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木まぐれコラム

無礼な想いもその躯ゆえ 〜伊丹のケヤキ〜

前回までのケヤキ特集を締めくくるのは、ケヤキ特有の大きさを主張するのではなく、少し失礼な想像を膨らませてしまうほどの特徴を持ったケヤキの巨樹、伊丹のケヤキです。

私がいる西日本では、ケヤキといってもそんなに巨樹のイメージは強くないと思われます。
もちろん、建築に精通している方は社寺においてのケヤキの用途を見ていると、大きな木であることは想像できるでしょうが、巨樹というイメージではありません。
もちろん、大阪府にはケヤキ巨樹の西の横綱である「野間の大けやき」が存在するんですけどもね。
訪れたことのある方は、その大きさを想像するかもしれませんが、それ以外ではそんなに大きい印象はないはずです。

そんな理由からも、ケヤキと聞いても巨大な印象をもって逢いに行くことはないのですが、この伊丹のケヤキはそんなサイズの事ではなく、材木屋としての視点で眺めてしまうケヤキでした。
その理由は一目瞭然。

伊丹のケヤキ2


見よ!この大きな瘤を!

前回の最後で、ケヤキの大きな特徴である「玉杢」を紹介しましたが、その玉杢がうまれるのは、こういったこぶの部分やそれに似た皮のふっくらと膨らんだ部分なのです。

そのため、もしやこのケヤキを製材して板や盤にしようものなら…というような想像をしてしまうのは、ケヤキの美しい杢を知っている方なら当然のこと・・・?!

もちろん、専門家から見ればこれくらい大きな瘤の場合は、前回の写真のような美しい杢は出ないかもしれないことを懸念されるでしょう。

伊丹のケヤキ3


板などの木材にした場合に、きれいな杢がでるものの多くは表面には大きな瘤はなくとも、皮の下側にひっそりと膨らみがあるものに、美しいものが多いと聞きます。

以前に自分で製材したものもそうでした。
ふくらみが大きすぎて大味な木目になったことと、外側、つまり木部のほうではなく皮の方が膨らんでいるために、板のほうにきれいな模様が出にくかったのだと思います。

必ずそんな法則ではくくれないでしょうから、一概には言えないでしょうがそんな目でも見てしまいますね・・・
罰があたるような気がします。
視点を変えましょう(汗)。


今回のケヤキシリーズでも触れた様に、現在のケヤキは街中に近いところで街路樹や公園木として見られる事が多いですが、元々は水辺に近いところを好む樹種。
そう考えると、この伊丹のケヤキは自分の生育環境にピッタリの場所に降り立った、稀有な巨樹なのかもしれません。
もちろん、その後の成長に関しては、さきほどの瘤が語るとおり、苦難があったのでしょう。

伊丹のケヤキ7


すくすくとまっすぐに育つというよりは、気候なのか虫害なのか、若しくは人の手によってもたらされた外傷によるものか?!
理由はわかりませんが、素直な通直なケヤキとは全く異なっているのは確かです。

ケヤキは建築材として優秀な理由のうち、幅広な木材を産出するという点もありますが、それに関してはスギクスノキなど他の樹種でも見られないことはありません。
しかし、それよりも広葉樹にとっては難しい条件となる「枝下が長く、通直な材がとれる」ということがとても優秀な点でしょう。
タモも同じく。
タモアッシュ)は神話で語られるほどの樹高の持ち主ですが、枝下が長いので昔から長尺用途の建築に使われる広葉樹としては、とても重宝されました。

またまた建築用途の木材としての見方に戻ってしまいますが、やはり木材として優秀であってこそ、樹種の中で冠たる扱いをうけるわけで、確固たる地位と名誉を得てきた理由となっているはずです。
旧家や日本家屋の民家などでは、300mmを超える様なケヤキの節なし大黒柱が6mを超える長さで家の中心にすわっている。
そんなところがまだ各所で見られるはず。

それが広葉樹の雄、ケヤキの姿です。

ですが、今回の伊丹のケヤキはそうではありません。

伊丹のケヤキ6


幹はボコボコ、枝葉旺盛に広がり、枝下はお世辞にも長いとは言えません。
訪問時は冬だったために、その葉を全て落としていたので姿がはっきりと見えていますが、もし葉がついていたらもう少し全体のボリューム感があり、余計と「低い傘」形状を感じたのではないかと思います。

当然、樹木は成長に余計なコストはかけないだろうし、余計なことはしないはずなので、写真の様に開けた場所で川もすぐそばであれば、上長成長は必要最小限で良かったのかもしれません。


伊丹のケヤキ8


そういえば、以前に紹介している独特な形?を持つ「木の根橋」も川べりでしたね。
同じ様な条件で成長出来たのかもしれません。
あちらも樹高はそれほどでもありません。
むしろ、その特異な根を維持するのに栄養を消費しているのかもしれません。
なにせ、土中ではなく川の上に「露出」しているんですものね。

この伊丹のケヤキの根は一体どうなっているのか。
そんな興味もわいてきます。

しかし、民家が近いとはいえ大枝や枝先が伐りとられているのは若干残念。
迫力も少し和らいでいる様に感じます。

そしてその影響かと思われる、新たな細い小枝が吹きだしています。

伊丹のケヤキ1


あぁ、そうか。
だから少し変な感じなんだ。
迫力を感じる幹にもかかわらず、どこか足りない様に感じるのは大枝が少なかったり、途中で失われていて若干不自然だから。

病木や枯れた影響かもしれませんが、全盛期?にはどの様な姿だったのか、想像してみると立派な姿も浮かんできます。
今後の成長がどの様になるものか、静かに見守れるような環境だといいのですが・・・


さて、ここでいつもの背比べ。

伊丹のケヤキ4

逆光、お許しくださいませ・・・(汗)。

やはり、こうして見ると葉っぱがほしい淋しさは否めませんが、独特の瘤をさすりさすりとしながらご満悦。
地表から湧き出そうになっているマグマだまりのような、エネルギーの塊の様なきがするその瘤に触れ、少し語り合った様な気になりました。


最後にここの地名、大阪に住むものとしてはとっても親しみを感じます。
それはお隣の兵庫県にも、その地名があるからです。
昔は大阪国際空港であった、通称「伊丹空港」のある伊丹市です。
どうしてもそれと重なり、関係の無い場所と思えないのは私だけでしょうかね・・・


伊丹のケヤキ9



伊丹のケヤキ所在地

茨城県つくばみらい市伊丹55近辺(小貝川対岸)

車通りの少ない道ですが、路上駐車になりますので邪魔にならない様に。



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今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

ケヤキの材の利用としては、箪笥、テーブル、太鼓の胴、火鉢、仏壇、表札、臼や杵、盆、道具の柄(枝)、薪、そして建築材としての大黒柱や梁などです。
それだけではないですが、とても多くの用途を持っているということです。

特徴的な橙色の芯材は水湿に耐えるといわれますが、白太はめっぽうダメです。
虫害甚大ですし、腐れの早いこと・・・
ただし、芯材に比べて軟らかいために辺材は曲げ木には適しているそうです。

樹高35m以上、直径が2m以上!!と超ド級の長尺大径木ですから、先ずは構造材としてほおっておかれるはずはありません。


ケヤキ11

美しい丸柱が並ぶ壮大な門。
京都の彼の地の建築物ですが、材木屋さんが流布する社寺歴史建築のお話はどうしても「ヒノキ」の登場回数が多いものの、ある時期からはこの様な巨大な木造建造物の構造材には多くのケヤキが使われてきました。
材としての強度の詳細研究では、いろいろとお話がありますが、この様な巨大建造物が多く残っているのも、ヒノキではなくケヤキの巨木が存在したからに他ならないのではないかと思います。

ケヤキ14


建築材としては、鋸の発達していない時代にはケヤキは硬くて割く事が出来ずに、多くは使用されなかったものの、鋸ができたことと大きな材が必要な時にはそのまま削り出しの柱や桁として使われたのが、社寺や城郭などの大径木使いの様です。
それよりも以前にも、ヒノキの建築においても大きな荷重のかかる部分などには、部分的に丈夫でめり込みにくいケヤキを使うこともあった形跡があるので、使い分けがされてきたということでしょうね。

古くは、それだけ大きなケヤキが林立していたのかもしれません。
それはヒノキも同じことかもしれませんが、日本の大径木の蓄積はどれほどのものだったのか、タイムマシンででも一度行ってみたいものです。
夢ですね、大昔の日本の樹林に行く・・・

(丸柱にも、玉杢が・・・・)

ケヤキ10


そして大きさよりなによりも木目が美しいこともあり、構造材以外にも化粧材の一級品として見える部分に多くつかわれています。

材質も重硬であるものの、切削加工などはしやすく、仕上げ面に光沢がでることもあり、広葉樹のなかでも特別な扱いを受けてきた様です。
そしてその光沢とともにケヤキの材の価値を高めるのは、その杢です。

針葉樹には一部以外に殆ど見る事ができないこの様な杢は、材の価値を数倍以上に引き上げ、ケヤキの地位を不動のものにしている大きな要因の一つに違いありません。

銘木として扱われるケヤキの杢は、樹齢数百年の木から生まれますが、昔は樹齢300年以下のものは銘木とされなかったと言われるほどに、ケヤキの優良木は多かったのでしょうね。
強度の必要な木材としては、300年未満
そんな300年以上のケヤキの老木からとれる杢というものの美しさはやはりいつの時代も特別なもの。
木材好きとしてはやはり魅了されてしまいます。


ケヤキ21


杢を含む優良材の産地としては、関東地方意外に宮崎県が良いと言われています。
長年の銘木商の経験と、それを裏付ける土壌や気候があるんでしょうね。


次回は、そのケヤキ優良木の産地である関東地方の茨城県(当方のある茨木市がよく勘違いされる・・・)の杢の出そうな巨樹(無礼な・・・)を紹介して、ケヤキ特集を締めくくりたいと思います。



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今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

えぇっと、今日で既に6回目を数えるケヤキ特集。
やっと木材としてのケヤキに触れていきたいと思います。

あんまり知られていないかもしれませんが、ケヤキはニレ科に属しているのですが、何とも皮肉なこと?に科目の名前を冠する樹種であるニレを差し置いてケヤキの方が有名になっている感はどうしても否めません。
ニレは、諸外国にも存在するため、伝説や神話にも登場するほどの樹木ですが、日本での認知度は物凄く低く感じます。
ケヤキのゼルコバに対して、ニレの「エルム」の名前も、物凄くカッコいいですしね・・・


北海道においては重要な樹種ですし、彼の地にケヤキが存在しないこともあり混同はされないことと思いますが、本州においてはどうしてもニレとケヤキは混同され、あるいは故意に混用されている場合があります。
その場合も、ニレという名前ではなくケヤキとして流通しています。
どうしてか・・・

それはケヤキの方が需要が遥かに大きいからでしょう。

特に床の間材料としてのケヤキの需要は大きかった(過去形・・・)ために、とてもよく似ているニレを代用されてきたことが一番大きなところです。

ケヤキ24
(写真はケヤキ材の一例ですので、本文そのものを指すものではありません。)

木材の世界には、代用材という考え方で、似た木材や仲間の木材を使用することが繰り返されてきましたが、仲間であるニレは着色せずともプロでも見分けにくい(見分け方を知っていないと)ことと、ニレ科であるケヤキですから、あながち間違っていないのかも・・・とも思いますが、やはり樹木としては別。

きちんと使い分けしていきたいものです。

脱線しますが、ケヤキの代用材としては塗装を施して用いられる栓(セン)もあります。
こちらは、「ケヤキ色」に塗装をされると殆ど見分けがつきませんが、栓自体の流通量が少ないために、建材としては殆ど見られることはありません。

建材としては、代用材が供給されるケヤキですが、無垢の木材としての地位は確固たるもので、江戸時代から植林のような事がされていた記録があるそうで、如何に大径木であるその材が賞用されてきたかがわかろうかというもの。
その貴重さから近代以前は、一般市民に使える材ではなかった為、明治時代などには裕福な家庭の建築や門などの一部につかわれていたそうで、おそらくその名残が、立派な和風建築の邸宅や日本家屋の建築様式、そして和室の設えに残っているのではないかと思います。

かの清水の舞台を支える柱もケヤキ。

今はまだ健在な姿ですが、将来の修復や取り換えの際にはやはりケヤキの長大木が必要になります。
その為、今から植林がされています。

けやき15


針葉樹の植林技術はある程度確立されていますが、広葉樹のそれはまだ確立されていません。
というか、広葉樹はその環境に適応する樹種が生えてくるもの、という一面から単一樹種を植林するというところまでなかなか進んでいません。
ただ、スギ林の中に育ったケヤキは良材で竹林に囲まれたケヤキは色合いが落ちる?なんていわれるもので、前者にて育てる植林試験もされているのだとか・・・


その大きさと音の響きで用いられる特殊用途の和太鼓の胴などもそうですが、やはり大径木のケヤキというのは育てていかなければいけない樹種の一つでもあるのです。


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今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

ケヤキを語るには、まだまだその素性について触れなければなりません。

本当は、かつての超高級銘木で、広葉樹の隠れた王様!というような記事に仕上がっていく予定だったんだけど、脱線というか材の素晴らしさはご年輩の皆さまには既知のことですし、現在の若者諸氏には「材木屋とケヤキの、昔はすごかったですよ説」にしか聞こえないと思うので、思いきって更に樹木として掘り下げますよ!!

樹木というのは生きています(当たり前です)から、その土地で生きていくための方策を色々と持っていて、それに加えて適性地というものもあり、樹種が同じであればどこで育っても同じ木、とはならないのが樹木の不思議なところというか当然でありながらも、ワクワクする部分です。

そういった違いがケヤキでも存在する様です。
前回、ケヤキの生育や住処について触れましたが、やはり街中にいていつも街路樹としてのケヤキを見ていると、水分の多いところを好むという性質は想像しがたいものがありますし、印象は少し違ったものの様な気がします。

ケヤキ1


堂々とした風格のある出で立ち。
そんなイメージを持ちたいところですが、街路のケヤキたちの多くは地面上2m足らずほどで幹が分岐していたり、銅吹き芽のような小枝が多く出ているものが目立ち、どうしても木材でイメージするケヤキとは程遠いものです。
生育する場所や環境によっては、黄葉や落葉のタイミング、そして種子散布の方法まで違うようです。

そうすることで環境に適応して、種を保存する。
通常の生育地ではそのまま種子をまくことができる状態でも、ほかの場所ではやむを得ず違った環境に出向いていかないといけない時もある。
そんな時に、葉っぱをつけたまま種子を飛ばすそうです。
プロペラ代わりに・・・

いっそのこと、楓のように種子をプロペラ状にすればいいのに・・・というツッコミはやめましょうね。


しかしこれらもやはり、生育に適した土地ではないことが関係しているようです。
ケヤキが育つのに適した場所ではなく、人の都合で樹種の特徴だけを利用して人の都合に適した場所に植えられている、といった方がいいのかもしれません。
もちろん、街路樹などは人の都合100%のものですから当然ではあるものの、やはり本来あるべき姿ではない、ということを考えると心苦しいところもあります。

ケヤキ18


やはり材木屋としては、こんな迫力のあるケヤキが本来のケヤキの姿。
いかにも力強く、頼りがいがあってしっかりとした存在感を示してほしいもの。
そしてここから、立木での勇壮な姿を想像できるような、そんな存在であってほしいと願うのです。

あ、そうか。
それも人のエゴか・・・

ということで、次回はやっと材木屋らしくケヤキの材質と木目のお話にうつれそうです(汗)。


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ケヤキの名は地名の他にも、「ケヤキ通り」や「ケヤキ台」、「ケヤキ坂」などという様に、ケヤキの植栽と共にその場所に冠される場合が多く見られます。
若い人にとっては、樹木のケヤキよりもアイドルグループの名前で思い浮かべる方がおおいのかもしれませんね。

ケヤキ23


欅坂46。
こちらの名称の由来は不明(もちろん、グループの知識も乏しい、、、オッサンになったなぁ・・・・・)なのですが、街路に植えられる樹種としても多くみられるケヤキ。
排ガスなどの汚染にはそう強くは無いそうですが、樹形が良く高木になり成長も早く剪定に耐えるという性質と、比較的深根性であることから耐風性も期待されての植生の様です。
ただ、近年の街路樹問題(落ち葉や堅果の落下)の中にも勿論入っていて、期待よりも大きくなりすぎる事が懸念されています。
ケヤキの都市型植栽木としては、直立性が高く選定不要の、枝が広がらない性質を持つ、「ムサシ1型」という種があるそうですが、それにしても、以前にお伝えしたプラタナスと同じように、人間の都合で期待されたり懸念になったりと、少し申し訳なくなってしまいます。

ケヤキ5


さて、後先になってしまいましたが、ケヤキは植物学上で言うと「ニレ」の仲間です。
北海道以外の本州・四国・九州地方に広く分布している樹木で、日本にはケヤキ1種、世界には5種(中国に2種)存在すると言われています。
各地で県木に指定されていて、宮城・福島・埼玉の各県の木がケヤキです。
関東以北に多いのが印象的ですが、私が巨樹巡りをしていても関東から北には集中的にケヤキ巨樹ばかりという地域もありますから、県木に指定されるのも理解出来ます。

広葉樹というのは、ヒノキやスギなどの仲間の針葉樹にくらべれば、地球に登場するのは遅い方ですが、ケヤキ自身は白亜紀位から化石が見つかっているそうですので、地球上では相当な古株広葉樹の様です。

ケヤキ8

(これはケヤキか・・・?!)


その時代から進化しているのか、それとも進化せずともその大きな体を維持し続ける秘訣があったのか・・・

樹木として考えた時には、ケヤキは高木になりますし背が高いということは、種のついた枝がとばされた時も、葉っぱがプロペラの様な役割を果たして遠くへ飛んでいくことができますから、種としては有利だったんでしょうね。

現在ではケヤキは街の樹のイメージですが、元々は水辺に近い肥沃で水はけがよく通気性が良い、開けた明るい土地を好む樹種といわれるので、そこまで飛んでいくことができれば、早く大きく太く育つことで競争を生き抜いてきたのかもしれません。

そう考えると、太いパイプ役の組織を持つ環孔材であるケヤキは、大きくなるのに水が必要⇒太いパイプがある⇒大きくなれる、という理想的な体をしているのでしょうね。

ケヤキ25


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ケヤキの由来について少しわかったところですが、もう少しだけ名前について続きます。
ケヤキは古くは「ツキ・槻」と称されていました。
これは「強木」が転じたものではないかとの事ですが、確かにケヤキは針葉樹に比べても、また広葉樹の中でも硬質な木材ではありますが、それ以上に木材利用の世界においては「ケヤキとツキ」とでは、大きな意味合いの違いを持っています。


ケヤキ22


様々な考え方がありますが、意味合いとして優位なのはやはりケヤキの方。
まっすぐ育ち素直であるという評価があり、材質としても優秀である区別として赤ケヤキや本ケヤキといわれるものを含むのがコチラ。
それに対して、青ケヤキ(青木)と称されるものをツキと区別している場合があり、材質も若木で粗いものや大きくなっても芯材部分が青みがかっていたり、色の薄いものを指している場合が多いようです。
樹形としても、癖があり枝が広がる(幹分かれする)ものを称するので、木材として使いにくい、ということを指していたのでしょうかね。

先日、前回の記事を見ていただいた旧知の銘木屋さんから、こんな歴史のあるお話を頂きました。
岩手県の長安寺の山門の新築にあたり、藩の決まりでケヤキ(を含む数種が)禁制だったにもかかわらず、ケヤキを使用されていたそう。
もちろんそれがみつかり、分不相応ということで建築中に取り壊しの命が下ったそうですが、尋問に対し機転をきかせた住職は「あれは、ケヤキではなく、ツキの木でございます。」とし、尋問の難を逃れたのだとか・・・
それでも、建築には「以後山門工事に手を加えてはならない」という条件付きとなり、扉がつくことの無い山門として現在に至っているということ・・・

う〜ん。凄いお話。
素晴らしい住職。
尋問というより、拷問だったのではないか?!ということも文献には書かれていますが、それでもその山門工事のケヤキを守ったというのは、素晴らしいですね。
話かわれどある意味、兎の数え方と似たようなお話ですが、そのような言葉の置き換えや見た目のイメージなどが、多くの名称に大きな影響を与えてきたという、一つの例でしょうね。
付け加えると、その山門は今でも残っているそうで、実際に使用された木材はというと・・・・・今で言う本ケヤキ、とっても良材の糠目のケヤキだそうですよ!!
余計と萌えてきます(笑)。


さてツキは、ケヤキの変種であるという説もありますが、もっぱらコアな木材の世界では上記の様な区別もあるのです。
そんなツキですが、やはり古語としての意味合いが強く正倉院の宝物にも「槻弓」なるものがあり、ケヤキ単材の弓であると解説されています。
木材利用の面においては、どうしても材の優劣や性質の差を語る時には別名であったり、古語が用いられることがありますが、それらの意味を正しく知ることでその物を深く知るきっかけになると思いますので、知っておくことはとっても大切だと思います。

いや、自分がそういったお話を知ることが好きだということももちろんあるんですが、そうやって知っていくと、街中でも気づきがあるわけで「あぁ、そうか!」という場面に遭遇します。

ケヤキ26


私に身近なところでは、当地のお隣である高槻市!!
ね、槻が入っています。
材木屋になって、ケヤキの事を勉強するまで知りませんでしたが、やはりこれも一部ケヤキである大木の槻の木に由来する(高槻市ホームページ)との記述があります。
もちろん、伝説上のお話も含まれているようですので、寓話かもしれませんがそれでもきちんとケヤキと思しき木に関わるお話ですから、これも「槻=欅」をしらなければたどり着かなかったお話。

歴史ついでにいえば、現在でも銘木として材になって残っているものの一つに「春日局欅(かすがのつぼねけやき)」があります。
あの、徳川三代将軍の乳母である、春日局の御手植えであると伝えられてきたケヤキですが、枯死の後に伐採され現在でも展示されています。
植えるにあたってどうしてケヤキだったのかは不明ですが、およそ310年ほどの樹齢だったようで、見事な色合いと木目を誇っています。


ケヤキ20


ケヤキはそんな時代から、重要な広葉樹としての地位を築いていたのかもしれませんね。


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今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

では、本格的にケヤキを掘り下げていきたいと思います。

建築に明るい人や、社寺に興味のある方などはケヤキの事を御存じの方も多いと思いますが、今では一般的な材木屋さんでも扱うことが少ない樹種ですので、深くは知られていないことと思いますので、深ぁ〜く見てみる事にしましょう。

ケヤキ 和名表記 欅
英名表記 zelkova
学名表記 Zelkova serrata

和名表記の木偏に旁部分の擧が、手から構成され両手で持ち上げる様を意味する事が、その大きな樹形を現しているといわれること。
そして、その持ち上げるという様子が、「ささげ物をする様子」を現すと考えられる事から、社寺建築において神仏にささげるという意味合いを含めて、社寺建築にはケヤキが多く用いられている、といったことも言われます。

ケヤキ7


ただ、後者は木材としての単純な強度であったり、大規模な木造建築においては長大な木材が必要なところを、用途に応じて集材できたのがケヤキであった、ということが関係しているのではないか、と思われます。

それにしても、漢字や語句には深い意味合いがあるもんですね。
そして、ケヤキという言葉自体は「けやけき=際だった木」というのが語源のようで、確かにその大きさや材の用途、美観的な木目などの際だった木材としての要素を現しているんだそう。
そう思ってみると、より一層ケヤキの偉大さが実感できてくるのではないでしょうか?!


さて、英名と学名に含まれる zelkova はギリシャの地名の Zelechova または Zelkoua に由来する説とコーカサスの地方名Selkwa に由来する説があるそうですが、欧米には日本のケヤキ自体は存在しないということで、英名でも keaki が通用すると聞いていたのですが、学名の由来が日本以外のものであるというのは非常に意外な気がします。
(コーカサスケヤキという、低木があるらしい。また、台湾ケヤキは同一の物だというお話もあるようですが。)

それらとは別で数年前に、輸入品で入荷していた「中国欅」というものがありました。言わずもがな、橙色の「ケヤキ色」に塗装されていました。
どう見ても、日本のケヤキとは異なる木目なのですが、中国のケヤキだと言われていました。
調べてみると、中国欅は日本で言うところのシナサワグルミという樹種で、ケヤキとは異なるものでした。
ケヤキの中国名は光葉欅と記載するそうなので、やはり別種でした。
日本でのケヤキの知名度に乗っかった商品だったのかと想像しますが、木に詳しくない方だと、ケヤキだと言われてもわからなかったでしょう。

ケヤキ2


種名の serrata は葉っぱの縁のギザギザである鋸歯という部分を現しているそうです。
鋸歯は様々な広葉樹に見られますが、種をみわけるのに有効なポイントです。しかし、ケヤキの葉っぱはその巨体に似合わずに結構可愛らしいので、鋸歯といわれても、あんまりピンときませんね。

特に、いつもはその力強い幹にばかり注目しがちなので、葉っぱにはなかなか目がいかないんでしょうね。
葉っぱに目がいくといえばやはり黄葉の時期。
「両手を広げた様に」大きな広がりを見せる枝ぶりに美しく光る、小さな黄色と赤茶色のコントラストは、秋風を一層ロマンチックに感じさせてくれるに十分な視覚的印象を与えてくれます。

ケヤキ9



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今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

無垢フローリングの樹種の中で、いつの時代も不動の人気を得る広葉樹といえばもちろん、ナラオーク)です。
雄々しくはっきりとした木目は、諸外国の家具を始め様々なものに加工され愛用されていますし、日本でも建築のなかでもとても有名な樹種であることは間違いありません。

リフリーオーク通常 3


しかし、日本の針葉樹の中で優秀だと言われるものがヒノキだとすると、広葉樹の中では、ナラではなく「ケヤキ」ではないでしょうか。

ケヤキ6


ケヤキという文字をみて、「え?!どうして?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに。それほど、近年では身近ではなくなってしまった広葉樹であると感じるものの、だからこそ、日本の広葉樹の中でも一級品であるケヤキのなんたるかを、今見直そう!というわけです。(そんなに大袈裟なことではありませんけど・・・)


私がまだまだ未熟な頃には、ケヤキといえば高級樹種のトップクラスで、特に和室の床の間周辺には定番の樹種でした。
日本様式の建築においての門やその門板にも多く使われていますから、やはり和風のイメージが強いのでしょうか。
一級品の大径木であるケヤキからは、直径1mを優に超える木材を産出することが出来るので、一枚板として多く流通している数少ない日本の広葉樹です。


ケヤキ16


それなのに、若干橙色を呈するその色合いや逞しすぎる?!木目が時代の趣向に合わなくなっているんでしょうか。
近年、身近ではその人気の片鱗すら感じる事ができなくなって、残念な限りです。
ナラもとっても素晴らしい樹種ですが、往年の名選手ケヤキも実は身近だった樹種なんだ、ということを見なおしてもらう特集としていきたいと思います。


ケヤキ23



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夏なのに、春の杉?! 〜信仰と山と植林と 神々しい巨躯 春埜杉〜

夏になると、暑いというのは勿論ながらも7月の時点で気温40度を記録するところもあり、酷暑の年となりましたがそんな夏にお届する巨樹は「春の杉」なのです。
夏なのに、春の杉・・・これいかに・・・・


杉の巨樹は全国いたるところに存在しますから、単純な太さや樹高ではなく、出会った時の出で立ちや樹形などが見どころになる場合が多いのですが、今回の「春の杉」はそれら以外の存在感も見どころではないかと思う杉の巨樹です。

早速ですが名前のネタばれをしますと、巨樹の所在地が静岡県の春埜山ですので、「春埜杉」というのが正式名称です。
銘木によくみられる「杢(もく)」という字に似ているために、無意識に目をひく漢字でもある「埜」が使われていることもあってか、訪れてみたかった巨樹でした。
場所を調べてみると、結構な山あいに位置している様子だったので、時間に余裕を見て早朝から出向くことにしました。


しかしながら、そんなパターンの時はいつもとっても道が細いところや、行けども行けどもたどり着けなさそうな道の場合が多いのですが、今回は全く逆。
物凄く走りやすい!
静岡県(天竜区)で驚いた事は、急峻な山から想像する以上に林道が整備されていて、道幅が広く綺麗でとっても走りやすいということ。(私にとっては・・・)
今回はお目当てに行くまでも、いつも以上にリラックスして向かうことが出来ました。

とはいえ、曲がりくねった山道を走り続けて春埜山の山頂へ。
大光寺の広い敷地内の駐車上に到着し、目的地へと少し歩いて下ります。
境内に入るも、それらしき姿が無い・・・ときょろきょろしていると山門の向こうにそれらしき姿が・・・・・

春埜杉 10


おぉ、あれこそまさしく・・・


山門の先に見える堂々とした姿で立っているこれこそ春埜杉。

春埜杉 2


境内からだと山門から階段を下りて行った場所が丁度、春埜杉と対峙出来る場所になるのですが、おこがましくも少しの間は高いところから眺めさせてもらいます。
というのも、階段を下りていくと春埜杉との距離は近くなるものの、全体像を見るには近すぎるからです。
迫力は、離れていても十分に伝わりますし、枝を力強く伸ばしていることで、離れている事を感じさせないということもあります。


春埜杉 12


本当は写真にもその全体を写し込みたいところですが、春埜杉の周囲には立ち入ることができないこと、それに登山道になっている様な部分にも柵があるので、無理に山の斜面の方へは出ていけませんので、カメラアングルとしては不満が残るのは仕方の無いところ。

とはいえど、やはりスケール感を出すためには少し離れた部分からの様子をおつたえしないといけません。
ココまでの写真でも、実際に訪問した本人としてはとてもスケール感がつたわるものの、写真単体として見るとなると、比較物がないからなのか、どこかすこし大人しく見えてしまいます。
ということで、少しづつ近づいてみましょう。
山門をくぐり、いざ春埜杉の膝元へ。

春埜杉 1

山門からの階段を降り切ると「御神木」の石碑と共に、御賽銭箱のあるお社。
そしてその向こうに春埜杉を見上げる格好になります。
先も書いている通り、本当はこの写真の向かって右手にもう少し廻り込みたいところなのですが、いくことができず、全体を移そうにも微妙にお社がかぶってしまい、肝心の根元の部分が途切れてしまう・・・

うーん、贅沢は言えませんが立派なだけに、ちょっと残念。
柵を乗り越えて近くへいきたい思いにかられながらも、ベストポジションを探すのですが・・・
結局、近寄れないために今回は大きさ比べの「昌志スケール」はおあずけです。


春埜杉 4

どうしても、石段から全体像、という構図になってしまう。
それもいいんですが、やはり迫力が伝わらない。

どうしてそう思うかというと、私は難なく自動車で訪問し汗をかくことなく、この有難い姿を見上げているものの、交通手段が整備されていない時代には、1000mに満たない山とはいえども麓から相当な覚悟で登ってきた末に、この春埜杉の姿を見上げたことだと思います。
そう考えると、今自分がたっている場所と眺める景色とはまた違う景色がある様に感じられ、写真では伝わりきらない迫力を、なんとか少しでも伝えたいという気持ちにさせていたのかもしれません。

静岡県、天竜区は以前にも研修でお世話になっている位に、林業が有名な土地柄ですので、古くから人が山に入っていたことが伝えられています。
しかし、それは私たちが想像する現代の林業の為の山との関わりとは、少し事情が異なる様です。

春埜山の西に位置する秋葉神社の巨樹群である「秋葉杉」によれば、天竜区においての植林は、単なる林業としての植林ではなく、信仰の対象として植えられていたと伝えられていることと、春埜杉と同じように急峻な山の山頂付近にも関わらず、巨杉がボンボンと聳え立っている様は、山を見る尺度が、単なる「木材生産を目指す」林業という言葉だけではない人と山とのかかわりを、意識せざるを得ない様に感じました。

春埜杉 11


植林の正式な記録としては、そうは古いものは残ってはいない様ですが、この地域の人々は相当古くから、この急峻な山々の「巨人たち」に信仰の心を抱いていたことは確かでしょう。

春埜杉は樹齢およそ1300年といわれ、大光寺開山の際に「植えられた」杉だそうですが、それにしても、人がこの山あいにまで足を延ばすことが出来るようになった時代に出会ったこの姿は、その人の目にどう映ったのか・・・
今の私では、その衝撃を推測することはできません。


春埜杉 8

それにしても、迫力はすごい、本当に神様みたい。

苔を抱いたその巨躯と、不規則につきだした大きな枝、遠目では整っている様に見えるものの、実際はゴツゴツとしたその幹。
見れば見るほど、特別な存在に思えてくる。

それは、おそらく訪問時の早朝は少し肌寒く感じる季節で、気温差によって少し靄の様なものがかかっている中、のぼりはじめた朝日をあびる姿から、どこか神々しさを感じたからなのかもしれません。
下界を離れ、自分と春埜杉意外には何もない様に感じる空気。

いや、実際は春埜杉が従える杉達が茂っているものの、冷たく張りつめた空気が春埜杉の神聖さを私の肌に刻みこんでくるようでした。


そうです、朝焼けに輝きだすその姿は、まさに春埜山を納める山の主、いや山の神。
刻々とその姿を朝日に赤く染めていく様は、まるで天孫降臨。
目の前の神木に、神様が降りてこられている様に感じるのは、おそらく私だけではないはずです。



春埜杉 



春埜杉所在地

静岡県浜松市天竜区春野町花島22-1 大光寺山門下

駐車場、御手洗いあり


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嵐を呼ぶ稀少材の予感 アレルセ(チリ杉)

日本人は、昔から木材の用途や種類ごとの性質によっての使い分けにこだわって、上手に付き合ってきまたがそれとともに、単に木材という材料としてだけではなく、木目の美しさや質感もとてもうまく取り入れてきたと思います。

その代表が「杢」で、一般的な木材のイメージであるタケノコ状の木目とは全く異なる、様々な表情の木目を珍重してきたのですが、このアレルセもそうでしょう。
美しい杢がたくさんあります。その木目が存分に味わえる幅広サイズ、それが紹介のアレルセの別の特徴です。

アレルセ(チリ杉)7

なんと幅は広いもので90cmを優に超え、白太を含めると98cm程になるものもあります!
しかも厚みは18mm!!
木材の常識からいえば、よほどの用途(門の鏡板)などでなければこの様な幅広の板材を薄く製材することはないと思います。
皆さんも経験は無いですか?!
テーブル、とまではいかなくてもある程度の幅の木材を探していると、どうしても厚みが厚いものばかりしか見つからない。

お客様のお尋ねで、とてもよくあるパターンです。
そんなに厚みは必要ないけども、幅の広い木材が欲しい。しかし、それは木材にとっては矛盾する条件だったりするのです。
なぜなら、木材は薄ければ薄いほど反りのリスクが高くなる、ということ。

反りが出てしまうと、折角の幅広の板も使い物にならなくなってしまいます。
だから、出来るだけ反りを抑えやすい最低限の厚みに製材する、というのも理由の一つです。
(明確に、薄い板の用途が確立されていれば別ですが、近年では稀なので・・・)
そんな状況を考えてみると、やはりこのアレルセの18mm厚で980mm近い幅の材に、幅方向の反りが殆ど見られないというのは、如何にこの材が素直な性質か!ということの証明?!ではないでしょうか。

アレルセ(チリ杉)8


また桧に近い、という性質からか湿気に耐えるという性質があるために腐りにくいという特徴があります。
ということは、旧家の門板やお寺の建具材など、幅広の一枚物の木材でそれも薄い板として使う用途には、狂いが少なく水気にも強く、更に木目が良い一枚板という申し分の無い性質ではありませんか!
ということで、早速お茶室関連のお仕事に一つ使っていただくことになっていますので、どのような状態になるのか、とっても楽しみ。

さて、このアレルセという材ですが現在手元に残っているものは、建築用材としての輸入を前提として製材されているので、美しい杢が見られますが、実は地が他分野ではこの複雑な木目よりも、すっきりと通った「柾目」が求められる業界があります。
それは楽器。
アレルセの材については、だいぶん後になって知ったことですがこの材もやはり、稀少性と共に音の追及のなかでは、とても性質が良いらしく柾目がとっても珍重されているということです。
楽器の世界の柾目と、建築業界の柾目ではちょっと意識の違いがある、いや別物というくらいに異なる場合がありますが、やはりアレルセで求められているのも整列した細かな柾目のようなので、今回の幅広板では「正柾目」は難しそうです。
別の角材であれば、少しはとれるかも?!・・・

アレルセ(チリ杉)5


しかし、柾目にこんな模様がでるんですから、建築からすればとても魅力的なんですけどね。

アレルセ(チリ杉) 2


そんな超幅広薄板のアレルセ、活かせる人を探しています。
今まで倉庫で眠っていた材ですが、こんなに優良で魅力的なものを、そのまま活用せずにおいておくわけにはいかないと思います。

木材として、きちんと第二の人生を過ごしていけるように、是非あるうちに活用してもらいたいものです。
ただ、遠方には大きすぎることと薄板なので割れる可能性があるので、心配ではありますが・・・

とにかく、非常に珍しい樹種アレルセ(チリ杉)を活かせる方、お待ちしていますよ。


アレルセ(チリ杉)幅広板 薄物

・呼称寸法 2,1m 18×300〜980

・価格は寸法により、送料は地域により運送を確認する必要があります。


アレルセ(チリ杉)9




*)アレルセ(チリ杉)は輸入材の為、運送時のキズや割れ、その他がふくまれることがありますので、無駄の無い利用が出来ますようにお願いいたします。


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嵐を呼ぶ稀少材の予感 アレルセ(チリ杉)

さすがにもう最近は自分の事を若いと思わなくなりましたが、年齢を重ねるごとに若い時にはわからなかったことを多く感じるようになりました。
たとえば人との出会い。

知り合う事、紹介してもらう事、でくわす事・・・いろいろあると思いますが、全てがつながっているんだということと、出会うという事は偶然ではなく必然なんだと感じる事が多くなりました。
それは木材でも同じこと。

瞬間の出会いといえば、前回のとおり神代木もそうです。

ずっと会いたいと思っていても巡り合えない木材にひょっこりと出会えたり、全く縁がなかった木材が実はあの時の人との関係で自分のもとに、なんてこともあり、人生の深みを感じる今日この頃です。

さて、そんな中で嵐の予感さえも感じさせる木材との出会いが訪れます。
その樹種はアレルセ。別名をチリ杉。
やっぱり「荒れるぜ!」的な、もしくは「散り過ぎ」、のようなおやじギャグが吹き荒れそうなこの名前。
いや、本当に木目も荒れているのですよ。いい意味で。

アレルセ(チリ杉) 1


うぉぉ・・・
どうです、驚くくらいに良質な木目。
もう、この木目の時点でノックアウト。
広葉樹の特徴的な杢模様や変則的な模様も大変魅力的ではありますが、この針葉樹独特の年輪がもたらす芸術的な木目と不均一なリズムは、やはり相当高樹齢のものでしか見られない木目です。

それもそのはず。
このアレルセ(チリ杉)、樹齢は1000年を超え2000年をも超えるほどの長寿針葉樹なんですね。
杉で2000年という樹齢を考えると、必然的に思い出されるのは「屋久杉」ですよね。
こちらも数千年の樹齢を誇るものですが、その屋久杉に木目まで似ているのが、このチリ杉(アレルセ。以降はアレルセに統一。)。
そりゃ、樹齢が1000年以上にもなると通常の針葉樹とは異なる木目のものが多くなります。
例えば台湾桧や紅桧、ラオスヒノキなどもそうですね。

ここでヒノキがたくさん出てきましたが、実はこのアレルセ。
主な原産国であるチリの名を冠して「チリ杉」という和名ですが、仲間で近いのは桧なんだそうです。
それは英名の patagonian cypress でもわかるとおり、桧なんですね。
うっとりとしてしまいます。
その反面、もし日本に2000年級の樹齢の桧があればどんなだったかを想像してしまうのは、禁じられた想いなんでしょうかね・・・・


アレルセ(チリ杉) 4


いや、こんな素晴らしい樹種は桧であろうと杉であろうと、いいものはいい!
それに、こんな良質な杢の出る樹種を日本人がほおっておくわけもなく、当然古くは屋久杉の代用材として多く輸入されていたようですし、天井板などにも使われていた?ようなので、もしかすると意外と日本の和室に溶け込んでいたりするのかもしれません。

しかし、その当時とは異なり現在ではアレルセは簡単に輸入できないどころか、保護下におかれる代名詞であるワシントン条約に含まれている(それもかなり厳しい分類で・・・)ということで、「代用材」なんていう扱いのできる木材ではなくなってしまいました。

いつの時代もそうですが、木材では優秀な樹種には必ずじきに代用材が現れ、その代用材が枯渇もしくは値上がりしてくると次の代用材をさがす。
そんなサイクルが繰り返されてきましたが、このアレルセも屋久杉の代用材のはずが、現在では屋久杉よりも稀少?!な木材になってしまったということか。
しかし、ただ稀少というわけではなく、やはり優秀な木材だからこそ少なくなってしまうんですね。


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もう少し地松 皮むきの理由

前回は少し気味の悪い写真で終わってしまいましたが、先ずは現実を見ること。
それが大切。

今回、わざわざとこの時期に皮むきの為だけに山まで出向くことには理由があります。
それは、写真の様な「虫害」を防ぐため、です。

皮の下1


丁度倉庫に転がっていた過去のものですが、この様に孔があいてしまうほどに材を喰われてしまいます。
雨の滴のようにウネウネと筋がついていますが、こんな状態になっているともう木材自体も相当食害を受けています。

皮の下2

完全に貫通しています。
これは広葉樹の写真で、このようなケースばかりではないですが、原木を皮がついたまま放置していると様々な食害虫にやられてしまいます。
小さなものから大きなものまで、大小はあれども、大切な木材を穴だらけにしてしまうのですから、賤しくも商売上お金になるもの食い荒らされると非常に困るのです。
特に、今回の場合は長い時間の中で伐採から自然乾燥を経て、そのままの姿で住宅に納まるまで、を追う大きな企画ですから、こんな無残な姿にするわけにはいかないのです。


そしてそれとは別にもう一つ理由があり、これからどんどん温かくなるとともに雨が降るシーズンになってきます。
そうすると、温かくて湿度が高い状態が維持されますので「菌」の繁殖が盛んになるのです。
菌=カビです。

最近では、乾燥材の普及でほとんど心配はなくなりましたが、昔の材木屋はカビとの戦いでした。
今伐ってきたばかりやろ?!と言われるほどの生材(乾燥していない材料)の扱いが多く、気温が上がる今くらいから湿気も高まる梅雨から夏にかけては、在庫の材料にカビがつかないかどうか、出荷するわけでもないのに場所を移動させたり、通風させたりするために多くの時間をかけていました。

今では乾燥材が主流になり、一部を除き保管の上でのカビの心配など皆無に近くなりましたが、今回の地松の場合は、乾燥機に入れるわけでもないので、虫害とカビの両方から守らないといけません。
その為には、4月でこれだけ温かいと時間の猶予も無いわけです。

それに、根本的な理由としては皮と木質部分の間の部分(白太を含む場合もある)は、樹木の中で最も活発に活動している部分です。

皮むき2


成長の真っ最中であり、自分が生きていくための要素がたくさん詰まっているのが、皮のすぐ下の部分なのです。
樹木にすれば、菌や虫といったエイリアン達にとっても大切な部分を狙われているわけです。
(この部分、皮をはいだ直後はフレッシュな樹種特有のめっちゃいいにおいなんですけどね!!やっぱり、美味しいのかな?!)


自然界の生存競争は激しいのです。

とはいえ、立木である樹木を最終的に伐採して利用するのは人間。
そう言う意味で言えば、最大のエイリアンかもしれません。
そう考えると、かなり複雑な気分ですが100年かけて育った木材。きちんと寿命以上に使いきれるように、心がけていきますからね!!


皮むき1


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もう少し地松 皮むきのシーズン

少し前までは、山が雪で染まる「銀色のシーズン」の最終追い込みだったのですが、今年は記録的に早く桜が咲くほどの温かさのせいで、一日に10cm以上の勢いでスキー場の積雪量が減っていた為、今年は少し早目のシーズンオフということになりました。
本当に趣味のシーズンは短い!

シーズンオフ・・・


さて、ここでお伝えするのはそれではなく、もう一つこの時期に大切なことがあるのです。
それは、丸太の皮むき。
去る1月に行った伐採授業において伐り出した丸太を、綺麗な状態に皮をむいてあげるのです。


しかし、スキーネタを引っ張るわけではありませんが、今年は寒波で積雪が多かったので、スキー場では嬉しかったのですが、伐採授業近辺も大雪で、今回も皮むきに行く直前までは「暑いくらい」の陽気だったのに、直前に北関東中心に積雪のニュース。
どうも、今年は雪に好かれてるようです。
基、そんな気まぐれな気候に左右されながらも、先日伐採丸太の皮むき手入れに行ってきました。


皮むき3


皆さんの中には、木は伐採さえしてしまったら後は比較的簡単に木材になりそうだ、というイメージをお持ちの方はおられませんか?!
実は私、山に関わる前は漠然とですが、このイメージに近かったんです。
もちろん、勝手に木材になるわけが無いんですが、ある意味「流れ作業的」に製材に運ばれて製品になっていくようなイメージだったのですね。
木材市場に、製品が並んでいるのが当たり前の様に。

しかし、実際はそうではなく様々な経路を経て木材になっているということは、多くの見えない人の関わりがあるからです。
伐採をすれば搬出してこないといけません。搬出をすると運搬しないといけません。運搬すると保管しないといけません。
こんな感じで、たくさんの行程があるのですが、通常は一度にたくさんの木材を扱う事で各作業が効率的に流れているので、なんとなくいつも木材として身近にある様な気になるのではないかと感じます。

しかし、本当は今回のような皮むき一つにしても、20年ほど前は弊社の作業場にても大工さんが手作業で皮むきをしていたものです。
そう思うと、やはり普通に木材市場に並んでいる木材は手間がかかっているなぁ、と感じます。
とはいえ、今回はその手間を感じる為ではなく、この時期にしておかなければいけない理由があるのです。
それは、皮をつけたまま置いておくと、こんなことになるからです。


皮の下3


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その理由は 虫つかずと狼よらず 第二部「サカキ・榊」 2018年補足

以前に、その理由は虫つかずと狼よらず 第二部「サカキ・榊」、と題して神職の方にゆかりが深い「サカキ」を紹介しました。
皆さんも、御供え用に販売されているものをお花屋さんやスーパーなどで購入する機会もあると思いますが、木材として使われているところを見ることは非常に稀ですね。

今回は、木材としてサカキを使う、それもサカキと指定されている用途に使ってもらうために、お問い合わせを頂き先日、材を出荷させていただきました。
その用途は、前回の記事でもお伝えした通りの「笏(しゃく)」です。
一般的にはイチイ(一位)の木を用いられることが知られていますし、私も多くはイチイだと聞いていましたが、今回お尋ね頂いた神職さんによると、サカキも用いられるとの事。

サカキ1


サカキの謂れからすればまさにピッタリの用途。
しかし、普通はイチイを所望されるところを、どうして木材としてのサカキを使おうと思われたのか。
もちろん、それを伺ってみるとイチイも使われるものも、葉や枝が活用されているサカキの木材も神職様の用具として使いたい、という意向なのですが、もう少し聞いてみると知らなかったことを教えて頂きました。

本来笏は、木材の板目を用いるのが正式なんだそうです。
知りませんでした。
てっきり、素直だし薄くても反りは少ない「柾目」が好まれるのかと思っていましたが、違うそうです。

なんでも先入観はいけませんね。
ということで、サカキという細い木材で「柾目」ならば難しいなぁ・・・と思っていた不安は解消され、一つ勉強しましたので、サカキの記事の追記備忘録として記しておくことにします。

こうした古くからの所以があって使われる木材。
とても興味深く、本来の活用方法として活かすことができるのは嬉しい限りです。
まだ先の事でしょうが、遠方に出荷したそのサカキ材で出来た笏も見てみたいものです・・・・

サカキ2


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ちょっとだけ、カヤのお話 

やっとこさで前回、カヤの材質について迫ることができましたので、今回からは少しスピードを上げていきましょう。

特殊用途に絞ってきましたが、一般的なカヤの用途としてはヒノキなどで言われるのと同じように、水湿に耐えるために水気のある用途に使われるということと、シロアリの被害を受けにくいということ。
この二つはセットであることが多いものですが、これにも少なからず脂気が関係していることでしょう。
木材の持つ芳香成分は樹脂によるところが多いものですし、カヤが特徴的な香りを持っていることからも、樹脂分がシロアリの忌避に寄与していることを想像できます。
もちろん、完全な防虫効果ではないのですが有用な薬剤処理ができない時代には、住宅の土台や浴室材(今でも...)、風呂桶材という用途がありました。

カヤ4

そうです、シロアリつながりで虫といえばカヤの語源ですが、枝葉をくべて「蚊遣り」としたことから「かや」になったという通説があり、私も納得したいところですが、どうやら本筋は古名の「カエ(かへ)」が転訛したものだそうです。
前者のほうが、「あの香りのする材ならば、蚊遣りになるだろうなぁ」と納得できるいわれなのですけどね・・・

まぁ、真実かどうかというのはもちろん大事ですが、木の世界にはロマンチックな話も必要なので、「こういう言い伝えもありますよ」という話題作りには必須アイテムといってもいいでしょう。

名前ついでの因みに、漢字の榧は日本のカヤの種ではなく本来はシナガヤを指す漢字なので、少し用法がちがっています。
また、イヌガヤという樹種もあります。
カヤがイチイ科なのに対してそれはイヌガヤ科イヌガヤ属なので全く異なる樹種ですが、木材業界や植物の世界では、「イヌ○○」とか「ニセ○○」みたいなものはたくさんあるので、それを知っていくのも木の世界の一つの楽しみではあります。
そしてそして、なによりもイチイの英名が yew なのに、カヤの英名にはその言葉がなく、たいして全く科目の異なるイヌガヤの英名が japanese plum yew と称するのは、とっても不思議です。

それに、イチイはその木材の色合いと同じ様に、綺麗な赤色の実が出来るのに対してカヤはアーモンドのような無骨なのも、とっても不思議なところ。
材の華やかさといい、植物としての見た目といい、どこかイチイに引けを取っている様な・・・・
いや、それはそれで、植物たちの戦略の一つなのですね。
イチイは綺麗で美味しそうな「果実」をつけることで、鳥の気を惹いて少しでも遠くに自分の分身を運んでもらおうとしているわけです。
一つの地域にかたまって生存競争するよりも、さらに住み心地のより場所に子孫がたどり着くかもしれない。
それに対してカヤは、親木の近くに落下するのですから、生存競争としては有利とはいえないかもしれません。
しかし、たくさんの「アーモンド」をつけることで、動物に運んでもらったり、たまたま競争相手の無いところに行きついた場合には、そのアーモンドは着実に育つのです。
安定型の繁栄方法といえるでしょうか。
面白いものです。

さて、ここで珍しい大きなカヤの材を見て下さい。

カヤ1

なかなか立派でしょ。
うぅ、こうやってみると私のおなかの方が立派に見えるぞ・・・・
いかん、横向きはいかん・・・・

こっち向きで・・・・

カヤ2

ちょっと前に、なぜかカヤのテーブルが作りたい!!ということで用意していたものの相方です。
若干、節の影がでているところもありますが、とってもきれいな板です。
少し大きめのカヤで彫刻?その他の用途があれば、お声掛けください。

最後に、カヤは針葉樹にしては珍しく萌芽力のある樹種です。
広葉樹では、幹が伐採された後もそこから次が芽吹いてくる「萌芽」という状態を見られますが、針葉樹では珍しいのです。
主幹が無くなっても命を繋ぐ・・・
 soft (針葉樹)の中に、そんな hard (広葉樹的)な生命力を感じる樹木、それがカヤなのです。


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