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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その伍〜

クスノキの葉は、除草や他の植物を寄せ付けない力があると書きましたが、そんなクスノキの葉を食べるのがアオスジアゲハ。
クスノキの新葉に産卵し、幼虫はその葉を食べて成長するそうです。

前回後半でお話したように、樟脳成分を持つクスノキは昆虫や他の植物への影響があるにもかかわらず、その葉を食べるなんて何故なのか?!
不思議な感じがしますが、動物の体は不思議がいっぱい。
葉っぱを食べるものといえば、小さいところではテグス蚕の飼料として、かわいい動物ではパンダやコアラも、毒性や精油を多く含む葉を食べているにも関わらず、元気に生きている。
コアラは長い盲腸をもっているために、普通では脂分に負けてしまうユーカリの葉を消化することが出来るのだそうです。
かわいい顔してたくましいもんです。

クスノキ 9


さて、葉っぱにもその香りが強く残る樟脳。
香りは目で見ることが出来ませんが、違った形で樟脳をみることができるのが「セルロイド」。
高価で希少な象牙の代用品などとして、アメリカでニトロセルロースとの合成で商用化されたそうですが、私にとっては若干不気味にさえ見える「セルロイド人形」のイメージになるのは歳のせいでしょうか?
といってもそんな歳でもないんですけども、成形しやすい為に広く普及流通し需要を伸ばした歴史を持っています。


クスノキ9


ただ、燃えやすいことなどが影響し、のちの石油系合成樹脂に代替えされるようになっていくのです。
いつの時代も、木材製品は代替え材料との比較競争の歴史がつきもの。
クスノキはその影響が大きかった樹種の一つかもしれません。

世界的に、そんな一大需要を作り上げていたクスノキ。
日本でも比較的温暖な地域の広い範囲でみかける上、前回までの様に神話にも登場し巨木も多く残るために、当然日本の自生種だと思ってしまいますが、どうもはっきりとはしていないようです。

ご覧いただいている私の記事では、以前からクスノキの漢字表記を樟と表記することとしてきましたが、それに詳しく触れる時がやって来ました!
シリーズの第一回でも書いたように、樟脳を感じる今回話題にしているクスノキを含むニッケイ属を、中国では樟属と分類し、クスノキと似てはいるものの樟脳の香りを発しないタブノキを中国では潤楠属に、そして一般的に日本で用いられている楠という漢字を充てる楠属の樹種は、日本には存在せず中国では Phoebe 属に分類されている(一部にタブノキの仲間を含むこともあったらしい)ので、表記を混同されやすいのです。

漢字表記の違いは、日本と中国で様々ありますが最後に出た Phoebe 属はクスノキ科の中でも別格扱いをされてきたそうです。
中国の大工棟梁のお話では、その樹種は大木も存在していたらしく、高貴な人物の利用する建物や宮殿建築、墳墓の材として非常に大切にされていたということで、耐久性も高いといいますから日本で言うところのヒノキの様な扱いに思います。

私が今まで聞いてきた話と重ね合わせると、日本には存在しないその樹種名はおそらく「楠木(なんぎ)」。
四川省にはその楠木の巨木があったそうですが、海南島などにも分布していたとも聞いています。
そしてそれらは香楠や金糸楠などと呼ばれ一般には使うことが出来なかったといいます。
香りも非常に特徴的で、樟脳の香りとは全く異なるもの。
やはり高貴な樹木なのでしょう。

クスノキ11


それらを含むクスノキの仲間はやはり中国の方が豊富なことも踏まえると、もしかすると日本のクスノキのルーツは中国を含む大陸なのかもしれない、と思う理由が他にも存在するのです。
果たしてクスノキの正体とは・・・・


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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その四〜

もう少し、樟脳がらみのお話を。

クスノキの材の用途として有名なものに彫刻があります。
硬すぎないこととともに、樟脳の香りがあることから仏像彫刻などにも古くから用いられてきました。
仏さまというと、社寺と同じようにヒノキが使われているのかというイメージをお持ちかも知れませんが、渡来した仏像の多くはビャクダンなどの香りがする木が使われていました。
その為に、日本で香りが強い木ということで、ヒノキ等のほかにクスノキが使われていたようです。
彫刻された材に、精油成分が数百年以上たっても持続していることも樟脳のパワー。
彫刻に使用される理由はそれらだけではありませんが、仏像を含めて彫刻ができるくらいの適度な硬さで、しかもいくつかの木を合わせるのではなく、一本の木から大きな作品を作ることが出来る点でも、非常に重宝されたことだと思います。


クスノキ 6

樟脳のパワーをご存知の方には、香りの印象が強いと思います。
アロマの世界でも、発汗をやわらげ抑うつ症状を和らげる効果があるととされていることからも、その通りかもしれません。
しかし、そのパワーはなにも香りだけではありません。
医薬の世界では、強い抗菌作用や消炎作用、鎮痛・血行促進の作用があるとされ、その溶液は強心作用が見られるということ。
実際、強心剤のことをカンフル剤なんて言いますが、この語源はカンファ―=クスノキなのですから。


前回にも少し出ましたが、同じクスノキでも同じ量の樟脳が採集できるわけではなく、その含有量の違いでアカ(グス)・アオ・ボケ・サンショウなどと区別されているそうです。
木材の世界で材を比較される場合には、「アカ=良質・アオ=劣る」として材名に関する場合がありますが、ボケというのは「味がボケている」というような具合で採集量が少ないという意味なんだろうか、確認はできていません。

また、薩摩地方では採油上で上質なものから順にメアサ・ドべ・マイロという区別があるらしい。
大阪の方言だとおもうのですが、ドべというのは「最下位」という意味を持つために、私としては中間にドべがいるのがしっくりこないところです(笑)。
樟脳を分留後の液体は樟脳油として、香料や防虫材料、溶剤や選鉱材として再分類されます。
精留された油は沸点の違いから低い順に、白油(防臭やテレピン脂の代替材)、赤油(バニリン、農薬原料・石鹸・アルボース防腐剤)、藍油(らんゆ。殺虫・シロアリ予防・医薬品)に分類されるそうです。
日本国語大辞典によると、その量は再生樟脳が50%に対して、白油20%・赤油22%・藍油2%が得られるとのこと。

樟脳の力は材だけではなく、その葉にも含まれています。

クスノキ 7


暑い夏の日には、緑に光るクスノキの葉を少し拝借して手で揉みこむと、非常に爽やかな香りがします。
暑さを少し忘れるような、すっきりとした香り。
材から感じるのと同じ香りです。
常緑樹であるクスノキは、春に次の世代の葉が出来てから古い葉を落とす「譲り葉」のような性質を持っていますが、その落ち葉が周囲の植物を抑制することが分かっています。
雑草が生えることを抑制したりする効果もあるということですが、全ての植物に効果があるわけではなく、双子葉植物への除草効果があることが実験されているとのこと。

それらを身をもって教えてくれたのが、ウチで飼育していたカブトムシたち
自宅のクスノキカウンターの上で育てていたために、異常行動となり生育不全になった可能性がありました。
そんな力も、樟脳のパワー。

巨大なその姿にたがわぬ目に見えない強大な力です。


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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その参〜


クスノキが船に適していることは、神話からも樹木という性状からもよくわかるのですが、船というものの素材としての木材の質からしても、非常に適しているということを示している一つの点が、クスノキのお話をするときには避けては通れない樟脳です。

それは、樟脳のおかげで船が腐りにくくなることと、水をはじくことで進水効果が高いということ。
クスノキは、材中に樟脳をためる組織を持っているといわれます。

記事をご覧の皆さんは樟脳をご存知ですか?
私がクスノキを紹介するときは、先ず必ずその香りを体験してもらいます。
木材からも強烈に発するその香りこそが、樟脳の香りだからです。
木材を選びに来られたお客様への、他の優等生木材からの「変わり種」として紹介すると、非常に効果的(笑)。

ツアー2


ヒノキやスギの様に「木のいい香り!!」ではなくて、「なにこれ!?すごい!」というある意味特殊な香りといいますか。
非常に好き嫌いが分かれる、刺激的な香り。
その香りを私は「古い箪笥のひきだしの香り」とか「メン○レータムの香り」と説明したりしますが、とっても爽やかであり、少し刺激のある香りです。
精油成分を含む樹種の少ない広葉樹の中で、珍しい存在でもあります。

私は学生のころから理科がめっぽう苦手なので、こういったときに悔しい思いをするのですが、分かる方には非常に分かりやすいであろう元素記号で表すと、 C10H16O 。
この結びつきが、すごいパワーを持った樟脳という素材になるわけですが、実は私がいつも香りを試してもらっている材には、5〜10%ほどしか含まれていません。
それなのに、非常に強烈な香りに感じるということはそれだけ成分が強いということか。
いや、よく考えてみるとあのシロアリに対して忌避効果があるといわれる「ひば」ですら、以前紹介したように材中には1〜2.5%しか含まれていないのですから、比較すると驚異の含油量なのかもしれません。

青森ひば油

しかし、それを採集しようとするとどんなクスノキでもいいわけではありません。
若木は採集するほどの樟脳を含んでいないようで、大正時代の国有林ではおよそ50年を樟脳採集のための伐期としていたとのこと。
熟成するまでに時間を要するのは、人も植物も同じ、ということでしょうね!
ただし一般的に、樟脳が安定して採集できるようになる連年の成長量が最大になる頃が樹齢75〜80年といわれていますし、材によっては偏りがあるといいます。まさしく自然の産物。

後述する樟脳の有用性は、資源量に乏しいといわれる日本にとっては非常に重要だったようで、煙草や塩、アルコールなどと同様に明治36年には専売制になり造林された歴史があります。
そのもとで個々の樹も管理されていたというほど。
どれほど有用だったかがうかがい知れます。

樟脳と船の関係は非常に重要だったようですが、現在ではあまり語られる声を聞きません。
スギの方が一般的な木材だからなのか?!
いや、それにも樟脳が関係しているようです。
というのは、精油成分に共通することですが、あまりにも強い化学成分は良い効果を持つ反面、成分が強すぎるために、マイナスの効果を及ぼすこともあります。
木材として使用するときには釘などの鉄製部材を使用します。
しかし、精油成分はその轍を腐らせることもあるため、特に船材の場合は水に触れることもあり腐食は大敵となることで、精油成分の強いクスノキは次第に使われなくなったともいわれます。

木製船の製造には釘はそうそうは使われないのではないかとも思いますが、そんな面もあるようです。
もちろん、丸木船の必要がない船製作になると、割りやすく加工もしやすいスギの方が適材とされたのかもしれません。

海に挑む巨木船よりも、コンパクトな実用船が必要になった時代の変化なのかもしれませんね。


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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その弐〜

そうです、当地大阪にもクスノキに関する古いお話がいろいろと残っています。
その証拠に、大阪府にはクスノキの一般漢字として広く使われている「楠」の字を関する地名が多くあります。
楠葉(樟葉)や楠根、楠町などです。
その数は鹿児島県、和歌山県に次ぐ数だといいます。

古事記(仁徳記)にある現在の大阪府高石市富木の伝承に、一本の巨木を伐って船にしたというお話が残っているそうです。
お話にでてくる巨木があったのは兔寸河(とのきかわ)=富木でその地方を流れていた河のほとりらしく、その巨木は朝日があたるとその影がなんと、淡路島に達したというのです。
淡路島までの距離は、直線距離で単純にみてもおよそ40km以上。

BlogPaint

40kmもの影を落とす巨木って、どんなんやねん・・・
いくら朝日の照らす角度が低いといっても40kmは・・・・・

古い書物は事実を書き残している、という解釈でみてはいけないと聞いたことがありますから、それくらい大きかった、という例えを自ら想像する手がかりとすればよいのかもしれません。
そんな時代から、クスノキは巨木だったという事実が分かるんですね。
このお話は等乃伎神社の由緒にも語り継がれているものです。

クスノキの巨木伝説はそれだけにとどまらず、山口県には雲を突き抜けるほどの巨木が存在していたそうです。
その枝張りは二里四方(およそ8km)に及ぶとの伝承!
前々回に紹介した、見事な枝ぶりを誇る加茂の大クスでさえ、その枝張りは40m強。
二里四方って・・・・
しかも、あまりにも巨きかった為にその巨木の北側の地には、まったく日の光が当たらずに、その地方の地名が万倉になったらしい・・・
どう読むかわかりますよね・・・
洒落かっ!!って突っ込んでもつっこみきれないこの地名。

真っ暗だったから万倉、、、、まっくら・・・・

さらに続くのが、そのクスノキ伝説が残る地は楠町船木。
なぜなら、その雲をも突き抜ける巨木で船を作ったというのです。
だから船木・・・
もうなんでもありの様な伝説ですが、船を作る、というのは先の富木も同じ。

クスノキ 2

古事記には、鳥石楠船(とりのいわくすぶね)という名の船が登場し、日本書記にはスサノオノミコトが眉毛を抜いて撒くとクスノキとなり、スギとクスノキは浮き宝=船にせよ、という言葉通り、古くからクスノキは船としての利用が根づいていたようです。

昨年だったか、日本人のルーツをたどるために木舟で海を渡ってくることができるかどうかの実証実験が「おこなわれていましたが、大陸から日本人の祖先が渡ってきた船は果たして、クスノキだったのでしょうか・・・・

クスノキが船とされたのは、なにも神々のお告げばかりではなくて、やはり伝説の通り昔から巨木が多く存在したからだと推測します。
船を組んで作るという手法がなかったころは、丸木舟で木を刳り貫いて作ることができる素材が必要だった。
それができる上に、船に最適な要素を備えていたのはクスノキだった、ということかもしれません。


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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その壱〜

前回紹介した加茂の大クスは、そのスケールを感じて頂けたでしょうか。
私の好きな巨樹の中の一つですし、クスノキという樹種を語る上でのお手本として紹介しておきたいものの一つでもありました。

今までに巨樹としてクスノキの記事を書いてきたことはあったものの、クスノキという樹種の詳細をまとめていなかったことに、昨年の末頃になってようやく気が付きました。
というのも、別件で古事記に関する本を読んでいた時にふと、「木材業界でよく使う、スサノオノミコトが●●の毛を抜くと○○の木に・・・、という件があるのに、そこに出てくるクスノキをとりあげてないぞ!!」となったから。

確かに、私の本業(?!)である建築資材としてのクスノキというのは、現在ではほとんど表舞台に出てくることはありません。
あるとしてもおそらく、太く大きくなりやすい性質から幅の広い一枚板として流通する場合、テーブル用材としてやカウンターとして使われるくらいでしょうか。
建築以外では、彫刻その他の用途があるものの、やはり木材としての流通は決して多くはないと思います。

だからこそ、私の記事にも出番が遅れたのかもしれません。
自分のなかでは、かなりお勧めしたい樹種ではあり、自宅ではお手洗いのカウンターとしても使用していますが、使う理由の大きな要素である「特有の香り」から、敬遠されることが多いのも流通量の少ない理由の一つなのかもしれません。

クスのカウンター


そこで、今回から大いにクスノキを掘り下げてみよう!と思うわけです。

和名:クスノキ・樟
英名: camphor tree
学名: Cinnamomum camphora
分類:クスノキ科 ニッケイ属(書籍によってはクスノキ属)


和名の語源は、奇し木(くすしき、またはくすしきき)に由来するという説や、特徴的な香りに由来する「臭木(くさのき)」や「薫木(くすのき)」と聞いています。

学名の Cinnamomum は「ニッケイを思わせる」、 camphora はアラビア語の樟脳を意味する言葉が語源とされています。
英名の camphor も、梵語の純白である kapur またはアラビア語の kaful に由来するということなので、歴史の香りがプンプンしますね。

そう、クスノキは特有の香りがプンプンする木です。
それは木材となる幹からもそうですが、その葉っぱからも同じようにスーッと鼻に抜ける香りを感じます。
その香りこそ、学名の中にもある「樟脳」の香り。
クスノキがクスノキである所以ともいうべき香りですね。

私の自宅のトイレに使っている材も、20年近く経とうとしているにもかかわらず未だに仄かに香りますから、爽やかなトイレ空間としてくれています。
私は暑い夏に街中を歩いているとき、少しリフレッシュするために街路樹になっているクスノキの葉っぱを一つ拝借します。

小さなその葉をプチっとちぎると、そこからはすっきりとした樟脳の香りが漂ってきます。

クス 2

その香りを嗅いでいると、汗が流れることを一瞬忘れて清涼感のある気持ちにしてくれます。
もちろん、体感温度が下がるわけではないので涼しくはないのですが、街中で樹木の魅力を感じる瞬間の一つでもあります。
公害に強く、本州南部から四国、九州・沖縄までの主に暖かい地方によく育つため、私の住む大阪にも巨樹が多く、その出で立ちを誇らしげに表す名称で有名な薫蓋樟を筆頭に、とても身近な樹種なのです。

それを表すように、兵庫県・佐賀県・熊本県の県木に指定されていますが元来、自生していたと考えられている場合もあるものの、はっきりとはしない部分もあるようです。
ただ分布としては、日本一の巨樹であり日本で最大のクスノキである蒲生のクスを有する鹿児島県にもっとも多くみられ、宮崎県や熊本県が続くなど、温暖な九州にまとまっているようです。


街の樹としてのクスノキに話を戻しましょう。

成長が早く長命で、しかも公害にも強いという特徴をもちさらに樹高も高く、緑の葉を年中茂らせる枝の広がりもあることで、街路樹のほか公園木としても各所に植えられています。
樹高は30m以上、直径5m以上にもなる巨樹の卵の素質を持つクスノキですから、夏の強烈な日差しを免れるために樹下に涼を求める、という光景も見られます。
もっとも、そこに集まる人たちはクスノキのことなど微塵も知らないことと思いますが・・・


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初めての遠征で初めての感激 〜加茂の大クス〜

さて、皆さん。
本日1月7日より、弊社の令和2年の通常営業を開始いたしますので、本年も一年よろしくお願い致します。

毎年年始の営業初日の記事は、巨樹巨木の日本一を紹介してきているのですが、さすがに日本一ばかりを追うこともできませんし、今年はこの後に紹介する記事の都合もあって、「日本一だと思っていた」巨樹を紹介することにします。


現在、各地方からもいろいろとお問い合わせをいただくほどに、全国の木材を扱うようになり各地を訪問する機会も増え、木のことも一般の材木屋さんよりはある程度分かるようになったと自負してはいますが、正直つい20年ほど前までは、恥ずかしいくらいに無知なものでした。
もちろん、ある程度業務に差し支えない知識は持っていましたし、それなりの事は知ってはいましたが、インターネット検索も普及しておらず、知識を得るソースが少なかった時代ですから、求められることも少なかったこともあり、自身の周りのことしか見えておらず他の地域の事は殆ど知らないも同然でした。

そんな時期、初めて遠方にでる機会があり、無知だった私でもその名を聞いていた木に逢いたい、と思った一本の巨樹がありました。
それが今回紹介する、加茂の大クスです。

加茂の大クス 2
(右に移っているのは外国人旅行者。老夫婦がクスを目当てに来られたらしい・・・)


淡路島を経由し鳴門方面から東西に走る徳島自動車道を西へ向かい、北も南も険しい山に囲まれた徳島県三好郡へ。

当時は初めて、と言ってもいいほどに自身で企画をして山や製材を回るということを行動に移したその時に、日本一の巨樹に逢ってみたい、と思ったのはある意味当然でした。
外の世界を知らないカエルが、ぴょんと外へ飛び出すと未知の世界が大きく広がり、想像してもしきれない巨樹という存在にあこがれていた時期。

特別巨樹ばかりを巡っていたわけでもなく、今の様にネット検索をするわけでもなかった当時、「かもうの大クス」なる巨樹があるようだ、ということしか知らず、しかもそれが訪れる予定の徳島県にあるらしい、ということで期待に胸を膨らませて向かったことを、今でも覚えています。

因みに紹介する写真は近年撮影のもの。
当時はデジカメの性能も良くない上に、写真になれていなかったもので、掲載できるようなものではありませんでしたので、あしからず。


徳島県での用事を済ませて、人づてに聞いた通りに向かった先にあったのが、開けた土地に孤高にたたずむその姿でした。

加茂の大クス 1


何とも雄大で美しい樹形。
解説板の「一樹、森を成す・・・」というのも大げさではなく、立派であることを森と例えたくなる気持ちも理解できます。
樹齢1000年以上、幹回り13m、枝張り東西46m。
日本一であるとの表記。

巨樹としての迫力では、様々な樹種の上でカツラが印象に残るものが多いのですが、カツラの巨樹の場合は「ひこばえ」が多く、1本の巨大な幹という印象ではなくて異様に大きな剣山という状態なので、単幹での幹周り13mは立派です。
また、その雄大な枝ぶりは、「この木何の木」のモンキーポッドを彷彿とさせます。

その大きさと見事な枝ぶりで、数少ない「国指定特別天然記念物」に指定されています。
以前にも杉の大杉でお伝えしたように、天然記念物の中でも「特別」がつくものは非常に珍しく如何にこのクスが貴重なものかということが分かります。

加茂の大クス 7


巨樹巨木にはつきものではありますが、一時期樹勢が弱った時期があったそうです。
広大な広さを確保されている当地も、昭和に入り農地や宅地の開発が進んだ時期があり、その時期に弱りが見えたそう。
しかし、周辺の農地を公園化し(それでこんなに広々としているんだ…)、治療も施して樹勢が回復。
驚くべきことに、東みよし町の産業課のホームページによると、樹勢回復後には解説版記載の幹周りからさらに太くなり、2007年には16.72mになったというのですから、なんとも素晴らしい回復力

幹回りの表記や計測にはいろいろな基準や計測がありますから、一概には何とも言いにくいところですが、数字に納得できる迫力と生命力は十二分に感じることが出来ます。

特別、という冠のつく巨樹は珍しいのですが、それは日本一なんだから当たり前!と当時の私は思っていました。
だって、「かもうの大クス」が日本一だと聞いていたんだから。

それは間違いではありません。たしかに「かもうのクス」は日本一なのです。
しかし、そのクスは当地のクスではありませんでした。
なんと!、「かもう」違いならぬ「かもう」と「かも」の勘違いで、当地のクスではなく正しい日本一は以前にも紹介している「蒲生のクス」だったのです!!


加茂の大クス 10


無知というのは恐ろしいもんですね。
解説版にも書いてあるものだからてっきり、これが日本最大の巨樹であるクスノキだと思い込んでいました。
情報をもたないということは、情けない話です。
しかし、双方ともに「特別」天然記念物にしていされていますから、当地のクスも数ある日本のクスの巨樹のなかでも非常に希少な存在として認知されているという証拠。

幹周りでは、当地よりも巨大なものは多く存在しています。
クスノキの場合は特にですが、我が大阪府の誇る「野間の大ケヤキ」と比較しても、幹回りは大きく変わらず。
それでも、筋肉質で武骨な太さを見せるくびれではなく、「女性特有の美しいくびれ」を想像させる加茂の大クスは、やはり特別天然記念物にたる姿を私たちに見せてくれるのです。

加茂の大クス 4


その美しくくびれた幹の上に、「傘を広げたように」と称される見事な枝ぶりをもっている加茂のクスは、近づいて見上げたりじっくりとその幹を観察したりという楽しみももちろんあります。
しかし、それ以上に贅沢な接し方は遠くから、その全体の姿を眺める事だと思います。

先に書いたように、加茂の大クスの周辺は公園化されていて、広場の様な状態です。
そのため、近くにいることで巨樹に圧倒されるような雰囲気も感じられるのと同時に、ほぼ 360° どの角度からでもその見事な姿を一望できる場所になっています。

大クスの為の周辺整備をしていただいていることが、結果的にその美しい姿を十二分に味わうことのできる空間を作ってくれているみたいです。

加茂の大クス 13


私が加茂の大クスに最初に出逢ったときからすると、ある程度は様々な木を見てきましたし、製材所を回ることも普通になり今では、片道数百kmの道のりも日帰りでこなすほどの出張族になりました。
その間、巨樹にも多く出逢ってきましたがやはり、これほど訪れる人にとっての好条件がそろっていて、なおかつ立派な巨樹というのはなかなかあるものではありません。

だからこそ、最近になってもう一度訪ねたい!という思いになったのでしょう。
本来の目的地は、ここからさらに険しい山を越えていかなければならないところにも関わらず、20年ぶりの再会を果たしにやってきたというわけです。

そんな気持ちをもっての訪問は、「また、逢いに来てくれたんだね」と大クスが迎え入れてくれているような、だれもいない広い空間での公然の逢瀬。


加茂の大クス 14


誤解から始まった加茂の大クスとの出逢いは、後の私の巨樹巡りの出発点と言ってもいいのかもしれません。
そこから少しづつ樹木や木々に関する知識を付けて、今回戻ってくることが出来ました。
今眺めても、最初に出逢った感激を忘れることはありません。


激しく変わろうとする木材の業界の波にさらされることになった現在に、まだ若かった自分の記憶をよみがえらせもう一度フレッシュに送り出してくれるような、そんな気持ちになりました。

次の予定には十分すぎる滞在時間を見込んでいたものの、時間の経過をすっかりと忘れてしまっていました。
去るに惜しい気持ちで振り返った時に見せる大クスの姿は、別れる涙の雨の中で傘をさす恋人の様な姿に見え、人生の限りある時間の中でここに2度も来ることが出来た幸せを、再度感じさせるのでした。

地域のみなさんと、いつまでもその美しい姿を維持してほしい。
そう願って、私はまなざしを目的地である山向こうにうつすのでした。



加茂の大クス 15


加茂の大クス所在地

徳島県三好郡東みよし町加茂1482

駐車場あり、トイレあり


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黄金色のフローリングの民家には、黄金に比するお宝あり! 

写真で見る限りは、どう見ても立派な庭石。

ちょっと形がいびつというか岩山にある原石そのままのような感じがあるくらいで、広い庭に良く似合う巨石に見えます。
わざわざ言われなくてはわからない、また言われてもよほどのマニアにしか凄さの伝わらないもの、それが珪化木です。

黄金に比するお宝 4


前回の写真の珪化木を、所有者(今回のお施主様)と比較しますとこのサイズ。
地表に出ているところだけでもこのサイズ。
もともとはもっと長かった?とかおっしゃっていたような気がしますが、すくなくとも2m以上の長さがありますし断面幅でみても70cm位はあるでしょうか。
いやこれ、80cmあるそうです!!
一本木ででてきたらしく、株のほうはもっと太かったとか・・・


とても大きな「化石」です。

以前に、弊社の記事の中で「羽根西の珪化木」や、わが茨木市の市役所ロビーに注目されることなく片隅に鎮座しているものを紹介しましたが、それとおなじ珪化木だそうです。

おそらく、この塊を製材(?!)してみると、石となった木材の木目が見えるはず!!です。

ちなみに、珪化木のほかに木化石というものもあって、どちらかというとイメージでは木化石といったほうがしっくりとくるものの、正確にはその組成に違いがあり区別されています。
その詳細は以前を記事を参照してください。

あまり知られてはいませんが、日本国内でも各地で珪化木は採掘(?)されており、触れることができる場所もあります。
もちろん、天然記念物としてのこっているものもあり、先の波根西のほかにも存在しています。

実際に触れる、といってももちろん木としての温かさや柔らかさはなく、石そのものなのですが、長い年月がおりなすその特有の色や形状は、宝石と同じような感覚を感じます。

珪化木のように、化石になる一歩手前の状態状態といえるのが神代木
弊社でも取り扱いがありますが、数百年数千年の時を経てもなお、木質を維持し現代の木材とは色目や風合いや味わいの異なる状態になっているもの。
しかも香りも残っているために、木という存在をそのまま感じることのできるタイムカプセルのようです。

木という素材のまま残っているか、石とかしているか、その違い。
石になってもやはり私の興味は尽きないことにも変わりはありません。

黄金に比するお宝 1


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黄金色のフローリングの民家には、黄金に比するお宝あり! 


前回にお見せしたピュアラーチ、施工直後からもとってもいい色合いですが、これから生活とともにどんどん色合いが深まり、黄金色の木目が浮き立つような仕上がりになっていくことと思います。

ピュアラーチ幅広無垢一枚物フローリング セレクショングレード 1


写真をご覧になってもわかるように、今回施工いただいたところはいい感じの民家です。
都会のような、敷地面積=建物+駐車場というような環境とは異なり、良い建築とゆったりとしたスペースのある環境ですので、見るべき場所は家のなかだけではないんです。
というよりも、私にとってはむしろ、家の外の方が見るべき場所である、といっても過言ではない状態なのでした。

その理由はこれです。

黄金に比するお宝 2

え?!
木に関しては、並々ならぬこだわりがあるとは思っていたけど、今度は石にまで!!?
巨木巡りをしている記事は見かけるけど、巨石?!にも興味がうつったのか?!

そう思われるかもしれません(汗)。

いや、そうではなくてこの石、実は木なのです。

またわけのわからないことを言っている、と思うかもしれません。
もしくは、すぐに「あぁ、あれか・・・」と思われる方もわずかにはいらっしゃるでしょう。

木が大好きな私が気になる石。
それは、珪化木や木化石といわれるものです。
つまりは木が化石になったもの、です。
木であり、石である。いや、石だけどもともとは木である、というんだろうか。

恐竜の化石、というと古代の恐竜の姿がそのまま残っている状態で、今にも骨が動き出しそうなほどに美しい状態で、「石になった骨」が出土します。

恐竜


恐竜のように「見事に樹木」ではありませんが、写真の石は珪化木だそうです。

次回に続く・・・

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〜木材から遠い人こそが、木材を使う人〜 お施主様ツアーは木材業者の研鑽の場 

弊社にも一般のお客様が来ていただきますが、お越しいただく皆様は殆ど全て、一般にも販売していただけるのですか?!とお尋ねいただきます。
もちろん、販売させてもらうのですが、「小売りはしていない、大量販売のみ」というイメージを持っておられるのです。

それも分かります。
私の若い時分は、木材市場に引取りに行っても若造は無視が当たり前でしたし、製材所に少量で細かな注文をしようものなら「そんなもん、できるわけないやろ!」という回答か、鼻で笑われて相手にされないかのどちらかでしたから、木の事や流通の事を知らない一般のお客様には、エベレストよりも険しい壁のある業界だったに違いないでしょう。

ツアー8

しかし、お客様(施主様)というのは今すぐではなくても、または少量であってもお客様。
もちろん、専門用語が通じないとか、面倒で儲からないとかいう考えも多く持たれていましたが、最終的に利活用してもらうのはそのお客様(消費者)です。

私たちは流通の中にいます。
専門業なので木材の販売量は多いですが、最終消費するわけではありません。
だから、山も製材も材木屋も、きちんと見なければいけないのは本当は消費者であるお客様だと思うのです。
見学してもらっても、すぐに「この丸太を売ってほしい、これを製材してほしい」とはなりません。
しかし、消費者からつながる利活用はとても大きいものです。

いまこそ、消費者の考えを知りそこに向いて木材業界の考え方ややり方を変えていく時期ではないか。
そう考えて、今回のツアーを主導していました。
お越しいただいた方の中には、近々の増改築を考えておられる方や店舗開業の予定の方もいらっしゃいます。
そういう方にこそ、魅力を知ってもらってこその木材!
しっかりと啓発していきたいです。

一般消費者に受け入れられない物はいずれ廃れる。そんな気がします。
他業種もそうですが、B to B のみから B to C も見据えた時代になっている。
消費者のこと、ちゃんと考えてお客様対応すること。課題です。

だって、よほどの変態材木屋(私の様に・・・)位しかしないような、こんな行動を素直にできるのは好奇心のある子どもだから!!

ツアー2


張り付きで!香りを楽しんでいます(笑)。
めっちゃいい光景!!最高です。
おじさん、うれしいよ。

木の香りの事や性質の事に対する予備知識がないからこそ、純粋に子供も大人も興味を持てる。
一般消費者の持つ力。

車業界ですら、近年は激変している時代です。
木材業界はいつまでも不変ではいけません。

時代と要求されるニーズに対応すること。
その中で、伝統や伝承を忘れずに活かすこと。
山にも製材にも、その変化を理解してもらいながら力を貸してもらうこと。

これからもずっと続く課題です。
写真の僕ちゃんの様に、無邪気に抱きつけるような大人も増やしていきますよ(笑)。

次回以降のツアーにもぜひご期待下さいね!!
(海と空の、青のグラデーション。最高!!)

ツアー7


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〜木材から遠い人こそが、木材を使う人〜 お施主様ツアーは木材業者の研鑽の場 

弊社を含めての「製材所や材木屋」というのは、おそらく木材消費者となるお客様には「とても入りづらい場所」になっているのではないかと思います。
長い商習慣の中で、専門用語や専門知識に長けた者同士がやり取りするお店。
大きな木材を大量に販売するところ。そんなイメージです。

実際、私が業界に入りたての頃の二十数年前は、お客さまよりもむしろ販売側の方が「強い」時代でした。
もちろん、少ない需要には応えてくれませんでしたし、今までにないような要望を出しても全く聞いてはもらえませんでした。
少なくとも、若造の私の言うことは。
業界内にいてもそうだから、お施主様の声など届こうはずがありません。

そんな時代の経験者だからこそ、製材所や弊社のような材木屋も親しみやすい存在になるべきだと思います。
もちろん、大きな木材から小さな一本を切り出す、ということには相応のコストと時間がかかるので、出来ないことも出てはきますが、利用者から声がかからないのは非常に悲しいこと。
そして、その木材を利用したい人は、建築などの業者だけが量を使うわけではなく、本来はその流通の先にお施主様がいるはず。
その方たちが、喜んで住宅や店舗に使っていただけるからこそ、業者さんも材料の循環がある。
お施主様は一度の利用のみでリピーターにはなりにくい、そう考える業界ではありますがやはり、熱心に木材利用を考えてくれる方であれば、建築業者であっても施主様であっても、わけ隔てあってよいわけありません。

なので、今回は非常に基本的な樹種の差や特徴、香りや触感、外観などをメインに体験型のツアーを企画したのです。

ツアー4


今年に弊社が行った「材木屋と行く森林ツアー」の直後に、共通の知人を介して出逢いをいただいた工務店さんと、その工務店さんをしたっておられるお施主様や工事業者さんとともに、普段は見ることのない製材や木材を見て廻ったのです。

今回は、皆さんが木の事が特に好きだ!というわけでもなく、また普段から木の建築に興味があるというわけではありません。
しかし、その工務店さんがとってもすすめる木がある、ということで二十名ほどの参加者が集まる、非常にうれしいツアーとなりました。
私の商いは、普段はBtoB。
上記の様に、専門用語で専門業者や同業者とやり取りする、という場面の多い業種です。
そのため、平易な言葉で説明することや自分の扱っている商品に対しての説明が不慣れな場合が、今までの常でした。

しかし、情報はどこでも入手でき、商品さえも誰でも購入できる時代だからこそ、しっかりと自分の扱うものの事を知り、説明して喜んで使ってもらうことが非常に大切になってきている、と感じます。
今回の主役である工務店さんも、私がプライベートツアーを企画してお連れした結果、非常に気に入って下さって早々に、自分が良いと思うものや人をぜひ知ってもらって、ご自宅などに活かしてもらいたい、ということで企画のお話をいただいた経緯です。

もちろん、業者間の取引も非常に大切。
しかし、これからはそれだけではなく、きちんと使いたい人のニーズや声をきいて、使いたいし傍に置きたい、と思える木材製品を世に出していかないといけません。

ツアー6


今回、皆様に事前の知識や情報がなかったにもかかわらず、熱心に木を見てもらうことが出来ました。
非常に貴重な、「○○お手植えの・・・」なんていうものも見ることができて、ひとり盛り上がったりしましたが、やはり引率や主催者が盛り上がることもツアーにとっては非常に大切な事。

引率が楽しくないツアーなんて、絶対面白くないですもんね。
そういう意味では、完全に毎回楽しんでます、私(汗)・・・

 
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〜木材から遠い人こそが、木材を使う人〜 お施主様ツアーは木材業者の研鑽の場  

いよいよ今年も12月!!
少し冷え込む日もありますが、やはり異常に暖かい。
新聞記事にも、11月で気温20度を超えた日が多くあったとか書いていましたね。信じられません。
このままでは、今シーズンも「雪遊び」が出来なくなってしまうのでは!?と今からあせっているわけです・・・

それとは異なり、寒さが近づいてくると本格化するのが木材生産の世界。
現在は、年がら年中木材が生産されますが、本来はこの冬から春になる手前位の時期に伐採しそこから同時に製材を始めていくわけです。
野菜や他の食べ物の「旬」と同じく、「伐り旬」などと呼ばれます。

その旬のシーズンなので、どうしても会社にいる時間が少なくなってしまうのが非常に難儀で、仕事はたまるし営業活動は出来ないし、忙しくしているようにみえて走り回っているだけなので、まったく売り上げは上がらないし・・・
そのうえ、本記事の更新も滞りがちになるし・・・・・

という状況のいいわけですが、営業活動が出来ずに商品売り上げのない日々でも、未来への活動とお客様の満足の為(なんかビール会社みたい・・・汗)に、ちゃんとやることやってます、という報告をしておきましょう。


ツアー1


うわぁ・・・挽きたてでもほしい!!

材木屋でも思ってしまう幅広の天板材。しかもこれは長さの長いものなので非常に珍しいもの。
お施主様も、「いいよねぇ〜」の反応。

そうです。先日、私が懇意にさせてもらっている製材所さんにご協力いただき、今回はお施主様や関係業種の方を製材所へお連れするツアーを企画いたしました!!
とはいえ、今回の主催は私ではなく、そのお施主様から信頼を受けている工務店様です。
なので、私は影であり「黒子」!!

ところどころの要所説明はするものの、いつものような引率ではなかったのですが、その分普段木材に触れる機会の少ないお施主様などに、どのように木材を、とくに特別にこだわっている木材の事を伝えればいいか、ということを考える機会になりました。
現在の木材業界は、この「普段、木材の事を知る機会のない層」への説明が圧倒的に少ないと思います。

無い、のではなく少ない、のです。
特に、木材関係業者は満足していても、その後の木材消費や環境への想いから行動へのプロセスにつながりにくいようなイベントになってしまうこともあります。
なので今回は、「受け入れられなくても、私が情熱をもって接している製材所さんの材を全力で感じてもらう!」ことをコンセプトに持ってのご案内。

ツアー3

参加の皆様の中には、様々なご縁のつながりでお越しの方ばかりで、全ての方が建築プランをお持ちなわけではありません。
しかし、全力で取り組んでいる姿勢を見てもらうことで、何かにつながるはず。
もちろん、参加の方の中には「古民家を改修しての店舗計画」や「おしゃれなカフェの2店舗目」であったりと、直近での建築プランのある方もいらっしゃって、気持ちよく木材の事を知ってもらうことと並行して、きちんと製品をアピールしなければならず、なかなか大変(汗)。

有難いことに、お子様連れのお施主様もご参加くださり、かわいい盛りのお子様の手を携えての製材所巡りという、案内人冥利に尽きる(?!)体験もさせて頂き、普段ご案内している、材料を吟味する鋭い視線の皆様(笑)とは少し違うツアーとなりました。


昔むかしはおそらく、大工さんが材木屋にお施主様と訪れて、木材選びや家族が木に触れる機会を作ったりしたのではないかな、と思ったりしながら普段は接することのないお施主様対応を、無理言ってお願いをした製材所さんには、とっても感謝しています。

 
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天は二物も三物もあたえるのか?! チーク超幅広!無垢フローリングの原板出荷

もはや、チークは木材中の大谷翔平というべきか、大谷選手を野球界のチークというべきか、どちらもすごい!という変わり物材木屋の比較検討ですが、何も大谷選手だけがチークと近しいわけでもないのです。

大谷さん4


今回、超幅広のチークをフローリングに加工しようという超こだわりのお施主様の様な、ごく限られた世界の方にとっては、やはりチークは特別であり乍も身近においておきたい木材の様です。
耳にはさんだ話によると、某IT企業のCEOの自宅がチーク普請だというお話や、某有名俳優の屋外デッキ材が良質なチークの長尺材、だそうです。
屋外のデッキがチークって・・・

あぁ、そういえば最近お見積りをさせた頂いたお宅も、熱帯広葉樹の高級品と日本のクリ材でお見積りをしたものの、これよりも高価になってもかまわないので、見た目も耐朽性も高いものはないですか?!とおっしゃってたっけ・・・
普通はヒノキですら、赤身のデッキを採用して頂く場面が少ないというのに、反対にチークを使おうという層もある。
いろんな人が居るもんだ・・・・・

そんなだからもちろん、「世界有数の方たち」の中には、チークを使わないという選択肢は無いのかもしれません。
ある意味、「世界で数台しかない高級車」といっても、モデルチェンジや年度が進むにつれまた、新しいモデルが販売されるので、いくら高級といっても天然の産物であるチークの方が、「彼ら」にとっては魅力的なのかもしれませんね。

夢の車

どちらにせよ、二物をもつものすら少ないのに三物(こんな言い方するのか?!)をもつ「オオタニサン」と「チーク」。
凄いなぁ、私には一物すらないというのに・・・
いや、私にも「木の道だけは譲れない!!」という思いだけは負けないはずだけど。

そうだ、私には木を思う気持ちがあるはず!
お客様にもいつも、この樹種はこんな柔らかさでこんな表情があって、と木の気持ちになってお伝えしている。
そういえば、チークの床はN澤まさみさんも「チークの足音って・・・・・・なんか、いい音・・・。」って言ってる。

コマーシャル2


こうやってみると、細くてきれいな指だなぁ・・・・とあたりまえながらに感心(笑)。
じゃなくて、チーク製の床の上に頭を付けて、その指先を足になぞらえて歩く感触を「踏みしめて」いる。

ものすごく上手に作られてる、さすがの出来栄え。
いや、N澤さんにわかるならばきっと、私にはそれ以上にチークの足音分かるはず!!

ということで、登場人物はボロ負けですがフローリングはこちらは超幅広の300mm幅ということで負けていませんので、一応、張り合ってみました(汗)。


チーク超幅広無垢一枚物フローリング 原板 2


おおお、、、
なかなかいけてませんね(涙)・・・人物は・・・


しかし、先方はチーク材が数枚並んでいますが、当方は完全に300mm幅一枚しか映っていません。
どうだ!!
って、何がしたかったのか・・・・


とにかく、やってみて分かったことはチークの足音、ではなく無塗装のチークのヌメリ感と香りがとっても心地いい、ってこと。
これはウレタン塗装や表面化粧の合板フローリングではわからないことです。
もちろん、足触りも最高になるはずですが、それ以上に着色など一切ない無垢のチークの幅広板を使える贅沢。
数年後には私も本当に踏みしめさせていただくことになりそう(お宅訪問で)なので、本当のチークの足音はその折にお伝えすることにします。


才能の一物もないものの、珍しい木材の一物は稀に持っている大阪の材木屋のチーク日記、でした。

 
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天は二物も三物もあたえるのか?! チーク超幅広!無垢フローリングの原板出荷

本当に、今年の弊社の地元以外の「府外出荷」は変わり種が多かった一年でした。
前回のスポルテッドにしても、一年で5人の方にお尋ねを頂くとか通常では考えられないのですが、いよいよ弊社が全国的に変わり物材木屋として認知された!ということか・・・(良いのか悪いのか・・・)

 そんな変わり物の在庫の中でも「正統的な異彩」を放つのは、もしかしたらこれだったかもしれません。

ミャンマーチーク 超幅広無垢フローリング原板 5

いつもの巨樹写真でもそうですが、やはり写真では木材を伝えるのは難しい。
色合いも木目も雰囲気も、自分の思ったように伝えたいのですがうまくいきません。
そういう意味で言えば、やはりプロやコマーシャル製作の方ってすごいなぁ、と思ってしまいます。

その異彩を放つ材は「チーク」です。
弊社レギュラーで取り扱いの無垢フローリングの中にも、ネシアンチーク幅広無垢一枚物フローリングを紹介していますが、今回はそれとは違います。
フローリングとしての加工はこれからですが、なんとその幅は300mm!!
数字だけではピンとこない事でしょう。
ですので、比較をしてみます。こちらです。

ミャンマーチーク 超幅広無垢フローリング原板 3


白いものが上にのっているのは、弊社の欧州楓(ヨーロピアンメープル)幅広無垢フローリングのつなぎ目V溝150mm幅です。
小さく見えますが、150mm幅ですよ!
無垢フローリングで150mmというとかなり幅広なのですが、それがまるで90mm幅品のように・・・いやそれよりも頼りなくすら見えてしまう存在感。

もちろん、両者は幅だけではなく厚みも倍ことなるので、同じ土俵で見ることはできないにしてもフローリングとしての300mm幅は相当な迫力間違いなし。
しかもチークです。

世界三大銘木と言われるだけあって、色合いもとっても落ち着いていますし、同じく木材としては珍しい黒っぽい色合いで人気のあるブラックウォールナットよりも木目が引き立ち、さらに寸法安定性が高く湿気に対して抵抗性があるという性質。
木材に求められる全てを兼ね備えている、唯一の木材ではないかと最近つとに思います。

見た目が気になる装飾性、屋外や湿気の多い場所での耐朽性、木質材料として求められる寸法が取れること、そして木材として利用する時の乾燥後の寸法安定性。
全てを高い次元で兼ね備えているのが、チークではないでしょうか。
一つ一つの特徴では、他の樹種が秀でているものも多くありますが、優秀な性能を高次元でバランスさせることの難しさ。

現在の人に例えるならば、やはり大谷翔平選手か!

大谷さん1


野球選手の資質の中の、走る・打つ・投げるを一人でこなせる選手。
打者での三拍子である「走・攻・手」が揃った選手は稀にあります。3度のトリプルスリー(打率3割以上、ホームラン30本以上、30盗塁以上)を達成している山田哲人選手はその代表格。
しかし、投手を兼任することはありません。
ましてや、160km/h超の速球や多彩な変化球を操り、メジャーリーグでも投打で活躍するなんて、どんな才能なんだ?!と驚きを感じます。

よく考えると、チークも驚きの性質を備えている点で共通しているとは思いませんか?!


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ぶなスポルテッド 旅立つ

弊社はホームページでは、無垢のフローリングをメインに掲載させて頂いていますので、フローリング屋さんかと思われる方も少なくないようですが、実は(?)一般建築材から無垢板材、テーブル用天板やカウンター材、そしてベニヤ板や集成材までを扱う、「材木屋さん」です。

海外でつくられた商品をそのまま流通させるフローリング商社、というような形態ではなくて店舗に木材の在庫を抱えている状態です。
ですので、無垢フローリングに付随する部材であったり、またはフローリングとは関係のない「こんな木材でこんなのができないか?」というようなおたずねも頂くことがあります。

そんな中で、今年は例年とは少し違ったもののおたずねと出荷が続きました。
代表的なものの一つがこれ。

スポルテッド 4


スポルテッド材と言われます。
興味の無い人には、とっても汚れてた板材、もしくは腐りかけの廃材と映るようなもの。
実際、もくざいとしては結構ボロボロだったり虫の穴があったりという状態ですし、それ以前に本当に腐朽している材ですから、普通に考えれば廃材なのかもしれません。

しかしながら、人の好みは千差万別・十人十色。
見方によっては素晴らしい材料、ということでこの板材をうまく活用して商品を生み出す方がおられるのですね。

今年に入って5人の変わり物(失礼・・・いい意味で、です。)の皆さんからお尋ねを頂きました。
最近出荷したものは、家具になるのか小物になるのか分かりませんが、人の手によって「腐った板」から「模様の綺麗な家具や小物」に変わるのです。
そうなると杢のある木材と同じように、もう立派な作品に変わります。


私たちはどうしても視覚的情報や、今までの経験等をもとにした判断で物を見ることが多いと思います。
しかし、考え方や捉え方、見方を変えれば新しい価値が沢山あるという事に気がつくのが、このスポルテッド。
黒柿等と同じですが、自然にできる特異な模様ですので、在庫が無くなったからと言って丸太を買って製材してつくる、ということのできないものだけに、非常に貴重。
自然の産物だからこその、綺麗な模様だと思うとものすごく良いものにみえてくるのは私だけではないはずですよね。

スポルテッド 3


まだ、弊社から出荷した材での作品にお目にかかったことはありませんが、是非一度見てみたいと思っています。
まだいくつかはブナスポルテッドとトチスポルテッドの在庫があります。
お探しの方はあるうちにどうぞ(笑)。

また、それらとは別に、小さな板材スポルテッドもいくつかありますので、こちらは小物製作等に使ってもいいかもしれません。

スポルテッド 1


丸太が細いので芯材部分が少なく、中心まで模様があるのが良いですね。
ちょっと太めのものは芯材部分には模様がありません。
そう考えると、芯材って耐久性あるのね・・・改めて実感。

スポルテッド 2


無垢フローリングもとっても大切なのですが、こんなものも扱う(このなものの多い?!)変わった材木屋です。
(もちろん、普通の材も沢山ありますけど・・・)

芸術的センスの変わり物たち、集まれ!!

 
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白赤はっきりつける?! 木ーワードは源平合戦

赤と白の色合いのはっきりした境目を持つ材を指す、「源平材」という言葉。
どうも歴史と関係がありそうですが、だれが言い出したのかは知り得ません。

前回の続きで、白旗といえば「降伏・降参」をあらわすもの、という認識もあります。
源平の合戦では白旗の源氏方が勝利しているにもかかわらず、なぜこのような認識になったのか。
もちろん、その後の歴史上での源平両者の関係などもあるのでしょうが、不思議な点も多いものです。

源平の合戦


木材には全く関係ありませんが、私が好きだった自動車レースでも白旗が存在します。
それと共に、自身がサーキットへ走行に行っていた時は、赤旗とオレンジボールと言われる日章旗デザインににた色違いの旗がもっとも嫌でした。
赤旗は事故やアクシデントなどで走行中止、オレンジボールはオイル漏れや機械トラブルなどで車両に問題があることを指しています。
前者の場合は、限られた走行時間が無くなって行くこと、後者はコース内にオイルが出て滑りやすくなる(事故の危険性大)か、愛車が故障しているという合図なので、どちらもいいものではありません。(写真は黄旗)

サーキット旗


それに比べて白旗は、コース上に遅い車両がいることなどを示しているので、この場合は大きな心配は入りません。

このように、旗はいろいろな場面で物事を伝える役割をしています。
サーキットではなくとも、赤白の旗を振ればそれは手旗信号になります。

映画やドラマで目にしたりしてきましたが、美しい姿勢でキビキビと旗を振り、一文字一文字相手に伝えていく様は、とても凛々しく勇敢に映ります。
籏を使った赤白は、それを振るうだけで意図したことを伝える力がある。
源平材と言われるスギの木材も、もしかしたら大きなメッセージ性をもっているのかもしれない、と思うとまたスギが好きになってしまいそうです。
しかし、語源の通りであるとするならば、スギの赤身(芯材)である平氏と白太(辺材)である源氏の間には、「白線帯」という水分やアルコールなどを通しにくい部分があるはず。

白線帯


もしや、歴史上でその役割を担う事になっていたのが「源義経」だったのだろうか?!!
白線帯とは、辺材が役割を終えて芯材に変わっていく境目に僅かにできる境界線。

源氏方である義経が、最後は白である身を追われていくそのストーリーが、どこかスギ材の「源平材」という言葉に込められているのではなかろうか!!と想像以上の妄想を膨らませてしまいそうです。


その真偽は別として、何かしらの歴史にも関係のある、日本人になじみの杉。
私も旗を振り、スギの良さをもっと伝えられるように頑張らなければ!!!
 

源平の合戦 滅びゆく平氏



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