空を見上げて
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2017年10月

ちょっとだけ、カヤのお話 

今の様に電気の明かりが無い時代を考えるともしかすると、美しく仕上げられたカヤを用いた仏像は、それそのものが輝くような雰囲気があったのかもしれない、そう思ってしまいますね。


カヤが美しく輝くのにはそれなりの理由があります。
樹木に詳しい方ならばすぐにわかると思いますが、その理由は脂分です。
今ならば、針葉樹のフローリングが受け入れられているものの、ふた昔前くらいまでは、針葉樹の床というと高級なものは専ら「マツ(松)」でしたね。
それも、美しく木目の通った柾目のマツ材。
マツの縁甲板(えんこういた)と言っていたものですが、今では敬遠されることもある「脂たっぷり」のコテコテのマツが良材で「肥松(こえまつ)」と称されて、日本のマツ、東南アジアのマツ、中国のマツなどで日本家屋の廊下や縁側が彩られていたのが懐かしいです。

松柾幅広フローリング 7


おっと、マツの話はゴールデンウィーク近辺の特集記事を参照してもらうとして、木材の輝く様な艶というものの多くは、その樹種がもつ独特の樹脂分によるところが大きいものですが、上記の様に銘木とされた肥松も、捉え方によっては「脂のかたまり」なわけで、住まいの湿度や温度環境と使用環境によっては材の表面に脂分=ヤニが析出してくることもあるわけで、「ベトベトする」と敬遠されるために、目にかかることが非常に稀になりました。
しかし、その脂こそが「磨くと艶が出る」、「鉋(かんな)仕上げで光る」と言われる所以。
本当は見せどころのはずなんですがね・・・

マツはその溢れんばかりの脂であるヤニがもたらす艶ですが、カヤの材には同じようなヤニっ気はなく、どちらかというと「ちょっとしっとりとしているかなぁ・・・」くらいの手触りです。
同じように、脂っぽい手触りといえばリグナムバイタやチークが思い浮かびますが、それらのねっとりとした手触りとも、また一味違います。
擬音で申し訳ないですけども、「さらっと、ではなくつるっとした感じ」とでもいいましょうか。
脂分というほどの脂分を感じませんが、スギやヒノキで感じるような針葉樹材の「さらりとした」感触とは異なります。

もちろん、前にお伝えしたようにアーモンドのようなこの種子からも灯火用などの油をとっていたくらいですから、材にも脂分はあるんですね。

日置のハダカガヤ16

カヤの賞用される特殊用途のうちの一つに、あまりにも有名な「碁盤」があります。
近頃はかの藤井四段や「ひふみん」で注目された将棋盤もそうですが、カヤは、比重0.45〜0.63(平均0.53)という柔らかな材質である針葉樹の仲間にしては硬く、しかしながら長時間の対局などでさし続けても指にやさしいといわれるのは、やはり脂分のある「しっとり感」が関係しているのかもしれません。

もちろん、色合いや木目、さした時の音、弾力性が良いといわれるようですが、囲碁も将棋にも通じていない浅学な私には、その違いまでを知る由はありません。
それでも、カヤの材に触れているとなんとなく、その意味が伝わってくるような気がします。

カヤ3

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ちょっとだけ、カヤのお話 

彫刻というと、材木屋としてはどうしても「桂(カツラ)、朴(ホオ)、木曽桧、樟(くすのき)」などを思い浮かべてしまいますが、同じ彫刻でも、仏像彫刻はまた少し異なります。

仏像の多くで材料として主眼に置かれたのは「香りを有している」こと。
それも、できる限り「本場に近い香り」であること。
いや、それは私の主眼ですが、日本に渡来した古い仏像の多くは「白檀(ビャクダン)」という、通常ほぼ日本には自生しない香木(こうぼく)で製作されています。
香木、というくらいですからやはり、香りがするのです。
それも、何とも言えない特有の香りです。

白檀に関しては、以前から幾度か記事にしていますので、そちらを参照していただくとして、それがもつ香りに関しては、今でいうとお線香の香りとでもいいましょうか。
お線香の多くには白檀の粉が使われていたりしますから、あの仏様の香りです。
そう、仏さまを連想させるあの香りこそ、仏像彫刻の素材に求められるものであって、香木を産することのない日本においては、とても貴重なものであったはず。
しかし、日本でも仏像を彫りたい(と言ったのか?)という思いに変わりはなかったのでしょう。

日本産の木材で、強い香りを発するもの・・・
そうなるとやはり限られてくる中で、クスノキやヒノキは今でも頭に浮かぶ人がいると思いますが、そこにカヤが登場するのです。

カヤ4

ヒノキと同じように彫りやすく、それにもまして「甘い香り」がどことなく、本場のビャクダンを想像させるに十分だったのかもしれません。
もちろん、それだけの理由ではなく仏像に関しては多くの調査結果や歴史推測があるので、深くは突っ込んでいかないようにしないと、お話の終わりが見えません。

少し前までは、貴重な仏像を壊すことができないので、色調が変わり香りも感じられない状態のままで、目の前の仏像の原材料がヒノキであるのか、ほかの樹種であるのかを特定するには難儀したようです。
クスノキかヒノキか、というと決定的な木目の違いがあるものの、同じく針葉樹であるヒノキとカヤとなるとなかなか外観では区別できなかったそうです。

そこに、顕微鏡レベルで区別できる決定的な違いを見つけたことで、今では容易に区別ができるようになったのです。
それは細胞レベル的な違いですが、普段の木材を見分けるうえでも、カヤを決定づける大きなポイントとなるものです。

それとカヤは、磨くと光沢が出ることもあり神々しい仏さま(神々しいはおかしい?!)にぴったりだったのかもしれません。


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ちょっとだけ、カヤのお話 

巨樹においては「カヤ」という樹種は意外と多いのですが、木材という形で利用される場合の流通量というのは、決して多いものではありません。
ヒノキやスギと同じ針葉樹なのですが、比較的耐陰性が高いうえ成長速度が遅く寿命が長いことも巨樹の残る理由だと思いますが、木材としては「特別な用途」にのみ使われてきたのです。

カヤ(榧)学名 Torreya nucifera 英名をJapanese torreya
学名の nuciferaは、「堅果を有する」という意味なので、まさしくあのカヤの木になるアーモンドのような状態のものを指しているのでしょうね。

日置のハダカガヤ16

アーモンド、というとおいしそうな気がしますが、実際にカヤの趣旨は脂肪油を多く含み食べる事も出来ます。
実際は、灯火用の油や食用の油をとったようですが、中には頭髪用の油もとっていたという話もあります。
また、種子は漢方で榧子といって寄生虫や子供のおねしょの両方に使われているようですが、はたしてどれほどの効果があるのか?おねしょの記憶がない身としては、検証のしようがありません(笑)

カヤはイチイ科カヤ属の樹木ですが、イチイの赤身は赤、というか朱色ににていますがカヤはというと全く異なって、黄色い赤身(ややこしい・・・)を呈しています。
日本産の樹種の中では、高野槙かひばかカヤの3種位ではなかろうかと思う、特徴的な黄色みを帯びた材色が一つ目の特徴なので、そのきれいな黄色は木象嵌の材料としても使われることがあります

カヤ4

ひばは若干ピンクがかったものもあったりしますが、カヤははっきりと黄色をみてとることができますから、針葉樹材の識別には役立ちます。
しかし、カヤを知るのであれば、もう一つ大きなポイントがあります。

それは、特有の芳香です。

それはもしかすると、好き嫌いの激しく分かれる「ひば」が放つものよりも特徴的では?!と思う、バニラのような、甘ぁ〜い芳香を持っているのです。
人にもよりますが、カラメルやシナモンと形容されることもあることで分かるように、木材なのに「甘い香り」に満ちています。
そして、その香りがあったからこそ使われた特殊用途があります。

それは「仏像彫刻」です。


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世界に一つは世界一?! 〜日置のハダカガヤ 〜

今回のハダカガヤの紹介は、きちんとストーリーを紹介したいこともあり、2回に分けて「鎖」のお話しとともにお伝えしましたが、もう一つお伝えしないといけないことがあり、今回までがハダカガヤシリーズとなりますので、もう少しお付き合いください。

ハダカガヤだけでも、十分に貴重ではあるのですが、実はハダカガヤのある磯宮八幡神社の見どころは、前回に少しお話しした「両脇を含めた3本の姿」であるのです。

日置のハダカガヤ14

写真の中央が、前回までにお話ししたハダカガヤ。
そして、写真奥と手前が通常のカヤの大木です。

これは、社の裏手の道路からの写真ですが、きれいに3本が並列で立っている姿がなんとも珍しくあるのです。
この並びだけでも、指定を受けそうな社叢を形成しているようにも思うのですが、通常は巨木の周りには普通の樹木はあっても、このように大木が並んで立っているというの珍しいもの。

長野県に行った際、境内や広い公園の中にあるケヤキの巨樹の周辺に「ボッコボッコ」と同じようなケヤキの大木がまさしく林立している、というような情景を見たことがありますが、それはそれで驚くのですが、それとの違いは、3本がきれいに並列しているということと、図ったかのように、ハダカガヤを中心として並んでいる姿は、木の神さまがおなりのような感じがして、とってもありがたい気分になります。

日置のハダカガヤ12

よく考えると、両脇の2本は通常のカヤであるといいますが、もしかするとこのハダカガヤの遺伝子を持ったものではあるまいか?!
そんなことを思うのですが、現地にてのお話では「鎖」の話と種子をまいても通常のカヤにしか育たないというお話に気を取られてしまい、両脇の2本の由来を確認することを失念しておりました。

ハダカガヤの樹齢を考えると、正式な記録は残っていないのか伝承されていないのか、それはわからないのですが・・・

境内には、このカヤたちのほかにも立派なヒノキがあり、私が訪れたときはちょうど寸前に「檜皮(ひわだ)」をむかれたところでした。
なんでもこのあたりの有望なヒノキの檜皮が集められて、近々どこかで葺き替える境内の屋根材とされるらしいです。
現在は茅葺きなどとともに、檜皮葺きも材料と人手の確保に苦労されているようですから、喫緊の状態を肌で感じたような気分でした。

カヤは基本的に常緑針葉樹なので、季節によって葉を落とし切る、ということはありませんが、新旧の葉の交代は常に起こります。
これだけの大木になると、このように裏の道路も役目を終えた葉っぱできれいに化粧されます。

日置のハダカガヤ13

民家や学校があるものの、比較的静かな環境ですのでこれからもハダカガヤたちはゆっくりと過ごすことができるでしょう。


次回はこの流れで、カヤの樹木のお話を少し続けたいと思います。


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世界に一つは世界一?! 〜日置のハダカガヤ ◆

世界唯一の存在であるハダカガヤ。

前回、その存在と他のカヤとの違いを書いていったわけですが、もう少しだけそれを取り巻いていた環境についてお話しすることが残っています。
それは不自然に並んでいる、ハダカガヤの周りの石柱。

日置のハダカガヤ5

前回は、背の高い石柱に刻まれる天然記念物の文字のことをお伝えしましたが、今回はハダカガヤを囲むように立つ背の低い不揃いの丸い石柱です。

巨樹巨木を訪ね歩いている人であれば、おそらくはすぐに推測はつくものだと思います。
私もそうでした。
最近特によく見かけるようになったように思いますが、巨樹や古木の周辺への立ち入りを規制するためのもの。
根への影響や幹を傷つけたりすることのないように、樹木の周りへの立ち入りを制限するために施され、たいていは鎖がついていたりするものですが、明らかにそれの雰囲気があるにも関わらず、ここには鎖はありません。
もちろん、鎖がなくともこの石柱の並びを見てなお、立ち入ろうとは思いませんが、必ずハダカガヤの周辺の保護のためにあるもののはずなのになぜ?!!

そんな疑問が膨らみながらも撮影していたところに、前回ハダカガヤの詳細をうかがった方がいらっしゃったのです。
最初は、初めて見るハダカガヤについて普通の質問と歴史のことをおたずねしたのですが、一通り伺った後にこの不自然な石柱のことをうかがってみました。

すると想像もしていなかった、大正時代に指定された天然記念物ならではの重い歴史を感じる事実があったのです。
地元の方のお話はこうでした。

「あぁ、昔はあそこには鎖がかかってましてんで。せやけど戦争の時に、鉄の供出で鎖、持っていかれてしまいましたんや。
せやもんでほれ、頭の方(石柱の上部)がきれいな形やのうて折れたみたいになってますやろ。」


まさか、巨樹探訪で戦時のお話を聞くとは思いませんでした。
そういわれれば、その不自然さは鎖がないこと以上に、割り、強制的に持っていかれた・・・いやお国のためにと勤しんで供出したのか、不揃いに残っている石柱の頂部だったのかもしれません。

日置のハダカガヤ15

近づいてよく見てみれば確かに、鎖なのか直線的に掘り込みが入っています。
おそらく、鎖がかけられていたところなのでしょう。

社寺の鐘すらも供出するような時代です。
ハダカガヤを守っていた鎖も例外ではなかったのですね。
自分の生まれた昭和という時代の、その時代の中の薄れてはいけないけども少しづつ薄れていきそうな部分が、突然目の前に鮮明に広がり、現実に存在する数百年の樹齢を数える巨樹とともに、今はその存在を見ることのできない「鎖」の跡が、今も絶えることなく流れる時間の重みをひしひしと頭と心に焼き付けられるような事実でした。

普段から、巨樹古木に出逢うことで自身の存在をはじめ、様々なことを想うのですが、ハダカガヤが教えてくれることはそれらとともに、いつも自分のそばにある時間の流れでした。

樹木にまつわるエピソードや逸話というものは各地様々ありますが、このようなケースはなかなかありません。

日置のハダカガヤ20

種をまいても通常のカヤしかできないものの、幾度かハダカガヤの上部に上り種をとったこと、そしてこの鎖のこと。詳しく聞くことができたのはやはり、その場でお話をさせてもらったから。

街の巨樹は人とともにある。

今回は境内の世界に唯一の存在でしたが、それもまた、地域の人たちと一緒に歩んできた歴史の中にあるんだと、しみじみと感じさせる、この小さな石柱なのでした。


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世界に一つは世界一?! 〜日置のハダカガヤ  

数か月前から組合誌の巨樹連載記事も始まり、拙ブログの中の記事との巨樹2本立て!になったわけですが、撮りためた巨樹の写真や当地に赴いた感想を、それぞれの媒体に合わせてお伝えしていきたいと思います。

さて、今日の巨樹はいつもとはちょっと違います。
何が違うかって。
巨樹古木を訪ねる、なんだけど確かに古木ではあるけども巨樹とまでのスケール感がないこと。しかし、それ以上に稀少性が高いことが理由です。
いや、稀少性という言葉すら適当ではありません。
だって、世界でただ一つ、この一本しか存在しないのだから・・・

日置のハダカガヤ3

国指定の天然記念物、「日置のハダカガヤ」です。
山の緑と畑の緑、そして空の青が美しい兵庫県篠山市に1本の超珍しい樹木が存在するのです。
名前から想像できる通りですが、「はだかのカヤの木」なのです。
で、超珍しいというのはなぜかというと、先に書いた通りなんと「世界にここだけ、1本しか存在しないから」です。
え?!1本だけ?!・・・そんなんなくなったら終わりやんか。
絶滅危惧種とか言った理由で取引が禁止されたり伐採が禁止されたりというのは、木材業界では聞く話ですが、そんなレベルではないのね・・・

日置のハダカガヤ5

磯宮八幡神社の境内敷地にあるハダカガヤ。
石碑の下の方に見える兵庫県の「縣」の字が、なんか妙にかっこえぇんですけど、それもそのはず。
天然記念物指定は大正時代。
巨樹巨木の多くは、昭和時代の調査によって指定されたものが多いと思われるのですが、このハダカガヤは植物学上大変貴重だということで、大正時代にはすでに天然記念物指定されたものなのです。
そりゃそうですよね。世界にただ一つだもの。
世界に1本しかないということは、自動的に世界一?!

日置のハダカガヤ11

カヤはスギやヒノキと同じく針葉樹の仲間。
通直な幹と緑に茂る葉は、どこか見慣れた樹形に感じますし、樹高や幹回りも驚くようなものではない為に、迫力には欠けるものの、「世界にただ一つ」という予備知識が、それを見る目を変えるのです。
知識がある方がいい場合もありますが、それがあることで観察眼が鈍ることもありますから要注意。
しかし、知らなければ「まぁまぁ大きなカヤの木やなぁ」で終わってしまいますから、ここは注意深く見なければ。

もともとカヤという木は、イチイ科カヤ属の樹木で鳥の大好物である甘い実をつけるイチイとは異なり、ある種イチョウの様なドングリのような、実をつける樹木です。
それは、カヤの木の学名は Torreya nucifera ですが、nucifera というのは「堅果を有する」という意味からも分かる通りです。

油気を有するその実は食用にもなり、また火が貴重なものだった時代には灯火油としても賞用されたというものですが、通常はその堅果は字のごとく堅い殻に包まれているものですが、このハダカガヤは殻がなく実が剥き出しであることから、裸=ハダカガヤと呼ばれています。
ゆえに、ハダカガヤは樹木の種名ではなくこの樹木の固有名詞、それも世界唯一の固有名詞なんですね。

日置のハダカガヤ19

右が通常のカヤの実。アーモンドの様ですが、右のハダカガヤは干しブドウのように殻がありません。
これが世界にただ一つのハダカガヤなのです。

もちろん、樹木それ自体の見た目には全く違いがないですから、初めに違いに気が付いた人は驚いたに違いありません。
いつも巨樹訪問をする際には、できるだけ地元の人とお話することにしていますが、この訪問の時もちょうどお話を聞くことが出来ましたので、その「昔話」を紹介しておきましょう。

日置のハダカガヤ10

いつからこれほどに立派な姿だったのかは定かではありませんが、少なくとも大正時代、天然記念物に指定される頃にはその稀少性は認識されていて、私が思う通り、この一本が枯れてしまえばハダカガヤは絶滅してしまうということから、様々な方がハダカガヤの種子を植えて子孫を増やそうとしたそうです。
しかし何度やっても、どうやってもハダカガヤの種子を用いているにもかかわらず、育つものは普通のカヤの木なんだそうです。
お話を聞いた方も、何人もがこのハダカガヤに上り直接とった種子をまいてもダメだった、と言っておられました。

不思議なものですが、今現在でもその実からハダカガヤを増やすことには成功しておらず、ただ一本が存在するのみである、と言われているのです。

ハダカガヤのもともとの来歴は案内板によると、天皇方に敗れた足利尊氏が都から九州に逃げ延びる際にこの地に立ち寄り、殻をむいたカヤの実を神前に捧げて武運長久を祈った時のものが成長し、ハダカガヤになったとされています。
という事は、樹齢約700年弱か?!

日置のハダカガヤ17

およそ700年間、唯一無二の存在であり続けているハダカガヤ。
成長が遅く、ゆえに長命と言われるカヤという樹種ですが、あとどれくらい元気で生き続けてくれるのかはわかりません。
その間にクローン技術などで、もしかしたら「第2のハダカガヤ」が芽生える日もくるかもしれませんが、私は生きていないかもしれません。

しかし、そうであってもなくてもきっと、ハダカガヤの命は消える事はないでしょう。
この地の人たちが大切に守り続ける限りは・・・・

日置のハダカガヤ9


日置のハダカガヤ所在地

兵庫県篠山市日置167

学校が近いので、児童には注意ですが駐車は可能です。

日置のハダカガヤ、今回はもう少し続きます。


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趣味から連載へ 〜巨樹巨木でみる、夢への一歩〜

ひとつ前の巨樹古木紹介記事の「岩倉の乳房杉」の冒頭にて、弊社の所属する木材組合の組合誌で、巨樹などを紹介するコラムを持たせてもらい始めた事をお伝えしました。

仲買たより


まだまだ始まったところですし、如何に木材の組合といえども全ての人が私くらいに異常に木材や巨樹が好きではないことはわかりきっていますので(汗)、いったいどの様な反応や意見があるのか、実際は少しビビっている様な所があります。
もちろん、楽しんで書かせていただいてはいるのですが、どのようなテンションで続けていくかは、まだ試行錯誤しているところなんです。
記事の中には、今まで拙ブログでも紹介していないものもあり、ブログを見ていただいている方にも新しい情報をお伝えできているのではないかと思っています。

中学校の英語の教科書に出てきました。


I have a dream.


あまりにも有名な、キング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏)の言葉です。
中学校のころですから、そのまま「私には、夢がある」と訳されていたと記憶しています。

簡単な日本語訳を知っていくにつれてグイグイと、いや静かに胸に沁みとおっていくその言葉と共に、キング牧師の存在が刻まれていきました。
彼ほどに崇高なものではないですが、私にも少しばかり夢があります。
その夢のうちの一つが、紙媒体で自身の木に関する情報若しくは巨樹の情報をまとめたものを出版する、ということ。
現在では、インターネットの普及とブログというシステムのおかげで、日々このように自身の想いを綴る事が出来ますが、ふた昔ほどまえであれば、そういったこともできず、やはり紙媒体での発信でありました。

弊社創業者の祖父は、その「想い」を伝えるために自身で小冊子「古木のたわごとー木造住宅のすすめー」を製作し印刷にかけて製本され、お客様などに配布していました。

古木のたわごと


すごい行動力だと思います。
どのくらいの冊数を印刷したのかを聞いてはいませんが、一度に印刷する部数は相当なものであるにもかかわらず、初版から半年後には2版目を出しているのですから、頭が下がります。
それを思うと、自身の発信力はまだまだ足りないところが多いです。

脱線しましたが、ここにきて私もインターネットではなく紙の媒体で、様々な人の目に触れる機会を持てるようになったのは少しの前進で、祖父の様に純粋に木材業の事を案じてのものではないのですが、趣味から連載を持たせていただけるという、ある意味のありがたさを感じながら少しづつ続けさせていただく予定です。

とはいえ、木材業界の組合誌ですから一般の方への発信とは言えませんが、一歩踏み出せたように思います。

ということで、次回は久しぶりに巨樹巨木記事でいきたいと思いますので、ちょっと力を入れてとっても珍しい「世界に1本」をお届けしますので、ご期待くださいませ〜。


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久々登場の戸田先生が、大人の木育

少し先ですが、といってもあっという間の話だとおもうのですが、来る12/18(月)に久しぶりに戸田先生が登場します。
最近はちょっと予定が合わずに、ご依頼いただいた日に伺えないケースから、出番がなかったことが続いていましたが、久しぶりの登場となります!!

今回の出番は、いつもの様に学校やお昼間のツアーなどではなく「夕刻」!
いつもとはちょっと趣向がちがって、様々な活動をされている「森民」さんが企画する「大人の木育」というメインテーマで、各地にて出張開店もされている「林業Bar」の中でワインと木の、「違うようで似ている話」をさせてもらう予定です。
まぁ、バーなのでそんなに堅苦しいものではなく、講師である私の選んだワインの飲み比べをしながら、ちょっとだけ?!真面目に木の話もする?というものです。
もちろん、私の受け持ち以外にも林業Barですから、林業Bar店長によるセミオーダーカクテルもありますので、森や木の雰囲気を感じながら楽しく学ぶ・・・よりもやっぱりおいしいお酒をたしなむ、大人のイベントになる予定です。

森民〜Moritami〜

詳細は上記チラシの「林業Bar@京都八木」の案内を参照の上、お気軽に問い合わせ下さい。
私の記事を見てきました!と言ってもらっても、特に特典はありません(汗)が、戸田先生の普段は聞けない木の話がきけるかもしれませんよ。


ご注意ください!! ↓↓↓↓↓

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上記の12/18分は12/7現在、日程が延期になっています。
御予定をされている方は、くれぐれもお間違いの無い様にお気を付け下さいませ。

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さわり心地のいい床、ってどんなだろう?!

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さて、そろそろ実験開始から1時間経過しようとしています。
若干60分には早いですが、拭いていく準備の時間や写真撮影の準備時間を考慮するとちょうどいいくらい。

はたして、1時間の醤油放置でどのように変わっているのか?!
一番心配なのはオイル塗装ですが、果たして・・・
(一部商品は結果が同じなので割愛。)

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黒い醤油を、(特に)黒っぽいブラックウォールナットの挽き板貼フローリングに垂らしているので、ものすごく見づらいですが、少しづつ拭いていきますよ。

このフローリングの表面は挽き板にオイル塗装仕上げです。
日本の有名合板メーカー製などではなく、輸入のフローリングですからもしや、性能に心配なところはあるまいか?!

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いいえ、そんな心配はご無用。
きれいに取れちゃいました。
貴重なブラックウォールナットのサンプルが汚れなくて「一安心」という気持ちと、実験なんだからもう少し、、、こう、驚きがあってもなぁ・・・というぜいたくな気持ちですが、挽き板フローリングのオイル塗装はまったくもって心配ないことがわかりました。

で、次の相手(?)は、往年の名選手である「普及グレード」合板カラーフローリング!
もしかして・・・
と思って拭いていくも、何の面白みもなくきれいに拭き取れちゃった。
そう考えると、普及品とはいえフロアーメーカーさんが作っていた(作っている)フロアーの塗装面は、汚れに対してはきちんとコーティングしてくれているんだ、ということがよくわかりました。
いつも無垢フローリングと比較してばかりでごめんなさい(笑)。

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で、次は期待のこれです。
表面2mmの挽き板を使用したうえ、その表面をブラッシング加工によって木目の凹凸を作り出し、コーティングとしてツヤのないマットな塗装を施してあるフローリング。

手で触ってみても、木目の感触のざらつきが感じられる状態に近いために、「いくら塗装していても、これはしみ込んでしまうかも・・・」と、若干期待していた(?)ところでしたが・・・

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いざ、ふき取ってみるとこの通り。

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めちゃんこきれいやん・・・
はっきり言って、面白くないです(汗)。
いやぁ、やっぱり合板フロアーでも無垢に近いものは、質感が上がった分性能はそこそこか・・・みたいなオチも期待していたものの、想像以上に性能高い。

という流れで、あとはこれがどうなるかと最も注目していたものを見てみましょう。
こちらも合板フロアーでありながらも、表面には1,2mmという厚みの挽き板を使用し、なおかつ仕上げの塗装はオイル塗装!
一番最初に出てきた挽き板フローリングに近いものの、表面の挽き板の厚みが異なることと、フロアーメーカーさんがつくる303mm幅の合板フロアーにおいては、オイル塗装仕上げというのはかなり異色な存在ですから、塗装も心配なのではぁ?!と拭ってみる。

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すると・・・

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おぉ、見事!
これもきちんと汚れを防いでいる。
予想を覆し、オイルが醤油の浸透を防いでいました。
いや、理屈は理解しているし、いつもはショールームにおいてもお客様には、オイル塗装でも十分表面のよごれからの保護はできますよ、と実演している立場上、結果は見えているのですが、やはりどこかに「無垢のようにはいかんやろぉ・・・」的な偏見があったのかもしれません。
いや、あってほしかったのか・・・

かくして、実験は「すべて問題なし」という、優秀というべきか面白みがないというべきか微妙な結果となったわけですが、実は一点問題があって、1時間も醤油を放置すると浸透はしなくても、相当醤油くさい、ということです。
こればっかりは、ちょっと気になります。
とはいえ、美観を損なわないのはさすがというところです。

これからは選択肢の広がる時代。

無垢志向のお客様には的外れでも、外観の良さを感じる、床暖房の仕上げ向け、価格上の優位性などの理由での選択肢として今回登場のシリーズが、お客様の俎上に上る機会も多くなるでしょう。

無垢を愛し、無垢の良さを伝えるのもいいですが、それ以外にすべて否定的になるのではなく、いろいろな長所を見つけてお客様のベストを探すこと、それも忘れずにいたいものです。

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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0) この記事をクリップ!