空を見上げて
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今願うなら、早期終息を・・・ 〜那智大社参道大門坂の巨樹と、那智の樟 胎内くぐり ◆

美しい参道をくぐりぬける那智大社への道。

夫婦杉5

この道を一人占め出来る瞬間は、この先にはきっと神仏がおられるのであろうと確信する気持ちになるほど、見事なものです。
私もまだまだ世間知らずですので、全国にある有名な参詣道や杉並木、古道などを見ずして語るべからずなのですが、これだけの木々に囲まれていると、そんな気になってしまうのです。


さぁ、その美しい参道である大門坂をぬけ、いよいよ境内へ。
大門坂から境内までも見ごたえはあるのですが、そこは巨樹のために申し訳なくも割愛・・・
そして到着、お目当ての那智の樟です!
神格化された別名は、樟霊社。

那智の樟1


むむ?!
迫力が今一つ・・・というか有難さが少し薄いような・・・

そうなんですね。
私が訪れた時はちょうど工事中で、クスのすぐそばには足場と工事用の無機質なシートが・・・
これだけは仕方ありません。

とりあえずは一通り写真をと思いながらカメラを手にするのですが、撮影当時はなかなかな人出で足場があるために、どうしてもみなさんクスの前で立ち止まるために、なかなかいい写真が撮れない。
仕方なく先に近景を撮ることに。

正面に人が多いなら、ぐるっと回ってすこしづつ・・・と思っていると・・・

那智の樟3


おぉ、ぽっかりと幹に穴が・・・
まぁ、巨樹にはよくあること。
前回の大門坂の樟にもあったように、内部が空洞になっているんだろうな。
そう思いますね。
しかし、幹回り8m少々という樟の巨樹としては驚くほどではないその姿以外に、那智の樟が特別に神聖視されているのは、実はこのぽっかりとあいた空洞の中に入られる・・・いや、その空洞の内部をくぐり抜けられる!からです。

わかるでしょうか。
くぐり抜け、です。入るというのとは違う、くぐり抜ける。入口とは異なる出口があるということ。

この那智の樟の大きな特徴は、この空洞を願い事を記載した護摩木を携えてくぐり抜け、出口にて初穂料とともにそれを納める「胎内くぐり」(体内ではない・・・)なのです。

くぐり抜け、というその事実を自身で確かめる以前に外国人の観光客の皆さんと、初老の観光客の皆さんが出口らしきところから少しずつ出てくる・・・

その様子を見ていると、少しありがたみが減少する(失礼・・・)様に感じたので、私も早速に胎内へ入らせていただくことにしました!!

那智の樟18


入口となる部分には石の鳥居があります。
有難く護摩木を携えて早速内部へ・・・・・

那智の樟4


鳥居をくぐった後、すぐに目に入るのは急に下る階段。
そうか、内部は根の方か・・・

イメージとしては、地上面がそのまま続いていて入口と水平に入っていくのだと思ってしまいますが、そうではないんです。
朽ちていったのだろう木質部分が退色し、まるで岩場の様。
崖を洞窟の中へ降りていくような感覚です。


那智の樟16

この感覚では、内部は相当狭いんだろうなぁ・・・そんな想像をしていました。
特別深いわけではないのですが、明るい場所から入るからなのか視覚の順応がすぐには行われず、一瞬の間どれほどの広さがあるのかわからない状態に・・・

普段の生活では、視覚がさえぎられるような闇というのを経験することは滅多にありませんが、闇のなかで視覚という感覚が立たれると、意外と人間の感覚は研ぎ澄まされるものだと感じます。
それは以前に、かの有名な善光寺での経験から。
奇しくもその善光寺での経験も「胎内巡り」!
本堂の下、真っ暗闇の中を進んでいく経験をしたわけですが、当初は本当に光の無い世界というものにおびえる自分がいるのですが、そのうちに少しづつ意識が先鋭化してくるというか、そんな感覚になったことをふと、思い出しました。

那智の樟7

もちろん、そこまで大げさな闇ではないのですが、岩場の中に取り込まれてしまったような世界の中で頭上から光が差し込む。
少し暗い部分に慣れた目に、一瞬にして光が。

それも、胎内深くに潜り込んでいる為に頭上から差し込む天上からの有難い道標の様に感じるのです。

那智の樟6

もちろんそれは、地上へ出る出口の明かりなのですが、、、、って、階段がまた(勾配)きつっ!!

しかし、この位置から外の光と空を見上げると、そこに見える緑の枝が空に浮かんでいる様で、そしてまさしく那智の樟の胎内に抱かれて、人としてではなく別のなにかとして外の世界を眺めているような錯覚に陥りそうです。

内部へ進む前は、どこか吸い込まれるような印象でしたが、内部から眺めていると差し込む光に導き出されるような、そんな感覚になります。
不思議なものです。

誘われているような心もちで階段を上がると眼下には、樟の視線で世界が広がるようです。

那智の樟14

あぁ、そうか。

こうやっておよそ800年、見続けるうちに神格化されていったんだなぁ。
この景色が変わりゆくのはどのようなスピードだったんだろうか・・・そんなことを思います。

そして、出口となる階段をおりて護摩木を納めました。
どんな願いをしたかって?!
もちろんそれは、世界の巨樹に逢えますように!、ではありませんよ。

もう少し、いやもっと現実的でした。
現在の様にウィルスが蔓延するとは思っていない頃の訪問ですが、もし今願うとするならばもちろん、一刻も早いウィルス流行の終息です。

胎内に携えたその願いや祈りは、差し込む光と一緒に外に導かれ神仏のもとに届けられる。
そう信じたい気持ちです。

那智の樟15

やっと人通りが落ち着き、那智の樟とのツーショット・・・ではなく、タイマーがピコピコいっててもお兄さんが・・・
まあ、それも一つですけども、世の皆さんはやはり様々なお願いを携えてこられるようです。

もちろん、胎内くぐりではなく本堂を熱心に拝んでおられる方が多いのですが、みなさんどのような願いをもっておられるのか。

樟を眺め終え、奥の社殿へ向かうと目前には滝が・・・

皆さん、熱心にカメラを向けておられる。
記念撮影のカメラマンさんもいらっしゃる。
で、私もパシャッと・・・

皆さんは社殿とともに、この景色が楽しみなようですが私はすでに一仕事も二仕事も終えた後(笑)。

余裕で眺めていると、数組の方にシャッターを押してもらうように頼まれる。
そういえば昔から、観光地ではシャッター押す係よろしく、見知らぬ人にしょっちゅう頼まれていたなぁ・・・と、仕事でしか出歩くことのなくなった今を思いながら、「はい、もう一枚いきますね〜!!」とか言ってシャッターを押すのでした。


この時のお願い、今叶っているのであろうか・・・
こうやってなんとか仕事が出来ているということは聞いていただいたということか。
もう一度お礼に「くぐりたい」、那智の樟です。

那智の滝


那智の樟 樟霊社胎内くぐり所在地

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字那智山 那智大社拝殿前
 


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