空を見上げて
トップページ » 同じ樹種でもこんなに違う 木材の不思議 〜木目から見える道管にる差 タモの場合〜  

同じ樹種でもこんなに違う 木材の不思議 〜木目から見える道管にる差 タモの場合〜  

今回比較実験の好条件材料として登場したタモアッシュ)。
少しむつかしいお話も入れながら木材としての実験結果をみていくと、注目したいのはキーワードとなる道管の大きさ。

タモ材は木材中の道管の比率こそ多くはないものの、道管の大きさでいうと、直径100〜400μmという大きさ。
これは、空気を多く含むため、柔らかくて軽い木材の代表とされるキリ(桐)よりも大きく、年輪も道管もはっきりとしているケヤキ(100〜250)よりも大きい数値。
(単純な大きさ比較です。実際の性質には他の構成物質が大きくかかわっています。)

広葉樹の道管13


この大きな道管がたくさん存在する木材は「糠目材(ぬかめざい)」と呼ばれています。
環孔材は年輪の幅が広くなると晩材の幅も広くなるものの、早材の幅は変化しないといわれます。
そのため、年輪幅が非常に狭くなると早材部分の道管の比率が高くなり、木質繊維部分が占める割合が少なくなることで結果、道管の占める比率の多い軽軟な木材になるということです。


前回の最後にもあるように、糠目材が劣っているわけではありません。
用途によっての違いがあり、木目の細かな木材が好きな私は非常に好きですし、細工をする用途などには非常に好まれるうえ、木材としても糠目材のほうが狂いが少ない傾向にありますから、材木屋さんとしてもうれしいわけですね(笑)。
ただ、はっきりとした木目が好まれる樹種であるケヤキやナラ、もちろん今回のタモにおいても、糠目になると木目(板目)部分が少しぼんやりと狭い範囲になってしまうことから、敬遠される場合もあります。
たとえば栓という樹種などは、木材としては美しいものの癖が強いということで、広葉樹のなかでは敬遠される場合もありますが、私のお勧めする糠目の良質材などは、比較的おとなしくていい感じ!!

タモ材と道管 栓の場合2
(栓板物、在庫材)

材の優劣ではなく、用途によって使い分ける必要があるのは前置きの必要がありませんが、先にお話ししたうちのナラなどは、年輪幅によって大きくその用途が分類されている代表的な樹種であるかもしれません。
脱線してしまうこと必至(汗)でお話をしますと、ヨーロッパでの重要なオークナラ)の用途である樽の材となるものは、年輪幅がおよそ2mm以下のもので良質な木材のうちで幅広材としての木材生産ができないもの(約直径45cm以下)は、洋酒熟成用の樽用材としての用途に分類されているそうです。

もちろん、その中でも産地によって成分の違いや特性の違いがあるので、非常に細かく分類されるわけですが、そのように区分されるほどに道管の構成による木質の違いというものの影響力の大きさがわかると思います。
脱線が大きくなるので、それによるお酒の味わいの違いや樽の違いについては心残りながら、この場では控えておきましょう・・・

ナラ材と年輪による木質の差のお話になると、ミズナラとコナラの違いやそのほかの名称、そして両者の材としての違いについても脱線したくなるのですが、その差にも上記のお話が少し関係してきますので、木材の特に広葉樹を理解する上で道管を理解することは、非常に重要であるといえます。

その一歩として、見える形で道管の違いを出すことができた今回の比較実験。

タモ材と道管 6


実は今回のお話は一昨年にお届けしようと思っていたものなんです。
しかし、用意をしていた直後に大阪北部地震があり、弊社の直近が震源地だったこともあり建物も大きな影響をうけ、倉庫の木材がすべて倒れ崩れてしまったときに、用意していたタモ材も行方不明になっていたために、公開のタイミングがなかったものです。
今回、皮肉なことにこの深刻なコロナ禍のなかで業務が少なくなっている中で、整理が進む倉庫から見つけることができた事で、記事にすることができました。

学術的なところにまで踏み込むことは容易ではありませんが、材木屋さんなりのやり方でできるだけ平易に木材の特性や違いを伝えようという「木まぐれコラム」の記事としては非常に良かったのではないかと思っています。

しかし、今回の実験はこれで終わりではありません。
道管を話題にした実験は、もう一つ。
視覚的により一層わかりやすくて衝撃的な実験を、皆さんは目の当たりにすることになります!!

道管という孔の存在を知ったみなさんであれば、驚きとともに楽しんでもらえるであろう実験。
それをのちに敢行したいと思いますので、次回の記事も乞うご期待!!!

広葉樹の道管12


・弊社へのお問い合わせはこちらから
・その他の無垢フローリング・羽目板ラインナップはこちらの記事下段から
・無垢フローリング・羽目板の一覧はホームページからどうぞ

*2019年以前のリンク表示をクリックしても過去リンク記事が見られない場合は、こちらの手順でお願いをいたします。
*消費税10%への改定前、2019年9月以前の記事の価格は旧税込み価格となっています。お手数ですが、ご連絡の上正式なお見積の依頼をいただけますようにお願い致します。(ホームページ価格も改定が間に合っていない物もありますのであしからずご留意ください。)


 木のビブリオが、それぞれの木が持つストーリーとともに、こだわりの木材をお届けするブログと、稀少木材・無垢フローリングのホームページです。

・樹種別無垢フローリングのブログ記事一覧 
http://muku-mokuzai.livedoor.biz/archives/1611916.html

・戸田材木店・セルバのホームページ
http://selva-mukumokuzai.jp



コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星