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「オーク」って、樫(かし)の木!?


「オーク材」というように、家具や建材に表記されていますが、あれって何の木かご存じですか?

一昔前まで、いや今でもたまに見かけますが、オークとは「樫の木のことである」と説明しているものがあります。
これって正しいんでしょうか?!


現代においては、答えは×です。


今更ながら・・・・と思われるかもしれませんが、いまだに意味として混用されているところが多いことと、踏み込んだ答えを知るすべが少ない木材の世界に迷い込まれた方の為に、「オーク」について少しお話したいとおもいます。

一般にオークといった場合に指すものは「楢(なら)の木」で、樫の木ではありません。完全に間違いとはいえないですが、現在では一般的には楢(なら)を指すのが一般的です。


ではなぜ、オーク=樫(かし)と思われるようになったのか・・・


理由はいたって明解。

最初に翻訳した方が樫の木と訳したからだそうです。
まぁ、材の雰囲気が似てると言えば似ていますが、正式には種類も用途も重さも違います。
よく誤って用いられるのが、ワイン関係の書籍。当然、樫の木と訳しているわけですが・・・




白樫柾 樫目
もともと、「オーク」という名称は北米や欧州で落葉性のコナラ属の木材の総称として用いられていたもので、それが日本に入ってきたときに樫と混同して訳されたのでしょう。
樫は基本常緑樹ですから、言葉の意味として違ったものであることが分かります。





外国の書物などでも、オークの表記の場合は落葉している様が表現されている事が多い様ですので、やはり日本で言う場合は「楢・なら」もしくは「槲・かしわ」が正しい表現でしょう。
上の写真の樫の英語表記はいうなれば「evergreen oak」とするのが良いのではないか、と文献にはあります。

古くのヨーロッパにおいての「オーク」という言葉は、すなわち「リンゴ」と書いて「赤」と認識させることと同義で、古い書物などにでてくる「オーク」というのは「神霊的な木」を「オーク」とよんでいたことも、翻訳においての混同を招く要因の一つとなっていたのかもしれません。
もともと、古代ローマ人はギリシャ神話でオークを表す「drys」と神聖な木を表す「drus」を混同していたそうです。
これらは語源が近い事からも、神聖な木とオークという樹種が関連していたことを指しているかのようです。
ヨーロッパにおいてのオークは、私たちが想像するよりもはるかに、古い歴史があるようですね。

さて他には、少し趣味の様な話になりますがワインやウィスキーなどのお酒は「オーク樽」=楢の木の樽で熟成させます。
正確にいえば、ヨーロピアンオークを含む広義のホワイトオーク類です。

これにはきちんとした理由があり、ホワイトオーク類でなければいけないものなんです。

それは、ホワイトオーク類の導管(水分や養分を運ぶ道)という組織の中に「チロース」という物質があり、それが導管にびっしりと詰まっている為に水分を通さず液漏れしないことから来るものです。
そして、ホワイトオーク類の持つ香りなどの成分がワインやウィスキーのアルコールの成分などに影響し(成分がお酒自体に出てくる)、初めておいしく熟成します。

これが、ワイン生産者が樽にこだわる理由で、産地や板の焦がし方でも味わいに差が出てくるので、とても重要な要因になっています。
このチロースですが、ホワイトオーク類に含まれる成分ですが、同じオークでもレッドオーク材には含まれないそおです。(また、レッドオークは導管が大きく通っているため、水分を通し易いので、もともと樽にはむかない。)

もちろん、樫もしかり。
材自体も、香りも全く違いますから、樫樽熟成と訳すのもおかしいわけですが、もし樫材で熟成させたとしても、やはり‘楢’のオーク樽熟成にはかなわないと思います。

ちなみに栗樽熟成なるものも見たことがありますが、栗だと灰汁が出ないか心配なところです。

まぁ、みんな混同して「オーク」とよばれてきたわけです。

もともと楢はブナ科。ドングリのなる木の仲間です。(野生の熊はブナの木のドングリを好むとか・・・、ぶなの学名のなかの属を表すFagusというのは「食用になる」という意味だそうです。命の源をくれる木だということですね。余談。)

樫もブナ科。

ですが、科目は近くても、かたや楢は環孔材、こなた樫は放射孔材です。

一見「斑のある」材面も似ていますが、よく見れば違いがわかりますし、正柾目(木の年輪が縦方向に並ぶような目の出方)に製材して「虎斑」がでるのは楢材の特徴ですから、はっきりと見分けることができます。(樫も斑はでますが、オークほどではありません。板目面には樫目がでます。)


ホワイトオーク正柾虎斑 1
 
  これが正柾虎斑です。

  樫ではここまでの斑はでません。




ホワイトオーク正柾虎斑 2

  板を見ると一面に波のように輝く美しさは見るものを魅了します。






白樫柾 樫目



 白樫の正柾樫目。
楢とは少しちがいますよね。









ということで、これからは、様々なところで「オーク」を目にしたら、「これは楢か樫か?!!」なぁーんていう目で観察するのもおもしろいかもしれませんよ。(あ、そんなこと考えるのは私だけか・・・・)





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