空を見上げて
トップページ » 木まぐれコラム
木まぐれコラム

赤茶けた影のヒーロー、表舞台に 〜これからの主役か?! レッドオーク ぁ

いよいよ表舞台に上がる時代に入ってきたレッドオーク。
巷で見かけるようになってきた製品類にも、少しづつ見かけるようになってきましたが、やはりわざわざ「レッドオーク」と表記されることはありません。
今、一般消費者にとっては単純にオークという表記で十分なのでしょう。精密な加工や材の特性を生かしたものの場合の制作者にとっての名称の情報は大切でも、プロダクトアウトされたものにはそこまでは求められないからでしょう。

それでも世界の銘木「オーク」ですから、蓄積資源量が多く安定供給できる広葉樹としての存在は材木屋にとってもありがたいものです。
アメリカ広葉樹協会の公表データによると、世界最大の広葉樹製材の生産量を誇り、数年前のデータ上ではこの半世紀近くかけて、生産量が伐採量を上回ってきているという、まるで「どこぞの国」の人工林データのような理想的な森林環境を保っているとのこと。

硬質で木目も美しく、枠材のようなモール材などへの加工性がよい(海外ではこの用途が多く重宝される)素材が安定供給できるという性質は、これから求められる木材利用の旗艦広葉樹になるかもしれません。
肝心の材質としては、衝撃に耐えスチーム曲げに適するという性質から、日本でもホワイトオーク同様に椅子の部材としてやテーブルなどに使われ始めています。

BlogPaint

写真にたくさん積まれた板材をよく見ると、板の片方に「耳」とよばれる丸みがついているのがわかるででょうか。
片耳付き、と呼ばれる形状ですが、たまたまこの形になっているのではありませんよ。
丸い丸太を製材するわけですから、片方にこの丸みが残るということは、丸太の半分、つまりは直径方向にのこぎりを通した状態ではなく、さらにその半分の半径方向になるようにしているから、片方のみ丸い部分が残っているのです。

この状態の木材の表面は「柾目」という状態になります。
年輪の筋がまっすぐに並んだ状態ですね。
オークの場合は、板目と呼ばれる年輪がはっきりと見える状態に製材したものも多く使われますが、その場合は乾燥による割れや反り、曲がりに特に注意が必要です。
しかし柾目ではそのリスクを比較的減らすことができる上に、なによりオーク特有の「虎斑(とらふ)」が現れるために、このような製材にされるのです。
もちろん、割れや反りなどのリスクが低いというのは材質的に安定する製材方法ということになるのですが、そのうえで虎斑を楽しむことができるので、一石二鳥?!というところです。


レッドオーク13


毎度の比較になりますが、レッドオークはこの虎斑模様の元となる「放射組織」と呼ばれる組織の長さが短いために、私のような「木材マニア」にとってはホワイトオークやナラなどに比べて、模様が大人しい印象を受けますが反対にこの模様が「ミミズが這っているようだ」としオーク類を敬遠される方にとっては、ちょうどいいくらいなのかもしれません。
塗装性のよいレッドオークにとっては、この大人しい虎斑が塗装によって適度に浮き立ち、板目材にはない広葉樹特有の魅力を見せてくれます。

補足的に言うと、日本で製材されるナラ材の多くは標準的には柾目製材です。
用途他、いろいろな理由はありますが、やはり柾目材のほうが木材の性質的におとなしいために、割れや反りなどによる無駄を少なくできるから(というよりも、割れがとても出やすいため)です。
先の写真のトラックも、レッドオーク材を日本で製材したものですから、すべて柾目材になっています(^_-)-☆


前回までにお伝えしたように、数種以上の仲間が混在するレッドオークですから材による色の差が大きかったりしますので、比較的均一性を求められる日本においては、塗装用家具の素材としてのポテンシャルはとても高く感じます。(家具の場合は種類間で物理特性も若干異なるので、用途によって分けられている場合もあるらしい。)


今回入荷のレッドオーク柾目材は、すべて家具用材や枠用材として使っていただける予定です。
近いうちに、キッチンなのか家具なのか、それともドア枠材なのかで生まれ変わった姿に出会える予定です!

レッドオーク10

 
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

赤茶けた影のヒーロー、表舞台に 〜これからの主役か?! レッドオーク 〜

現在よりももっと木材資源が豊か?!というか、豊富に取引されていたころは、用途に適したものの中でも「杢や木目、色合いのよりよいもの」を選別して使うことができたからでしょうか。
レッドオークの用途としては、一つを除いては他のオーク材と変わらないのですが、それでも今まであまり使われてこなかった(特に日本で?!)理由の一つに、ナラやホワイトオークに比べて年輪様の木目が「若干黒っぽく見えるところ」が、妙な押し出しの強さを感じさせるからなのか?と邪推します。

レッドオーク 2


塗装を施しても、一層はっきりと色を感じさせる木目が、家具やそのほかの作品の出来栄えよりもめだってしまうからなのだろうか、と思ってしまいます。
もちろん、これは個人的な感想ですがそれでも、文献にも「他のオーク類よりも劣る木目」としていたりします。
材質や色合い、木目などを選別できる状態ではわざわざ「劣る」とされる木材を使う必要がなかった、ということでしょうか。
やはり「影の存在感」が否めませんねぇ・・・

そういったことからか、ホワイトオークやヨーロピアンオークが家具や樽材として賞用される中で、レッドオークはまさしく黒子となって活躍している場がありました。

全身を真っ黒に染めて活躍する場所。
それは枕木。
枕木というと、国産樹種ではクリが思い浮かびますが、ひと昔前の外国産材ではケンパスというカチンコチンな材がつかわれていましたが、そんな特殊用途にもオークが使われているなんて意外ではありませんか?

レッドオーク14


樽用材としては不向きなレッドオークですが、防腐注入などの加工をするにはかえって都合が良いようで、そんな使われ方もある様子。
また、硬質でもあるのでカシ類などと同じように、産地では農具や柄の材料となっていたようですから、やはり表舞台ではなく裏方としての活躍が多かったみたいですね。

特殊用途といえば、「棺桶」というのもあるみたい。
そういえば、日本のナラも100年ほど前に輸出されるときには、最高級の棺桶材として出されていたと聞いていますから、これも仲間の樹種での共通用途なんでしょうね。
オーク(なら)の棺桶なんて、贅沢というか豪華というか・・・

しかし古い書物のレッドオークの項には、「きれいではない単調な木目」という言葉や「材色の差が大きすぎる」などの表記がありますが、その文面からもあまり好まれなかったのかと推測することができますよね。


ただ、そんな表記も今は昔。
統計上の若干の強度の差や、木目の微妙な違いというものをさほど気にかけない(もしくは、そこまではわからない)消費者にとっては、レッドオークはとってもフレンドリーな存在で、入手しやすく高騰していない樹種でありながらも、しっかりと「オーク」であるその材は、まさに今からが旬!!

職人さんには大切な性質上の問題も、家具を購入したりその木目を楽しむ工芸品などにおいては、完成してしまえばホワイトもレッドもない「オーク材」として流通しています。
わざわざ完成品を眺めて、「これ、レッドオークやな?!」なんていう人間なんて、私の知っている中でもほんの一握りのマニアのみ・・・・・


これからは、レッドオークもその「赤」のイメージから解放されて、いよいよ表舞台に上がるときなのかもしれません。

レッドオーク15



 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

赤茶けた影のヒーロー、表舞台に 〜これからの主役か?! レッドオーク ◆

さて、レッドオークという木材ですが、その名前の通り材色も芯材部分がレッドなオークです。

レッドオーク7

レッド、といっても写真のように相当赤いわけではなく、材によってのバラつきがありますし、淡い赤色っぽいのもあればアカガシのようにしっかりと赤っぽいのもあったり、かと思えばホワイトオークっぽい灰褐色っぽいものもあったりしますが、全体的にはやはり赤っぽい色合いです。(ホワイトオークは白くはないですしね・・・)
レッドオークの中には「ブラックオーク」と呼ばれる種も混ざっているそうですから、この「カラー」を関するネーミングはどうも、突っ込みたくなってしまいます。
黒くないやん!!ってね、

そうそう、アカガシと名前をだしましたがレッドオークの木材関係の和名はどうも「アカガシワ」の様です。
私はその名の前に既にレッドオークでインプットされていたのですが、木材関係の書物にはアカガシワと記載されています。
あれ?!、オークはカシの木ではない、という事を散々言ってきたのに、ここにきてまた「オーク・ナラ」の仲間の樹種であるカシワの登場。
通称樹種名と言うのは、本当にややこしいものです。

とはいっても、レッドオークという言葉自体が正確な一つの樹種を表しているのではありません。
これは、ホワイトオークも同じことですが、数種あるいは100を数えるともいわれる近縁の樹種を大別したグループ(大きな差が少ない)を、総称しての呼び名です。
想像して下さい、SPFという3つの樹種が混在する名前を、正式な樹種名だと思う方もおられるような呼称があるくらいなので、レッドオーク位のくくりはかわいいもんかもしれません。
ホワイトオークやレッドオークを多く産するアメリカでは、そのような大別で木材が扱われるシーンが少なからずあります。

レッドオーク12
レッドオーク12


レッドオークの主なものの学名は Quercus rubra とされています。
しかしもちろん上記の様に、この他にも数種をふくんでいます。
主にはアメリカ東部や中部、カナダ東南部から産するといわれています。

オークの中では、日本のナラをはじめホワイトオークやヨーロピアンオークなど、いろいろな仲間がありますが、やはり影の存在。
その中でも評価は決して高くはありません。
同じオークと称され、木目ももちろん同程度ですが、上記の仲間よりも若干低めの評価が一般的です。
家具としての定番であるホワイトオークに比べてやや軽軟(とはいえ比重平均0,63)とされ、細かな細工部分に対する強度が劣るといわれることから、前者ほどの評価が得られないことが大きな原因かもしれません。

また、特徴的な赤っぽい色が受け入れにくいということなのかもしれません。
いや、色合いだけではなくて木目もやはりそれぞれに若干の違いがありますから、家具作家さんや木工家として感じる差は、材木屋が思うよりも意外と大きいのかもしれません。

レッドオーク11


 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

赤茶けた影のヒーロー、表舞台に 〜これからの主役か?! レッドオーク  


どんな世の中にも、表のヒーローがいれば裏のヒーローもいる・・・
平成の仮面ライダーシリーズに、主役ライダー以外のライダーが登場していたように・・・
(違うかな?!・・・なんで、ライダーが2人以上もでてくるの?!とか、悪ものっぽいのもいるやん!!と時代の変化に驚いていました。)


おかしな例えは置いておきまして、木材の世の中にも「同じ仲間なのに、有名ではないもの」や「ほぼ同じ樹種なのに、厳密な用途の違いと特徴の違いがあり、有名ではないもの」、または「有用材ににているものの、劣るものとして代用材という扱いをされているもの」が存在します。
そう、普段は光の当たらない影のヒーローの様に・・・

上記の中でも、もっとも私の業界で想像しやすいものはやはり「代用材」です。
有用で美しい、等という木材には需要が集中し資源量が減少したり、そうでなくとも価格が高騰したりすることはいつの時代も同じ事だと思います。
色合いや多少の見た目が近いことから、チークに対してのアサメラ、カリンに対してのブビンガなどは銘木業界では一時期の華だったでしょうし、それ以上に特徴を知らなければわからない「同科」での代用である「ケヤキニレ」や「タモホワイトアッシュ」などの代用もありました。
もちろん、同科でもないですが見た目が似ているものであれば「クワとキハダ」、「クリとタモ」などなど・・・


私が残念な理由で木材に目覚めることになったのも、この「ケヤキとニレ事件」でしたから、この似た者同士や代用材というのはいつまでたっても、とても気になるのです。
そんな前置きで始める今回の樹種は「レッドオーク」。
このレッドオークこそ、冒頭の「ほぼ同じ樹種なのに、厳密な用途の違いと特徴の違いがあり、有名ではないもの」にあたります。


レッドオーク 1


オークという名は、いろんなところで耳にすることでしょうし、世界中でも長年愛されてきた樹種であるし日本でも、家具やフローリングなどで大変ポピュラーな樹種です。
弊社でもカスクオーク幅広無垢一枚物フローリングを始め、清涼楢(せいりょうなら)幅広無垢一枚フローリング低光沢ウレタン塗装のリフリーオークフローリングなどを紹介していますから、印象深い方もおられることだと思います。

カスクオーク幅広無垢つなぎ目V溝フローリング施工11


ただ、それらは日本の楢(なら)であったり、種類を細かく分類すればホワイトオークだったりと、今回の本題のレッドオークではないのです。
フローリングのお話はもう少し後の回でするとして、オークという樹種に触れる上で先にしておかなければならないのはやはり、洋酒やワインの樽との関係でしょう!!
私にとって、その話題は避けては通れません。何度もこの話題は取り上げてますけども・・・

もっとも好きな木は何ですか?!と訊かれても困ってしまいますが、気になる木は何ですか?!と訊かれるとすれば、輸入材ならばオークと答えるでしょうね。(因みに、日本の木なら。近年自身が多く関わっていますからね・・・)
木目や材としての優位性はもちろんですが、そんなことはどうでもよくなってしまうくらいにワインや洋酒を想起させる香りは、それだけで心惑わされそうです(笑)

基、その私を惑わせる樽の材料としてのオークも、実はレッドオークは使われていないと言われています。
私は製作に携わっているわけではありませんが、これはきちんとした理由があってのことなので周知の事実です。
その理由というのがチロースという物質。

風船のようなこのチロースという物質が、オークの細胞の穴の様になっている部分を塞ぐことで、液体を貯蔵する用途である樽から、内容物が漏れることが無い為にオークが使われるとされています。
もちろん、それとは別の大きな理由の一つにオーク材のもつ独特の香りが、ワインや洋酒に芳しい香りづけをする、ということも忘れてはいけません。
これについては、いくら同じような木目と材色の木材であるクリであっても、日本の木材の雄であるケヤキであってもいけません。(日本のお酒の樽のお話はこちらを参照しましょう!)
もちろん、英名のオークを誤訳されている「樫(カシ)」でもダメです。
オークでないといけないのです。

レッドオーク 6

そしてその場合の「オーク」というのは、レッドオークを含んではいないのです。
というのも、レッドオークは先のチロースの発達が顕著ではないために、ワインや洋酒などの内容物が液漏れしてしまうそうなのです。
それに、私の個人的な経験上、レッドオークの中には同じオークなのか?!と思うような芳香とは言い難い香りのする材もあるために、やはり樽には向かないように思います。

こんな理由から、「オーク」という木材であるにもかかわらずオークの用途の中に含められていないものがレッドオークだったりするのです。
木材好き、そしてマイナー広葉樹応援団の私が、そんな影のヒーローを表舞台に立たせるべく、次回から数回に分けて特集をしていきたいと思いますので、ご期待くださいませ!



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
 

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:30コメント(0) この記事をクリップ! 

平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)  エピローグ〜

洞のカツラ、その見事な姿にしばらく見とれていたい気持ちはあるものの、心を急かせる理由は帰る為にもちろんながらも、再度来た道を戻らないといけないということ。

洞のカツラ 17

若干けもの道のようになっているように見えるとはいえ、昼薄暗い中一人で、クマに怯えながら(涙)草をかき分けて帰るのです。
普通は、苦労してたどり着くと「よっしゃ、来た道やから、怖くないぞ!」と少し思うんですけど、今日はちょっと違う。
クマじゃないんです。もう一つの理由です。
実は、この洞集落は既に住民全員移住し、現在は人がいないのです!(汗!!!)

うひょ〜!!!万が一なにかあったら叫ぼう、と思ってたのに、しかも民家があるから大丈夫!と言い聞かせてきた、小さな心臓はバクバクと脈打っています。

洞のカツラ 13

この連載の当初にも写真をだした石碑ですが、右側の「平成二十三年十二月 洞区民全員転居」の大きな字が見えていませんでした。
なんたることか。
事前情報の集会所と民家という言葉ばかりに気を取られ、目に入っていませんでした。
よく考えると、民家の前に立ち入り禁止看板があるのも見えていなかった・・・・

最初に鳥居にシートがされていたこと。
そして途中の社殿の燈籠にもブルーシートがかけてあったことから、なんとなく背中では人気のなさを感じてはいたものの、山の中に入る自分にそんな情報は必要なく、誰かいるもんだ・・・いや、居てほしい!と信じていました。

洞のカツラ 18

カツラとの出逢いも、別の意味での背中のゾクゾク感を感じていたのはやはり人気のなさゆえでした。
石碑にあるように、往時は富山県との交易でさかえたようですが、車があるとはいえ元々が多くはない住民の数からすると、奥飛騨のさらに奥山に位置する洞地区にとっては、生活という意味での基盤を保ちにくかったのかもしれません。
もちろんそれは、私の勝手な想像なのですが石碑を眺めていると、ものすごく淋しいといいますか、ふるさとを離れるということを思うと、目の前にある民家と集会所が今にも霧と消えるのではないかと感じるような儚い気持ちになってしまいます。

平家の時代から住んできた地をはなれるということは、この立派な石碑をみればどのようなものだったかを思うことができますし、今後も石碑によってその事実は無言に語り継がれていくことでしょう。
感動的な巨樹訪問のはずだったのですが、気がつけば少し物哀しいような、そんなエピローグになってしまいました。







って、まだ終わりじゃありません。
私にこんな大きな石碑を見落とさせた犯人を、この記事にさらさねばなりません!!!

通常であれば、先ずは周辺にて巨樹の位置や存在を知らせる案内を見つける為に、石碑や看板は読むのですが、今回はこいつのおかげで、こんなことになってしまいましたよ!


洞のカツラ 1


ミラーの左、見えますか?

おまわりさん、こいつです!!私に攻撃してくる奴は!!
早く捕まえてください!!!

人がいるなら頼みたい。そんな気持ち。

写真にはただ一匹ですが、実は車の周辺には数十匹?いや百以上?!という景色がかすみそうなくらいの数が飛んでいて、それも何が原因か知りませんけども、車に体当たりしてくるんです!!!
最初は走行中の小石の跳びはねの音かと思っていたのです。
そしたら違うんです。こいつ、走行中からずっとぶつかってきてたみたいで、停車してもずっと「バチン!・・・バチンバチン!!」と音がする。
ドアを開けると絶対車内に入ってくるし、開けないとカツラには行けない。
チクショー!!!


そんなこんなで、停車してから「体当たり」が納まるまでイライラとしていたので、あの石碑を見落としたのでした。

しかも、よく見たら集会所の壁にカツラへの道順が記してある・・・・(涙)

洞のカツラ 11

無意識のうちの道順は正解だったものの、これを見ておけば安心していたのに・・・
いや、住人不在をしっているとなると、そうでもなかったか・・・


しかしながら、以前に同じくビビり巨樹紀行をお伝えした「大古井の千本カツラ」も同じく岐阜県の山中。
巨樹も木材用の人工林も、そして豊かな混交林をも育む岐阜県ならではの、ドキドキ巨樹紀行ですが、もうカツラの場合はある程度の諦めで行くしかありません。

いつになったら慣れるのやら・・・

いつも以上に、巨樹の存在する場所と「ふるさと」について感慨深くなった、今回の洞のカツラへの訪問となったことをここに残しておくことにします。


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp
 

続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)ぁ

山道を何キロ走った(通行できずにバックで下ることも含め、)のかもわからないほどに、「ここ以外に集落への道はあるのか?!地図にない道が!!?」と山道を何回往復したかわからない、前回までのやるせなさとは違い、開きかけた道の先は明るく、多少大雨での土砂が車道に流出してはいるものの、今までの事を考えるとドンドン車をすすめられます。

そして進んだその先、民家の様なものが見えてきた!!!!!
おぉ!!洞地区に違いない!!「誰か、だれかいませんかぁ〜・・・」
心の声で、実際は車で走っているのですが、山あいでは民家が見えるだけでも心強く、しかも今回は事前情報にて「集落の方にカツラへの道をたずねた」とあったので、私も訊くが一番!と住民を探しながら車をゆっくりと進めました。
すると、人を見つけるよりも先に目印となる集会所のある広場に到着。

洞のカツラ 21
 
おぉ、この地区の皆さんは、ふるさとを誇りに思ってらっしゃるんだなぁ・・・

この時は、やっとのことでたどり着けたことと、カツラに早く逢いたい一心でしたので、この写真から見きれている一つの石碑には目がいっていませんでした。
なので、後ろに見える集会所も、どの地域にもある「今はほとんど使われない集会所」になっているんだろう、と思っていただけでした。
いや、これも後に記しますが、降車しようとする私を阻む者の存在の為かも知れません。 
そう思い込んでいました。

情報によると、集会所近くの民家の裏手にそのカツラが存在するといいます。
とりあえず、鳥居があるところから廻り込んで、道がなければ民家にお声かけしてみよう!
そう思い、とりあえず待ちに待ったカツラの姿を探しに、昼少し暗い鳥居をくぐり裏山に入っていきました。

洞のカツラ 20

「あれ?!参道に草が・・・
それに鳥居にもカバーみたいなものがかぶせてある・・・
さらに進むと燈籠にもブルーシートのカバーが。
むむ?!
地区の人達が高齢でお世話ができないのか?!それとも?!・・・・・」

こんな山の中で、もし人がきいてたら変人かと思われるくらいの音量で、↑の言葉はしっかりと口から発しながら歩いています。
一つはクマが怖いから(涙)。もう一つは、反対に人がいてほしいから・・・・

いつもどおり、入り口でビビり乍も進んでいくとなにやら道の様な状態になっている。

洞のカツラ 19

方向的にこれに違いない!
これなら安心!、と自分に言い聞かせ歩を速めていくと、おぉ!!!!あの姿はまさしく!!

洞のカツラ b

あぁ・・・・やっと逢えた・・・
今回は、かなりの廻り道を要した上に、何度も諦めかけたので感嘆の声もひとしお・・・
このまみえた瞬間の姿を残そうと、遠目に一枚。
実は、近くに見えますが距離は結構離れているのです。のちほど、昌志メーターでお分かり頂けるでしょう。

その正式?!な姿がこちら。

洞のカツラ c


これぞ、私が抱く森の巨人のカツラです。
太いひこばえが入り乱れ、少し傾斜した沢沿いに、小さな祠を抱きながらたたずんでいる。

まさしく、森のカツラの理想の姿!!!

洞のカツラ 5


紅葉にはまだまだ早い初秋の訪問だったのですが、「新緑」とでも形容したいほどの緑の美しさが命の輝きをみせ、それに対してくすんだカツラの樹皮が、季節の移ろいや時間の経過すら意識させず、ただしずまった山の空気と共に私と「洞のカツラ」との間にありました。


一部を除くスギのような単幹の巨樹巨木であれば、樹高や幹回りの太さ、そしてインパクトのある表情などの「ポイント」を押さえておけば、素人である私が写真で切り取ったとしても、「ある程度」の説得力のあるものが取れると思うのですが、カツラの場合はその私の定石は通じません。
もちろん、出会ったときの姿もそうですが、どのように印象深く伝えるかということと、ある意味どのカツラの巨樹も「同じに見えてしまう」ために、近接写真では違いを伝えにくいというところに、素人泣かせのポイントがあるのです。

洞のカツラ e


特に写真のように主幹?!部分が失われていたりすると、巨樹を強調する太さの基準の○○mという単位では語れなくなってしまうので、いつもの私の好きな見上げるアングルもこのように、中央に青葉が光る!という形になってしまいます。

もちろん、それはそれで美しいのですが・・・

角度を変えてみましょう。

洞のカツラ d


あれ、おんなじだ・・・(汗)。
でも、カツラに出会った時には、こうやって近くにより添って上空を眺めるのが好きです。
葉っぱの青い時は光を受けて、また葉っぱの無い時には空に対比して一層「太い幹のない巨樹」としての存在感を表現してくれるように感じます。

しかし本当は、もうちょっと離れてじっくりとその全体像をお届したいところですが、この10数年でカツラの周辺の木々が成長しているようで、ネットで見た事前情報写真の様なアングルでは、カツラの前に数本の木々がかぶってしまい、うまく撮ることができない!

なんとかギリギリのところから、カツラの偉大さを伝える為に私を含めて一枚撮っておきたい!!というのがこの写真。

洞のカツラ a


単純な大きさが伝わるでしょうか。
本当はもっと離れたいところですが、限界。

しかし、巨樹の時間の流れの中では一瞬かもしれませんが、周囲の木々にとっての10年というのは確実に流れていて、当り前ではあるものの土壌や環境の変化というのは巨樹の廻りでも確実に進んでいるんだ、ということを改めて感じさせてくれました。

洞のカツラ f


もう数十年で、カツラの一部として取り込まれるのが先か、それとも朽ちていく方が先かという祠に手を合わせ、何度も何度も見上げては周囲を歩き、若いヒコバエと古い?ヒコバエそれぞれに触れながら、ようやく出逢えた感謝を伝えました。

本当はまだまだゆっくりと、時間の流れを感じながらカツラと一緒にいたかったのですが、実は私焦っていました・・・
写真を撮っている間も落ち着かず、記事ではゆっくりとしているようですが、相当焦っています。
その理由はいつもの通り、「一人山行きビビり」だからです。

それにもまして、民家の裏と思っていたここは実は、もう今は「民家だった建物の裏」になっていたからです。
エピローグは、岐路の車に戻って冷静になって気がついた、この集落とカツラについてを記しておきたいと思います。



洞のカツラ所在地

岐阜県飛騨市宮川町洞

おそらく、2018年現在からは、宮川町の打保駅北からの山道ルートは道路として通ることができないと思われます。宮川町菅沼から上る道がありますので、そちらから行くと沢の下方に菅沼のカツラを見ることができ、それを過ぎてそのまま上ると、前回写真に出していた林道の分岐T字路に出ます。それを左折(北)して下って行くと集落の先に集会所が見えます。

使われなくなった集会所の前に駐車可能。
集会所の壁に、カツラまでの案内看板あり。(次回参照。)


 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

 
続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂) 〜

ここは岐阜県飛騨市の北。
南北に細長い岐阜県においてももう少し北へ行けば富山県、というあたり。
観光上は「飛騨高山」と言われることが多いですが、市街地観光の高山市中心部からすると、車でも1時間・・・いや、今回の目的地までだと1時間30分以上はかかるほど、近くて遠い?!飛騨市の山の中です。

洞のカツラ 24

峠道にはところどころにこのような看板が見られるようなところなのですが、わかってはいるものの万が一クマに出会っても、ゆっくり後退なんてできないでしょうね、私。
絶対走ると思います。
この看板みるだけで、山の中の巨樹に逢いに行くヤル気を半分以上削がれるのですが、まぁそれくらいの山の中だという事です。

大阪から行くと、鉄道高山本線に沿って走る、国道360号線を富山県方面に北上していくと打保駅近くの宮川町に出る。
きりたった山あい、というほどではない川のせせらぎと山の緑が美しい地区だと感じるその宮川町から、今回の目的のカツラに逢いに洞谷という方面に上っていきます。
事前情報では、舗装はしっかりしているということだったので、いつものように愛車で行くには涙が出るような道ではないことが唯一の安心材料でしたが、やはり山あいの巨樹まではそう簡単には通してくれず・・・・・


今までの経験上、山道を上るということはいろいろと問題がある場合が多いです。
工事での通行止め、土砂崩れ、道が既に無い、道があっても到底乗用車では行く気になれない、または行けそうなのに草や枯れ木が数キロも続き「途中で車も人の心もボロボロ・・・」的な時など・・・
今回も、若干の懸念はあったものの穏やかな宮川町の風景を見ながら、意気揚々と車を走らせていたのですが、うぅ・・・・・やっぱり・・・・

洞のカツラ 2

この写真の先はご覧のように未舗装路で、しかもその土さえ見えないほどに草木が生い茂った状態・・・
あぁ、やっぱり・・・
そういえば、事前情報の訪問も優に10年以上前のこと。
どうも、最近はこの道が使われていない様子。このまま歩く?と考えるも、まだこの先数キロはある上に道が見えない状態ではどうしようもない。
その上に、冒頭のクマの看板です。
あぁ、やはり今回も山の巨人には逢えないのか・・・
そう嘆きながら、苦労して上ってきた車一台しか通れない道をひたすらバックして帰路へ。

ここはこの時の巨樹巡りの一番の目玉だっただけに、落胆しながらも「縁がなかったんだ・・・」と思い、一山向こうにいるお目当て巨樹に行くことにしました。
そしたらなんと、そこも・・・

洞のカツラ 3

先程のようではないものの、のぼり始めてすぐに斜面が崩れています。道路には大きな落石と台風で折れた枝が散乱し、こちらも道ではない状態。
とほほ・・・と思いながら、落石と折れ枝を度々降りては手で移動しながら行けるところまで行こうと上り、ようやくこちらは辿り着くもなんと!!
お目当ては道路より15m程下の沢沿い。
しかもお目当てまで降りられる予定の階段が、大雨の土砂崩れで崩壊・・・・

もう、今日は運もない・・・もう諦めて帰ろう。クマがでてきそうや(涙)・・・

と思いながら車に戻るも、「さっきの道(↑の写真)をバックで戻るんやったら、このまま山上ってみようか。もしかすると、山越えしてさっきの目的地にでられるかも・・・まぁ、無理やわな、地図でも道路ないんやから・・・」と独り言が出る。

どこか諦めきれない思いで、とりあえずそのまま車を走らせてみると、割合に進むことができる。

洞のカツラ 25


お?!わりとまともな分岐点!!
方角的に、このT字路を左折すると、先程諦めた目的地の洞地区方面!林道名もそうなっている!!
これはもしや、いけるのでは?!
急にヤル気が復活し、この先の洞集落にてカツラの居場所を尋ねればいいや!、と考えてはいたものの、実際私を待っていたのは、淋しい現実と車の外から襲い来る黒い集団だったのです・・・

次回、本編に続く・・・・

木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

 

続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂) ◆

海外、ことヨーロッパにおいて神様を代表する木といえばやはりオークでしょうか。
もちろん、ほかにも伝説の木はありますがゼウスの象徴であるといわれるオークは、木材としての価値や存在感も含めて立派な地位であるといえます。

それに比べて、というのも失礼ではありますが今回のカツラは木材としては、オークほどの価値は知られていません。

桂2

いや、その利用に地域性があるから、といった方がいいのかもしれません。
良質なカツラの材を産していた北海道では、アイヌ民族の丸木船、寒冷地での接触冷感の少なさからフローリング材など、私の周りではもっぱら彫刻材だったカツラが地域によって大きく用途が違っているのです。

そうです、前回京都の桂の地名を出しましたが、同じく京都の葵祭の使の冠にカツラをかざすとなっているらしく、これも用途を限った特別なものだと感じます。
伝承や古典に多く出てくるカツラですが、その時代の人たちはカツラのどのような姿を見ていたのでしょうか。
皆さんは想像できますか?


私はカツラのイメージは2種類で、一つは生業である木材としてのカツラでもう一つは、多くの株を立ち上げて生い茂る森の巨人であるカツラです。
古典に出てくるカツラは、上記のどちらでもないと思いますが、それでも古典の時代から伝えられたであろうその命を、今でもこの目で見ることができる(正確には、そのすべてがその時代からあったものではないけれど・・・)ものの一つがカツラです。

巨樹の多くは時代の流れとともに移り行く世界や、その時代に暮らした人々の営みを見つめ続けてきたはずですが、古典に出てくるカツラのように伝説的な存在ばかりだとは限りません。
むしろ、これから伝説・・・いや言い伝えによって数千年先に残るのだろうと思われるカツラの巨樹があります。

次回に紹介するカツラの巨樹は、平家の落ち武者が隠れ住んだとされる地であり、車では行くことが容易ではあるものの、人里離れた、と言わざるを得ない場所に生き続ける姿をお伝えしたいと思います。


洞のカツラ 21

 

 
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

 

続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

平家よりの伝記伝承、ふるさとに残し・・・ 〜洞のカツラ(桂)  

いきなりですが木材として考えたとき、カツラという樹種を簡単に想像できる人は、彫刻に携わる方くらいでしょうか。
山登りをされる方は、秋の紅葉で早くからその姿を見せる樹種ですし、なによりもその特徴的な香り(材の香りではなく)を好まれると思いますが、意外と一般的ではない樹木のような気がします。

 

 洞のカツラ 22 

 

カツラについての詳細は以前までの記事にありますが、その意外と知られていないカツラも、古典には多く登場し更には特定の祭事にも伝えられてきたということは、木材関係者には特に知られていないと思いますので、あえて取り上げたいと思います。

この年になっていつも恥ずかしく思うのは、やはり学生自分の学の無さ(汗)、です。
今回のように古典を取り上げたく、肝心の古典古語を理解しようにも、解説現代文を読まなければわからない。いや、読んだとしてもやはりその時代の人たちの気持ちを汲みながら理解するにはやはり古語そのままで読みたいもの。
今から勉強、と思っても知りたいことはほかにも山ほどあり、苦慮するところ・・・
基、そんな古典に登場するカツラはいつもどこか魅力的で幻想的です。
針葉樹のように、現実的な材としての用途などではなく、伝説や神様とともにある、といった感じ。

私の住む大阪府から少し東に行った京都府京都市には、その建築と庭園で有名な「桂離宮」があります。
この桂離宮のある地、「桂」も一説によると樹木のカツラの伝説によって命名されたようです。
「木の上に神が宿る」といわれる「ゆつかつらの木」に因み、月読命がその木の傍らにたち、桂と名付ける、というお話。
「ゆつかつら」自体は、それをカツラに見立てたものということになっているようですが、「ゆつ」は「神聖な、清浄な、葉が茂った」という意味を持っているということ。それにゆつかつらは宮殿の門の前に立っている木、ということで、皇室縁の離宮とカツラ(桂)というのは、伝説上も至極当然の組み合わせ、ということになってくるようです。


神様が宿る、といえばカツラは「たたらば」のあるところに植えられた、とも伝えられています。

洞のカツラ 23
(たたらば跡)

たたらば、とは有名な映画でおなじみの製鉄施設ですが、実はその「たたら」の神様が降りた木だという伝承から、たたらばの近くにはカツラの木がある、ということ。
伝承の一部ですし、広葉樹の森での「たたら」の場合はカツラももちろん近くにあったでしょうから、言い伝えなのかもしれませんが、どちらにせよ、「神が降りた木、宿る木」という点では「ゆつかつら」にも共通していますので、伝説伝承に彩られる木であることに変わりはありませんね。

 

 
木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

うららに待つ(松)は桜に非ず・・・ 地松〜赤松と黒松  追記番外編〜 地松は何故曲がる?!

前回に、こんなもの使い物にならないよ、というほどの曲がり方を見せる立木の写真を載せましたが、まっすぐに育つのが普通で曲がるのは不良だと思ってはいませんか?!

もちろん、建材として使うには通直で節が無いに越したことはないので、山では少しでも価値のある(値段のつきやすい)通直木を育てようとするのが、人工林では基本だと思われます。
がしかし、一見不良だと思われる前回の曲がり木の様なものでも、ものすごく厳しい自然の中で生きていく為の方法として、あのような曲がりを身につけたことは、あまり知られていません。

地松シリーズ追記番外編の今回は、昔を知る人や地松の事を知る人ならある程度共通認識である、「地松は曲がる」ということについて触れたいと思います。
曲がる、といっても木材となった時に曲がるということもありますが、今回は写真のように立木の時に起きる曲がりについてのお話です。


下見6


写真のように、地松の多くはあらぬ方向、あるいはS字を描くような形で曲がりくねっている場合があります。
ヒノキやスギの通直材生産を目指しているとなると、ありえない様な曲がり木に遭遇することがあります。
いや、それ以外でも基本的にヒノキやスギのような根元から通直、ということはほとんどありません。多かれ少なかれ、どこかで曲がっていたりします。


しかしながら、実はその曲がりには生育の上で大きな理由があるのです。
はい、もちろん理由もなく曲がるはずが無いと思うようなところですが、そんな理由を考えたことがありますか?!
写真のような木をみても、どのように育ったのかや何故この方向に曲がって伸びたのか、という事を想像する人は一握りでしょう。

それを知ると、地松の曲がりが不良材どころか、一層いとおしくなってしまうんですけどね・・・


通常、樹木は空に向かって伸びるのはある程度共通です。
もちろん、それも理由があるのですが、その中で地松(を含む数種類)が何故、まっすぐに伸びていかないのか?!
それには、山の先駆種が生きていく為の工夫の賜物なのです。
樹木には、光を目指して早く成長できるものもいれば遅いものもいる。また、自分の縄張り!とでも言うように傘を広げたような樹形をとり、太陽光を独占する樹種もいます。
その中で、針葉に少しでも効率的に太陽光を集めていくためには、工夫をしなければならない。
そこで地松は考えた!!
「そうか、上をふさがれるならあいている横方向に行ってやる!!」と思ったかどうか知りませんが、上方一辺倒で競争するのではなくあえて、他の樹種との隙間に伸びたり、隣同士の間隔が無い部分から逃れるように、自分自身を曲がりくねらせて成長しているのです!!

下見1


おおっ!!なんともニッチな・・・
そう思いませんか?!

あの曲がりは、他の競争相手と同じ手法で生きていくのではなく、自分らしく別の活路を見出す為の、地松の生きる道!だったのですねぇ・・・
一般的には、日光を燦々と受ける方が光合成し易く成長に良い、と思われがちですが、あまりに強い直射日光は人間にとってと同じく、さほど良いものではないので、他の競争相手から抜けだしはしなくても、柔らかく日光を受けられる場所にいられれば、荒れ地でも育つその逞しさで生き延びることができるのです。


一見無骨でたくましく、好き放題に曲がって生きているように見える地松。
しかし、そこには繊細で可憐な程の生存手法が秘められていたのです!!

そう思いませんか?
さぁ、これでまた一人二人、地松ファンが増えたはずですね?!
乾燥材がない、とか曲がり材は使えない、なんてこと言えなくなったはずです(笑)。
地松を建築に使いたくなったそこの大工さん!!一緒に地松を語りながら、地松のおうち、建ててみませんか?!

地松(赤松)乾燥構造平角 7


・以前までの「うららに待つ(松)は桜に非ず・・・ 地松〜赤松と黒松〜シリーズ」はこちらから
・地松乾燥平角材についてはこちらから
・地松(石山赤松)幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・国産黒松(雄松・男松)無垢一枚物フローリングはこちらから


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

無礼な想いもその躯ゆえ 〜伊丹のケヤキ〜

前回までのケヤキ特集を締めくくるのは、ケヤキ特有の大きさを主張するのではなく、少し失礼な想像を膨らませてしまうほどの特徴を持ったケヤキの巨樹、伊丹のケヤキです。

私がいる西日本では、ケヤキといってもそんなに巨樹のイメージは強くないと思われます。
もちろん、建築に精通している方は社寺においてのケヤキの用途を見ていると、大きな木であることは想像できるでしょうが、巨樹というイメージではありません。
もちろん、大阪府にはケヤキ巨樹の西の横綱である「野間の大けやき」が存在するんですけどもね。
訪れたことのある方は、その大きさを想像するかもしれませんが、それ以外ではそんなに大きい印象はないはずです。

そんな理由からも、ケヤキと聞いても巨大な印象をもって逢いに行くことはないのですが、この伊丹のケヤキはそんなサイズの事ではなく、材木屋としての視点で眺めてしまうケヤキでした。
その理由は一目瞭然。

伊丹のケヤキ2


見よ!この大きな瘤を!

前回の最後で、ケヤキの大きな特徴である「玉杢」を紹介しましたが、その玉杢がうまれるのは、こういったこぶの部分やそれに似た皮のふっくらと膨らんだ部分なのです。

そのため、もしやこのケヤキを製材して板や盤にしようものなら…というような想像をしてしまうのは、ケヤキの美しい杢を知っている方なら当然のこと・・・?!

もちろん、専門家から見ればこれくらい大きな瘤の場合は、前回の写真のような美しい杢は出ないかもしれないことを懸念されるでしょう。

伊丹のケヤキ3


板などの木材にした場合に、きれいな杢がでるものの多くは表面には大きな瘤はなくとも、皮の下側にひっそりと膨らみがあるものに、美しいものが多いと聞きます。

以前に自分で製材したものもそうでした。
ふくらみが大きすぎて大味な木目になったことと、外側、つまり木部のほうではなく皮の方が膨らんでいるために、板のほうにきれいな模様が出にくかったのだと思います。

必ずそんな法則ではくくれないでしょうから、一概には言えないでしょうがそんな目でも見てしまいますね・・・
罰があたるような気がします。
視点を変えましょう(汗)。


今回のケヤキシリーズでも触れた様に、現在のケヤキは街中に近いところで街路樹や公園木として見られる事が多いですが、元々は水辺に近いところを好む樹種。
そう考えると、この伊丹のケヤキは自分の生育環境にピッタリの場所に降り立った、稀有な巨樹なのかもしれません。
もちろん、その後の成長に関しては、さきほどの瘤が語るとおり、苦難があったのでしょう。

伊丹のケヤキ7


すくすくとまっすぐに育つというよりは、気候なのか虫害なのか、若しくは人の手によってもたらされた外傷によるものか?!
理由はわかりませんが、素直な通直なケヤキとは全く異なっているのは確かです。

ケヤキは建築材として優秀な理由のうち、幅広な木材を産出するという点もありますが、それに関してはスギクスノキなど他の樹種でも見られないことはありません。
しかし、それよりも広葉樹にとっては難しい条件となる「枝下が長く、通直な材がとれる」ということがとても優秀な点でしょう。
タモも同じく。
タモアッシュ)は神話で語られるほどの樹高の持ち主ですが、枝下が長いので昔から長尺用途の建築に使われる広葉樹としては、とても重宝されました。

またまた建築用途の木材としての見方に戻ってしまいますが、やはり木材として優秀であってこそ、樹種の中で冠たる扱いをうけるわけで、確固たる地位と名誉を得てきた理由となっているはずです。
旧家や日本家屋の民家などでは、300mmを超える様なケヤキの節なし大黒柱が6mを超える長さで家の中心にすわっている。
そんなところがまだ各所で見られるはず。

それが広葉樹の雄、ケヤキの姿です。

ですが、今回の伊丹のケヤキはそうではありません。

伊丹のケヤキ6


幹はボコボコ、枝葉旺盛に広がり、枝下はお世辞にも長いとは言えません。
訪問時は冬だったために、その葉を全て落としていたので姿がはっきりと見えていますが、もし葉がついていたらもう少し全体のボリューム感があり、余計と「低い傘」形状を感じたのではないかと思います。

当然、樹木は成長に余計なコストはかけないだろうし、余計なことはしないはずなので、写真の様に開けた場所で川もすぐそばであれば、上長成長は必要最小限で良かったのかもしれません。


伊丹のケヤキ8


そういえば、以前に紹介している独特な形?を持つ「木の根橋」も川べりでしたね。
同じ様な条件で成長出来たのかもしれません。
あちらも樹高はそれほどでもありません。
むしろ、その特異な根を維持するのに栄養を消費しているのかもしれません。
なにせ、土中ではなく川の上に「露出」しているんですものね。

この伊丹のケヤキの根は一体どうなっているのか。
そんな興味もわいてきます。

しかし、民家が近いとはいえ大枝や枝先が伐りとられているのは若干残念。
迫力も少し和らいでいる様に感じます。

そしてその影響かと思われる、新たな細い小枝が吹きだしています。

伊丹のケヤキ1


あぁ、そうか。
だから少し変な感じなんだ。
迫力を感じる幹にもかかわらず、どこか足りない様に感じるのは大枝が少なかったり、途中で失われていて若干不自然だから。

病木や枯れた影響かもしれませんが、全盛期?にはどの様な姿だったのか、想像してみると立派な姿も浮かんできます。
今後の成長がどの様になるものか、静かに見守れるような環境だといいのですが・・・


さて、ここでいつもの背比べ。

伊丹のケヤキ4

逆光、お許しくださいませ・・・(汗)。

やはり、こうして見ると葉っぱがほしい淋しさは否めませんが、独特の瘤をさすりさすりとしながらご満悦。
地表から湧き出そうになっているマグマだまりのような、エネルギーの塊の様なきがするその瘤に触れ、少し語り合った様な気になりました。


最後にここの地名、大阪に住むものとしてはとっても親しみを感じます。
それはお隣の兵庫県にも、その地名があるからです。
昔は大阪国際空港であった、通称「伊丹空港」のある伊丹市です。
どうしてもそれと重なり、関係の無い場所と思えないのは私だけでしょうかね・・・


伊丹のケヤキ9



伊丹のケヤキ所在地

茨城県つくばみらい市伊丹55近辺(小貝川対岸)

車通りの少ない道ですが、路上駐車になりますので邪魔にならない様に。



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

ケヤキの材の利用としては、箪笥、テーブル、太鼓の胴、火鉢、仏壇、表札、臼や杵、盆、道具の柄(枝)、薪、そして建築材としての大黒柱や梁などです。
それだけではないですが、とても多くの用途を持っているということです。

特徴的な橙色の芯材は水湿に耐えるといわれますが、白太はめっぽうダメです。
虫害甚大ですし、腐れの早いこと・・・
ただし、芯材に比べて軟らかいために辺材は曲げ木には適しているそうです。

樹高35m以上、直径が2m以上!!と超ド級の長尺大径木ですから、先ずは構造材としてほおっておかれるはずはありません。


ケヤキ11

美しい丸柱が並ぶ壮大な門。
京都の彼の地の建築物ですが、材木屋さんが流布する社寺歴史建築のお話はどうしても「ヒノキ」の登場回数が多いものの、ある時期からはこの様な巨大な木造建造物の構造材には多くのケヤキが使われてきました。
材としての強度の詳細研究では、いろいろとお話がありますが、この様な巨大建造物が多く残っているのも、ヒノキではなくケヤキの巨木が存在したからに他ならないのではないかと思います。

ケヤキ14


建築材としては、鋸の発達していない時代にはケヤキは硬くて割く事が出来ずに、多くは使用されなかったものの、鋸ができたことと大きな材が必要な時にはそのまま削り出しの柱や桁として使われたのが、社寺や城郭などの大径木使いの様です。
それよりも以前にも、ヒノキの建築においても大きな荷重のかかる部分などには、部分的に丈夫でめり込みにくいケヤキを使うこともあった形跡があるので、使い分けがされてきたということでしょうね。

古くは、それだけ大きなケヤキが林立していたのかもしれません。
それはヒノキも同じことかもしれませんが、日本の大径木の蓄積はどれほどのものだったのか、タイムマシンででも一度行ってみたいものです。
夢ですね、大昔の日本の樹林に行く・・・

(丸柱にも、玉杢が・・・・)

ケヤキ10


そして大きさよりなによりも木目が美しいこともあり、構造材以外にも化粧材の一級品として見える部分に多くつかわれています。

材質も重硬であるものの、切削加工などはしやすく、仕上げ面に光沢がでることもあり、広葉樹のなかでも特別な扱いを受けてきた様です。
そしてその光沢とともにケヤキの材の価値を高めるのは、その杢です。

針葉樹には一部以外に殆ど見る事ができないこの様な杢は、材の価値を数倍以上に引き上げ、ケヤキの地位を不動のものにしている大きな要因の一つに違いありません。

銘木として扱われるケヤキの杢は、樹齢数百年の木から生まれますが、昔は樹齢300年以下のものは銘木とされなかったと言われるほどに、ケヤキの優良木は多かったのでしょうね。
強度の必要な木材としては、300年未満
そんな300年以上のケヤキの老木からとれる杢というものの美しさはやはりいつの時代も特別なもの。
木材好きとしてはやはり魅了されてしまいます。


ケヤキ21


杢を含む優良材の産地としては、関東地方意外に宮崎県が良いと言われています。
長年の銘木商の経験と、それを裏付ける土壌や気候があるんでしょうね。


次回は、そのケヤキ優良木の産地である関東地方の茨城県(当方のある茨木市がよく勘違いされる・・・)の杢の出そうな巨樹(無礼な・・・)を紹介して、ケヤキ特集を締めくくりたいと思います。



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp





木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

えぇっと、今日で既に6回目を数えるケヤキ特集。
やっと木材としてのケヤキに触れていきたいと思います。

あんまり知られていないかもしれませんが、ケヤキはニレ科に属しているのですが、何とも皮肉なこと?に科目の名前を冠する樹種であるニレを差し置いてケヤキの方が有名になっている感はどうしても否めません。
ニレは、諸外国にも存在するため、伝説や神話にも登場するほどの樹木ですが、日本での認知度は物凄く低く感じます。
ケヤキのゼルコバに対して、ニレの「エルム」の名前も、物凄くカッコいいですしね・・・


北海道においては重要な樹種ですし、彼の地にケヤキが存在しないこともあり混同はされないことと思いますが、本州においてはどうしてもニレとケヤキは混同され、あるいは故意に混用されている場合があります。
その場合も、ニレという名前ではなくケヤキとして流通しています。
どうしてか・・・

それはケヤキの方が需要が遥かに大きいからでしょう。

特に床の間材料としてのケヤキの需要は大きかった(過去形・・・)ために、とてもよく似ているニレを代用されてきたことが一番大きなところです。

ケヤキ24
(写真はケヤキ材の一例ですので、本文そのものを指すものではありません。)

木材の世界には、代用材という考え方で、似た木材や仲間の木材を使用することが繰り返されてきましたが、仲間であるニレは着色せずともプロでも見分けにくい(見分け方を知っていないと)ことと、ニレ科であるケヤキですから、あながち間違っていないのかも・・・とも思いますが、やはり樹木としては別。

きちんと使い分けしていきたいものです。

脱線しますが、ケヤキの代用材としては塗装を施して用いられる栓(セン)もあります。
こちらは、「ケヤキ色」に塗装をされると殆ど見分けがつきませんが、栓自体の流通量が少ないために、建材としては殆ど見られることはありません。

建材としては、代用材が供給されるケヤキですが、無垢の木材としての地位は確固たるもので、江戸時代から植林のような事がされていた記録があるそうで、如何に大径木であるその材が賞用されてきたかがわかろうかというもの。
その貴重さから近代以前は、一般市民に使える材ではなかった為、明治時代などには裕福な家庭の建築や門などの一部につかわれていたそうで、おそらくその名残が、立派な和風建築の邸宅や日本家屋の建築様式、そして和室の設えに残っているのではないかと思います。

かの清水の舞台を支える柱もケヤキ。

今はまだ健在な姿ですが、将来の修復や取り換えの際にはやはりケヤキの長大木が必要になります。
その為、今から植林がされています。

けやき15


針葉樹の植林技術はある程度確立されていますが、広葉樹のそれはまだ確立されていません。
というか、広葉樹はその環境に適応する樹種が生えてくるもの、という一面から単一樹種を植林するというところまでなかなか進んでいません。
ただ、スギ林の中に育ったケヤキは良材で竹林に囲まれたケヤキは色合いが落ちる?なんていわれるもので、前者にて育てる植林試験もされているのだとか・・・


その大きさと音の響きで用いられる特殊用途の和太鼓の胴などもそうですが、やはり大径木のケヤキというのは育てていかなければいけない樹種の一つでもあるのです。


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

ケヤキを語るには、まだまだその素性について触れなければなりません。

本当は、かつての超高級銘木で、広葉樹の隠れた王様!というような記事に仕上がっていく予定だったんだけど、脱線というか材の素晴らしさはご年輩の皆さまには既知のことですし、現在の若者諸氏には「材木屋とケヤキの、昔はすごかったですよ説」にしか聞こえないと思うので、思いきって更に樹木として掘り下げますよ!!

樹木というのは生きています(当たり前です)から、その土地で生きていくための方策を色々と持っていて、それに加えて適性地というものもあり、樹種が同じであればどこで育っても同じ木、とはならないのが樹木の不思議なところというか当然でありながらも、ワクワクする部分です。

そういった違いがケヤキでも存在する様です。
前回、ケヤキの生育や住処について触れましたが、やはり街中にいていつも街路樹としてのケヤキを見ていると、水分の多いところを好むという性質は想像しがたいものがありますし、印象は少し違ったものの様な気がします。

ケヤキ1


堂々とした風格のある出で立ち。
そんなイメージを持ちたいところですが、街路のケヤキたちの多くは地面上2m足らずほどで幹が分岐していたり、銅吹き芽のような小枝が多く出ているものが目立ち、どうしても木材でイメージするケヤキとは程遠いものです。
生育する場所や環境によっては、黄葉や落葉のタイミング、そして種子散布の方法まで違うようです。

そうすることで環境に適応して、種を保存する。
通常の生育地ではそのまま種子をまくことができる状態でも、ほかの場所ではやむを得ず違った環境に出向いていかないといけない時もある。
そんな時に、葉っぱをつけたまま種子を飛ばすそうです。
プロペラ代わりに・・・

いっそのこと、楓のように種子をプロペラ状にすればいいのに・・・というツッコミはやめましょうね。


しかしこれらもやはり、生育に適した土地ではないことが関係しているようです。
ケヤキが育つのに適した場所ではなく、人の都合で樹種の特徴だけを利用して人の都合に適した場所に植えられている、といった方がいいのかもしれません。
もちろん、街路樹などは人の都合100%のものですから当然ではあるものの、やはり本来あるべき姿ではない、ということを考えると心苦しいところもあります。

ケヤキ18


やはり材木屋としては、こんな迫力のあるケヤキが本来のケヤキの姿。
いかにも力強く、頼りがいがあってしっかりとした存在感を示してほしいもの。
そしてここから、立木での勇壮な姿を想像できるような、そんな存在であってほしいと願うのです。

あ、そうか。
それも人のエゴか・・・

ということで、次回はやっと材木屋らしくケヤキの材質と木目のお話にうつれそうです(汗)。


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp

続きを読む

木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ! 

今だからこそ・・・ 日本の広葉樹の雄、ケヤキを知る

ケヤキの名は地名の他にも、「ケヤキ通り」や「ケヤキ台」、「ケヤキ坂」などという様に、ケヤキの植栽と共にその場所に冠される場合が多く見られます。
若い人にとっては、樹木のケヤキよりもアイドルグループの名前で思い浮かべる方がおおいのかもしれませんね。

ケヤキ23


欅坂46。
こちらの名称の由来は不明(もちろん、グループの知識も乏しい、、、オッサンになったなぁ・・・・・)なのですが、街路に植えられる樹種としても多くみられるケヤキ。
排ガスなどの汚染にはそう強くは無いそうですが、樹形が良く高木になり成長も早く剪定に耐えるという性質と、比較的深根性であることから耐風性も期待されての植生の様です。
ただ、近年の街路樹問題(落ち葉や堅果の落下)の中にも勿論入っていて、期待よりも大きくなりすぎる事が懸念されています。
ケヤキの都市型植栽木としては、直立性が高く選定不要の、枝が広がらない性質を持つ、「ムサシ1型」という種があるそうですが、それにしても、以前にお伝えしたプラタナスと同じように、人間の都合で期待されたり懸念になったりと、少し申し訳なくなってしまいます。

ケヤキ5


さて、後先になってしまいましたが、ケヤキは植物学上で言うと「ニレ」の仲間です。
北海道以外の本州・四国・九州地方に広く分布している樹木で、日本にはケヤキ1種、世界には5種(中国に2種)存在すると言われています。
各地で県木に指定されていて、宮城・福島・埼玉の各県の木がケヤキです。
関東以北に多いのが印象的ですが、私が巨樹巡りをしていても関東から北には集中的にケヤキ巨樹ばかりという地域もありますから、県木に指定されるのも理解出来ます。

広葉樹というのは、ヒノキやスギなどの仲間の針葉樹にくらべれば、地球に登場するのは遅い方ですが、ケヤキ自身は白亜紀位から化石が見つかっているそうですので、地球上では相当な古株広葉樹の様です。

ケヤキ8

(これはケヤキか・・・?!)


その時代から進化しているのか、それとも進化せずともその大きな体を維持し続ける秘訣があったのか・・・

樹木として考えた時には、ケヤキは高木になりますし背が高いということは、種のついた枝がとばされた時も、葉っぱがプロペラの様な役割を果たして遠くへ飛んでいくことができますから、種としては有利だったんでしょうね。

現在ではケヤキは街の樹のイメージですが、元々は水辺に近い肥沃で水はけがよく通気性が良い、開けた明るい土地を好む樹種といわれるので、そこまで飛んでいくことができれば、早く大きく太く育つことで競争を生き抜いてきたのかもしれません。

そう考えると、太いパイプ役の組織を持つ環孔材であるケヤキは、大きくなるのに水が必要⇒太いパイプがある⇒大きくなれる、という理想的な体をしているのでしょうね。

ケヤキ25


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ!