空を見上げて
トップページ » 木材の収縮について −木と水分の関係−

木材の収縮について −木と水分の関係−


弊社の記事を読んでいただいていれば、無垢の木材が吸放湿し、時には伸びたりまたは縮んだりすることを御存じだとおもいます。(まだの方や、注意点を知りたい方は弊社からのメッセージをご覧下さい。)

前置きをしたのは、こんなに情報がたくさんある時代に、未だに木材が「動く」(吸放湿して、木材が収縮すること。)ということを説明をせずに売りっぱなすところが多く、お施主様も木材の見た目の色や雰囲気でのみ判断されるため、伸縮する特性をお伝えすると驚かれることがあるからです。

どうしてこんなに情報があるのに、そういった基本知識が普及しないんでしょう・・・・原因は「売りたいから」と、「売る方も無知だから」の二つだと思います。
イメージ先行のお施主様に、無垢木材の節や伸縮などの短所をお伝えすると最初は当然驚かれます。
でも、しっかり長所と合わせて説明すれば納得いただける場合がほとんどです。
ところが、すぐに売りたい、という気持ちから短所を見せずにイメージのみで販売するから、あとでお施主様が驚かれることになる。
特に綺麗な表情ばかりを見せたがる傾向にあります。

そしてもっと困るのが、無知な販売担当者が工場規格品を販売するような感じで無垢木材を販売するため、お施主様とうまく意思疎通ができなくて、意向に沿えないばかりか、施工後の木材の短所を一方的に欠点材だ、と主張されることになります。

そんなこと、ほんとにたくさんあるんです。

カタログショッピングもいいですが、無垢の木材に関しては、できればきちんと話ができて、特性を把握している販売担当者のいるお店でお求めいただきたいもんです。

長くなりましたが、ここからが主文です。

そもそも木材の伸縮はどれくらいなのか・・・
他の材料に比べてどうなのか・・・

それをここで紹介したいと思います。

まず、基本的に木材は植物ですが、れっきとした「生き物」です。
ですので、立ち木の時も、伐採されてからも呼吸をし、また生きていく為に水分を保持しています。

植物であるので細胞というものが存在し、その中に水分を蓄えているわけですが、伐採後の初期の木材中の含水率(水分を含んでいる率)は杉や桧の辺材(樹皮に近い部分、白太)で約150%から200%です。
当然、その水分量の分、目方も重たく杉材といえど生材ならかなりずっしりとくるほど、重量としても材中の水分量がかなり関係してきます。

そして、この木材の中の水分が徐々に(環境によっては急激に)乾燥し、ある一定の含水率に近づいていきます。
その含水率というのが、屋外や、屋内などのその場所の平衡含水率です。
平衡含水率下では、丁度木材の含水率がその場所の湿度とつりあった状態です。そして、平衡含水率までになった木材は狂いが少なくなり、水分の抜けた分、重量も軽くなります。

季節や環境によって変わりますが、大体屋外平均では約15%位です。

そして、木材が乾燥し含水率が下がってくると木材はだんだん収縮します。
痩せるわけです。
収縮は木材細胞中の水分が減少する時に、細胞の壁が薄くなることで起こります。

また、木材の収縮はその方向によって著しく違い、繊維方向(立ち木でいえば、根っこから木の先っぽというような一般的な長さ方向)を1とすると、接線方向(下記写真1参照、木の木目幅方向)はその20倍も縮みます。


上が木表  *写真1

  写真の板の左右方向、板の幅方向が接線方向






それほど同じ木材でも差があり、その差のために乾燥不十分な木材を使用すると、乾燥比率の違いにより、大きく反ったり、収縮して材の幅が合わなくなったりします。

このメカニズムを知らずに扱うと、先に書いたように施工後に隙や反りが問題になるのです。

同じように、縮むだけでなく吸湿すれば、今度は細胞壁が伸び木材自体が膨らみます。
その伸縮を季節ごとにくりかえすのが木材の特徴です。

因みに、板材などでは木表と、木裏でも収縮率は違ってきます。(木表と木裏はこちらを参照)
そのため、乾燥が進むにつれ木裏側が木表側に引っ張られるようにして、木表方向に反りあがってくる傾向にあります。(写真1参照)
これにも十分留意しなければいけません。


手洗いカウンターの痩せの例

  こちらは手洗いカウンター。
  無垢の樟(クスノキ)の6cm厚のものです。
  これが生材の状態で施工してから・・・・




カウンター端部拡大  縮みがわかります?

  こおです。
  わかります?
  カウンターと、白い壁の間の部分。
  塗装はげではなく、元の大きさから、縮んだところです。


耳付き板(丸太の状態の丸身の部分を残して板材に木取りしたもの。丸身の部分を耳という。耳の部分は収縮率が非常に大きい。)なので特にですが、生材からだとこれくらいは当たり前に寸法変化します。


それとよく木製のテーブル材を、傷や汚れの防止目的からビニールのカバー材などで
覆っていらっしゃる方がいらっしゃいますが、ビニールで覆われた方が吸放湿の機能を阻害され、割れや著しい反りの原因となりますので注意してください。
同じ理由で、店舗などに見られる、コストダウンの為の「見えかかりの面だけの塗装」も反りの原因です。

人の目に付くカウンターなどの表面のみを塗装し、目に付かない裏面は無塗装のまま。
これもいけません。
けれども、設計者も、施工者もそんなこと知らずに造りますから、最近の店舗では残念なことに、このタイプの反りの出ているカウンターをよく目にします。


さて、無垢の木材はこのような伸縮があるので、使いにくいと思われがちですが、では他の材料はどうなのか・・・・

金属であるアルミと比較してみましょう。

木材は水分の出入りで伸縮しますが、金属は熱によって伸縮します。
木材は木目幅方向に対して、長さ方向(木の根っこから先っぽに向かう方向)は、5分の1から10分の1位だといわれています。
一方金属であるアルミは、40度の温度変化で1m当たり1mm、スチールなら1mあたり0.5mmくらいの伸縮幅だそうです。

どおでしょう、金属もこんなに伸縮するんです。
木材だけでは無いんです。
しかも木材は、きちんと乾燥させれば、寸法安定性は増しますし、平衡含水率付近では、初期含水率付近に比べ、圧縮に対する強さが1.5〜1.8倍ほど増しますし、熱も伝えにくくなりますから、断熱性が上がります。
きちんと扱えば、製品になってから、強度や特性が増していくのが木材の長所です。
古い寺社建築が良好に現存しているのも、こういった木材の特性からだともいわれています。

そして何より、乾燥させた状態を保つことで、木材を腐らせる腐朽菌の繁殖を妨げ、長期にわたっての使用を可能にします。

こう見れば、木材と水分が密接に関係していることがよく分かると思います。
そして、乾燥の重要性も見えてきますよね!?
木材を使用するときには、乾燥状態をよく確認することが大切です。

異常に安価な材は、乾燥が不十分なことがよくありますので、十分注意が必要です。


どうでしょう、数値だけではなかなか分かりづらいところがあるかと思いますが、これが木材と水分の関係です。

きちんと理解し、正しい知識で木材を利用すればもっともっと利用の幅も広がり、無垢材の良さも伝わると思うのですが、いかがでしょうか・・・

関連として、木材の重さを知るための単位「比重」の話はこちらから。
面白い実験動画公開中です。
ぜひご覧ください。



トラックバックURL
コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星