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そして、木材の担い手はいなくなった・・・

私がいつも、ここぞという自社の企画やプレゼンを提出するときに使用している、オリジナル木製ファイル。
私がとっても気に入っている、日本のひばの単板貼でできています。

日本のひば 木製ファイル


この木製ファイル以外に、他の人は持っていない、板目が含まれるブラックチェリー(以前はシナ)の木製名刺や、今年に念願叶えて発売した「ジェットストリーム芯対応のノック式木製ボールペン」など、普通はそこまでこだわらなくてもいいようなものにこだわり、普通とは違う木製の品々を使うことを楽しみとしています。
それが、ノベルティーや自己紹介として自社や自分を知ってもらうツールとしてとっても良く働いてくれるわけですが、今回そのお気に入りのひばのファイルが工場絶版になってしまいました。

理由は、ひばの単板の人気が無いから・・・
確かに、関西地方ではほとんど需要が無く、私が非常に好きな樹種であるものの指名を頂くことは非常に稀。
耐久性が高い上にとても爽やかな芳香を持っている材であるものの、どうしてもヒノキやスギほどの知名度を得られない為か、なくなってしまうことになり大きく落胆・・・


商品ラインナップがなくなってしまうくらいならばまだましなのですが、ここ数年で弊社が信頼してお付き合いしてきた製材所さんや問屋さんが複数社、廃業されてしまっています。
それも年に数件のペースで・・・
もちろん、理由は売り上げの減少。
非常に良い製材品を扱ってくれていたところばかりですし、希少な材をきちんと流通させてくれていたところや、他ではできないような寸法や規格を作ってくれていたところばかりで、業界の萎縮状態にため息が止まりません。
そしてまた今月、永いお付き合いをさせて頂いていた問屋さんが廃業される連絡が。


廃業連絡


まさか、このお会社も・・・
昨年も同じようなお話をした、どんどんなくなっていく優良な会社。
真面目に優良なお会社ほど、在庫を持ちまっとうな価格で販売し、優良な材を扱い続けてくれていた。
しかし、近年の優良木材の使用量の減少とその価値を見いだせないことによる、類似品の使用量の増加によって、本来の役割を守ってくれていたお会社がどんどんとなくなっていく現状は、歯がゆくて仕方ありません。
もちろん、弊社も必要な時に必要な量だけではなく、もっと需要を喚起して販売量を増やさなければならなかったのですが、力及ばず・・・

そして、販売量が減少するということは売り上げも減少するわけで、営業しているからには販売し売り上げをあげねばならず、仕方なく、優良材を通常よりも激しく安い価格で売り切ってしまったり、ずっと在庫で寝かせて置きしっかりと乾燥までできた希少な材を、置いておくよりもマシ、ということで一般木材と同じような価格で売り払ってしまうような状態が現実続いています。

安いことが悪いことではないのです。
企業努力や創意工夫で価格を抑えるのは大切ですが、価値のあるものが本来の価値を持たない流通になってしまうことや、本来の価格から逸脱して販売されることで相場を乱すことが常態化しているのです。


長期在庫は本当の財産


以前にも、「在庫やねんから、おいとってもしゃあないやろ。安ぅ出しぃな!」と、長年の在庫で乾燥しきっている杢のよい製品を安く買おうとされることを書きましたが、乾燥しなければ使うことができない木材を、数年から数十年在庫しておく保管費用や場所代、管理費、そしてその間は売り上げにならない先行投資状態を維持することが、非常に難しいことは容易に想像がつくはずです。

そうしてやってきてくれたお会社から、どんどんとなくなっていっているのです。
弊社も、とっても頑張っておられる未来ある作家さんや、弊社の材を気に入って下さっていて大切に使っていただけるお施主様には、出来る限り安くで提供することはあります。
気持ちよく使ってもらえるように、そして上手に仕入れしていたものを上手に使ってもらえるようにご案内をして。


弊社の在庫も、まだまだ木材が高価だった時代に会長や社長が少しづつ集めてくれた貴重な財産。

出来る限りお安く、と思ったりするのですがやはり、先代までの汗と努力の結晶である在庫を「置いていても仕方ない」と言って、処分してしまうことは決してできません。
貴重な財産を、食いつぶすようなことはできません。

しかし、実際に営業を続けていくには在庫を循環させ利益を生まねばなりません。
きれいごとだけではやっていけない現実もあります。
在庫を持つ大変さは、「今あるものを安く買う」ことに慣れている人には決して理解できません。

どこかのコマーシャルであるような、流通コストをカットして安く仕入れるということや、市場や問屋、そして弊社の様な販売業者を介せずに取引できるシステムは、現在でも少しづつ構築されつつありますし、現実に木材を多く利用する人たちの間では、そのような流れが出来つつあるところも見受けられます。
でも、それを続けていると順番に担い手がいなくなることは、とうの本人たちはご存知でしょうか。
今の木材流通の一つの闇を、ご存知でしょうか。

少しづつ、確実に廃業の連鎖が続いています。
最終消費者からは遠いかもしれませんが、それでも優良なところからなくなっていっています。
大量消費の時代。物の価値が理解されにくい時代。流通が変革している時代。
次代の流れもあるのでしょうけども、確実に少しづつなくなっているものがあります。


お施主さんも予算があるから、それ以上の物は提案できない。
そう言われます。当たり前です。
しかし、だからと言って数十年手塩にかけて育てられた原木の、数十年大事に乾燥させた木材を「予算」という大義だけで先人の苦労をなかったことにしたくはないのです。


長期在庫は本当の財産2 ナラ虎目長尺板


おそらく、優良材をこんなにも安価に浪費できるのも私たちの時代で最後になるでしょう。
今、流れを変えなければ。
山の環境はよくならず、木材の流通などよくなるはずはなく。
そして、気が付けばそこには「居て然るべき」木材の担い手はいなくなった。
来てほしくない時代はもうすぐそこに来ていると感じているのは、私だけなんだろうか。


そんな時代が来ないことを願いつつ、今日も出来る限りの努力をしていこう。
そう考えている時代に逆行する馬鹿な材木屋が思うきれいごと。

肌で感じている危機感を、ただの愚痴ではないことが少しでも多くの人に伝わりますように・・・・・・


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