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神話受け継ぐ奇し姿 〜クスノキ・樟 その六〜


一般的にはなじみがない樹種であるクスノキも、一度その香りを知れば忘れることはないでしょう。
そんなクスノキですが、いざ樹種名を漢字で書け!と言われると戸惑うかもしれません。
予備知識があれば、もちろん迷いなく「楠」をあてるでしょう。
しかし前回お伝えした通り、その字は正確ではありません。
その一般に知られる「楠」と「樟」の漢字の違いに、クスノキのルーツがある模様です。

クスノキは、日当たりが良く適度に湿潤な環境で肥沃な土地を好みます。
もともとが熱帯〜亜熱帯に多く分布する種族なので、寒冷地ではほかの樹種との競争に負けてしまうので、温かい地方に集中して見られる樹種。
暑い地方では、その大きな樹冠で影を作ってくれるので有難いです。
暖かな南国から渡来したという意味で、木に南と書くと聞きました。


それでは、私が常用している樟は、というと「木に章」というのは、大きな木材を意味するそうです。
クスノキは巨木が非常に多いですし、この連載の初回の序章でも紹介した「加茂の大クス」を見てもわかるように、現在でも非常に立派な巨木を多く残している樹種です。
大きなしゃもじともみじ饅頭で有名な広島県安芸の宮島の海中の大鳥居も、あれはクスノキ材です。


鳥居

(私が訪問中は、修繕工事中でその姿を拝むことが出来ず・・・・・無念。)


次回の造営の際に、あれだけの巨木が入手できるかが心配されているそうですが、不謹慎ながらも市町村単位の巨木を伐採すれば、ヒノキの巨木を探すよりは簡単だと思ったりもするほど、クスノキの巨木は多くあるものですね。
宮島の鳥居自体は、樟脳パワーを活用した海中での腐りにくさと、クスの魔除け効果を持たせていると聞きました。
もちろん、クスノキの樹木の利用はそれだけではありません。

社寺や仏具と関係するところでは仏壇や木魚(音がこもってまろやかになり、最上級とされているそうです。)、仏像彫刻があります。
その他には、大木特有の木目を活かした床柱(とこばしら)や床の間材、天井板、鏡板。そして和風の内装材、富山の井波欄間の素材として活躍しています。


樟脳の香りを活用した内装材といえば、化学防虫材剤が普及するまでは衣服の虫除けを兼ねて、タンスの内部板に使用されたりしていましたので、タンスを開けると樟脳の香り、という記憶のある方もいらっしゃるのでは?
タンスに限らず、重要な書物の保管書庫などにも使われていたそうです。
今ではクスノキの力に頼らずとも、化学防虫剤の袋を転がしておけばよいことなので、樟脳=タンスの香りという図式もなくなっているように思います。

防虫剤


それ以外だと、水周りフローリングとして、特にお手洗いや洗面スペースには以前からクスノキが使われてきました。
ここでもやはり樟脳の貢献度は大きく、現在では芳香剤を使うのですがクスノキフローリングにすることで、樟脳のスーッとした香りが穏やかに香るので、天然の消臭芳香剤となってくれるのです。
その辺りは、後日に紹介する予定の弊社オリジナルの「兵樟(つわものくすのき)幅広無垢一枚物フローリング」にてご紹介しますのでお楽しみに。


おっと・・・
どうしても樟脳のお話に戻ってしまいますが、クスノキのルーツのお話をもう少し続けましょう。
以前に驚きの写真でご紹介した神代樟(じんだいくす)を覚えていらっしゃるでしょうか。
トラックよりも遥かに大きく、流水にもまれることで非常に奇異な形状となった皮、そして現在でも稀に見る・・・いや、現在ではないほどの見事な杢を躰中にまとっていたその姿。
忘れられるはずがありません。

樹齢はゆうに1000年以上、埋もれていた時間も1000年以上と言われているものが、現在でもその独特な香りを漂わせながら存在することを考えると、少なくとも2000年以上前にはすでに親木となるクスノキが日本列島に存在していて、その種子が発芽して神代樟となったのであろう、と想像するのです。

神代クス


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