空を見上げて
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2014年05月

ありそうで無い物 地松と桧の無垢階段材


今ではビックリされるようなものも、昔は勿論木で作っていたもの。
今も見た目は木の様に見えるからあんまり気にならないかもしれないけど、無垢の木ばかりの家の中で育った私にとっては、凄く気になる部分があります。

それは住宅の階段。

現代の階段

現在の住宅の階段の殆どはこのようなべニア板の表面に0.数mmの単板を貼ったものが殆どです。
中には、集成材の階段もありますが、合板フローリングの柄とコーディネートしやすいことから写真の様な階段材が多く使われています。

私の違和感は材料に問題があるとか、そういうことではないんです。
これを使うと、踏み鳴りは少ないし施工時の強度はあるし、フローリングとの連続性が高い意匠をもっていますから、利点は多いです。

でも、私はやっぱり木そのもの、がいい。
勿論個人的な意見ですが、やっぱり無垢の木がいい。
ちょっとはギシギシいうかもしれない、傷がついたりするかもしれない、集成材より弱いと思われるかもしれないけども、私は無垢の木の階段がいい。
常時御客様には無垢のフローリングをお勧めしていますが、実際のところフローリングよりも、この階段材の方が無垢にしてもらいたい(いや、両方だ!)位です。

無垢のフローリングの優位性を語る時、足腰にかかる負担の少なさを挙げるのは、以前の木の床の不思議シリーズでも書いたとおりですが、階段材はフローリングよりもはるかに昇降による足腰への負担が大きいものです。
それは脚に怪我をした時などに、自分の体重を支えながら昇降するしんどさを思うとよくわかりますよね。
全体重が片足にのる状態で昇降する動作は、日常何気なくこなしてはいるものの、凄い運動だと思います。
その運動量を受け止める階段は、フローリングよりも一点にかかる力は強いはず。

その力は、階段材が硬ければ硬いほど吸収されず自分の足に返ってきます。
弾力性のあるものを踏むと衝撃は吸収されますが、コンクリートなどを強く踏むと脚がジンジンしますよね?
大袈裟に言うとそんな感じです。

特に子供さんなんかは階段は走って上り下りしてしまうもの。
その時に、気持ちだけでもあたりの柔らかな様にしてあげたいと思いませんか?!
因みにうちの妹は、幼稚園位の時に13段程ある階段の上から転げ落ちてきました。
下にいた私はビックリです。えらいこっちゃ。
実家の階段は地松。
夜中にひっそりと帰っても、うぐいす貼りよろしく帰宅を知らせてくれる「スグレモノ?!」だったのですが、その材質がクッションになったのか?!妹は痛がるものの、大事には至らずでした。
まぁ、母は「子供で体が柔らかいからやわ」といっていましたが・・・・

それは置いたとして、やっぱり無垢の階段が欲しいです。
以前には地栂の無垢階段杉の無垢ストリップ階段(一つは受け板も無し)などの施工を紹介している事からもわかるでしょう。

で、この度また、今度は地松の階段と桧の階段が採用になりました。

地松階段

地松は旧家の改築用に。
やっぱり旧家といえば地松です。
少し青が入ったりしていますが、綺麗な光沢です。地松はこの艶がたまりませんね。
乾燥材だというのに強烈な重さも地松ならでは。
桧や杉のボトボト生木と同じくらいの重量に感じます。

桧階段 2


そして桧。
こちらはやはり赤い節がいい。
雄大さは松に譲りますが、優しいピンクの色合いと白太の色のバランスの妙、それに桧の良い香りが清々しくもありますね。

桧階段 3

桧の節あり材は、杉と同じくどうしても抜け節が入ってしまうもの。
抜け節があると、足にひっかかったり、靴下を傷めるので、フローリングの場合は埋め木をしたりしますが、今回は極力それの無いものを厳選してもらいました。
木も生き物。節は生きるためのもの。無垢の木のものを作るのに、完全に人の思い通りにすると自然じゃなくなります。
そのあたりは勘弁していただいて納品。
と言っても凄く良材。本当に抜けていない。

桧階段


若干幅の広い贅沢な階段です。

昔は節が無く幅の広い材が取れる「ラワン材(広義の)」にて作っていたのも懐かしい時代。
いつの間にかそれも見なくなりました。

毎日脚が触れるフローリングとともに、重要な階段材。

タイプにもよりますが、無垢の木で作ってみたいものです。
階段にこだわる予算は無い!と言われてしまいそうですが、これこそ家がある以上ずっと使うもの。
少しは贅沢して脚腰の御褒美にしてもらいたいんですけどね・・・
こんなに階段にこだわるの、私だけ?!!




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テレビで放送されるとみんなが驚く木材と林業の話 そしてそのあとは?!


大半の方はそうだと思いますが、ゴールデンタイムと言われるテレビの放送時間近辺の番組は、なかなか生で見る事ができないのではないでしょうか。
夕飯の支度、未だ会社などで、録画しておいて後で見ることの方が圧倒的に多い様に思いますが、私も同じこと。
その為、たまに放送から大分たってから「こんなんやってたん?!次回も見たい!!」と思っても既に放送終了ということも茶飯事。
今回は家内が番組に気がついて録画しておいてくれたものですが、話題の映画「WOOD JOB」の影響もあってか、スタジオの反応や話されている話題がとても興味深かったので、ついつい真剣に見てしまいました。流石は我が家内。

番組に気がついたのが途中からだったということで、話の1/3位は見ていないのですが、そこからでもなかなか面白い話が聞けました。
先ずはコレ・・・

林業についてのテレビ放送 5


?!自然乾燥させた木は?・・・ということは自然じゃないものがあるのか?!そう思われる方も中にはいらっしゃるでしょうか。
突っ込んでいくとまた木材ワールドに迷い込むので詳しくは割愛するとして、現在使われている木材の多くは「人工乾燥材(機械乾燥)」です。もちろん、住宅の構造材である梁や桁もです。
それに対しての「自然乾燥」(以降天然乾燥)という言葉が使われているのですが、見出しはそちらの方が耐久性が高いと・・・

スタジオ、えぇーーーーという声。
違いがあることは、そんなこと気にしない材木屋サンでも知らないかもしれないから、驚かれても仕方ないと思いますね。
そうなればこうなる。

林業についてのテレビ放送 4


もしそれが本当なら、自分の家は天然乾燥で!と思うのが普通。
で、人工乾燥と天然乾燥とでどれくらい「もち」が違うのかという質問に、「普通は30年位だけどうちのは100年。」と。

林業についてのテレビ放送 3


後ろのお客さんの女性の顔が状況を物語っています。
そりゃそうです、3倍以上違うといえば相当なもの。
聞いている私もびっくりです。

木材の話はかいつまんでいくと、かなり偏って聞こえてしまいがちだから気をつけないといけませんが、確かに、人工的に無理矢理乾燥させるより、天然乾燥でじっくりと水分を逃がす方がいい。
天然乾燥というのは、弊社の百年杉柾フローリング古希杉浮造りフローリング杉埋め節フローリング高樹齢杉浮造り無節純白羽目板の様に、伐採から製品になるまでに長い時間をかけて自然に任せて乾燥させるのです。
以前にも書いていますが、それは相当な費用と労力と時間がかかります。
だから、テレビでも言っていましたが現在はお客さんに供給を待っていただいている状態だそうです。
凄い人気です。
しかし、決して人工乾燥が悪いわけではありません。
無理矢理ではなく、じっくりすること。それが難しいのですが・・・

その労力や供給力を考えた上での判断が必要になり、その上に「無理矢理人工乾燥した木材よりは!」天然乾燥の方が耐久力が高い、という話になるのです。

これによって、御客様も「今すぐ建てたい!」という中での天然乾燥は難しい事を知っていただき、計画の余裕のある中で、どんどん天然乾燥材を使っていく場面が増えればいいと思います。

そしてその後の余談もなかなかおもしろかった。
どうしても材木屋や工務店さんがネタに使いたくなる「桧」のお話。

林業についてのテレビ放送 1

建築主のあなたは200年後に生きていますか?!
出来れば私も生きながらえて、自宅の桧の強度の変化を見届けたいものですが、残念ながらそれは叶わないでしょう・・・

これは社寺などの長い歴史のスパンに残る建築においては「桧は伐採後約200年後に最大強度に達する」というお話。

この放送のお話の中にも出てきていましたが、法隆寺のお話や社寺建築の本を見ていると、そう書かれています。
これも以前に、桧が社寺仏閣に用いられる理由、という記事に記しています。
また、私も材木屋としてはこのお話を信じていますし、桧を含む木材の神秘的なお話として大好きなエピソード。
更にそれに続きがあって、

林業についてのテレビ放送 2

1000年後には、伐採した時と同じくらいの強度に落ち着くということ。
画面の右上にも1300年経っても法隆寺が倒れないのは?!と書かれている通りです。
どうしても、世界的に有名な木造建築のエースを引っ張り出したくなるのは木材、林業の人間にとってはわかるところ。
そこに、宮大工さん達の、そして飛鳥工人の技法があってのことだと付け加えておかなければいけませんけれどもね・・・

もし私が業界人でなければ、もうここまでくると、家は桧で天然乾燥!となりそうです。
ただ一つ気をつけておかないといけないのは、1300年持つ技法と技術とそれなりの樹齢と育ちの木材があってこそのお話だということはわかっておいてくださいね。
換気が悪く、虫害に襲われやすく手入れなく、使われていると木材も永くはもちませんからね。
また、伐られた木が強くなって最終的に元の強度に戻るという上のお話を、もう一度検証しようという大学もありますから、夢は夢、そして我が家の事も1300年の建物と同じではなく、現実的に考えていただきたいもの。
余りに飛躍した例えは、当てはまらないかもしれませんからね。

しかしながら、現在の殆どの住宅の様に、見えない構造材などの木材はなるべくコストを抑え、部屋の中で大きく目立つお風呂やキッチン、太陽光発電などの設備商品に大きなコストをかける住宅が多くあります。
そんな中で、木材の質や木材の樹種と用途に興味を持って自身の家づくりに取り組んでもらえれば、材木屋としては嬉しい限りです。

住宅を考えているお客様が、不動産屋さんで机に向かって平面に書かれている間取りだけで家を買うのではなく、先のテレビの映像の様に、木のもつ素晴らしさに目を輝かせて住宅建築できる場を提供したいですね。
それが町の材木屋サン。
みなさん、どんどんと木材の話、ききにきてくださいよー。




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ナギの伐採 初回が終わる


昨日25日、以前にお伝えした「奈良春日山でのナギ伐採」が初めて行われたそうです。

世界遺産登録で古くから伐採禁止されている原始林と言われる森に人の手が入って木を伐るというのは異例のこと。
前回の記事にて詳細を書いていますが、ナギが「増えすぎた」のか広葉樹が減ったのか、増えたとされるナギが広葉樹の原始林を変えていってしまうという懸念から、今回の伐採に踏み切られました。
当日はボランティアの方と県の職員さんら20人が参加して行われ、高さ10m程のナギもチェーンソーを使い伐採、その他若木は手で引き抜くなどの作業を終わったそうです。
10月には範囲を広げて再度活動をされる予定だそうですが、新聞紙面にはナギを「駆除」と書かれている事が、少し残念。
どうしても守る主体が「広葉樹」となっている以上そういった言い回しになってしまうのかもしれませんが、あんまり良い気持ちでは無い言葉に感じます。

奈良公園付近の鹿は、広葉樹の若木などを食べてしまいますが、彼の地の彼らは聖獣ですから決して「駆除」などとは言わないはず。
他の山では「害獣駆除」とされるとしても・・・

ナギもコラムで紹介した通り神聖な木。
それを駆除というのは・・・
日本語も難しいですし、物事の捉え方もとても難しい。

広葉樹原始林は残って欲しい様な気もしますが・・・



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これぞ象の、脚ぞ想えし 〜贄川のトチ〜


2回にかけて「トチ」についてお話してきましたが、締めくくりはトチの巨樹のお話にしましょう。
あれだけテーブル材などの大きな木材ができるとお話してきたんですから、きっと大きな木があるはず・・・
そう考えながら山間などを見ていても、なかなか見当たらないものです。こと、私のいる地域大阪は、巨樹と言えば樟、といってもいい位に樟が多く(他では長野県の一部ではケヤキばっかりというのを経験しました)街中でも立派な木を見る事が出来るのですが、トチの木となるとなかなかお目にかかれません。

それもそのはず、トチの生育環境としては渓谷沿いに育ちやすいということなので、盆地である大阪近辺には巨木は見かけないのでしょう。
以前に「モミではなく栃(とち)の木は残った」という記事を書きましたが、その残ったトチが生育していた場所も、滋賀県の安曇川流域ということで、水のある場所でした。

今回見てもらうトチの木もすこし離れてはいますが、近くには川が流れています。やはり関係はあるのかな。

贄川のトチ 3

場所は長野県塩尻市贄川。
ここから有名な木曽路が馬籠まで続いていく、現在の国道19号沿いにご丁寧な見学駐車場という綺麗な看板が出ています。
とはいえ、歩道が整備されている区間を走っていると、道路際に聳え立っていると思しきトチを目当てに行く者には、民家のすぐそばに立っているこの看板は目に入りにくく通り過ぎてしまいそうになります。

贄川のトチ 2

道路際の説明板。
右に見える民家の進入路になっているため、まさか見学用駐車場だとは認識しづらいのです。実は一回通り過ぎてしまいました。
しかしながら国道沿いで駐車スペースを用意してくれているのはとても有難いです。
どの巨樹訪問においてもそうですが、ちょろっと眺めて帰る様な事は無いので、駐車スペースはいつも気になるところです。

有難い駐車スペースに車を停め(といっても、私が訪問したときは入り口にどっかりと積雪していて、流石に愛車のバンパーを除雪車代わりにそこに入ることが出来ずやむなく別に駐車したのですが・・・)改めて眺めてみると迫力があります。

贄川のトチ 13

雪景色でわかるとおり、冬が終わるころの為葉はありません。
これにあおあおと葉が茂っていれば、更に印象は変わったことと思いますが、それでも、山肌に太く大きく鎮座する光景は見事なものです。

贄川のトチ 7

ボコボコと隆起した幹は力強く、木材としての涼やかなトチの白さとは全く対極で、優しげなイメージを払拭されたような気分です。
そのごつごつとした樹皮にはカテコール系のタンニンがふくまれている事から、鞣革(なめしがわ)に使われるそうです。
またトチは、ナラなどのように薪炭材としての有用性は低いけれども、活性炭には白樺やハンノキとともに良いとされています。
また実に含まれる「サポニン」はシャボン玉の「シャボン」と同じ語源から来ており、その言葉のイメージ通りで、石鹸の代わりとして使うことが出来るといいます。

贄川のトチ 8

巨樹のこんなコブを見ると、不謹慎にも「どんな杢がでるんだろう・・・」と考えたりしてしまうのは、木が好きだとはいえ材木屋のサガ・・・
こんな明るい場所だとその想像もふくらみますが、神社境内や、薄暗い山の中の巨樹の場合はそんな想像をしていると、身震いしてきます。こんな感覚わかるでしょうか。

めちゃくちゃ綺麗な看板。最近新しくされたのだと思います。
落ち着いた赤紫地の木目のパネルに見やすくかかれています。ついつい、この看板の樹種は?!と思ってしまいますが、印刷とはいえローズウッド系の杢柄か、と読み進めると最後に「ウェンジ」の文字が・・・
何?ウェンジの柄なの?!と我が目を疑うも、よくよく読んでみると樹幹下の祠が「ウエンジン様」とよばれているそうな・・・
なんとも早とちりな勘違い。職業病ですな、これは。
トホホなオチでした。

贄川のトチ 5

さて、長野県の天然記念物に指定されている贄川のトチ。
その立派な体躯からすると指定は当然のこと。
しかし驚くのはその樹齢。
なんと約1000年とあります。
各地の巨樹である杉を含む屋久杉やクスノキ、巨樹になるイチョウなど様々ありますが、しかしながら前回までに書いたように比較的大きく育つトチが、この大きさで1000年ということに対して驚きました。
1000年もたてば更に巨大になっているのかと思っていたからです。
もちろん無尽蔵に大きくなるわけではないのですが、このトチの歩んできた1000年という月日がどんなものだったのか、ふと思い耽ってしまいました。

贄川のトチ 10

廻りが雪に覆われ、しかも結構な斜面のため、カメラアングルが限られていしまいますが、やっぱり正面のこのアングルが一番迫力がある様に思います。

斜面下から見上げるトチはまさしく、その名「橡」が示す通り「象の脚」の如く太く逞しく感じます。
まるで今踏みだされたかの様な、シワくれていますが力強い感じ。
前回まではトチと馬の関係を多く紹介しましたが、もしかするとこの見事な幹に象の逞しさを感じたのが「橡」のもとなのではないかという想像が巡りました。

しかし、本当のところはどうも、昔は「橡=つるはみ」と発し、ドングリの事を指して用いられていたようで、これがまさしく先のドングリに酷似した実から来た当て字なのではないかと邪推するのですが、どちらも楽しくなってきますよね。
名前と漢字の結びつきは面白い!

贄川のトチ 9

下に見える車の位置が国道です。
少し小さく見えますが、それだけ離れているということ。だからこそ、道路際ばかりを見ていると通り過ぎてしまいます。
この位置からトチを眺めると、ちょっと1000年生きてきたトチの気持ちになったような気がします。
斜面から一人巨樹になった自分の眼下に広がる川、そしておそらく車の無い時代には往来の人々を静かに見守ったであろうことを思うと、すこしその大きさに親近感を覚えました。

贄川のトチ 12

これがトチの真横から撮影した写真です。
眼前が国道とはいえ、大阪の様に車が車列を成しているわけでではなく、途切れては通るという程度です。
その道路の向こうに川を挟んで正面も雄大な山景色。
道路の整備されていない時代は、厳しい山道だったのかもしれませんが、今は至って静か。
ここから見る移り変わる時代はどうみえていたのでしょう・・・

さて、最後に恒例の背比べ。

贄川のトチ 11

トチの周囲には柵があるので少し離れていることと、正面がもっとも樹幹の幅を感じさせるのですが、カメラを上手く設置することが出来ずに、仕方なく横面に並びましたので、その立派さが伝わりにくいのが残念です。
実は訪問前に見ていた他の写真でも、「まぁまぁの大きさかな・・」位にしか思っていなかったこともあり、やはり贄川のトチは実際に会ってみてこそ良さのわかる巨樹なのかもしれません。

やっぱりこれだけの大きさに成長するトチですから、立派なテーブル材が取れるのも納得してしまいます。
でも、こんなに立派な木を見ると、「売りやすいか否か」という観点の善し悪しで判断する様にはならないですね。注目されて然るべき樹種だと思います。

流石に広い広い長野県下一のトチの木。
見事でした。
出来る事ならば新緑の季節にもう一度会ってみたい、そう思わせるに十分な存在感はやはり「万の実り」を予感させるからでしょうか・・・・・


贄川のトチ所在地

長野県塩尻市贄川1882
駐車場あり

近くには池生神社のトチノキや東漸寺のシダレザクラほかがある。
その他にも足を延ばせば様々あるが、長野県は目的地から少し脚を伸ばせば次の巨樹が現れる為、どこまでを行程に含めるのか相当悩むのが苦しいところ。




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万の実りも馬のため?! 中腹の花〜栃の木(トチノキ) 其の弐〜


さて前回、樹種特集としてとりあげたトチ。
今回はその第2話です。

「トチ」 漢字を「橡または栃」と記すことは前回も触れましたね。
言うまでもなく、といいますかトチは栃木県の県木に指定されています。

学名を Aesculus turbinata  
日本、インド、アジア、ヨーロッパ、北米各所に24種存在すると言われている仲間ですが、こと日本にはトチの木1種のみという、珍しい樹種です。
中国名を日本七葉樹、英名を japanese horse-chestnut
因みに仏名で marronnier

学名の Aesculus は実が食用になる、という意味のaescare が元となっていることからもわかるとおり、食用の実をつける植物です。
ただし後にあるように実をそのまま食べることはできないので、デンプンとお米を混ぜてお餅にしたものを「栃餅」として見る事が出来ます。
そして英名の chestnut や仏名の marronnier が示す通り、その名は「栗・くり」に由来しています。
前回に「トチの実は馬に食される」と少し触れましたが、まさしくその馬が食する事から英名の horse-chestnut(直訳、馬−栗)という名前になったといいます。
また仏名の marronnier も栗を意味する言葉なだけに、栗とトチは密接な関係が想像できると思います。

それもそのはず、これを見てください。

贄川のトチ 4
 
栗ですよね、どうみても。
私も木がそこに存在せずに見せられると、そう信じてしまいそうです。
しかしながらこの実は「トチの実」なのです!!
これで納得ですよね。

このまるで栗そのものの実をつけるトチには、昔の人もさぞかし驚いたのではないかと思います。
しかしながら美味しそうなこの実ですが、普通に食することはできません。
実にはサポニンやアロインという物質が含まれているため毒性があり、苦いので食べるには灰汁抜きをしなければなりません。
また、同時に含まれるエスクリンという物質も有害とされていますが、これは捻挫や打撲に効くと言われているのですが、実はここに、「馬−栗」の馬の部分の由来が隠されているのです。

昔々、トルコ人が捻挫や打撲を負った馬にトチの実を食べさせていたのをある兵士が見ていて、そこから「horse-chestnut」になったというのです。
先のトチの実の効用と合致しています。
それとともに、葉痕という部分が馬蹄形である事からそうなった、という説もあります。
どちらも後付けの説かもしれませんが、思わず納得してしまいます。
日本においても、種子を水で浸出したものが馬の眼病を治すと言われているので、トチの仲間にはやはり同じ様な効用があり、その名にちなむ位に洋の東西を問わず「トチと馬」は古くから人に関わっていたのでしょう。

動物でいうと、アメリカのトチは bucheye =鹿の目(バックアイ)と言われ、オハイオ州の州木だそうです。
ここでは鹿が食べているんだろうか?!と、想像したくなってきます。

やはりトチの実りに限っては、人間というよりも馬をはじめとする動物たちのものなのかもしれませんね。

しかしながら、トチの持つ効用は何も馬に限ったことではありません。
樹皮や種子を日干ししたものを生薬の七葉樹(しちようじゅ)というように、百日咳や胃炎、下痢止めやしもやけ、痔に対して煎じて服用されるのは、実の成分に含まれる局部的な血流を促進する効果とともに、毛細血管の浸透性を抑える効果があり、収斂性と抗炎症作用があるためだと言われています。
打撲やはれ物の外用薬とされたということも聞いていますから、科学的な薬の無い古くは多く利用されていたのでしょう。

さて、日本にはトチ1種だといいましたが、世界の仲間たちの中にはパリにて有名な通りの街路樹として知られる marronnier (セイヨウトチノキ Aesculus hippocastanum )があります。
日本のトチに近いとされ、白とピンクのまじったような花が咲くので、日本のお花見の様に楽しむこともあるといいます。
ただし、有名になった marronnier も原産はアルバニア若しくはイラン付近と言われています。そこからギリシャやトルコ経由(先程の馬が食する由来話と合致しますね)で16世紀に欧州に入ってきたということです。
しかし、その大きな葉で木陰をつくるために街路樹として多く植えられていながら、一部では、栗に似たその大きな実が落ちる事で車を傷めてしまうという問題もあるようです。

また、北米にあるアカバナトチノキとセイヨウトチノキの交雑種がベニバナトチノキとなり、大正末期に日本にやってきて街路樹としても植えられているということですが、私はまだ見かけていません。

前回の記事の最後の方で、花も実りも多いト(10)×チ(1000)の木と言っていますが、多く咲くトチの花には驚くべき秘密があるのは意外と知られていないかもしれません。
花は自分で動くことのできない植物にとって、他の虫の手を借りて受粉させるための大切な手段。
多く咲かせる方が有利?だからたくさん咲かせているのがトチの木、と思いがちですが、実は手当たり次第に咲かせているわけではなかったのです。

トチの木は「トチミツ」という、一見蜂蜜の様に見える蜜を出します。一般にもお店でたまに見かける事があります。
その蜜はもちろん、様々な虫が目当てに寄ってくるわけですが、もしトチが動く事が出来るなら、自分に有利な「確実に受粉させてくれる生き物」にその蜜を与えようとするでしょうが、植物であるトチは動く事はできません。
そこでトチは考えた。
よし、たくさん花をつけた後、3日間だけ蜜を出そう。そして蜜の出ないひっかけ花を用意しておいて、有益な動物以外はそちらにおびきよせればいいんだ・・・と言ったかどうかは推測ですが、本当に開花後の3日間しか蜜を出さないことと、蜜をただ飲み(笑)する役に立ってくれない虫たちなどにはひっかけ花に集まる様にしているそうです。

主に多く受粉を助けてくれるハナバチにはその花の違いがわかるのだとか・・・相互の生き物のすごいメカニズムです。

本当にそんな事を考えているのか、物言わず動かない植物を前にするとにわかに信じ難いような気がするのも無理はありませんが、彼らも生きているし生きていかないといけないわけですから、それ位の努力(?!)があったとしても不思議ではないかもしれません。

そんな努力家だからこそ、大きく美しく育つようになったのかもしれません。
アフリカや東南アジアの個性の強烈な木材たちの陰に隠れていた日本の純白エースが、現在になって注目されるようになったのも努力の賜物?かもしれません。

栃縮み 虎


そんなトチの木語は「努力と忍耐」。
ずっと待っていた木材としての出番を今、謳歌している様です。
白いだけの木、すぐ腐る、割れる、など言われていたのも、許容できる人にとっては育ってきた年月の証。
これからは、材木屋の「幅が広いから売れそうだ」という商売だけではなく、本当にトチのストーリーと味わいが好きな方の手元に旅立つことが多くなりそうです。

大きく育ったトチは各地で見る事が出来ますが、次回はトチ樹種シリーズ最終回としてその眺めの立派な「贄川のトチ」を見てもらおうと思います。



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万の実りも馬のため?! 中腹の花〜栃の木(トチノキ) 其の壱〜


木材にも人気商品がある。
というか、人気が出てくるものがある。
今まではそんなに注目されていなかったのに、注目されだすと物凄く集中して求められる。
まぁ、それだけ良いところがあるからだと思うのですが、集中すると困るのが価格の上昇。

近年、トチノキ(栃の木。以降トチ)が異常に高価。異常というのは言い過ぎだけど、今までの感覚の遥か遠くの価格になっている様な気がします。
原因の一つは、明らかにテーブル需要の拡大。
決してテーブル用材の需要が旺盛で、不足しているからというわけではなく、邪推になりますが、トチの幅広の無垢の木材が他の幅広無垢材よりも比較的お安く、さらに消費者の嗜好に合った「清廉な白色基調」の材色に人気が集中したからでしょう。

少し前は、幅広のテーブル材と言えばブビンガなどの赤系や茶色系の色の濃い外国材やケヤキに代表される木目の雄大な木材が主流でした。

天板材 1


しかしながら、ブビンガの様な長尺大径木を生み出せる樹種も、勿論のことだんだんと貴重になり、またそれに合わせたかのようにお客様の嗜好も変化した為に、「他の樹種」への要望が出てきたのではないかと思います。

そこで注目が集まったのが「トチ」。
縮み杢模様が出ていますが、正確には一寸に10個の杢がある場合に縮み杢というらしいので、はてさて、これは10個もあるのかな?!
また、縮みの細かく美しいものは「虎杢」と呼ばれる場合もありますが、正式ではないのか、一般的にはこのような杢が出ている物は「縮み」と称されます。

贄川のトチ 1


成長が比較的早く大径木に成長するため、無垢のテーブル材のような需要にはもってこいな木材なのですが、今まであまり注目されてこなかったのは材木屋にとっては、そんなに「良い木」という意識が無かったから、です。

木に対して「良い木悪い木」というのは全くもって失礼だとは思いますが、現実的に、木材を商売として扱う人間は「その木材の価格と価値」で「良い木=高価な木」を判断します(ん?してきました)。
銘木と呼ばれる稀少な木材や、杢を持つ意匠性の高い木材はとても珍重されるのですが、比較的量も多く算出できいつでも入手できるものというのは、注目されないものです。

一般的な松でも、油木や松や栂の老齢木に稀に現れる蟹の甲羅の様な杢は「蟹杢」などと言って銘木として珍重注目されます。


杢木


今回話題のトチも、「純白の杢木」の場合は以前からある程度の割合で取引されていましたが、縮みなどの杢の無いものやキズや赤身(着色部分)のあるものは、木材を扱うものにとっては魅力的に写らない材料でした。
その証拠に、私にとってはまるで絹糸のような光沢を見せるトチも、杢がないものは今でも、木材の世界では「白いだけの木」というようなイメージが強く残ります。

しかし、何も材木屋サンがみんな悪いのではなく、板材も含めて木材製品は製材してからの乾燥期間、自社でずっと寝たままの在庫になります。
つまりお金を生まない、場所くい虫なわけです。
それにもましてトチは、とっても腐れやすく杢の部分の割れが激しく、乾燥後にも捩れたりしないとも限らないので、そんなリスクをしょいこんでまで、経費を捻出しにくい木を持ちたくない事から、敬遠されてきたのだと思います。

天板材 4


しかし、そんなトチにスポットが当たり出したのがここ数年。
無垢の木材のテーブル材の需要も多様化し、硬木などに集中していた樹種も、柔らかい手触りのものや節やキズなどの欠点も許容できるお客様の増加で、一気に選択肢が広がり、その中に「キズや変色があっても安くて幅広の無垢一枚板」として入手できるトチが出てきた、というようなストーリーでしょう。
それでなくとも、トチの白さや木目は綺麗です。
私の自宅の式台(玄関の上がり台)と框もトチですが、倉庫の古材として見つけた時に見た木目の美しさには感心したものです。
そう考えると、一般の方に評判の良いのは納得できます。

天板材 3


無垢のフローリングも同じですが、昔は節やキズや補修のあるものは敬遠されていましたが、現在はそれが無垢であり本物の質感と言われるまでになり、化粧シート印刷の合板フロアーにまで節や補修を再現したものが出てきたのは記憶に新しいところです。
その傾向の中で、丁度需要にマッチしたトチはおそらく多くのお客様の元に旅立ったことでしょう。

さて、そうなると一気に跳ね上がるのが価格。
高嶺の花、とまではいきませんが、登っていきそうな勢いの価格は現在山の中腹位か・・・中腹の花、トチ。
材に値段がつくのはとても良いことですが、今までではなかったほどの高値になってきて、さながら「トチフィーバー」です。

トチの字は栃と記したりしますが、その字の右部分をよく見てください。
「万」という字が入っていますよね?!そして材の名は「トチ」・・・
ト=10、チ=1000、トチ=10×1000、トチ=10000(万)、おぉ、木偏に万でトチ!!
どうですか?!その名前からもフィーバーの予感!!
人気が出るはずです。

トチの漢字表記は「橡」とも書きますが、その実は象ではなく馬に食されます。
なんで?!と思われるところですよね…

また、トチは花の時期には綺麗な花をたくさんつけます。それこそ万という位に多く。
しかしながら、実らせる実は必ずしも万ほどできる、というわけではありません。
また、材木屋には軽視されてきたトチですが、実はすごく賢い樹木だということを忘れてはいけません。

人気の陰で一部のお客様は「どこの材木屋もトチをすすめてくる」と言われ、「トチ敬遠説」まででるほどに一時は集中した人気ですが、トチはトチでも同じものは2つと無いはず。
名前で判断せずに、自分の目で確かめてみましょうよ。
また、次回の記事を読めば、その名の由来もわかり、そして賢く実をつけるその実態を知れば、「トチってすごいやん。賢いやん!!」ときっと思っていただけるはず!
人気が続くトチにあやかって、うちの人気も上がってもらわんといかんのですが・・・

それは本人次第か・・・
次回御期待。



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日本の広葉樹無垢フローリング 〜清涼樺(せいりょうかば)幅広無垢一枚物フローリング〜


前回の日本の広葉樹フローリング、清涼楢幅広無垢一枚物フローリングはいかがでしたか?!
すぐに入手できそうな楢という樹種の無垢フローリングが実は、結構簡単にできるものではないということ、まして日本の楢を一枚物のフローリングにすることの難しさを知っていただけたかと思います。

それと同じように、今日の清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリングも無垢フローリングとしてはとってもポピュラーな樹種でありながら、日本の樺で、尚且つ幅広一枚物フローリングとできるのは、とても貴重なものです。

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 14


以前に、弊社人気のロシアンバーチ幅広無垢一枚物フローリングを購入していただいたお客様は「バーチ(かば)の幅広無塗装無垢フローリングはどこでも定番であるものだと思っていましたけど、本当はとても珍しいものだったんですね・・・真剣に探してみて始めて知りました。」とおっしゃっていました。
その理由は、普通の材木屋さんやフローリングを扱う建材屋さんに聞いても、バーチフローリングというと、当然90mm幅のウレタン塗装ユニフローリングが紹介されます。
販売する方はそれが当たり前ですから、無塗装で幅広が希望です、といわれるとそれはありませんという答えになる。
お施主さんからすると、聞けども聞けどもそんな調子ですから次第に「幅広無塗装の無垢フローリングって珍しいの?!」と気がつかれるわけですね。

そう、幅広で無塗装の無垢フローリングというのは、本来非常に珍しいものです。
杉のフローリングは300mm幅などもできますが、そういった針葉樹を除くとやはり基本的には90mm幅になります。
そして広葉樹のフローリングというのは、ほぼ国外から輸入されているものです。つまり日本の広葉樹では90mm幅すら珍しいということです。
その珍しいづくしのフローリングですが、更につなぎ目の無い一枚物がとれるとなると、これはかなり貴重なものだと思いませんか?!
いや、思って下さい。
下の写真の90mm幅と比べると、幅の広さ歴然!!120mm幅はもちろんのこと、数量は少ないながらも貴重な150mm幅もありますからこの写真のような違いを実感してもらうこともできます。

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 12


また、この清涼樺幅広無垢一枚物フローリングは、敢えてユニタイプにはしていません。
定乱尺も含めて全てが一枚物です。
尚且つ、1820mm長さの幅広一枚物(もちろん無塗装)があることが最大のポイント。
それも日本の広葉樹です!

ちょっと脱線しますが、広葉樹というのはそんなに珍しいものなのか?!
お花見の時期は少し過ぎましたが、桜も日本各地にたくさんあるし、栗などもある、テーブル板が取れる事で人気急上昇の栃(とち)もある。もちろん、街路樹でも見かけるケヤキはお寺にも使われている。
そんな日本でなぜ広葉樹が珍しいのか?

要は、安定的に供給できないからです。
価格も生産量も、です。
もちろん、定番商品とするにはスギヒノキなどの針葉樹とは加工ロスや乾燥ロスの量が比べ物にならないから、というのも理由の一つ。
それに、細い丸太が多いので、清涼楢と同じく一般的には見栄えを考える仕上げ材には使いづらい場合が多いので、それならばいっそのこと、まとめてチップに・・・・
というような現状も無きにしも非ず。
もちろん、全てではないですが多くの広葉樹がそのような道を辿ります。
まぁ勿体ない。
山から出てくる広葉樹の細い丸太には、楢や樺の他にも色々な樹種がありますが、用途が決まっていないと人眼には全てチップか燃料にしか見えない。
残念でなりません。
日本の山からでる広葉樹の活用と、日本の広葉樹のフローリングを待っている方の為に、清涼楢と清涼樺はあるのです。

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 6


こんな節・・・いや、枝別れか幹別れか、もちろん含みます。
200年、300年と経過した大径木から良い部分だけを選別するわけではありませんから、こういう部分も当然あります。
だからこそ、幅広一枚物が可能になっている理由でもあるのですけども。

とはいえ、もちろん乾燥・検品はしっかりとされていますからご安心を。
どうしても乾燥割れや捻じれ、その他が現れやすい広葉樹。最後の製品になるまで、しっかりと見届けています。(もちろん、真面目に日本国内加工。)

検品 1


しかしながら、一見穏やかな木目で地味に思える樺という樹種ですが、実は楢にも負けない様なアピールポイントもあるんですよ。
ほら!

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 2


まるで漣・・・
水面に映る太陽の煌めきの様に(ロマンチックすぎますかね・・)キラキラと見る方向によって光り方を変える照りのある表情。
集中する部分は「栃の木の縮み杢」にも似ています。
楢の虎斑も見事な美しさですが、この広葉樹の照りや縮みという木目はとても優しくも綺麗な表情で、うっとりとしてしまいます。
もちろん、必ずしも含まれるわけではありませんが、幸運にも入手できた方は是非、貼り上げの際に光の入る「ここぞ!!」という場所に使って下さいね!!

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 5

本来なら広葉樹はそんなに背が高くもなく、まして針葉樹の様に通直な幹でもありません。
太くなりそうだと幹別れし、枝をたくさん伸ばし傘の様に広がっていきますが、板材や角材の様な木材にしようと思うと、どうしても通直な幹が必要。
だから、本当のところは生産性を考えると反りや割れの出にくい、なるべく寸法の小さな材料にしておいて、幅や長さ方向に接着して板を形成するFJL(エフジェイエル)という方式にするか、板材の欠点のある部分だけ切り落し、残った部分を長さ方向につないでつくるUNI(ユニ)タイプという方法で製品にする方がいいんです。
だけれども、わざわざ限られた日本の広葉樹原木から乾燥工程での割れや反り等による材料ロスにもくじけずに、一枚物の幅広無垢フローリングが真面目につくられています。
定乱尺のフローリングも含めて、こだわった無垢一枚物フローリングです。

日本の広葉樹無垢フローリング。
日本で育った樺の木で、本当の木の表情を満喫してもらいたいです。


注)
清涼樺(かば)フローリングは湿度の比較的低い北国の寒さの中で育っています。また、製材や乾燥工程も同じ環境で行っていますので、施工頂く地域によっては稀に吸湿して寸法の伸縮が大きくなる場合もありますので、施工環境にはよく馴染ませてから施工していただくことをお勧めします。

*清涼樺無垢フローリングを採用頂くにあたって

清涼樺無垢フローリングはグレードに関係なく、赤身(偽芯材)と白太の混合梱包となっています。
そのため、プルミエグレードにもネイキッドグレードにも一枚の中に赤身(偽芯材)と白太の混在したものを含みます。
樺材は、赤身(偽芯材)と白太の収縮寸法の変化の違いが比較的大きな樹種です。
その為、同じ梱包種類のフローリングでも幅寸法変化の大きくなるものもあるかもしれませんが、これも無垢の樺の特徴そのままですので、御理解の上活用頂きますようにお願いします。

また、プルミエグレードにも、下記表情の違い参考例の様な変色や変色部分を含むものがありますが、貴重な日本の広葉樹を一枚物フローリングとして活用する上で必要ですので、御了解ください。



・弊社へのお問い合わせはこちらから。
・その他無垢フローリング。羽目板のラインナップはこちらの記事下段から


清涼樺幅広無垢一枚物フローリング プルミエグレード貼り上りイメージ

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 13


清涼樺幅広無垢一枚物フローリング ネイキッドグレード貼り上りイメージ

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 9



清涼楢幅広無垢一枚物フローリング 定尺 ネイキッドグレード貼り上りイメージ

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 4



(写真はフローリング現物ですが、時期や原木によって表情がことなりますので、ご注意ください。)


日本の広葉樹 清涼樺(せいりょうかば)幅広無垢一枚物フローリング
(寸法表記は全てmm単位)

・寸    法 :15×120×1820
              :15×150×1820
              :15×120×910(定尺)
              :15×120×455,607,758(定乱尺)
              (状況により、150幅定尺、150幅定乱尺、長さ303定尺もあり。)

・形    状 :一枚物無塗装

・入    数 :120幅 1.53崙り/ケース
:150幅 1.64崙り/ケース

・エンドマッチ :あり

・価    格 :120×1820 プルミエ 無塗装 ¥16875(税込¥18225)/1.53
              :120×1820 ネイキッド 無塗装 ¥14000(税込¥15120)/1.53
              :150×1820 プルミエ 無塗装 ¥20000(税込¥21600)/1.64
              :150×1820 ネイキッド 無塗装 ¥16875(税込¥18225)/1.64
              :120×910 プルミエ 無塗装 ¥15000(税込¥16200)/1.53
              :120×910 ネイキッド 無塗装 ¥12250(税込¥13230)/1.53
              :120×455,607,758 プルミエ 無塗装 ¥13125(税込¥14175)/1.53
              :120×455,607,758 ネイキッド 無塗装 ¥10500(税込¥11340)/1.53

・運    賃 :別途、地域によりお問い合わせ下さい。

・グ レー ド :プルミエ    材の特色をいかしたトップグレード
              :ネイキッド   節、源平(赤身白太)、パテ補修込み。強度的に問題のない節や若干の欠けを含みます。 

・納    期 :無垢商品のため、余裕をもってご確認ください。 


*ご検討の前に弊社からのメッセージを必ずご覧ください。 


お問い合わせ・ショールームのご予約はこちらから                


・表情の違い 参考


節部補修パテ

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 7


白色変色部

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 8

黒筋着色部

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 1

赤身の白色部分

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 3


黒色変色部

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 10


斑点上の筋目

清涼樺(かば)幅広無垢一枚物フローリング 11



木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 http://trackback.blogsys.jp/livedoor/muku_mokuzai/1611916

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日本の広葉樹無垢フローリング 〜清涼楢(せいりょうなら)幅広無垢一枚物フローリング〜


一般的に木材と言って想像するのはやはり、杉や桧でしょうか?!

杉は花粉症で一気に悪い方に知名度が上がり、桧にしても日本人にはネームバリューは相当高いにもかかわらず、その名前を伏せて他の木材とともに材を見せた場合は必ずしも良い反応が返ってくるわけではないのですが、それでもやはりそれらの針葉樹と言われる柔らかな木材の温かい雰囲気の木目を連想されることが多いでしょう。

一般の方を対象にしたアンケートの結果で面白いものがあります。

アカマツ、ウォールナット、クリ、スギチーク、ナラ、パインヒノキメイプル、ヤマザクラという10の樹種の中で樹種名のみ→材面画像のみ→樹種名+材面画像の順で樹種の好みを調査し増した。

結果その中でヒノキは樹種名のみの時にはトップで選ばれていますが、材面を見ると中程度まで人気が落ち込み最後に樹種名+画像まで行くと、再度トップに躍り出ます。
これはヒノキの認知度が高く、ブランド力があるということです。

反対に広葉樹で目を引くのが「ナラ」。
同じ順で行くと、初めから中間→中間→中間・・・
ずっと中程度の印象を維持しているのです。ほぼ変わることなく・・・

ということは、変わらぬ人気があることと、受け入れられている木目であること、しかしながら、とても興味があるわけでもなく、悪いわけでもないという、「普通」な印象であることもわかります。

ただし、それにはこの調査にも理由があって、過去にフローリングを採用している経験者か、これから採用する予定がある方を対象に、フローリング材として提供した材料を見てもらった印象を調査しているからです。
「ナラ」といえば、フローリング材では断トツ最も知名度があると言っても過言ではない樹種だから、ですね。
それに加えて、フローリングとしての流通量の多さ、設計段階での枠材やカウンター、フローリングなどへの樹種名のスペックインが大きな割合を占めているために、建築業界にいる方ではなくともその名前は聞いた事があると思います。

だから余計に可もなく不可もなく、の様になってしまいがちですが、実のところはナラは非常に難しい樹種です。
無垢フローリングとして非常に多く流通していますので、フローリングとしてあるのが当たり前の様に感じてしまうところですが、以前のカスクオーク幅広無垢一枚物フローリングでもお伝えした様に、乾燥具合や木取りなどをうまくこなさないと、フローリングとなった後も製品ごとで寸法が大きく異なってしまったり、原板の割れがひどくロスが多くなってしまったりするので、実は非常にデリケートな樹種なのです。

例をあげると丁寧に天然乾燥させたナラの板材。

楢原板乾燥割れ


丸太から製材して板目にしていますので、ナラらしい大きな木目はみてとれるのですが、よく板面を見てみると、表面が大きく波打っていたり裂けるように割れていたりしています。
これがナラの性質。
美しい木目は得たいけれども、板目の乾燥方法をうまくこなさないと折角の板目が台無しになってしまうのです。
特に柾目などで木取りすることのできない中小径木で作られる場合は必ず板目となり、木の芯に近い部分まで利用することになるので、特にこの傾向が顕著になります。

だから、本当はナラのフローリングというのはよく見かける割にはデリケートな商品で、どのフローリング屋さんを見てもラインナップにはありますが、実はその製造工程によって品質に大きく差が出るのもこの「ナラ」という樹種の特徴です。

いつもながら前置きが超長くなってしまいました。
それ位に語りたいことがたくさんあるということ。特に、今日のこの清涼楢(なら)と次の清涼樺(かば)には、思いがたくさん詰まっています。

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 10

ふた昔前位は、無垢フローリングといえば結構高級なお宅に使われる材でチークやカリンと言った銘木に近い材料が多く好まれ、もちろんナラやカバもありましたが、どちらかと言えば少数でした。
それが一昔前位から無垢フローリングといえばナラとカバ、と言えるくらいにこの2樹種が普及し、今ではナラとカバの無垢フローリングはどこでもある、と言えるくらいにまでポピュラーになっていると感じます。

それでも、同じ「ナラ」という名前の無垢フローリングだったとしても、実際のフローリング自体は全く仕上がりや性質が異なります。
この清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリングは、日本の北国の厳しい寒さに耐えて育った良質な丸太から作られます。

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 3


日本のナラと言えば、ずいぶん昔には「ジャパニーズオーク」と言われ密でいながら雄大な木目は、海外でもとても高く評価されていた歴史がありますが、残念ながら、現在では、その当時の様なテーブルが出来そうな大径木というものを製材することはごく稀です。
特にフローリングの様な表面積の小さな板の場合はなおのこと。
だからこそ、大切な日本の楢の丸太一本一本を余すところなく使えるように、フローリングに余すところなく使える太さの丸太を選別して製材し、乾燥、加工しています。

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 8


だから、中には木の芯の部分やそれに近い部分も含まれている事があります。
通常は、木の芯は捩れたり乾燥による仕上がりに難しさがあるために敬遠されることが多く、今までもフローリングなどの板材としては利用されることは稀でした。
そこを製材と乾燥などの工程を煮詰める事でフローリングとして完成させたのがこの清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリングです。

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 11


そして一番のポイントは、日本の広葉樹のフローリングで幅広一枚物フローリングであるということ。

一度探した事のある方ならばお分かりだと思いますが、ナラやカバなどの無垢の広葉樹フローリングは、基本的にユニタイプ(UNI)が主流です。
それはコストの面で有利なことはいうまでもなく、広葉樹の性質上一枚物フローリングを作ることが難しいから、という理由があります。
広葉樹は、スギやヒノキのような針葉樹とは違い、まっすぐに幹を伸ばしません。
想像してみてください。

峠道を行くと、スギ林などは同じくらいののっぽな幹がずらっと並んでいる事が多いですが、紅葉するような雑木林と言われるような場所には背丈がまちまちで枝のつけ方も一様ではない樹木が様々な形であるはずです。
通常に伐採される楢(なら)等の広葉樹の原木は、それらの様に決して大きくもまっすぐでもないものが殆どです。
だから、余計に一枚物の広葉樹無垢フローリングはなかなか見かける事がないのです。


しかしながらなんとか一枚物をつくりたい、日本の広葉樹原板を少しでも無駄なく活用したいという想いから、丸太の木取りと乾燥にこだわり、検品を重ねて少しづつではありますが、日本の広葉樹で作られる幅広無垢一枚物フローリングが完成したわけです。
それも、一般にある「オークウレタン塗装」ではなく、「無塗装」で。

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 7


ここがまた大きなポイントです。
先程見てもらってわかる様に、楢の板目はとても大きく寸法形状変化する場合があります。
だからこそ、ウレタン塗料で固めて動きを封じたいわけです。
しかし、それでは折角の無垢の風合いと、独特の色合いが失われてしまう。
だからこそ、無塗装を用意しました。皆さんの好みで日本の楢を味わってもらえるように・・・

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 12


今回は楢の木のお話よりもフローリングに関することに集中してしまいましたが、どうしてもスギやヒノキの利用ばかりが注目されがちな日本の森林事情の中で、一般的に語られず知らないうちに使っているのは殆どが輸入の同種の広葉樹である現状を知ってもらい、少しでも日本の山の木を活用できるようにすることが大きな目標です。

使えるのならば日本で育った元気な広葉樹、使いたいですよね?!
今まではあまりクローズアップされなかった日本の広葉樹のフローリング、清涼楢幅広無垢フローリングからお届けします。
もちろん、楢のフローリングの醍醐味である虎斑も入っていますよ!

清涼楢幅広無垢一枚物フローリング 2


同じ工場で製作する楢、樺の造作材と框材もあります。
フローリングのお供に、どうですか?(なんか御茶菓子みたいですが・・・)

加工材 3



注)
清涼楢フローリングは湿度の比較的低い北国の寒さの中で育っています。また、製材や乾燥工程も同じ環境で行っていますので、施工頂く地域によっては稀に吸湿して寸法の伸縮が大きくなる場合もありますので、施工環境にはよく馴染ませてから施工していただくことをお勧めします。


*清涼楢無垢フローリングを採用頂くにあたって

清涼楢フローリングの原材料の楢は、ケヤキやタモと同じように環孔材広葉樹であり、キクイムシによる白太(辺材)の食害を受ける可能性があります。
全てがそうではありませんが、採用にはその可能性がある事を含みおき頂きますようによろしくお願いいたします。(必ず発生するわけではありません。)


清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 4


・弊社へのお問い合わせはこちらから。
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から

清涼楢幅広無垢一枚物フローリング プルミエグレード貼り上りイメージ

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 6


清涼楢幅広無垢一枚物フローリング ネイキッドグレード貼り上りイメージ

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 1


清涼楢幅広無垢一枚物フローリング 定尺 ネイキッドグレード貼り上りイメージ

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 9


(写真はフローリング現物ですが、時期や原木によって表情がことなりますので、ご注意ください。)


日本の広葉樹 清涼楢(せいりょうなら)幅広無垢一枚物フローリング
(寸法表記は全てmm単位)

・寸    法 :15×120×1820
              :15×150×1820
              :15×120×910(定尺)
              :15×120×455,607,758(定乱尺)
(状況により、150幅定尺、150幅定乱尺、長さ303定尺もあり。)

・形    状 :一枚物無塗装

・入    数 :120幅 1.53崙り/ケース
         :150幅 1.64崙り/ケース

・エンドマッチ :あり

・価    格 :120×1820 プルミエ 無塗装 ¥16875(税込¥18225)/1.53
              :120×1820 ネイキッド 無塗装 ¥14000(税込¥15120)/1.53
              :150×1820 プルミエ 無塗装 ¥20000(税込¥21600)/1.64
              :150×1820 ネイキッド 無塗装 ¥16875(税込¥18225)/1.64
              :120×910 プルミエ 無塗装 ¥15000(税込¥16200)/1.53
              :120×910 ネイキッド 無塗装 ¥12250(税込¥13230)/1.53
              :120×455,607,758 プルミエ 無塗装 ¥13125(税込¥14175)/1.53
              :120×455,607,758 ネイキッド 無塗装 ¥10500(税込¥11340)/1.53

・運    賃 :別途、地域によりお問い合わせ下さい。

・グ レー ド :プルミエ    材の特色をいかしたトップグレード
              :ネイキッド   節、源平(赤身白太)、パテ補修込み。強度的に問題のない節や若干の欠けを含みます。 

・納    期 :無垢商品のため、余裕をもってご確認ください。 


*ご検討の前に弊社からのメッセージを必ずご覧ください。 


お問い合わせ・ショールームのご予約はこちらから                


・表情の違い 参考


節部補修パテ

清涼楢(なら)幅広無垢一枚物フローリング 5

白太

清涼楢店舗 9



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いつの時代も神話は続く


前回の紀ノ川神代樟等もそうですが、木材を扱っている上で木や木材の歴史的な背景を見ていくと、日本書紀や古事記などの神話にたどり着きます。
もちろん、科学的な観点から見ると地球上の植物の誕生や進化の歴史が化石などからも見えてくるのですが、こと日本の木の歴史となるとやはり日本書紀と古事記でしょう。

日本書紀


昨年は伊勢神宮と出雲大社の同一年での遷宮行事の年ということで、一般誌にも様々な神事が掲載され、それとともに神様の紹介コラムや神話が紹介されているのをよく目にしました。
整備で訪れた車屋さんにも、週刊誌にまじって「漫画でわかる古事記の云々」みたいな大人向けの漫画本が置かれていたくらいに広まっていましたね。

やはり物事を語る際、日本人には「神様」や「依り代」があるのと同じように、諸外国にも神話や言い伝えが残されていることを考えると、やはりそういったストーリーがある方が受け入れやすいのだと感じます。

木材を語る上でもストーリーは大切。
日本の木材の両雄、スギとヒノキもストーリーを持っています。
スギはなんといっても屋久杉でしょうね。
縄文杉をはじめとする2000年級の寿命を生きている木として、そして映画のモデルとして描かれる幻想的な森を持っていることがイメージをかきたてます。
ヒノキはというと、社寺や城郭建築などの今に残る大型木造建築に使われてきた事で、「木材として優良」というイメージが定着していますし、お伊勢さんの遷宮で使われる材の木曽桧、言うところの「尾州桧」は、神宮の名前や様々な書籍などで知られている為にさらにヒノキのイメージを底上げしています。

木曽桧


しかしながらそれはあくまでもイメージであって、木材となるスギやヒノキが全て同じ様な性質を有しているわけではありません。

建築の場合、一般的に「ヒノキ」とだけ材質を説明しても、耐朽性があって古くからある社寺建築の様に長持ちするから安心、と思われるでしょうし「スギ」というと、反対に耐朽性に劣り安価なもの、というイメージを持たれることが多いのは日々の業務で感じるところです。

どちらも間違っているわけではありませんが、上の神話や言い伝えの様に全てが正しいわけではありません。
ヒノキの場合によく用いられる「○●寺などの建築が現在も残っている様にヒノキはつよい」という例示がありますが、そもそも古くから残る社寺などに使われるヒノキと住宅建築のヒノキは同じ樹種でも全く異なります。
社寺はそれこそ木曽桧などの樹齢を経た大きな丸太を使用しますが、住宅ではそうではないですよね。

土台桧

その時点で同じものとして伝えることはできないと思っています。
そして実際の木曽桧でも、樹齢数百年というものと数十年のものでは同じ地方でそだったものかと目を疑うほどに異なります。
それは自身の経験で、木曽桧と聞いて入荷した材を見た時の驚きが今でも印象に残っているから言えることです。
当時の私が持っていた木曽桧のイメージとは木目も年輪も色合いも遠く離れていました。
これと同じことをお客様には経験してほしくはありません。


スギも同じ。
屋久杉は樹齢1000年以上のかなり特殊な存在ですし、それ以外は小杉といって区別されるほど。

27縄文杉3


そして流通量が多く安定しているために安価なのもスギですが、反対にそれこそ屋久杉などの様に稀少で高価であるのもスギなのです。
モノによっては桧よりもはるかに高価。
まだまだ知識のない頃は「ヒノキより高価なスギ」と聞いて信じられませんでしたが、緻密な年輪と美しい杢と色合いを実際に見れば、その言葉にも納得しました。
もちろん、それは現在の日本では樹齢数千年というヒノキを材として調達することが出来ないから、という事情もあることを加味しないといけませんが・・・

とても優秀な点ばかりを宣伝しがちな木材ですが、やはりイメージ先行ではなくこれからは実際にある木材を見て触って感じて、そのものの説明を受けて使っていけるようにしなければ、良いイメージだけが残る木材からの脱却はできない、と一業界人として感じます。
「イメージと違う・・・」
そう、イメージだけではだめです。神話や伝承のお話のイメージばかりが優先している様ではまだまだです。
自分自身でも感じたこの言葉が、少しでも少なくなるように努力したいものです。
神話や信仰も信心からですから、イメージよりも自身の使う材料とその価値を信じられる判断をしなければいけませんね。

これくらい立派なヒノキでその値段なら安い位ですよ!
そう言って頂いたお客様の木曽桧材を積んだ車内で、爽やかな風が運んでくる独特のヒノキの香りを感じながら、神話を想う新緑の季節です。

木曽桧柾盤



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3人並んで親子の木


黄金の連休終盤、いかがお過ごしでしょうか?

私はというと、ショールームご来店のお客様で出勤の時以外は、ここぞとばかりにたまっている巨樹の資料と訪問メモを整理し(結構正確な場所の記録や現地で聞いた話のメモは大切で、まとめに時間がかかります・・・)、日頃とれない睡眠をとり、好きな本を読んで元気になっては子供に振り回され疲れる、という日々をエンジョイしています。
昨年までの4年間は年末にお伝えした資格試験の為に、黄金週間であれお盆であれ、カレンダーの赤い日は明け方の5時半からずっと机に向かい続けていたので、こんな清々しい時期に外に出て家族と遊べるというのは、これ以上にない喜びに感じます。

昔はこの時期には、親が子供の背を測って大黒柱に印をつけたり、鯉のぼりや兜を用意したりして子供の成長を喜び、また親は我が子が大きく成長する事が出来た喜びもひとしおに感じていたことでしょう。

そう思うと、やっぱり日頃はヤイヤイと叱りとばしていても、親子というのはいいもんだ、と感じるこの連休。

実は木にも有名な親子がいるんですよ。

親子の木 2


綺麗な景色です。

ここは北海道。
スケールが違いますね・・・

これは美瑛にある「親子の木」と称されるカシワの木です。

親子の木 1


少し遠くからの写真ですが、このあたりから見るのがベストポイントだと思います。と同時に、この雪の時期には近くまではいけません。
別に、本当の親子!というわけではないのですが、こうやって見る景色が親子仲良く3人でいる姿の様に写る事からそう呼ばれています。


少し暑くなってくるこの季節。
心温まりながらの雪景色は最高に感じます。
残りの休日も家族と有意義に過ごしたいものです。
皆さんもリフレッシュして、連休明けのさらなる活躍にそなえましょう!


親子の木所在地

北海道上川郡美瑛町北瑛

地図にも親子の木の表記があります。
また近くには、コマーシャルで有名になった「セブンスターの木」や「ケンとメリーの木」があり、幹線道路が近いとは思えない景色に「イメージ通りの北海道」を感じることと思います。



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海と夫婦と恋こがれる想いの木 〜梛・ナギ〜 


前回の春日山原始林のナギ伐採の記事だけを見ると、どうもナギが悪物の様になってしまっているのではないかと心配しています。
物の善悪は立場によっても見方によっても変わりますから、判断の難しいところですが、やはり悪物にはしたくはありませんね。

いや、悪物どころかナギはイヌマキ科ナギ属の常緑針葉樹で、古くから悪しきものを払う樹種と信じられてきた木なのです。
悪者どころか神聖な木と言った方がいいでしょう。
春日大社では、神木渡御という儀式には神事に用いられる事で有名な「サカキ」ではなく、このナギの葉をもちいるといいます。
決して邪魔ものではない、清らかな木なのです。
また、春日大社では種子からしぼった油を灯篭に点灯し、その油煙を採って春日墨をつくるそうです。

ナギ 5


ナギは熊野三山ではご神木と位置づけられ、その名が「穏やかで波の無い海=凪」に通じる事から漁師さんや旅人が海難除けや道中のお守りとして、その葉を懐に入れたと伝えられているほどの縁起のよいとされる木です。
またまるで皮革の様な葉は、縦に30本と言われる平行脈を持ち、たとえ枯れ葉でも横方向にちぎるには相当な力が必要な事から、「嫁ぐ女性の縁が切れないように」という願いを込めて、鏡の裏にその葉をしのばせたりした「夫婦円満の木」でもあります。

また、万葉集には「水葱(なぎ)」として登場するナギ。
凪の字が鏡の様な穏やかな海を指すことは、夫婦円満だけではなく鏡の裏に入れた葉によって、逢いたい人の姿が見られるという言い伝えもあるそうです。
現在の様な写真や、ましてや動画インターネットなど存在しない時代には、女性の鏡台や手鏡の裏には、そっとナギの葉がしのばせてあったかもしれません。(基、女性だけではなく男性も、ですね!)
ロマンチックです。
先日の「ナギラクトン」とはえらいギャップです。

ナギ 4


ナギ=梛(これは俗字といわれていますが・・・)

イヌマキ科の樹木で、学名を podocarpus nagi 中国名を竹柏(ややこしい、「カシワ」の字がでてきましたね。)、英名を nagi podocarp とされています。
また、先の引きちぎれない葉を持つことから「チカラシバ」や「センニンビキ」、「ベンケイナカセ」という俗名もあります。

日本では、四国や九州、山口県の一部に自生種があるそうですが、その他には先日のお話の様に、春日山には1万本を超すと言われるナギ林があるということですし、後に触れる様に、海と山の豊かな国和歌山にゆかりの深い熊野権現に因んだ神社のご神木にはナギが多く見られます。
中でも和歌山の速玉大社のご神木のナギは日本最大で、幹回り4.5mで天然記念物に指定されています。
私もまだ出会ったことはありませんが、拝んでおきたいものです。


この科の樹木は日本ではナギとイヌマキのみという珍しい樹種ですが、マキと聞いて高野槙(こうやまき)と混同しないようにしないといけません。
高野槙は一科一属一種という、言うところの仲間が自分だけしかいない、オンリーワン樹木だからです。
樹木の世界での和名には「イヌ・・・」という名前がしばしば出てきます。
木材でいえばイヌマキやイヌガヤなど。
悲しい事に、大抵は「似ている物や劣っている物」として使われる冠詞の様に思えてなりません。
イヌマキの様に、分類科目が違うのに名前だけを聞くと仲間だと思ってしまうものもあります。
そのあたりの蘊蓄がまた面白いところでもあるのですが、混同には注意が必要なところです。


更にややこしい事に、ナギの名の由来とも言われる「コナギ」との関係。
コナギはミズアオイ科の草本性(要は木ではなく草)の植物で、その葉に「ナギ」の葉が似ていることに由来するとも言われています。
人もそうですが、植物も名前や見た目では判断できませんねぇ。
もうひとつ蛇足ながら、ナンコウナギという台湾名を「山杉」と称される変種も存在する様子です。
こちらは日本のスギと間違えぬようにしないと・・・

最後にナギの木材としての性質を。
私も大きな材は観察したことがないのですが、材質はイヌマキに似ており比重は0.50〜0.68。杉やヒノキも属する針葉樹という分類で考えると重硬です。


因みに冒頭の熊野三山とナギの関係は京都にある「新熊野神社(いまくまのじんじゃ)」でも見る事が出来る。
神社案内によると、熊野信仰が盛んだった平安時代後期、後白河上皇が京都に熊野霊場を再現するよう命じたことまで遡るという。
上皇の命を受けた平清盛は、熊野の材木や土砂を用いて社殿社域を整備し、那智の浜の青白の小石を敷いて霊地熊野を再現したとされているそうです。
そしてその生き証人が「新熊野神社後白河上皇御手植えのクスノキ」。

新熊野神社のクスノキ


健康長寿、そしてお腹を守るとされ、安産の守り神として信仰されているという。
その大樹ぶりは見事で、境内傍を走る道路から見てもその存在に気がつくほど。
そして、境内には熊野ゆかりのナギが植樹され育てられています。

ナギ 2

傍には、熊野とこの地の縁を記したたて板があります。

ナギ 3


まだまだ可愛い大きさですが、夫婦円満と旅の安全を祈願する守り神が多く元気に育ってほしいものです。

これで、ナギの印象は180度変わったはずですよね?!
明日からは「夫婦円満と想いの人が見える木」を探して回る方が増えるかもしれませんね。(くれぐれも無断でむしりとることのないように!!)
この記事がもし有名テレビ番組だったとしたら、「ナギの木が各地で幹のみになってしまっています!!」なんて事にならなくもない?!

あぁ、悪者で終わらないで一安心・・・


新熊野神社のクスノキ所在地

京都府京都市東山区今熊野椥ノ森(なぎのもり)町42
(地名にも椥=ナギと入っているところがまた関係性を示唆していますね!)




木ぃクンmuku_mokuzai  at 13:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!