやすく、安心して使える木材が増えるようにそう努めていきたいと感じるややこしい呼称集でした。





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ローズウッドについて 


以前に「ローズウッド一覧!」として、一般的にローズウッドと呼ばれるもの(本物のローズも通称ローズも合わせて)を一堂に会して記事にしましたが、やはり熱帯産の木材であり更に稀少且つ高価な木材なので、その違いや特徴について興味を持っていらっしゃる方が相当あるようです。

弊社では金具不使用木製名刺ケース(名刺入れ)の材料として、「インドローズ」と「本紫檀」(現在両者完売、在庫切れです・・)を使い、並べて撮影したりしていますが、やはり一般的にはどちらも紅っぽく見分けがつきにくいものです。

以前は写真と簡単な名称のみでしたが、この機会にいっそのことわかる範囲ですが、整理してみようと思います。
というのも、私が木材を勉強しだしたのも、「あれとこれは何が違うの?」「同じ名前で、どうして違うの!?」といった違いのわからないことからくる疑問が、一番の原動力だったからです。

少しでも、整理して違いがわかるとよいのですが・・・


こちらが一般的にローズウッド・紫檀と称される物で入手可能なものの一覧です。


ローズウッド


 (下表のブラジリアンローズとシッソーは写真なし。)










写真:
上横長は本紫檀、中段左からソノクリン、手違い紫檀、マダガスカルローズ、アマゾンローズ、キングウッド、ホンジュラスローズ、下段斜めココボロ、下段横長インドローズ


さて、基本的に「ローズウッド」という樹木の定義は、「薔薇のような香りを有する稀少な木材に使われる」物であるというのが通説です。
産地は主にブラジル近辺が多いようです。
広義に解釈すれば、世界に8科20属35種があてはまるそうですが、その中をもう少し整理すると、Dalbergia属の木材にあてはめるのが正当なところというのが、専門的な解釈とされています。


そうした場合に定義の中に入るものをローズウッドとしてあげるとすると、以下のものが当てはまることになりますので、少し専門的な話になりますが、各樹種の表記と学名等をあげておきたいと思います。
(この記事は学術的な証明をするものではありませんので、あくまでも参考としてください。産地は一般的な入手産地。)


 通 称 名          英 語 表 記         学      名

・ブラジリアンローズ   Brajirian rosewood    Dalbergia nigra

産地:ブラジル
通常、ローズウッドというと、一番先に来るのがこのブラジリアンローズです。ワシントン条約にも記載されている絶滅危惧種で、現在は入手はかなり困難。古木はジャカランダ(楽器の世界ではハカランダ)と呼ばれる。ベルサイユ宮殿のルイ14世の王座はこの木でできているらしい。
香り成分、精油「ネロリドール」を含む。

ブラジリアンローズ
                       

・インドローズ       Indian rosewood      Dalbergia latiforia

産地:インド
ブラジリアンローズについで優秀なローズウッド。インドローズ紫檀としても流通。濃い赤紫の色調と肌理の細かい材質で仕上がりがとても美しい木材。


・ソノクリン           Sonokeling        Dalbergia latiforia Roxb  

産地:インドネシア
インドローズの種をインドネシアに運び、植林したものの事を指します。ソノケリンと表示していることもあります。色調のばらつきが大きく、黒っぽいものから薄いものまであります。雨量が多いので育ちがよく木理は少し荒い。

・本紫檀          Blackwood of bombay   Dalbergia cochinchinensis

産地:タイ、ラオス
本家の紫檀。紫檀と称される物の中で、ラオスなどでも産するがタイ産のものを指して使う。ローズウッドとついているものと比べると、赤みが少し強い。インディアンローズウッドという表記もある。木目の細かいものは現在では非常に稀少。


・手違い紫檀          ching-chan        Dalbergia oriveri

産地:タイ、ミャンマー
別名チンチャン。本紫檀よりも少し明るい色で、経年での色変化も若干大きい。が、稀少な本紫檀と似た雰囲気があり、木目も美しい。


・キングウッド         Violet wood       Dalbergia cearensis

産地:ブラジル
別名バイオレットウッド。比較的小径木が多いので、利用には注意が必要。
黒っぽい落ち着いた色合い。英国高級家具にも多数使用されていたそうです。

・マダガスカルローズ    Madagascan rosewood Dalbergia baroni

産地:マダガスカル

・ホンジュラスローズ    Honduras rosewood  Dalbergia stevensonii

産地:ブラジル、ホンジュラス
材色はローズと言って想像するような赤色というより、紫の縞を伴い桃色がかっていることがある。

・アマゾンローズ       Amazon rosewood     Dalbergia spruceana

産地:ブラジル

・ココボロ           Cocobola           Dalbergia retusa

産地:メキシコ〜パナマ。中央アメリカ太平洋岸
別名グラナディロ。轆轤(ろくろ)細工に向いている。その為、道具などの柄に使用されたり、その色合いから象嵌に使用されたりする。

・シッソー             Sissoo            Dalbergia sissoo

産地:インド
脂分が多い為接着性は悪いがその分光沢がでる。ローズウッドと近縁ではあるが、色調は殆ど似ていない。加工の粉で皮膚炎の恐れがあるので注意が必要。


私が思い浮かぶ物、一覧としてはこれくらいでしょうか。
商業的な取引がされている樹種の中で、入手可能なもの(絶滅危惧種のブラジリアンローズは除く)はこれくらいでしょう・・・


といっても、一般的に流通しているこれらの樹種を見ても、正確に同定するのは難しいので、やはり、きちんと表示し木材の事をわかっていらっしゃる方に相談して購入するのが一番だと思います。

どの木材が偽物・本物というのではなく、自分が木目や加工性、その他の特色をどれだけ知り、愛着を持てるかどうかだと思いますし、何を選ぶにせよ、熱帯産広葉樹には変わりありませんので、資源としてより大切にしないといけないことは当然の事ですね。


この記事を通じて、似た木材の違いについてや疑問の手助けとしていただいて、正しく木材を選ぶときの一助となればと思っています。


補足として、下記はローズウッド・紫檀として取り扱われていますが、細かいところで言うと上記の仲間ではないとされていますので、参考にあげておく事にします。


ローズウッドと称されるもの達














左から、サントスローズ、パドーク、紅木紫檀、パオロッサ

      和名           英名            学名

・紅木紫檀(こうきしたん) Red sanders  pterocarpus santalinus

産地:インド南東部、スリランカ
別名レッドサンダーまたはサンダル紫檀。米檀、赤檀と称される事もある。昔は日本では拍子木に使われていたこともあったそうです。他には他のローズウッド類同様、家具やキャビネットとしての用途があります。現在ではかなり入手困難です。
水の浸出で蛍光色を発するサンタリンという色素が出る。


紅木紫檀(こうきしたん)



 かなり深紫色が強く、デジカメではとらえづらいところがあります。








・サントスローズ           Santos rosewood   Machaerium scleroxylon

産地:南米北部
別名モラド、またはパープルウッドやボリビアンローズ。単板(たんぱん)化粧合板用つき板(板を薄くスライスしたもの)や、装飾用材、工芸品に使用。

パドーク(又はパドック)    Padouk            *1  Pterocarpus soyauxii
                               *2 Pterocarpus dalbergoides

産地:カメルーン、ナイジェリア他アフリカ、アンダマン
乾燥してからの寸法安定性が良く、店舗のカウンターや内装材として利用されてきた。鮮烈な赤色をした材色が特徴。染料としても利用される。かなりの大径木になる。カリンの代用材とされる場合が多く、タイ産のものは英名Pradoo(プラドゥー)。
*1はアフリカンパドーク、*2はアンダマンパドーク、新山紅木。別にインド紫檀と通称されることもあるものは学名Pterocarpus indicusであるナーラ(又はアンボイナ)と呼ばれる樹種。色調により、イエローナーラとレッドナーラに分類されることもある。

・パオロッサ            Paorosa       Swartzia fistuloides

産地:中央・赤道アフリカ
別名パオローズ。パドーク程ではないが、濃い赤褐色を呈する。美しい木目も特徴の一つ。

・アフリカンローズ(写真なし)
学名:Pterocarpus erinaceus


補足の補足・・・・・・・・・

その他利用されているローズウッド樹種としては以下があるようです。


・アフリカンブラックウッド

学名:Dalbergia melanoxylon 
この木でつくられたものは音がよく、また複雑な加工をうけつけ、高温にも耐えるため楽器としての用途が多い。特にクラリネットには最適だそう。その他チェスの駒や飾り箱の材料とされている。

・ブラジリアンチューリップウッド

学名:Dalbergia decipularis 又 Dalbergia frutescens 
Pau rosa又Jacarandaとも称される。チューリップウッドとついているが、一般的にいうチューリップウッドの類である「アメリカンホワイトウッド 学名:Liriodendron tulipifera 」とは混同しないようにしたい。アメリカンホワイトウッドは日本の朴の木などと同じモクレン科の木材で、イエローポプラとして流通している。

もう、ここまでくるとホントに大学か研究室の研究課題のようですが、なかなか流通名や通称名ではわかりづらかったり混同されたりするので、今回は少し硬い話になりました。
誰かの役にたつのかなぁ・・・・・こんなコアな話・・・



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「よく似た樹木」にムラサキタガヤの写真を追加


以前記事にした「よく似た樹木-タガヤサンとパンガパンガ、ウェンジの違い」にムラサキタガヤサンの写真を追加しました。


ムラサキタガヤ 1
ムラサキタガヤ 板目拡大















これも、タガヤサンの名前は付いていますが、本タガヤサンとは違う種類の木材です。
詳しくは上述の記事を参照いただきたいのですが、実際はとてもよく似ていますし、「ムラサキタガヤ」といわれると言葉通り「ムラサキに発色しているタガヤサンのことだ」と思うのが普通です。


本タガヤサンとムラサキタガヤの比較


 本タガヤとの比較。

 確かに似ています・・・








ただ、木材の場合は「○○タガヤ」とか「●●ウォールナット」などという場合は、似た樹木を塗装したり、名前を似せて販売している場合がほとんどなので、注意が必要です。

その辺を勉強していくとそれぞれの個性などもわかり楽しいところでもあるのですが、逆に木材をややこしくしているところでもあり複雑ですが、やはり表示はきっちりとするべきですよね。

また機会をみて、他の似た木材も紹介していきたいと思っていますので、ご期待ください。






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