空を見上げて
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2014年11月

木と人は共にあるもの 野間の大けやき 平成26年度改定版


今年は暖かかったせいか、山々が色づくのが遅い様に感じ、色とりどりの木々の眺めも永く楽しめているように感じます。

いつもは休日もバタバタとするこの時期、気が付くともう道路上の散っていく紅葉を見るばかりで、ライフワークの巨樹訪問においても時間が取れない時期なので、イチョウにせよカエデにせよ、いい写真が少ないのが巨樹の記事に足りないところ、といつも感じてはいるのですが、こればかりは時期的な物なのでどうしようもなかったところに、今年のながぁーい秋で、やっとこさ一日フルに休日を使える日を作り「今日は巨樹の紅葉狩りだ!!」と意気込んで、「ここへは、秋にいくんだ!」と決め込んでいた紅葉の巨樹中心に廻ることにしたのです。

まだ見ぬ巨樹も訪れたいのですが、ひとつ気になっていたのが以前に訪れたことのあるケヤキも、よく考えれば色づいているはず・・・ということ。
街路樹がそうであるように、あの樹もきっと色づいているはず・・・・
そういう期待を込めて、都会の紅葉を抜けて山道に入ったのです。

目的地はここ。
西日本最大のケヤキの巨樹で、インターネットのマップにも記載されている「野間の大けやき」です。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 7

山間に位置するとはいえ、大阪府に存在することとドライブの好きな私のよく通るコースにあることも関係し、以前から何度も訪れているにも関わらず、黄葉の写真はなくそれに、最近になって大けやきのそばにカフェもできた、という事でこの機会に寄ってみよう!と思ったわけです。

結論・・・、遅かった。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 3


まだ市内では、イチョウは青い葉を残しているものもあり、けやきは丁度よく色づいているにもかかわらず、大けやきはもうほとんど散っているではありませんか!!
このアングルだと、黄色い葉が輝いて映る予定だったのにぃ。

なんじゃそりゃ・・・せっかく来たのに・・・・
と少し肩を落し掛けましたが、奥にある大けやき資料館の隣の駐車場に車を入れて、とりあえず秋の巨樹の撮影に入ろうとしたのですが、そこに漂ってくる何ともいい香り・・・・・・・・・・

野間の大ケヤキ 秋バージョン 1

こんな大きな看板出てたら、イヤでも覗きたくなるってもの。
コーヒーにもちょっとうるさい(というか、好きなだけ・・)な私には、巨樹のそばでいただくコーヒーの味がどんなものか、気になってしかたありません。
それにこのネーミング。
「ありなし」というのは、この大けやきに由来します。それに関しては以前の記事を見て頂くとして、おしゃれなコーヒーを我慢することはできず、撮影もそこそこにいただくことにしたのです。

うーん、美味しい。少し涼しげな空気と和やかな雰囲気、周りには季節抜群のこの時期に京都の山を越えてツーリングに来られているライダーさんもくつろいでいたりして、ほんとほっこりします。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 2

そんな調子で飲んでいたもので、コーヒーの写真は撮っていません。あしからず。
しかしながら、このカフェは実は企業が営業しているのではなく、人口の減少を懸念し、地域の振興もかねて地元のNPOの方たちが運営しているというのです。
なおさら旨く感じてくるコーヒー。販売されている女性スタッフも物腰柔らかくてとてもいい印象です。
ちなみに、子供にはサイダーがあります。うー、子供は飲まれへんでぇー、と言えないこの巧さ。
しかし、昔を知っている私としては、すっかりと「いい意味」で変わった巨樹の周りの活気は、聞かずとも皆さんの取り組みが実を結んでいることを見て取れました。
黄葉は少し遅かったけれども、違った心の収穫をもらってとてもほっこりしました。
木とその周りの人のいい関係。素晴らしいです。
やっぱり、木のそばには人が、人のそばには木があるんですねー。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 4

そんな活性化されている大けやきの周りでは、また次の取り組みが行われていました。
わざと何ができるのかは聞かずにおきましたが、スギ材の良い香りを漂わせて、皆さんでワイワイと何やらこしらえている。

野間の大ケヤキ 秋バージョン 5

また、よさげなスペースができそうです。
こりゃまた来ないといけないな・・・

巨樹や古木は、保存が目的になるので、維持はされどもこのように盛り上げていこう!とはなかなかならないのではないかと思います。
管理はされていても、整備され近寄れないだけになってしまうと何か寂しいものですが、ここは本当にあったかい感じがしました。
是非、時間をとって「撮影andお茶タイム」を楽しんでほしいと思います。

今回は、この近くにあるイチョウの巨樹を撮影することに成功しましたから、黄葉を撮影するという趣旨も何とかクリアできましたし、満足の一日でした。

次回訪れるまでに、けやきの周りがまたどのように変わっているか、楽しみです。
大阪にお越しの際は、ゆっくり時間をとってレンタカーでお越しくださいね。
豊能郡にある、「天王のアカガシ」や「安穏寺のイチョウ」、「倉垣天満宮のイチョウ」などとともに、一日巨樹ツアーしてください。
もちろん、3時の休憩はここですよ!
(カフェはこちらのページから営業日を確認して向かってください。)

野間の大ケヤキ 秋バージョン 6




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親も木材もあるうちに尊べ 地栂(じつが・じとが)という天然林の贈り物


さて、一通りベイツガのお話を通り越したところで、やっと本題に入りましょう。
日本の栂、地栂について。

地栂1


栂(つが)という樹種の名前を紹介する時に、信州の地理に詳しい方やスキーやスノーボードの経験のある方には「栂池ってありますでしょ?あの栂です。」と説明すれば、字体からの親近感は湧くのですが、どうしても材のイメージまではふくらませることができませんから、後は私の栂蘊蓄のオンパレードになってくるわけですが、それでもヒノキやスギ程の華やかな、また広範囲な使用例というものが伝わりにくいのも、栂を贔屓にしてやりたくなるところなのかもしれません。
(下は目が飛び出る値段の地栂原木。)

地栂


しかしながら地栂は、今から30年ほど前までは意外なところで皆さんの生活の中に使われていたことをご存知の方はいらっしゃらないでしょう。
子供も大人も、嫌いだという話をあまり聞くことの無い「かまぼこ」。
あのかまぼこには、底に板がついていますよね?!白っぽい木材の薄い板が使われているハズですね。
実は、その板が地栂であった時代があるのです。
現在では地栂のかまぼこ板はほぼ流通してはいないと思いますが、実は地栂はかまぼこ板に利用され続ける「モミ」と生息域が近く、「モミ・ツガ林」を形成するところもあり、更に材色は両者とも白色に近く栂も匂いが少ない(モミは乾燥させれば無臭と言われる)事から、以前はモミと共に相当な量がかまぼこ板として製材されていたそうです。
意外なもんです。
また、それと同じ時期にはできたてのパンを入れておく木の容器(箱状のもの)にも地栂の板が使われていたといいますから、木材の用途というのは建築に限らず幅広いものだということを改めて認識させられますね。

食べ物ついでに言いますと、地栂の保存耐久性は中庸といわれますが鼠害が無いというのが古くから知られています。
地栂の材面に見られるフロコソイドという白っぽい物質によって、ネズミにかじられないという特徴を持っているのです。
時々、材面に白っぽい斑の様に現れるのがそうです。
往年の名作「トムとジェリー」では孔のあいたチーズが描かれていましたが、もし地栂の箱にでも入れておけば、可愛いジェリーもタジタジだったことでしょう。

白色の材面でしっかりと仕上げた表面には光沢があり、材に脂分が少ない事が好まれ、目につく場所にも多く用いられていますが、その代表が床柱でしょうか。
それは大径木の地栂からとれる「四方柾」という「角材の四方全ての面が柾目」という、超贅沢で雅な材がとれることや、高樹齢の地栂の原木には、広葉樹顔負けの美しい杢が出る事があるからです。
特にその独特の杢は蟹杢(かにもく)と称され、時に高樹齢の松にもみられる「蟹の甲羅のような」木目です。
どうしてこんなに美しい模様が作り出せるのか?!と聞くのはヤボというものですが、それでもこの不思議な杢の連続は、木のファンならば眺めていて飽きないことは間違いありません。

地栂6


例え杢が無くても、緻密で堅く締まる材質は建築材料において「ヒノキに次ぐ良材」とも言われることから構造材にも利用され、弊社でも幾度もお伝えしている「栂普請の家」が、未だに現存しているのも納得なのです。
ただ、重硬な部類の針葉樹である地栂は、大工さんにとっては苦労も伴うようで、直接目に触れる部分に使う節の無いものとは違い、節ありの盤を構造材などにする場合は「大きくて点在する節」をどうやって加工に支障の無い位置で活かすか、ということや、木造りする場面での材質の堅さが針葉樹慣れした加工準備では難易に思わせる一面も持っています。

地栂2

その点がベイツガとの大きな違いの一つで、ベイツガは後述する晩材が狭い為木目もあまりはっきりとする傾向ではなく、比重も軽いので加工は用意ですが割れが出やすいのです。

古い文献には、割りやすく水湿に耐えることから「屋根材」に使用し、耐朽性の目安は30年〜40年ほどだという記述も残っています。
水湿に耐える、というのは少し疑問が残るところではありますが、常に湿潤な環境ではないということなのでしょう。
それに、材が「割易い」というのは、古くから木材を利用する上では非常に重要な要素のうちの一つで、製材機械の発達していない時代には木材は「割って使用していた」のですから、材を割ることができるものを重宝しさらに割ることができるということは小さな材をつくることができるということで、屋根の板として使われてきたのかもしれません。

余談ですが、社寺建築にケヤキが多く登場するようになったのは、鉋や鋸などの木材を切ったり削ったりできる道具の発達があってからだと言われています。
それまでは、もっぱら割ることで木材として利用してきた木材の用途と樹種が大きく転換した時だとも言われます。

更に余談ですが、あの有名な「屋久杉」も屋根板に大量に利用されていました。
材質が柔らかくて割って運ぶことのできる(というか、屋久の山中からはそうでなければ運び出せなかった)屋久杉の一大用途だったそうですから、もしかすると九州方面の古い家屋の屋根板には、未だに屋久杉が残っているかもしれません!解体注意!!ですよね。
また、屋久杉の場合は通常のスギとは異なり非常に多くの油分を含んでいることも利点で、耐朽性が低いとされるスギが屋根に使われるという大きな理由の一つになっています。
あかん、余談ばかりで本題が見えなくなりそうですが、もう一つだけ!!

地栂と屋久杉は意外に関係が深くて、屋久島には高樹齢の大径木の栂の自生も見られます。いわゆる「屋久栂」です。

屋久栂

もちろん高温多雨な地域柄、油分の多い屋久杉の様に数千年もの樹齢を数えるものは無いので、屋久杉の例に則るなら「小栂」なのかもしれませんが、下に書いているように数千年生きている栂というのはありませんので、この場合は屋久栂と称して稀に幅広板や盤が材として出てくる時があります。
屋久杉と同じく、年輪も細かく美しい木目であることが屋久栂の特徴です。
ただ、そんな屋久島ですら桁はずれな地栂の巨樹というものは見当たりません。
用材として伐採されてしまったのかどうか・・・
地栂の巨樹としては、兵庫県に幹回り5mのものが存在しますが、それ以外は5mというものは見当たりません。
もしかすると、地栂は屋久杉の様に特殊な寿命を授かるものではなく、きっちりと自分の生涯を謳歌して朽ちていく、そんな樹種なのかもしれません。
これは、貴重な屋久栂の幅広板
約800位の幅があります。腐れなども見られますが、宝物です。

地栂5

さて、地栂ですが杢の他に私が一押ししたいのが「晩材と早材のコントラスト」。
晩材と早材というのは、木材の成長サイクルの違いによってできる木質部分(細胞)の違いのこと。
この違いが大きいほど木目をはっきりと感じる事ができます。
少し前のピュアラーチ(TENKARA・カラマツ)幅広無垢フローリングお宅の完成の記事でも触れていますが、ヒノキやスギとは違い、年輪を形成する木目の色の濃い部分と薄い部分の色差がはっきりとしており、その為に大人しいと感じる柾目木取りでも、経年による色合いの変化の後もむしろはっきりと木目が浮かぶ立つように感じられることから、ピュアラーチとともに経年美を楽しむことのできる樹種だと言えるのです。
また、白色の材面は仕上げた当初はあっさりとしている様に感じられるかもしれませんが、早い段階から経年による色合いの変化が現れ、晩材と早材の差がよりくっきりと見られるようになるので、当初の清々しさと経年の艶のある美しさが楽しめるところは、木材の真骨頂を具現化している最たるものです。

今回は誠に脱線が多いですが、細胞といえば地栂の細胞繊維は他の樹種に比べて長い為に、製紙材料として使われることが多いといいます。
もちろん、他の樹種に比べて蓄積量が明らかに少ないので安定供給できないこともあり、現実的に「地栂製の紙」が流通しているわけではないと思われるのですが、細胞レベルで見る特徴というのも、木材の面白い所の一つです。

そんな特徴満載の地栂ですが、優秀であるけども木造りに気合いが必要であることとベイツガとの混同で、大工さんにはあまり評判の良くない場合が多いものの、お施主様受けは悪くはありませんよ。
実際、栂普請の家地栂の無垢階段地栂の天井板は大変喜んで頂いています。

さて、脱線ばかりの地栂ストーリーもまっすぐなレールに乗せて終わりたいと思います。
その蓄積の少なさと小径木の利用という例が無い為に、木理通直な天然地栂材は、ヴァイオリンの甲板としても利用されていました。
音の伝導性という点でも通直な木理は有効に作用しますから、おそらくスゥーっと伸びる良い音を奏でることでしょう。

日本の天然林から産出できる有用材は減少しています。
木曽桧も、原木は産出していますが圧倒的に人工林からのものが多くを占めています。
そんな状況ですから、地栂も木曽桧も私が紹介できる間に「価値を知って、これらの材を喜んで頂ける方」に使って頂きたいのです。
節があるから価値が低いとか、他産地の他樹種の方が有名だと言った理由でこれらを選ばれない場合もあります。
しかしながら、これからどんどん目にする機会の少なくなるであろう貴重な材を無駄にすること無く使いたい。
だから、好きになったから地栂で!木曽桧で!と言っていただけるお客様に向けて発信していくつもりです。

栂の木偏に母、と書く由来は地栂フローリングの記事にてお話しましたが、双方「あるうちに尊べ」です。
いつまでもあると思っていてはいけないところは、まさしくお母さんと同じ。
天然林から産出される貴重な地栂、あるうちにご紹介します。
聞いてはこないけれども、聴いてほしくなる地栂のお話でした。


・国産地栂(じつが・じとが)幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・国産地栂(じつが・じとが)天井板の施工写真はこちらから
・国産栂普請の家はこちらから
・国産栂無垢一枚物階段を含む栂普請の家はこちらから

地栂3




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聞かれること無いけど聴いて欲しい、木材の話 地栂とベイツガ


前回といい今回といい、なんか御贔屓の木材ばかりをとりあげている様な話になってしまっていますが、やっぱり好きなものは好き。
それしかないのではなく、それをすすめたい使い方に当てはまるおうちが続いただけのことで、やっぱりお客様には自分が情熱をもって届けられる木材を使ってもらいたいという気持ちがあるからだと理解していただきたいです。
自分が惚れこんだ材料を情熱を持っておすすめする、それを喜んでもらった時の嬉しさと言ったら、文字では例えようがありません。
という事で今回は、先日リニューアルした「ひば」につづいて「地栂(じつが・じとが)」のお話。

ひば・地栂の両者とも大阪近辺の現在の通常の建築や木材の世界では、ほとんど表舞台には出てこない樹種であり、大工さんすらも知らないこれらの材料を詳しく尋ねてこられるお客様はめったにおられませんが、だからこそ、私がアツく語ってしまう、そして脚光を浴びせたくなる木材であるのです。

と言っておきながら実は、私自身昔はあんまり・・・どころか全く良いイメージの無かった栂。
専ら弊社やお得意様の間では「とが」と呼ばれていましたが、「ペンキ塗るから栂でいいわ」、「敷居の入れ替えやねんけど何か安い材料は?栂でもえぇか。」、「土台は桧みたいな上等いらんで、栂でいいわ」等々がその用途。
なんかとってもネガティブではないですか?!
この言葉尻がそのままの私の印象でした。 栂は下級材・・・・

そう、昔はそうでした。いや、今でもペンキ塗装仕上げの下地に使う木材の代表は間違いなく栂ですし、住宅の中に本物の木で作られた枠材や板が見られなくなったとはいえ、古い住宅の改修や木材塗装仕上げの内装には欠かせない存在です。
実際、弊社も今でも各寸法の在庫を持っていますし、以前は更に多くの種類の板材を倉庫に寝かせていたものです。
もちろん、それは他の木材に比べて価格が落ち着いていて供給量も豊富だからできることですが、それ以上に忘れてはいけないのが「節の無い(少ない)木がとれること」です。
様々なサイズで、しかも長い木材がとりにくい広葉樹とは違い長さの長いものもとることができる、ということがとても大きな特徴です。

おっと、ここで整理しておかなければいけません。
今お話しているのは、実は「ベイツガ(米栂) western hemlock 」のことです。地栂のお話といっておいてベイツガの事を語り始めるのはおかしい様に感じるかもしれませんが、それが一番重要な前置きなのです。

ベイツガ4


地栂を語るには、まずベイツガを語れ!とは私の勝手な言葉ですが、先のペンキ仕上げのお話も、土台のお話も、みんな材としての良さではなく仕方なしに選択している様なニュアンスで聞こえてきますが、まさしくそれが「地栂も含めた栂」の印象なのです。
つまりは、安い材料だということ、イコール昔のことですから人工乾燥材も多く流通していませんでしたし、特に土台材に人工乾燥材など使うような時代では無かった時には、安いけれどもとても狂いやすく扱いにくい、というのが材木屋含め大工さんの印象でした。

ベイツガ3


栂は大径木になるものもあり、特にカナダなどでは安定的に供給できる大きな蓄積をもっていますが、質よりも量の供給が勝っていた時代には、私ですらベイツガの受注をするのは「ロス」を考えると億劫なものでした。
それ位、建築材としては「使えない」と言われるほどの反りやねじれが出るものばかりでした。

下の写真を見てください。
私が材を持つ手をねじっているのではなく、地面にまっすぐに触れさせているのですが、手もとの木口は斜めにかたむいていますよね?!
これがねじれです。
ベイツガにかかればこれくらい、朝飯前です。
梱包を開梱して検品していると、あぁ、またねじれや・・・切り使いしよか、といったような会話の流れで短尺材に廻すことになるんですが、木材は長さが長くなるほど材の価格は高くなります。
それなのに、長いものを短く切っていかいないといけないというのは、大きなロス以外の何物でもありません。
こんな感じといえば、まぁわかっていただけますか?!

ベイツガ2


その印象は、ベイツガではなく地栂ですよ、といっても「栂=昔のベイツガ」という印象で、少なくとも私の周りでは以前の状況を知る大工さんほど敬遠されるといったような状況が地栂を取り巻く環境なのです。
それ位、ベイツガの印象が強かったのは、地栂自体が材としての流通量が決して多く無く、市場では見かけないからだということも理由の一つであることは確かです。

だから、「ツガ」という樹種名を知っている方に地栂のお話をする際には、必ず米栂との違いから始めないといけませんから、聞かれなくても聴いてもらわないと採用には至らない最たる樹種ではなかろうかと感じます。
もちろん、ベイツガ(カナダツガ eastern hemlock\Tsuga canadensis)も乾燥と製材をきっちりとしていれば、素晴らしい製品がいくらでもありますから、ご心配無き用に。
質より量を重んじた時代の昔話です。
日本のツガよりも樹高が高く育ち安定供給ができ、地栂よりも若干淡い色合いで他材の邪魔をせず、傷害樹脂道や入り皮は多いものの低価格で材による個体差が少なかったそんなベイツガも、現在ではシマフクロウの生息地である森林の保護の為に伐採できなくなってしまった背景から、入荷の多くはカナダツガに移行しています。

節の少ない色白の木肌の割に黒くなりやすい節や、ねじれなど色々と文句を言われながらも、日本の白木(しらき)建築の一時代を支えたベイツガですが、現在は印刷の化粧シート建材や集成材のフリー板と呼ばれるものに活躍の場を奪われてしまった感は否めません。

ベイツガ1


ベイツガですらそんな勢いですから、今から地栂をすすめようというのもおかしいと言われるかもしれませんが、それが私の仕事。
良いものはいい。好きになっていただける方にお勧めするのが私の役目。
ということで、少しベイツガが長くなりましたが次回に本題の地栂に入りたいと思います。
ひばも栂も、日本の隠し玉みたいな樹種です。その魅力に取りつかれるとなかなか離れられません。
そんな世界をご紹介します。


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これは森のカーテン・・・ 珍しい板根「安波のオキナワサキシマスオウノキ」


人間とは全くもって勝手なものです。少なくとも私は。

いつのまにかカレンダーが11月の下旬に差し掛かり、心地いいと思っていた気候も朝晩はめっきり冷たくなってきました。
こうなると、朝起きるのが億劫で「暖かいところにいきたいなー」と思ったりしてしまうのは毎年の事になりつつあります。

テレビのコマーシャルでもそうですが、寒い時期だからこそ南国のリゾートの写真なんぞを持ち出して、旅行意欲をそそるというような手法もとられるところ、実際には行くことができないので、そういうときは今までに行ったことのある場所の写真でも眺める事にします。
そうすることで頭の中だけですが、記憶が甦り行った気持ちになります。(侘しいぃー)

そう思って暖かい場所の写真を眺めているのと同時に頭に浮かんだのが、今回出てくるザ・沖縄といいたくなるような、この木の事です。
実は私は、この木に逢うまで沖縄に行ったことがありませんでした。
テレビや写真では見るものの、冬は暖かいところに行きたいと言っていながらも、わざわざ雪降りしきるスキー場に行くのですから、よっぽど縁が無かったのかもしれません。

さて、私からすれば沖縄の町並みは本当に変っている様に感じました。というのは、木造住宅や木造建築物が基本的に殆ど目につかないからです。
台風の影響を受けやすいことなどの地域性は理解していたつもりでも、実際に見てみると頭では違和感を感じていました。
それもあってか、住宅ではなく街路樹や特有の気候によってはぐくまれる木々や草花に目がいきます。
バスで移動している最中も「デイゴ」や「モクマオウ」など、実物を見る機会が無かった樹種がわんさかと出てきて、「写真撮るからここで停まってぇぇーーー」と、心の中で絶叫しながらも通り過ぎていて悶々。
一般人にとっての旅行で訪れる沖縄は、観光やマリンスポーツ、常夏のリゾート地なのかもしれませんが、私にとってはまるでドでかい植物園!
見過ごしては通れない植物の山・・・いや街なのです。
そんな中で、短い滞在中にどうしても私が訪れておきたかった木がこの「オキナワサキシマスオウノキ」。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 3


物凄く変った名前です。オキナワ、まではいいですがサキシマスオウって?!
この特殊な名前は材を煎じると紅色の汁を出すことからマメ科のスオウになぞらえてつけられています。
学名をHeritiera littoralis Dryand
Heritieraは人名のヘリチェール、littoralisは海浜性のという意味からとられているとのこと。
分類上は、アオギリ科のサキシマスオウ属に分類されています。(現在はアオイ科になっているという記述もあり)
生息域は(まるで生物のようですが・・・生物か・・・)、インド洋、太平洋諸島から北限の奄美大島まで。
その出で立ちからも想像できるように、マングローブ林の背後の海岸湿地に多い常緑高木。
日当たりのよい湿地を好むことから、比較的開けたところに生息しているようである。

まぁ、普段は目にしない、いや目にできないとても珍しい樹種で私も存在を知ってから、この木の事を調べようと思っても、俗の木材辞典には載っていません。
そりゃそうですね、一般的に使われるものでもないですし用途を限って賞用されているものでもない(と思っていた・・・後述)し、産出される地域が限られるのですから。
インターネット上にはそれなりに色々と書いてはありますし、この種では有名な巨樹(?!)が同じ沖縄の西表島の竹富町にあるという記事が出ていますから、そういう情報は見る事ができるのですが、木材としての利用やその性質的なことは他の沖縄に自生する樹種と同じく情報が少なく神秘的な存在に感じます。
サキシマスオウノキ以外にも、これから紹介できればいいのですが・・・・

前置きが長くなりましたが、このオキナワサキシマスオウノキに逢うには、みなさんが沖縄で滞在しているであろう場所よりもかなり走らないといけないところにあります。
余程の沖縄通でない限り、私の様な初心者は先ずは那覇近辺に滞在しますよね。そして観光も市内であったり各グスクや「美ら海水族館」だと思います。
まだ距離としては近い方である美ら海水族館までは、那覇から高速道路が通じていますので、行きやすいですが水族館の先は高速道路がありません。一般道です。
沖縄の南に位置する那覇から、オキナワサキシマスオウノキの所在地である国頭村までは、高速道路で走ってきたのと同じくらいの距離を一般道で走らなければいけないのです。
しかも所在地が微妙にわかりにくい・・・どうやら浜辺?!!ということも重なり、他の予定もこなさないといけないいつもながらのタイトなスケジュールにも関わらずに足を運んだわけです。

さぁ、海岸線をひた走り、更にひと山越えてたどり着いた海岸線。どうやらこのあたりの様ですが、調べてきた画像から考えても街中にはありそうにもなく、仕方なしに更に海岸の方へ出てみるも、それらしい物には出会えずどうしようかと右往左往していると、予想に反し海岸とは少し離れた場所に案内板を見つける事が出来ました。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 8

案内板に沿っていくと、やっと逢えた!になるはずが、細い草ぼうぼうの道を行けども行けどもお目当ては見当たらない。
しまいにどなたかのお墓らしき海岸に出てしまい、「看板があるのにわからない」始末。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 2


うわー、ここまで来てわからんか!!と思いながらバックで車を走らせてもとの看板に戻り、もしかすると途中で見落としていないかと思い歩いて進んでいくと、やっとあった・・・・
もっとでっかいのかと、しかももっと水際にあるんやとおもうやん・・・・
その辺が事前情報に左右される人間の素性ですね。

まぁ、見てください。こんなとこに隠れとったんかいなー・・・というような私の顔。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 9


南国のイメージで、波打ち際にあるのかと勝手に想像していたのですが、意外と薮っぽいところにあるもんだ。

そして一目見て、今まで見たことの無い「板根」に感激!
樹木の大きさとしては決して巨樹というようなものではないですが、夏山の大スギの様に大蛇がのたうちまわるような感じとはまた違う、探していた「南国」に逢えたような気分です。
板根というのは、読んで字のごとく「板状に発達した根」の事です。
通常目にする樹木は、若干の根上がりはあったとしても、幹の部分から続いて根が土壌に向かって伸びているというような光景は見かけないものですが、板根は立ちあがる幹の途中から土壌に向けてまるで「カーテンのように」ひらひらと伸びているのです。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 5


そう、これがもう少し幻想的ならば「森のオーロラ」とでも形容したいところでありますが、写真で見るよりも「原生林の入り口」っぽい所在地には、さすがに半袖と半ズボンでは立ち入る気になれず、オーロラに触れることも、恒例の私との記念撮影も無しということであしからず・・・

実は、ここに来るまでにどこだかは忘れてしまいましたが一足お先に板根には逢っていたのです。
名前のわからないパーキングエリア。
そこに無造作に置かれている板根。これこそまさしく!!

安波のオキナワサキシマスオウノキ 1


これはこれで、板根のさらに下である、つまりは土壌にあるであろう部分の大きさがわかる貴重な資料。
おそらく訪れる人の殆どは「大きくて変なオブジェ」位の認識しか無いんだろうと思うと、勿体なくて仕方ありません。
いや、もしかすると沖縄ではこれくらいの板根普通なのかな?!

実は、昔はこの板根を切り取りそのまま船の舵に利用していたこともあったそうです。
あぁ、その形からして納得。天然の水かきのような形状が役に立ちそうなのは言うまでもありません。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 4

もともとこの様な板根を発達させる熱帯の植物(日本では珍しいが熱帯にはこんなのわんさかある。)は、樹高が高く直径も半端でない位に大きく成長する割には地中深くに根を張らず、その代わりに地表にだしたこの板根にて、自分の体を支えているようです。
そう思えば、少し気色悪い位に発達した板根もその形状からしてとても重要な役割を果たしているということが理解できます。

そして木になる(気になる)木材としての性質ですが、先の様に船の舵に利用されたというのは、その得意な板根の形からだけではなく、その材質によるところも大きかったようです。
資料によると、サキシマスオウノキの比重は0.9近辺から1.0位のものまであるそうで、これはもう立派に超重硬材です。
おそらく、水中での使用や摩擦、経年による劣化の具合も舵としては良い特性を備えたいたのかもしれません。
いや、同じ用途にもちいられた樫にしても、重硬でありながらも弾力があることで、櫓羽根や舵に用いられてきましたが、やはりサキシマスオウも同じ様です。
暗褐色と言われるその材は、堅いのと同時に弾力がありシロアリやフナクイムシにも耐久性が高いといいますからその道では第一級の用材だったようです。
櫓羽根や舵が重硬なだけの木材ではダメなのは、ただ堅いだけの木材はある程度の力を超えるとポッキリと折れてしまうそうですが、弾力性を持っている堅さというのは、水の抵抗を受け流しながらも堅牢さを保持するそうで、その違いは歴然だと聞いたことがあります。
そんな感覚も、今では感じられる人がいるのやらどうやら・・・

しっかしすごいなぁ!サキシマスオウノキ!!
そんな用途で一番星だったとは。伊達に板根だしてないね!!

さらに、樹高も約20mを超えるくらいになり直径も60〜80cm程になるものもあるそうで、樹木としてはとても見ごたえのあるものです。
今回私が訪れた安波のオキナワサキシマスオウノキは、幹自体はそんなに大きなものではなかったのですが、この樹木に逢う一番の目的は「日本の樹種で板根を持つに逢いたい」ということですから、今回はサイズには言及しない事にしましょう。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 7


ここまで来る道のりは、高速も無く距離もあるような事を書きましたが、大阪のビルで囲まれた広い4車線の道路を渋滞とともに走るよりは、ゆっくりとでも海沿いの美しい青色と山側の輝く緑を眼中に走っていく清々しさと言ったら、一人旅の多い巨樹探訪にとっては癒し以外の何物でもありません。
もともとドライブ好きの私には全く遠いという印象が無く、もっと本物の沖縄を探しに出かけたくなりました。

冒頭にもある様に、沖縄県は特別な気候風土をもった土地。樹木の種類も全く異なり、観光ではなく木を追いかけて行きたくなる場面が多くて困ってしまいましたが、次に訪れるときはもう少しゆっくりと景色も見ながら滞在したいものです。
木の事が好きで、少し足を延ばせる余裕のある方は安波のオキナワサキシマスオウノキに逢ってみてくださいね。
沖縄の島を巡る良いドライブになることも間違いないですよ。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 6


安波のサキシマスオウノキ所在地

沖縄県国頭郡国頭村安波

地図で見ると沖縄の与那覇岳の地図記号の真東の海岸線、県道70号線のさらに海岸よりを拡大すると、その名前の表記があると思います。
県道からは下の写真の建物がある橋を海側に渡り、少し進むと本文中の看板があります。

安波のオキナワサキシマスオウノキ 10


海岸沿いではなく、看板に沿って進んだ薮の中を見ていくとわかると思います。

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青森ひば無垢一枚物フローリングの記事、リニューアルしました。


多分、人間誰だって贔屓目にみるものというのがあるはず。
好きなスポーツチームだったり、お気に入りのお店だったり、またはお気に入りのものだったり。

私がよくショールームのお客様に聞かれるのが、「どの樹種が一番いいと思いますか?!」または、「どの木が一番好きですか?!」という質問。
う〜ん、難しい・・・いや難しくない。
全部好きです。世界の木材に埋もれて過ごしたいと思うくらいに好きですし、個性の塊である木材に順番などつけようがない!!というものです。

ただ、用途や予算、特性を考えた時にお勧めの材というものは少なからずあります。
それもやはり贔屓のうちなのかもしれません。

以前にひば油のお話をしましたが、まさしくそれがそうなのです。
今年の物件で多いのが、屋外に用いる木材の相談。
腐りにくいもの、耐朽性のあるもの、熱帯材の様に硬くて重くないもので建物外部に使えるもの、そんなお話。
外部と言っても色々と用途があるのですが、お話を聞いてきた中で提案採用が多かったのが「ひば」。
外部の柱材や塀材として、次々に採用されました。

それはもちろん、材の持つ性質が故ですがやはりすすめたくなるのは贔屓が入っているからなのは仕方なし、です。
自宅の土台に使っていたり、お風呂の壁材として使ってもらったりしているのですが、今一つこの大阪近辺では材の魅力が伝わっていないことと知られていないのが悔しくて、長々と説明してしまう・・・
これはどうみてもやはり贔屓ですね・・・

そんなひばですが、ふと最近昔のひばの記事を読み返していると、弊社のページを書き始めて比較的初期にフローリングを記事にして以来、数年そのままであるために、どこか稚拙さが滲んでいたことから今回贔屓目に(笑)リニューアルする事にしました。
匂いがくさいと言われようが、ヒノキとの違いがわからんのに値段が高いと言われようが良いんです。
私が好きだから。
一部のお客様だけに「うわぁ、これはすごい香りやわ。これはいいわぁ!!」と言っていただければ、特性の秀でている物は万人には受け入れられないもの!それでいいんです。

青森ひば無垢一枚物フローリングの記事、是非見てください。

明日はヒノキになろう、という上下関係をうたわれた「ひのきあすなろ」の名前ではなく「ひば」という優秀な樹種として、もっと広く知ってもらいたいと思います。
更にハマってしまった人はいろんな楽しみ方のできる精油をお勧めします(笑)

青森を始め、ひば関連の記事は以下をご覧ください。

・青森ひば無垢一枚物フローリングはこちらから
・青森ひばを含めた「あすなろについて」はこちらから
・能登あて幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・能登あて幅広無垢一枚物羽目板はこちらから

弊社へのお問い合わせはこちらから



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ピュアラーチ幅広無垢一枚物フローリングで床リフォーム完成


なんということでしょう!!冷たくて立っていることも辛かったリビングの床が、温かなピュアラーチの床に大変身・・・・

ちょっと大袈裟に始めましたが、例のBGMが欲しい位に、まさしくそんな感じの印象です。
あぁ、こういう雰囲気があの手の番組でほっこりと映るんだなぁ・・・と妙に納得自画自賛の仕上がりとなったお客様宅を訪問しました。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 10

採用して頂いたフローリングは「ピュアラーチ(TENKARA・カラマツ)幅広無垢一枚物フローリング」のセレクショングレードです。
ピュアラーチの持つ金色といってもいいくらいに綺麗な木目が、「なんということでしょう」的な美しさです。

この針葉樹独特の早材と晩材(木目の色の濃い部分と薄い部分)の色の差がもたらす木目は、広葉樹無垢フローリングでは味わえない、いわば針葉樹の特権!
しかもスギヒノキでは少し赤茶色く感じる晩材といわれる木目の濃い部分も、ピュアラーチでは金褐色(あえてこう呼ぼう!)と形容したくなるくらいに輝いている様に感じます。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 3

冒頭にある様に、ショールームに来ていただいた最初のご希望が「無垢のフローリングであるにもかかわらず足元が冷えて仕方がない」という状態の改善だったので、樹種選定には比較的柔らかめの樹種が頭に浮かぶのは当然のことなのですが、やはりそこで問題とされるのが「傷がつきやすい」と言われること。
これはショールームにおいては必ずといっていいほど話題になることです。
「そりゃ無垢のフローリングには傷はつきものですよ!」なんて言うのは簡単ですが、折角気にいって選んだ綺麗なフローリングにすぐにボコボコと傷がついていく様を想像するのは誰だってイヤなものです。
そういう私ももちろん、自宅のフローリングが貼りあがった時の綺麗さと満足感に、「キズ厳禁!!」と、いつもショールームでお話する「キズはつきものです」なんてよく言えるな・・・と自分で感じるほどに心配になったものです。
説明する立場の私でもそうなのだから、お客様はなおのこと心配なハズ。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 12

それでも、ご友人宅で味わった針葉樹フローリングの踏み心地と、その温かみすら感じる木目に心惹かれていた様子だったこともあり、ひらめいたのがピュアラーチ。
普通は、「温かい針葉樹」とくるとスギかレッドパインを先ずお勧めするのが一般的。予算的にも負担が少ない場合が多いですし、近年のスギフローリングの良い部分のイメージの浸透具合はとても深いですから、「では、スギのフローリングでいきましょう!」といってしまいそうなところですが、お話を伺っていると雰囲気としてはスギよりもレッドパインに近いけれども、レッドパインなら良いかというとそうでもなさそう・・・
針葉樹の柔らかな印象を持っていて節がそこそこ美しくて、なおかつ傷がつきにくく目立ちにくい樹種・・・
うーん、無理!!!と言ってしまいそうなところですが、そこで登場するのが今回の真打であるピュアラーチ。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 2

ラインナップには節をほとんど含まないプルミエグレードから、針葉樹独特の節の雰囲気を存分に味わえるネイキッドグレードまでそろっているうえに、厳しい寒さの中ゆっくりと育った天然林から産出(日本での唐松は殆どが植林)される、年輪の細かな原木から気取りされた木目はとても美しく、さらに、針葉樹の中では重厚な部類に入る堅牢さを持っているために、スギのようないつの間にか傷だらけというような傷のつき方にはなりにくいことがまさしく、今回のご希望にぴったり!!という事で、後はピュアラーチの魅力を情熱的に伝えるのみ!!!

殆ど私の好みと聞いていてもわかりにくい蘊蓄も交えておすすめしたわけですが、施工後は結果的にフローリングに対して希望されていたことを概ね満たすことができたようにうかがって、どこか自分の息子を褒められているようで、満足頂いたことに少し恥ずかしいような今現在です。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 4

しかも今回は弊社のほど近くにお住いだったためにフローリング施工工事まで弊社にて請けさせていただいたので、もうこの記事は自画自賛もいいところ・・・・・

そんなフローリング施工でしたが工事が終わり、床の養生板を取り外した私は少し目を疑いました。
あれ?!これは4mの原木から作られたものがたまたま一列に並んだの?!、と・・・
フローリングの長さのサイズは1820mm。でもそのつなぎ目を見た時、一瞬木目が繋がって一枚のフローリングの様に見えたのです。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 11

こんな感じに・・・(因みに2枚左隣もそうです。)
実はこれ、大工さんがすべてのフローリングのケースを開梱し、並べなおしたときに木目や色合い、節目の出方などで順番を振り分けていたために、一枚ずつ施工する際に、なるべく長手方向の木目が途切れるような印象のない様に、わざわざつながりを見て貼り込んだからできた職人の気遣いなのです。
そんなことやってるから、施工予算が・・・・
最終計算すると、心配どおりえらいことに・・・・・(涙)

しかしながら、お客様ご主人も薄々この続いているはずがない木目の連続に、もしかして?!と大工さんの気遣いに気づいてくださっていたそうで、その点も喜んで頂き、私も嬉しい位の貼り上りで最終的にはそれでよし、だったのですが。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 13

アンケートの中にもあるように、冒頭の床の冷えはとても辛いものだったらしく、直前まで他社さんで施工されたメープルのウレタン塗装の綺麗なフローリングが施工されていたものを、わざわざ貼り替えるという作業だったわけですが、断熱材を施工して床下からの冷えを緩和し、なおかつ木肌の質感を感じることが難しかったウレタン塗装のフローリングから無塗装のピュアラーチフローリングに替えることで、冬本番の前ではありますが本日現在までは快適にお過ごしいただいているようで、フローリングに満足いただいたことと、断熱を提案して施工させて頂いた甲斐がありました。

もちろん、メープルのような広葉樹のフローリングが冷たい、という事ではありません。
何度も書いているように、木は本来温かみのある素材です。そして比較的重硬な樹種は冷たく感じるのも事実ですが、冷たく感じた次の瞬間からは次第に冷たさが和らぐはず。それが体温を奪われにくい「木から感じる温かみ」であり、弊社が素材を無塗装で提供している所以です。

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 1

もちろん、ウレタン塗装をしなければ反りや寸法変化の心配が大きくなります。
しかし、元来とっても暴れん坊な性格のピュアラーチでも無塗装で紹介できるのは、それだけ乾燥や製材にこだわっているから。
だからこそ、このような惚れ惚れする美しい黄金の輝きが生まれるのです。

おそらくは、これからもっともっとお日様の光を受けて深い色合いになってくるでしょうし、お子さんのおもちゃの傷も増えることでしょう。
それは住んでいるご自身が日焼けし年齢を重ねて変わっていくように、同じようにその時間を共有し変化していくのが無垢のフローリングです。
かわいいお子さんが成長し、フローリングの色の変化や昔付けたキズの事を思い出す日が来るとき、その時こそ、ちょっと奮発したけれどピュアラーチフローリングを選んでおいてよかったな、と思って振り返っていただけると嬉しく思います。

N様、お仕事忙しいところ工事中ご不便をかけました。素足で過ごしたくなるようなリビングで、これからも家族仲良く健やかに過ごしていただけますように・・・

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 5

・今回施工頂いたピュアラーチ(TENKARA・カラマツ)幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ピュアラーチ(TENKARA・カラマツ)幅広無垢フローリングUNIネイキッドグレードオイル塗装施工写真はこちらから
・その他の弊社取扱い無垢フローリングはこちらから
・弊社へのお問い合わせはこちらから

広い面積では目立たないものの、セレクショングレードにも若干の小節や色差などが含まれます。
下の写真を参照してください。

源平(赤味と白太)

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 6

指先大の節

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 7

白抜け部

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 8

ピュアラーチならではのフローリング表面への樹脂の析出

N様邸ピュアラーチフローリング施工写真 9

最後にいつものアンケートを掲載いたします。
いつも言いますが、決してやらせでも脅しでも(笑)ありませんので、ありがたいお言葉として掲載させていただきます。
因みに、ご意見いただいております新しい弊社のページは来春にアップ予定ですので、もうしばしのお待ちを・・・
お世話になりありがとうございました。


アンケート

 

・今回の弊社の対応について(メール、電話回答の内容や対応はいかがでしたか?!)

迅速で、かつ細やかなご対応を頂きました。

 

・担当について(印象はいかがでしたか?適切に対応できましたでしょうか?説明は理解できましたでしょうか?)

知識量がすごい、というのが一番強い印象です。私が1つを質問すると10で返してくださるという感じです。もちろん素人の私にもわかりやすい説明をして頂きました。

底冷えも解消したいという希望があったのですが、断熱材選びでも、真剣に選んでいただき、感激でした(11月時点、断熱材の効果はバッチリです!)。

10畳という狭くまた古いLDKのリフォームの依頼でしたが、きちんとご対応いただいて、とても良かったです。平日は夕方以降でしか都合がつかない所を、こちらの時間に合わせて打合せ等していただき、助かりました。また家族全員が理解・納得できるように、繰り返しご説明を頂きました。

 

・インターネット記事について(弊社記事で商品御理解いただけましたか?お探しの物が見つかりましたか?記事内容はいかがでしたか?)

インターネットの記事については、興味深く拝見しましたが、どこまで自分が理解できているのか(笑)

画像を見てフローリング選びの参考にさせていただきました。それよりも、戸田さんの知識や木材への想いが綴られている記事を読むにつれ、私の希望をお伝えしうた上で戸田さんのオススメしてくださる床材であれば、きっとどれも満足できるのではないかという思いのほうが強かったです。実際、施工後もとても満足しています!

 

・商品について(この材料を選んで頂いた感想と、貼りあがりの感想をお聞かせください。)

私の

唐松を貼っていただいたのですが、とても良かったです。私の希望は「黄色みの強くキズが目立たなそうなもの。暖かみのあるもの」という希望があったのですが、すべてに応えてくれていると思います。

まず見た目では、茶トラの猫を思い出す木目で、ほんわかとしたやさしさのある表情をしています。そしてこの床全体に広がる木目のおかげで、小さなキズは気になりません(施工後1ヶ月ですが、子供によって既に傷だらけです、笑)。

また施行いただいた大工さんの技やこだわりも見ることができ、毎日過ごすリビングだからこそ良いリフォームをして頂き、本当に良かったです。

 

・弊社を選んで頂いた理由を教えてください。

以前、他のリフォーム店で失敗した経験から、早い!安い!のリフォームよりも少しぐらい時間とお金がかかってもよいので、良いリフォームにしたいという思いがありました。無垢の床を選ぶにあたって知識面等で信用のできるところを探していたところ、戸田工務店様のホームページを見つけ、実際にお話を伺い、こちらに頼もう!となりました。

 

・今後このようになればよいのに、というご希望あれば参考にさせていただきますので、教えてください。

リフォームにあたっては、特に希望はなく、何も問題はありませんでした。

強いて言えば、ホームページはブログ形式なので、それとは別に、取り扱いのある、木ごとの特徴がまとめられたような、総合的なホームページがあるほうが、一般的にわかりやすいのではないかなと思いました(過去のブログを遡らせることに意図があるのであれば、別にこのままで良いのですが)。

 

 

2014.11.10 N



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



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材木屋よ、根太をつくれ!


突然ですが木の事を知る、勉強して知識をつけるといっても通常は様々な情報を得ていくようなことがメインになるでしょう。
私でもそうで、やはり様々な知識をつけていくことが基本ですが、それでも実際にやってみないとわからないこと、というのがたくさんあるもので、そのあたりはやはり無垢の木材が二つとして同じものがないということと、それぞれの個性がありそれを見つけることが知識以外の経験や実作業によってもたらされるものであることは、いうまでもありません。

弊社で取扱いの木材の完成品である無垢フローリングであっても、樹種の知識だけではわからない特徴が出ていたり、実際に出来上がったものや加工中を見ていないとわからないことも多々あるので、工場に出向くことや原材料を見ること、もちろん完成品の中からお客様に出荷するものの中の1ケースを抜き出して中身を確認することもあります。
言葉で言うには簡単ですが、それなりの時間を費やす必要がありますし、なにより想像以上の費用が掛かりますから、見えてこない部分の実体験知識、とでもいうところでしょうか・・・

フローリングだけでなく、角材や板材などの木材においても実際に触れることや削ってみること、時には切ってみることも大切な実体験知識です。
近年は、建築現場の多くは「仕上がり品」という、「あとは取り付ければいいだけ」という状態にまで加工された木材を納品することがほぼ当たり前になりつつありますから、お客様がというよりも材木屋ですら「実体験知識」というものを得る場が少なくなってきているのが気になるのは私だけだろうか・・・

それを一番感じる瞬間は何より木材の書籍を読んでいる時。
私も自身の記事上で、木の事を言葉にして伝えることの難しさは十分に分かっているつもりでも、一般書で書かれている「限りなく平易に書かれている説明」でも、まだまだ分かりにくく感じる部分が多いという実感を持っています。
それは木材の乾燥についてであったり、曲がりや反りのメカニズムの事についてであったり・・・どうしても専門的になってしまったり、少し難しい言葉を使わないと字数が大変多くなってしまったりということもあるからですが。

しかしながら実は、そういったことは木を扱う職業であればちょっと前まではみんな自分の手や肌や耳で感じて覚えられる環境があったものでした。
現在のように、大工さんが仕上げ加工をしなくてもいいような状態を工場で作っって渡すのではなく、材木屋自らが製材をして材木屋の倉庫で大工さんが加工をする、製材の前にも大工さんとその木をグルグルと四方八方から見て使い方を検討し、無駄がない様に相談してきたものでした。
少なくとも弊社では・・・
それがあったからこそ、大工さんとの話の中で出てくる木目の話や材を見る上での注意など、言葉では理解しづらい木材の特徴や特性を体で覚えることができたのだと思っています。

そのうちの一つが根太の製材・加工です。

根太をつくれ4


根太=ネダと発音します。床の部材に使われる建築部材の用語の一つで、同じ寸法同じ樹種でも屋根に使われると垂木(タルキ)と呼ぶようになるものです。
現在では改築工事以外では分譲住宅・注文住宅問わず、その役割をベニヤ板にバトンタッチしたため根太という部材の木材を使う場面は殆どありません。

実は先日の記事で少し書きましたが、十数年ほど前までは弊社にてその根太という部材を製材(帯状ののこぎりを回転させて木材の寸法をきりだすこと)していた時期がありました。
その当時は日常業務の一つと言ってもいいくらいにその作業があり、ほぼ毎日製材機が動いていました。今では考えられない光景です。
角材を製材して根太という部材を切り出す作業は、単純に木材を伐っていくだけのように見えるのですが、実際はそうではありません。
木材は切り出す方向や場所、向きによって切った後の形状や用途に大きく影響する部分が多く存在します。
私が若いころに、番頭さんが製材をするときに角材をゴロゴロと転がしながら何やら眺めている時がありましたが、実はそれが「木の性質と切るべき方向を見ている」という事に気が付いたのは、自分で製材をする立場になってからでした。

同じ大きさの角材、どこから切ってもいい様に思うのですが、いざ何も考えずにやってみると番頭さんのようにうまくいかない。私の仕事の後を見た番頭さんがやっと教えてくれました。
「これは、ホンマはこっちに鋸いれるべきやったな。これはこっちや。」と。
そこからは、根太という用途で使用するうえでの製材方向の考え方や、どの木目の部分を製材すべきか、同じ角材なのにどこを判断して製材の基準にするのか、という事を教えてもらいました。
そうすると、本当に変わるのです。まったく考えずに「機械のように」ただ切りつづけていた時と、切る向きを考えて切っている時では、出来上がりの木材に明らかな違いが出てくるのです。

皆さんは、この角材を半分に切る場合はどの面に鋸を通しますか?!
この写真のまま割っていけばいいでしょうか?!

根太をつくれ5

それともこっちでしょうか?!

根太をつくれ6

また、上下の写真それぞれで実際に製材した場合の出来上がり材には明らかに違いが生じます。(もちろん、用途や材によっての違いもありますが・・・)
板材の様に、厚み方向と幅方向の大きさが違うものならその差が現れるのかと想像するかもしれませんが、それは、長辺短辺の無いこの様な角材であっても起こる事で、それが木材がモノではなく細胞を持った生きてきた植物であることの証であって、家具やフローリングが伸縮すると言われる「木材の動き」に関係してくるところです。
どちらに鋸を通すかは・・・・ショールームでお話します(笑)。

こういった事が、木の性質であり木の持つ異方性(細胞などの方向による変化の違い)を考えた製材だったのです。
大工さんの言う「癖がありそうな木」や「製材には向かない木」というのが理解できたのもその時です。
木材は大きいサイズから単純に小さいサイズを切り出すことは簡単です。しかしながら、切り出してみたとたんに曲がったり大きな節が出たりすることがあります。
それを見ることができるかどうか、という事です。
まぁ、私も製材をしなくなって10数年ですから偉そうなことはいえませんが、それが実体験となり現在の木材やフローリングの説明や視察の折に役に立っていることは言うまでもありません。

また、製材と合わせて行う作業に「プレナーかけ」という作業がありました。
木材の表面を平滑にする作業ですが、これも機械にめがけて木材をつっこんでおけば出来てくるものではありませんで、先の根太という用途には平滑に仕上げるべき面が決まっているのです。
それこそ、木の持つ性質が大きく関係してくるからこその理由なのですが、きちんとその理由を理解するまでは少し時間を要したことを恥ずかしながらお伝えしておきましょう。

難しい説明は割愛しますが、根太というのは原則的には(例外もあるので)木表(きおもて)と呼ばれる木の樹皮に近い側を平滑に仕上げます。

根太をつくれ7

木表を並べた状態


木表は、基本的に柾目(まっすぐな木目)には適用しないので自ずと板目(タケノコ状の木目)になるわけですが、角材を見ると板目でも木表と木裏の双方があり、どちらが表で裏なのか、そもそもどうして表側なのか?!という事を気にするのも、自分で作業するようになってから・・・

その理由こそ、まさしく木の反りや伸縮、木表木裏による変化の違いを凝縮した物だったのです。
つまりは、木表というのは木材が乾燥により自ずと反りあがる方向、板目というのは、乾燥による収縮が少ない(正しくは柾目の方が収縮しづらいので、その面を高さ方向に使うため)からという木材の特性を理解した上でのことなのです。

根太をつくれ2

木表を並べた写真の一番左の材を45度回転させてみると、柾目が現れます。この4本の場合だとこちらではなく、右3本の見えている部分を平滑に仕上げないといけないということです。

木材に現れる木表の反りというのは収縮率の異方性により、ほぼ必ず現れるものですし、板目と柾目の収縮による寸法変化も床の仕上がり高さが大きく関係する根太という部材には重要なファクターなのです。

それを文章で説明するとなると、一つ一つでコラムが十分出来上がるくらいになってしまうくらいに内容のある話になってしまいますので機会を見てお話しますが、そんな難しい話も自分が製材して反りの出たものや自分が削ってみて違いを確かめてみると、深い理由が分からなくても目と体が覚えていくのです。

その実体験が、文章や挿絵では理解しにくい木材の実際の「動き」の理解を早め、色々な木材を見た時の大きな判断材料として機能してくれていることは大きな財産となっています。

しかしながら、冒頭のように私が学んだ根太という部材も新設の住宅ではほぼ姿を消しています。
また、使う機会があっても「規格品」がありますからわざわざ作ることはもうありません。
どうしてこの方向?!何でここを切ったらあかんのやろうか?!ということを身近に体験する機会がなくなっているのです。
とても残念なことです。
必要な時にすぐに使えて手間のかからない「規格品」はとてもありがたくスピーディーですが、木を知る、木の事を学ぶには意味をなさなくなっています。
それによって、本来ならば「こういうところに使ってください」とか「こういう使い方でお願いします。」と言っていたような反りや曲がりなどの「癖のある木材」というものが、癖の理由が説明できないためにすべて「使えない木材」となってしまいます。
癖がある=使えないではありません。

木材の癖や変化をしっていれば、それ相応の適所に使う事ができる物も多くありますし、他の用途に廻すこともできる。
しかし、それを知る機会が少なくなっています。
知識は本から多く学ぶことができます。しかし経験はそこからは学ぶことはできません。
いつの時代もくりかえしているであろう「昔がよかった、今はダメ・・・」。
そんなことではなくてやっぱり木は自分で触ろう、感じよう、香りをかいでみよう。
そうすることで、もっと木の事が分かるはず。
材木屋よ、根太を作れ!! zaimokuya! saw up the neda!!

 



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無垢の木材の感じ方 千差万別


毎度毎度、自分では一所懸命無垢の木材のお話をしているつもりで、触った感じや特性、特有の香りの特徴、木目の見え方などを言葉にしているのですが、もしかするとあんまり伝わってないのかもしれないなぁ・・・とちょっと思います。

私、結構匂いにはこだわりがありまして・・・といってもフェチとかそういった部類ではなく(いや、木材に限ってはそうかも?!)、木材に対して全く知識の無い頃からの材質を記憶する(又は識別する)貴重な情報源の一つというのは、まぎれもなく「材の芳香」であるのです。
ラワン類などの広葉樹の一部は、木目も非常に似ている上に香りは殆ど差が無いので、その方法では歯が立たないわけですが、殊針葉樹に関しては結構重要な見分けファクターだったりするので、兎に角最初は材を見るより先に、その辺の犬も逃げ出すほどに強烈に鼻を近づけていたものです。

それが影響してか、今でも材を手に取ると必ず鼻に運んでしまう癖がとれないのですが、そうやって感じている木材の情報の一つも、他の人には感じられないケースもある、若しくはきつすぎるくらいに感じる場合もある、という2つのケースを続けて目の当たりにしました。

私にとっては、双方驚くべきことだったのですがもしかすると、私の方が木材に入れ込み過ぎて「ズレて」いるのやもしれません。もう近頃は、「こんなの買ってきてどうするの?!」とか「使い道も無いのに・・・(嘲笑)」とか言われても、「この良さがわからないなんて、反対に損してるよー」位に受け流していますが、そのあたりから一般の感覚ではなくなっているのか?!・・・

一般的にはスギヒノキの香りはとてもいい香りで、スギは気持ちを安らげるとか言われますし、ヒノキは集中力を高めるとかいわれますから、とても良いニュアンスの言葉ですよね?!
私も双方とてもいい香りだと思います。
しかしながら、先日ヒノキの中のヒノキである「木曽桧の羽目板」の香りが充満しているスペースにお客様を案内したところ、「このすごくキツイ変な匂いはなんでしょう?すごくキツイですよね?!?」と言われました。

木曽桧羽目板


うーむ、確かにとても良く香っています。わずか2坪(約6嵎)施工するくらいの材料なのですが、その5倍以上の面積で良い香りがしているつもりだったのですが、それがどうも「キツかった」様です。
流石は木曽桧、えぇ香りやなぁ・・・と陶酔していた私でしたが、やはり夜間は締めきりの事務所内のスペースでは香りがこもりすぎたのでしょうか・・・

もう一点は、知っている方には納得頂けるであろう「クスノキ」の香り。

クスノキ 2


ご来店いただいたお客様に、丁度仕入れたばかりの特徴的な香りを放つクスノキの角材があったので、この機会にクスノキの香りと材を紹介しようと思い「このちょっと特徴的なにおいしますよね?これがクスノキです。」と当たり前にわかるかのように見てもらいました。
すると、「そうですね・・・・ちょっとにおうような気がしますが・・・」という意外なコメントが・・・
私としては、もうプンプンとにおっている、と言ってもいいくらいにその香りを感じていた為に、これならわかるだろうと思っていたのですが、「特徴的な香りしませんか?メン○レー○ムみたいな、ちょっとスーっとするような・・・」と尋ねるも、やはりあまり感じない様で・・・驚きでした。

極め付きは子供の意見。

先日ウチの家からゴソゴソと木切れを持ちだして「基地」らしき所に運んでいた我が息子。
上手く基地では楽しめたそうですが、病木(!)の親父の影響を多分に受けている息子には快適なその木材の香りも、友達の中には「うわっ、くっせーー」という子がいたらしく、帰るなり「木のにおいがくさいなんて、ありえへんよなぁ!??」と私に力説。
もちろん、私も「ホンマやなぁ!」と言ってはみるものの、やはりこれも個人差あり。持ち出したヒノキか何かの香りが強かったのでしょう。
子供だから木で喜ぶ、良い香りだと言うハズ・・・と思うのはやはり大人の考え方なのかもしれません。

独特な香りといえば、これまた私の好きな「青森ひば能登あて」の様な「臭い(くさい)」とまで言われるような香りもありますし、スギにしても昔に乾燥していない材料を製材していたころは、それこそ「鼻をつく様な刺激」を感じるほどの「キツイ香り」で、もともと鼻炎持ちの花粉症である私は、「今日中にこれだけ(必要な数)製材しといてや!」と言われて、50本〜100本の角材を製材するという日には涙を流したもんです。
その当時の私には、スギは全くもって「良い香りではない」樹種であったことは間違いありません。

そう考えると、やはり材の状態もあるとはいえど人の感じ方はまさしく千差万別。
それに加え、無垢の木材も千差万別。
芳香の強いものもあれば、穏やかなものもある。そして感じる人の体調も加わると、先の様に「刺激臭や臭いにおい、キツイ匂い、又はあまり感じない」といった具合になるのも無理はありません。
木材はこんなところが良い、あんなところが優れている、といっても微妙な感覚的な問題ですから、全てが伝わらないのも事実であまりに宣伝的に木材の「良い」と評される一面だけをとりあげるのも気を使う部分です。

私が一生懸命に感覚で感じた様子を日々綴ってはいるものの、やはり一個人の感覚の域を出ないもの。
共感してもらうにはなかなかむつかしいもんだと、今更ながらに改めて感じています。
それでも人にも個性と違いがあり、無垢の木材にも個性と違いがある。だからその二つの要素同士を引き合わせてうまくくっつけるには、やっぱり納得してもらわないと伝わりません。
ショールームに来てもらうしかない!!
という運びになるわけですね。
先日も青森ひばの香りを気にいっていただいたお客様は、迷うことなく青森ひばフローリングの注文を頂きましたし、ロックメープルの肌理の細かさを感じて頂いた方も、即決を頂きました。

やっぱり感じてもらわないといけません。
一所懸命に伝えるものは伝えて、後は感じとりに来ていただく。
画面上では伝わらない無垢フローリングの足触りや木材の手触りや香り、微妙な木目の変化などの個性を感じに来てください。
そこで、私の感覚がズレているのかどうかの座談会です!
ワインテイスティングならぬ、木材テイスティングを用意してお待ちしていますよ!感覚を研ぎ澄ましておいで下さいね。

クスノキ1



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低光沢ウレタン塗装 リフリーバーチとリフリーオークに新グレード追加


前回のブラックチェリー幅広無垢V溝フローリングに引き続き、無垢フローリングラインナップにグレード追加のお知らせです。

無垢フローリングと言うと、未だに節目の豊かな針葉樹ではスギレッドパイン、広葉樹ならナラオーク)かカババーチ)のツルツルのウレタン塗装が一般的。
もちろん、お施主様の希望や予算の都合、デザイン上のバランスなどの理由で選定されることが多いこれらの樹種ですが、合板フローリングがどんどん進化して無垢フローリングにかなり近い質感を得ながら無垢フローリングには無い性能を持っている(これは改めて記事にしなくてはなりませんが・・・)近頃では、ただ「無垢材のフローリング」というだけでは、お客様にその良さが伝わりにくくなっている様にも感じます。

特にスギやレッドパインでは柔らかいとか、節が目の玉のように見えて気になるとおっしゃるお客様も多く、そのためグレードにもよりますが、針葉樹無垢フローリングよりも比較的節目穏やかな広葉樹フローリングに嗜好が移る時もしばしば。
そこで出てくるのが先のナラ(オーク)とカバ(バーチ)という無垢フローリングの2大広葉樹のウレタン塗装無垢フローリング。
ナラははっきりとした木目とその変化が楽しめて、落ち着きのある色合いが住宅にも良く似合いますし、反対に木目の目立たないカバは、白基調のものはすっきりと、赤身白太混合のものは無垢独特の色合いの変化を楽しむことができることから、飽きなくつかわれています。
また、ウレタン塗装をされていることにより後からの塗装をしなくてもいいことと、なによりも無垢材の伸縮などによる寸法変化を抑えられる事から、建築工事関係者の間では「無垢のフローリングと言うとウレタン塗装」というのが一般的だと思います。

しかしながら、通常のウレタン塗装は確かにピカッと光って貼り上りは綺麗に感じますが、直に触った時の無垢の木材の足触りや柔らかい印象の木目というものが、ウレタンの膜により感じられなく(感じにくく)なってしまうのは仕方ないところ。
伸縮による隙間や反り等がでるくらいならそれぐらい仕方ない・・・・・
そう思ってしまうところですが、リフリーバーチリフリーオークは一味違います。

リフリーオーク ネイキッド 5

(リフリーオークネイキッドグレード)

ウレタン塗装でありながら、ウレタン塗装独特のテカッとまぶしく光るツヤを抑えてより自然に見せ、手触りも木そのもの、、、とまではいきませんがツルツルのウレタンとは全く違います。
それでいて、通常のウレタン塗装と同様に塗装済みフローリングとして扱えるところが凄いと思いませんか?!

リフリーバーチセレクション3


(リフリーバーチセレクショングレード)

無塗装やオイル塗装のフローリングではない、塗装済みフローリングのもう一つの選択肢であるリフリーオークとリフリーバーチ。
今回追加になるのは、リフリーオークネイキッドグレードとリフリーバーチセレクショングレードです。
それぞれ、樹種の表情を活かしたグレード設定ですから無垢フローリングの味を十分に楽しんでいただけると思います。
ウレタン塗装のピカピカではなく、オイル塗装の様なしっとりとした質感が好きだけれども伸縮による影響が心配だからウレタン塗装で・・・と考えておられる方にも見ていただきたいラインナップです。(もちろん、ウレタン塗装をしていても伸縮します。詳しくは弊社からのメッセージをご覧ください。)

それぞれの樹種の特徴と比較は下記記事を参照してくださいね。
新しい選択肢、低光沢ウレタン塗装。
気になる方は弊社までお問い合わせください。よろしくお願いいたします。

・低光沢ウレタン塗装 リフリーオーク無垢フローリングはこちらから
・低光沢ウレタン塗装 リフリーバーチ無垢フローリングはこちらから
・弊社へのお問い合わせはこちらから

リフリーオーク ネイキッド 4


木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

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木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ! 

ブラックチェリー幅広無垢フローリングにつなぎ目V溝が追加になりました!


今まではそうは一般的ではなかった樹種が今や花形となっている、というのは木材業界の樹種変遷では良くあることです。
その理由は、木目の流行であったり入手が困難になった事による樹種転換であったり、もしくはお客様の求める木材の変化であったりと様々ですが、この樹種も近年の人気がウナギ登り(まさしくウナギの価格の様に・・・)なのではないでしょうか・・・

ブラックチェリーです。

ブラックチェリーv溝 プルミエ 2

今までは、日焼けによる変色が相当早い事、赤身と白太の色合いの差が大きいこと、ガムポケットと呼ばれる黒色の筋が大きくでるものがあること、などで均質さが問われる日本の木材業界にはあまり浸透していなかったように思うのですが、諸外国からの家具やフローリングに使われている表情が、今までの均一さを求めてきた感性に「新しいもの」として受け入れられたのかもしれません。

ブラックチェリーv溝 プルミエ 5


もちろん、店舗の様な「節やあえて不均一な木目などをとりいれた洒落た内装」を住宅にもとり込もうという新たなインテリアデザインにも丁度合致したからだということも大きい理由だと感じる機会が多いのですが、どちらにせよキャラクターが豊かな木材として、また高級木材としての認知度が定着したことは疑う余地がありません。

そのブラックチェリー、いままでも幾度か取り上げていますが今回はラインナップの追加のお知らせです。

唯一無二の存在である一枚物と、予算を考えながらチョイスできるユニタイプを紹介していましたが、今回はその両方を欲張れるタイプのご案内。
そう、今までもバーチオークなどの樹種でとても好評の「幅広つなぎ目V溝フローリング」の追加です。

ブラックチェリーv溝 セレクション 3

幅広v溝フローリングについては、今更説明する必要もないかと思います。
そのつなぎ目v溝ラインナップの中にブラックチェリーと並び、フローリングにとどまらず人気が高いブラックウォールナットにもラインナップを揃えていましたが、今回遅れてブラックチェリーにも追加することとなりました。

ブラックチェリーv溝 プルミエ 3


通常のユニタイプとの違いは先ずそのフローリングの幅。
合板フローリングでも150mm幅というのはなかなか見る事ができないのに、無垢の150mm幅の一枚物の板を使っているというのは、大きな違い。
そしてその150mmの幅広無垢板を、ユニタイプのフローリングではあるものの、つなぎ目を最大2カ所(3ピース)まで、としているところが通常のユニタイプでは見られないところです。


ユニタイプのフローリングは、大抵は90mm幅の無垢板の短いピースのつなぎ合わせで1820mmのフローリングをつくるのが基本です。
しかし、それでは短い寸法のものがたくさん並ぶことになり、無垢ではあるもののダイナミックさには少し欠けてしまいます。
しかしながら150mmというワイドな無垢板をできる限り長いままつなぐことで、施工性はアップさせながらも、貼上りの質感は幅広板を丁寧に敷き詰めたという印象を与えてくれるスグレモノ!!

ブラックチェリーにはつなぎ目V溝フローリングがないのか?!
そう思って待っていてくださった方。お待たせしました。
これで、V溝ラインナップにて選択肢がまた一つ増えました。
悩んで頂ける(笑)と思います。
夜なべして弊社記事を読んで下さっている方、悩みの種を増やしてすみません(笑)。いっぱい悩んで、お買い上げいただくことお待ちしておりまぁーす。


プルミエグレード 貼り上りイメージ

ブラックチェリーv溝 プルミエ 1

セレクショングレード 貼り上りイメージ

ブラックチェリーv溝 セレクション 1


(写真はフローリング現物ですが、時期や原木によって表情がことなりますので、ご注意ください。)

*ブラックチェリーは材面の色合いの変化が著しく現れる樹種です。一日日光にさらしていても目で見てとれるほどの変化がありますので、施工の際の射光による床養生の際の変色などには十分配慮ください。
下写真は弊社ショールームにて使用のカットサンプルを屋内の反射光位しか当たらない場所に4年おいていたものです。

ブラックチェリーv溝 セレクション 4

・ブラックチェリー幅広無垢一枚物フローリングはこちらから

・ブラックチェリー幅広無垢一枚物・UNIフローリングの施工写真はこちらから              

・ブラックチェリーV溝フローリング以外の無垢フローリングの記事はこちらから

・この他無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ


ブラックチェリー幅広無垢つなぎ目V溝フローリング(寸法表記はすべてmm単位)

・寸法

15×150×1820

・形状

UNI(たて継ぎ部分にV溝加工)


・エンドマッチあり

・品番と価格

BP-33VP UNIつなぎ目V溝 無塗装 15×150×1820 プルミエ
¥28,512(税込)/6枚入り(1.63屐

BP-33VS UNIつなぎ目V溝 無塗装 15×150×1820 セレクション
¥21,427(税込)/6枚入り(1.63屐

・運賃

別途地域により、お問い合わせください。

・グレード

プルミエ:材の特色を活かしたトップグレード
セレクション:小さな節や軽微な色むらを含むグレード
ネイキッド:色むら、節、パテ補修、など強度に問題ないものは全て含みます。

・納期

無垢商品の為、該当年度の原材料が限られている都合いつでも生産するということができませんので、余裕を持って確認ください。


*ご検討の前に弊社からのメッセージを必ずご覧ください。 

お問い合わせ・ショールームのご予約はこちらから 


・表情の違い 参考

セレクショングレードの節

ブラックチェリーv溝 セレクション 2

プルミエグレードの黒筋

ブラックチェリーv溝 プルミエ 4

プルミエグレードのガムポケット

ブラックチェリーv溝 プルミエ 5

その他の表情も様々です。
下記リンクからブラックチェリーの表情の違いを確かめてください。

・ブラックチェリー幅広無垢一枚物フローリングはこちらから
・ブラックチェリー無垢フローリングユニタイプはこちらから

その他のつなぎ目V溝フローリングは下記からどうぞ。

イースタンアッシュ(タモ)幅広無垢一枚物フローリング
ホワイトアッシュ幅広無垢一枚物フローリング
カスクオーク(ナラ)幅広無垢V溝フローリング
ブラックウォールナット幅広無垢V溝フローリング
ノルデストウォールナット(胡桃・くるみ)幅広無垢V溝フローリング
ロックメープル(カエデ)幅広無垢V溝フローリング
ロシアンバーチ(樺・かば)幅広無垢V溝フローリング



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