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帯に短し襷に長し・・・番頭さんの言葉と材木屋の業務

私が小さい時は、どこの会社にも「番頭さん」がいるものだと思ってました。

今、番頭(ばんとう)さんなんて言っても通じない場合が多いかもしれないですが、店の主人や社長ではなく、そのお店の業務全般を任されている人、とでも言えばいいのでしょうか。
その日の段取りを決めたり、主な仕入れをしたりお客さんの相手をしたり、倉庫の一切を管理していたり・・・

材木屋さんの商売の内容も、私の頭の中で未だに鮮明な記憶でももう30〜40年前のことですので、今とは全く異なっていますが、その番頭さんの言葉のなかでいくつか忘れられないものがあります。
そのうちの一つが「帯に短し、襷に長し」です。

特別、材木屋用語というわけではない例えなのですが、その語呂というか、番頭さんのその例えの使い方というかが、なんとなく面白カッコよくて好きなんです。
その帯に短し・・・ですが、意味合いとしては「中途半端で役に立たないこと」とか、「どちらの用途にもつかえないこと」といった意味合いで使われるように思います。
しかし、番頭さんが使っていた材木屋としての用法は少し違います。

今回もそんな場面が数日の間にありまして・・・・

一つは、幅の広い板材を探している時。
一枚板で探すも、厚みの薄いものをお探しだったので倉庫をみても丁度良いものがなかなかない。
幅は足りるが厚すぎる。今度は厚みはばっちりなのに幅が足りない・・・・
難しい・・・
これでいけるのでは?!と思っても少し合わない。

そんな時に、「あぁ〜・・・、帯に短し襷に長しやなぁ・・・・」と。

帯に短し、襷に長し 3


次は注文材を拵える時。
必要な寸法を得るには可能な限り、製材でできる無駄な部分を少なくしたいので、一本の木材から二本の木材を製材して切り出したい時には、二本の材の寸法を足して丁度余りの出ない寸法の木材を使うのは当然。
たとえば、幅6cmの木材が2本なら幅13cm弱(鋸の厚み分目減りする寸法の余裕を見て)のものがあれば最適なのですが、そんな時に限って13cmの材が無い。
普段は13cmなんて使いにくいなぁ・・・なんて思ってるからか?!(汗)

ここにあるはず、と探し回って見つけたものの、幅は丁度よいのに厚みが若干不足している。
もう一つ見つけたものの、厚みは良いが幅が中途半端に広くて、使えない部分が残る・・・
そして仕方なしに16cmを製材する。

む〜・・・完全に帯に短し襷に長し・・・

帯に短し、襷に長し 2


もひとつおまけに、二面化粧材をさがしているのに、どうしても三面や四面化粧材しかない。あるはずなのに見つからない。
三面や四面でももちろん事足りるのですが、オーバークオリティで。
こんな時も、イメージとして「帯を襷にするわけにいかず、襷を帯にするわけにもいかず・・・」みたいな気分です。

使えない、というのではなく「中途半端」というイメージでしょうかね。
それが、はっきりと中途半端と言わずに、帯に短し・・・なんて言う事でちょっと洒落てるというか、結構困っている時でも少し気分が楽になるというか、そんな気がする言葉です。

帯に短し、襷に長し 1


材木屋の商売は製材したり、長さを切ったりして入るうちにどんどん元の木材が小さくなっていき、儲かる本体の大きさが小さくなるという、なんともおかしなところがあります。
そのために、昔から無駄になる部分を如何に少なくできるか、という事を番頭さんに認めてもらえるかが勝負でした。
時には、製材した後に多くの材料が半端で残ってしまう場合も、この寸法ならば次にこの用途に使えるからわざと大きめに残しておく、といったことも計算できるようになると一人前。

ある意味、そういったことを考えて木を見て、そしてどうすれば最大限に木を活かせるか?!ということを判断していたのが昔の商売だったように思います。
昔話ばかりするような年齢に近くなってきたことを実感するこの頃ですが、ただ出来上がった木材を商品として販売するだけではなく、「帯に短し襷に長し」の経験をしてきたからこそ、今の自分があるんだろうなぁ、とも思います。

今、私は「番頭」という呼び方をされる立場ではないですが、私の記憶している番頭さんから受け継いだものを、しっかりとつないでいきたいと思った数日でした。


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