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象の鼻から滴る氷柱 〜菩提寺のイチョウ〜

日中は暑さが少し残るものの、例年に比べて劇的に季節の流れを感じる月初め。
9月半ばには早朝はかなり涼しくなり、もう先週などは出社時の気温が17℃。
ひんやりした空気が大好きな私にとっては、非常に心地よい季節です。

さぁ、涼しくなった今月も巨樹巨木の記事が始まりますよ!
私が毎月組合にて連載記事を担当しています「材木屋の巨樹木甦」も、月初に組合員さんのもとに届きますので、今頃は今月の巨樹「延命寺の夕照もみじ」の記事を見て頂いているはず。
美しい紅葉を鑑賞できるカエデの記事ですが、限られた紙面スペースのため、毎回写真は1枚になってしまうので、紅葉の様子や巨樹の魅力を伝えたいアングルをしっかりとお見せするには、どうしても難しい部分があります。
そう考えると、ブログには多くの写真を掲載できますし様々な情景をたっぷりの文章でお届けする事が出来ますので、有難いことです。

実は今回紹介する巨樹は、材木屋の巨樹木甦の次月掲載予定の巨樹です。
先取り!というか、ネタバレ?!ですが、組合員さんは殆どの方が同業である弊社のブログはご覧になってないでしょうし、拙記事をチェック頂いている皆さんは反対に組合誌掲載の巨樹木甦はご覧いただく機会がほぼありません。
ですので、ここで見せちゃいます(笑)


菩提寺のイチョウ 1


とってもきれいに整備された環境。
杉木立の中でぽっかりとスペースが空いた部分に鉄の支柱が見えます。
支柱の上に広がる枝ぶりを見ても分かるように、この奥の陰の部分にあるのが今回のお目当て。

これからの季節、三密を避けて訪れたいのが人の少ない黄葉スポット。
紅葉、と表記する場合が多いですが私は、色づきの違いによって意図的に使い分けるようにしていて、今回の様に黄色くなるものには黄葉の字を用いています。
そして、ここもできれば訪れたいと思う様な見事な黄葉を見せてくれると思われるのが、菩提寺のイチョウ。


菩提寺のイチョウ 3


本当は、このアングルを遠目で撮影したいのですが、このアングルを狙うには結構な勾配の傾斜であることと、美しく遊歩道が整備されている為むやみにその外へ出ることもできず(自重)、少し近づいてしまっていて全体が伝わりにくいのは仕方のないところ。

それでも巨樹名木を讃えるように、その周囲に立つ柵代わりの石柱が一層その存在感と稀少性を訴えかけてくると同時に、通常は円形であるはずの幹がいびつに感じるほどに張り出した凹凸。
「普通の樹木」という概念が一切通用しないかのようなその姿。

凹凸部分も含め随所にあらわれている特徴的な「乳」が見られるのが、菩提寺のイチョウです。

イチョウは巨樹ではなくとも多少の乳を見る事が出来ます。
各地のイチョウ巨樹のなかにも、特徴的な乳を持つものがありますが当地のイチョウは一層特徴的と言えます。
その乳の垂れ具合というと、もう地につきそうな勢い。


菩提寺のイチョウ 7


まるで地表面を意図的に目指しているというか、ゆっくりと巨大な指を伸ばして地面に触れようとする巨人の様にも思えてきます。
幹が円形に見えないほどに、樹幹からも多くの乳が出ているのももちろん驚きではあるのですが、さらに驚くのが、この地表面に触れそうな乳が垂れている枝の状態。


菩提寺のイチョウ 11


もう枝というよりも、水平に分岐した幹とでも言いたくなるような、ごつい枝が伸びています。
この枝の下部に、まるで氷柱のように多数の乳が垂れており、樹幹に近い部分がこの状態なのです。


菩提寺のイチョウ 16


先ほどは「巨人の指」と称しましたが、遠くから見た菩提寺のイチョウの姿はまるで象。
長い鼻を伸ばす巨象、いや、迫力からするとマンモスと言う方がいいのかもしれません。

現地にて菩提寺のイチョウに対峙した時には非常に立派で巨く感じるのですが、現地に掲示されている解説板によると幹回り数値は13m。
岡山県下では1,2を争うとされる幹回り。
たしかに、幹回り10mを超えると巨樹としてふさわしい体躯であるという印象を受けるのですが、樹高40mという数値以上に高く感じる「蓋いかぶさってくる」ように緑をたたえる無数の枝葉と、驚くほどに伸びているこの水平枝によって、数値以上に巨大な印象を受けるのです。


菩提寺のイチョウ 14


しかしこの圧倒されるような特異な枝ぶり、どこかで見た風景、、、、と思ったら以前に雪の山中を不安になってのぼった常瀧寺の大公孫樹の時。
あちらは人の気配のない山中であったことと、伏条更新をも遂げていることからマンモスというよりも未知の生物的な雰囲気を放っていましたが、こちらは見事に伸びた枝に頬杖を入れてもらって、まだ伸びていきそうな印象。

推定樹齢は900年ということですが、若木のころに周囲が遮蔽されていたのか、それとも陽光の獲得競争にさらされる状況に陥っていたのでしょうか。
唯一開けていた方向へ必死に腕を伸ばした・・・
そう思えてなりません。

菩提寺のイチョウ 13


さて、その乳と腕(鼻?!いや、枝!)ぶりの凄さを一通り堪能して、お決まりの並んでの記念撮影をと撮影場所を探し始めたのですが、美しく整備された遊歩道のおかげで撮影場所が限られるのです。
もちろん、撮影場所よりも巨樹の環境が大切なので当然なのですが、三脚にて一人でタイマー撮影することを考えるとなかなかイチョウの迫力が伝えられる場所がなく、迷う・・・

この遊歩道が整備されているのはおそらく、黄葉の季節にはイチョウがライトアップされるからだと推察します。
ライトに照らされたイチョウの迫力を想像すると、どんなに幻想的かつ魅惑的なのかと思いますが、イチョウに至るまでが丘の様になっている為に若干傾斜がきついので、夜に転倒されたりすることを考えれば、遊歩道はあってしかるべきなのかもしれません。

ということで、本当は全体像とともに象の鼻から滴る?!氷柱のような乳と一緒に収まりたいのですが断念し、このアングルで巨さ比較です。


菩提寺のイチョウ 18


こうやってみると、半ば飲み込まれてしまっているような形ですが、そこにいる私も幹の一部に取り込まれそうな雰囲気になっています。
長寿の乳に英気を分けてもらうように撫で、手を合わせて訪問終了!
とても見事なイチョウ巨樹だったと満足しながら現地を後に・・・・

とはいきません。
イチョウに至るまでの駐車場入り口の看板を見ると、コウヨウザンとサルナシがあるとされています。
夕刻日暮れ間近で次の予定があるものの、これを逃すまじ!!と思い、丁度出てこられた(おそらく住職さんのご家族)ご婦人に「解説板のサルナシはどれでしょう?」と尋ね、教えてもらった道路面に向かうとありました。


サルナシ 3


私が今日来るのを待っていてくれたのか!!と思いたくなるほどに、よく見るとほんの数個だけ枝に実が残っています。
どんな味だろう・・・と思いながら撮影をしていると先ほどのご婦人が、見つけられたか気にして降りてきてくれました。
そして、実が残っていました!と答える私に、不必要(!?)な情報をくれるのです。

「ほとんど無いでしょう?!
この前道を歩いとった人が、木の上が黒いなぁと思うてみてみたら小熊が上って実を食べとったとゆうとりましたわ!」

と。
なぬ?!熊?!
クマ?!ここにもか・・・・勘弁して〜。

市中から山道へ入るとはいえ、そう遠くない距離のここ。
さっきまでなんの警戒もなしに撮影していたのに、一気に背後が気になってくる・・・
そしていつの間にか、クマの話題を残してご婦人もいなくなって・・・(汗)

適度な都会具合と豊かな山々、そして海にも面しているという全てを兼ね備えると言っていいような、晴れの国岡山県。
そりゃ、果物も豊富ですからクマもいるのでしょうね。
今度から気をつけます。

皆さんも、巨象イチョウに逢うまえにはクマ対策もしっかりとした方がいいかもしれませんよ。(自戒も込めて・・・)


菩提寺のイチョウ 12


菩提寺のイチョウ 所在地

岡山県勝田郡奈義町高円1532
駐車場、かなり広いです。


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