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神代欅(ボグケヤキ)の持つ水分 〜ひと目でわかる、木が呼吸することを知る実験〜


先日記事にしてお知らせした「神代欅(ボグケヤキ)」ですが、その加工した板材の小さく切ったものができましたので、ちょっとした実験をしてみることにしました。


「木が呼吸しているのが見える」実験です。

といっても、正確には生命活動は停止している状態の木材ですから、実際に光合成の過程を踏んでいるわけではないので、ここでいう呼吸とは「木材の吸放湿性」についてという事になります。

では実験開始です。(開始から約一日スパンでの様子を追ったものですので、同日での状態の記録ではありません。)

神代欅(ボグケヤキ)実験 1

 既に反りがコレくらいでています。





まず、白い紙を用意します。(裏紙ですみません・・・)
そしてその上に先ほど用意した神代欅(ボグケヤキ)の切れ端角を木裏を下に向けて置きます。
そしてそのままの状態で、ここから一日放置です。
場所は弊社事務所、私のデスクの上です。

環境としては、30年以上前の断熱なんていう言葉が通用しないような時分の建物で、当然シングルガラスであり、約13坪ほどの空間が一間(ひとま)になっていてよく風が通りますので、冬の今の時期は室内でもジャンパーのような状態です。
エアコンはエコの観点から・・・というわけではないですが、一台のみ25度設定で動いています。

こんな状況の事務所にて一日放置後の様子を見てみます。


さて、放置後一日経ち二日目。

板を動かしてみましょう。
どうなっているかな・・・

神代欅(ボグケヤキ)実験 2神代欅(ボグケヤキ)実験 3







おっ!!!
板をのけてみるとすぐに変化を発見。
わかるでしょうか、下敷きにしていた部分の紙が、板を置いていた部分のみ湿気でぶよぶよと波を打っています。

そして板の方はどうか・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 4神代欅(ボグケヤキ)実験 5








おおっ!!
こちらも変化あり。
紙に接していなかった方の木表側が反ってきています。開始時よりも反りが大きくなっています。

なぜでしょう・・・


少し話はそれますが、原因は吸放湿のメカニズムによります。


テーブルの天板などで、一枚物の無垢板を使用される場合に、傷や汚れを気にかけられて、表面(表面)のみにビニール製透明のシートをかける方がいらっしゃいます。
ですがそうすると、本来は木材の全ての面から行われるはずの吸放湿の動きが一面だけ遮られてしまい、一方へとどんどん反りが進んでしまうことがよくあります。
ビニールが透湿性がない為ですが、一度反ってもそのカバーを外せば元に戻る場合が多いです。


もうひとつは、最近増えてきたおしゃれな飲食店のカウンターです。


外装も和風からモダンまでとてもおしゃれに飾られ、店内も照明計画に至るまできっちりと美しく統一されているようなお店でもみかけます。

テーブルやカウンターの反り。

とてもいい雰囲気でカウンターに肘をかけた瞬間、「んん?」と何か変な感じ。
見てみると、天板が反っています。
当然、お客様には無垢の一枚板なので反ります旨はお伝えされていると思うのですが、見事に店内の板が一様にそっているではありませんか。

そこでおもむろにカウンターの裏面を手で触ってみますと、「案の定」です。
表面にはきっちりと造膜性(塗料で材の上に保護膜を形成するもののこと)が塗布されているにもかかわらず、塗料の節約か無知から来るものか何かわかりませんが、裏は何の細工もされておらず、捨て塗り(仕上げではなく、反りなどを防ぐための塗膜造り塗装。)さえもされていない場合が9割以上です。

先に書いたように木材はあらゆる面から呼吸しているために、どこか一部のみが吸放湿できなくなると、一面のみ収縮率が大きく変わってくるのでその部分だけが反ることとなってしまいます。


実験の材もこのように、紙に接していない一面のみから乾燥している室内に湿気を放出しやすく、もう一方は紙の部分を見てわかるように材の中にある水分はでていますが、行き場がなく紙を濡らしていることがわかります。

乾燥した木材だとここまでの目視可能な違いがすぐ出るわけではありませんが、材中の水分の一つの目安にはなるかもしれません。


因みに実験を続けてみましょう。

今度は反対で、木表側を紙に接するよう下向きに配し、放置してみます。


神代欅(ボグケヤキ)実験 6神代欅(ボグケヤキ)実験 7













神代欅(ボグケヤキ)実験 8神代欅(ボグケヤキ)実験 9








いかがでょう。

見てとれますか?
今回も紙が濡れて波打っています。
ということは、前にはわからなかった木表側からもきちんと放湿されているということですね。

それに、反りを見てみましょう。
ややっ・・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 10神代欅(ボグケヤキ)実験 11








木表側に大きく反りあがっていた面が、少し落ち着いているではありませんか。
ただひっくり返しただけですが、今まで放湿を遮られていた方からも湿気が放出され、もう片面との放湿の差が少なくなったからだと推測されます。
収縮のバランスが取れてきているということです。

ただ、もともとの木材の癖は関係なく残るので、完全にまっすぐには戻りません。


では最後にもう一回だけ、木裏を下向けにして状態を見てみましょう。
変化がでるかどうか・・・・


神代欅(ボグケヤキ)実験 12神代欅(ボグケヤキ)実験 13








じゃん。
小さくて見えにくいと思いますが、木裏を下にして一日おいてみると、なんとまた逆方向に反ってきているではありませんか!!
前の写真と見比べてもらえばすぐに分かると思いますが、反りの納まってきていたところが再度反りあがってきています。

何も外的要因はなく、一日おきに板ひっくり返していただけでこの違いです。


神代欅(ボグケヤキ)実験 14








最終的に実験終了時にはこんな感じになりました。
丁度板の真ん中に定規をあてたのですが、両端が見事に反っているのが分かります。
自然の力、生きている力とはいかにすごいものなのか・・・

ただの木材がこんなに動くんです。湿気を入れたり出したりするんです。

そらぁ、こんな小さな木片でもこれですから、フローリングや天板でも症状が現れるのはむしろ当たり前です。
強制的な人工乾燥や、ウレタンなどの多量の造幕製塗料を用いて癖も個性も殺してしまって、「動けない状態」の木質建材とは違います。
いつもながらいいますが、木は人間と同じ生き物です。

きちんと付き合っていく為の知識と、気持ちがあればこれ以上に恩恵を与えてくれる素材はありません。


これから木材を選ばれるお客様には、もし木材が反りや曲がりという状態になった場合も、「おっ、そってきたなぁ・・・どこまでいくかなぁ」というくらいの余裕を持って接していけるような状況で付き合っていただけることを望みます。
今回の実験が木材の特徴を知る一助になるように・・・



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