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令和彩る紫の蝶 〜藤(フジ) 第三話〜

以前、プラタナスに関連する記事にて記載しましたが、街路樹としての性質を考えた時に、刈込に対する生命力や大気汚染への耐性などは、優れた樹種の指標となるところですが、それらの性質を併せ持つフジの場合は、必ずしも良いものとして受け取られる場合ばかりではありません。

野山のフジ3

山間部で見られる美しい紫の花。
新緑の山に鮮やかな色合いが映え、見とれてしまうことがあります。
しかし、この光景は山にとっては良し悪し・・・

林業として山に関わっておられる方からすれば、前回に記した通り、樹高の高い樹木に巻き付いていき、このように高い位置できれいな花を咲かせるので、巻き付かれた樹木は成長が悪くなり、巻き付かれたことでフジの幹が食い込んでいき木材として生産しようとした場合の価値が期待できなくなってしまいます。(真円な丸太とならない。)

ちょうど杉に巻き付いているフジ。

まきつくフジ

この巻き付きによって、せっかく植林して育てた樹木が台無しになってしまうわけですね。
なので、フジをはじめとした「巻き付き系」の植物を植林地で見つけた場合、林業家さんたちはせっせと刈り込んでいかれるのですが、そこで問題になるのがさきほどの「刈り込みに耐える」という点。

いくら刈り取られても、すぐに同じように伸びてまたまとわりついてくる。
おかしな話、前に刈り取ったのにまた違うものが巻き付いている、と思うものが実は、前回刈り取ったものが再度伸びてきていた、ということも考えられるとか・・・・

さらに恐ろしい(?!)ことに、巻き上がるだけではなく匍匐してクローンを作りだして増殖(!!)することもできるという、もうアメーバー?みたいな生命力。
前回、大木によじ登っていたものはもしかすると、より近くに他の樹木があり、そちらに巻き付いていたものの、その樹木が枯れてしまったことでその近くにあったあの大木に触手?を伸ばして絡みあがったものではないかと推測します。

光合成を妨げられることでか、もしくは樹皮に巻き付いた影響からか、巻き付いた本体の樹木が倒れると近くにある樹木に巻き付くか、クローンを他の樹木にのばすか、いち早く種をとばすなどの方法で生き延びていくようです。
フジ自身も幹は形成するものの、自立する力はほとんどないようなので、やはり頼っていく存在が必要なのですね。

頼られた方の樹木はたまったものではありませんし、もちろん林業の視点からしても厄介者なのですが、そんな事情を知らなければ美しい野山の風景の1ページにすぎません。
これも樹木の生き抜く方法のひとつではあるものの、複雑な心境です。
それでも、やっぱり花は美しいものですよね・・・


野山のフジ1


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