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夏なのに、春の杉?! 〜信仰と山と植林と 神々しい巨躯 春埜杉〜

夏になると、暑いというのは勿論ながらも7月の時点で気温40度を記録するところもあり、酷暑の年となりましたがそんな夏にお届する巨樹は「春の杉」なのです。
夏なのに、春の杉・・・これいかに・・・・


杉の巨樹は全国いたるところに存在しますから、単純な太さや樹高ではなく、出会った時の出で立ちや樹形などが見どころになる場合が多いのですが、今回の「春の杉」はそれら以外の存在感も見どころではないかと思う杉の巨樹です。

早速ですが名前のネタばれをしますと、巨樹の所在地が静岡県の春埜山ですので、「春埜杉」というのが正式名称です。
銘木によくみられる「杢(もく)」という字に似ているために、無意識に目をひく漢字でもある「埜」が使われていることもあってか、訪れてみたかった巨樹でした。
場所を調べてみると、結構な山あいに位置している様子だったので、時間に余裕を見て早朝から出向くことにしました。


しかしながら、そんなパターンの時はいつもとっても道が細いところや、行けども行けどもたどり着けなさそうな道の場合が多いのですが、今回は全く逆。
物凄く走りやすい!
静岡県(天竜区)で驚いた事は、急峻な山から想像する以上に林道が整備されていて、道幅が広く綺麗でとっても走りやすいということ。(私にとっては・・・)
今回はお目当てに行くまでも、いつも以上にリラックスして向かうことが出来ました。

とはいえ、曲がりくねった山道を走り続けて春埜山の山頂へ。
大光寺の広い敷地内の駐車上に到着し、目的地へと少し歩いて下ります。
境内に入るも、それらしき姿が無い・・・ときょろきょろしていると山門の向こうにそれらしき姿が・・・・・

春埜杉 10


おぉ、あれこそまさしく・・・


山門の先に見える堂々とした姿で立っているこれこそ春埜杉。

春埜杉 2


境内からだと山門から階段を下りて行った場所が丁度、春埜杉と対峙出来る場所になるのですが、おこがましくも少しの間は高いところから眺めさせてもらいます。
というのも、階段を下りていくと春埜杉との距離は近くなるものの、全体像を見るには近すぎるからです。
迫力は、離れていても十分に伝わりますし、枝を力強く伸ばしていることで、離れている事を感じさせないということもあります。


春埜杉 12


本当は写真にもその全体を写し込みたいところですが、春埜杉の周囲には立ち入ることができないこと、それに登山道になっている様な部分にも柵があるので、無理に山の斜面の方へは出ていけませんので、カメラアングルとしては不満が残るのは仕方の無いところ。

とはいえど、やはりスケール感を出すためには少し離れた部分からの様子をおつたえしないといけません。
ココまでの写真でも、実際に訪問した本人としてはとてもスケール感がつたわるものの、写真単体として見るとなると、比較物がないからなのか、どこかすこし大人しく見えてしまいます。
ということで、少しづつ近づいてみましょう。
山門をくぐり、いざ春埜杉の膝元へ。

春埜杉 1

山門からの階段を降り切ると「御神木」の石碑と共に、御賽銭箱のあるお社。
そしてその向こうに春埜杉を見上げる格好になります。
先も書いている通り、本当はこの写真の向かって右手にもう少し廻り込みたいところなのですが、いくことができず、全体を移そうにも微妙にお社がかぶってしまい、肝心の根元の部分が途切れてしまう・・・

うーん、贅沢は言えませんが立派なだけに、ちょっと残念。
柵を乗り越えて近くへいきたい思いにかられながらも、ベストポジションを探すのですが・・・
結局、近寄れないために今回は大きさ比べの「昌志スケール」はおあずけです。


春埜杉 4

どうしても、石段から全体像、という構図になってしまう。
それもいいんですが、やはり迫力が伝わらない。

どうしてそう思うかというと、私は難なく自動車で訪問し汗をかくことなく、この有難い姿を見上げているものの、交通手段が整備されていない時代には、1000mに満たない山とはいえども麓から相当な覚悟で登ってきた末に、この春埜杉の姿を見上げたことだと思います。
そう考えると、今自分がたっている場所と眺める景色とはまた違う景色がある様に感じられ、写真では伝わりきらない迫力を、なんとか少しでも伝えたいという気持ちにさせていたのかもしれません。

静岡県、天竜区は以前にも研修でお世話になっている位に、林業が有名な土地柄ですので、古くから人が山に入っていたことが伝えられています。
しかし、それは私たちが想像する現代の林業の為の山との関わりとは、少し事情が異なる様です。

春埜山の西に位置する秋葉神社の巨樹群である「秋葉杉」によれば、天竜区においての植林は、単なる林業としての植林ではなく、信仰の対象として植えられていたと伝えられていることと、春埜杉と同じように急峻な山の山頂付近にも関わらず、巨杉がボンボンと聳え立っている様は、山を見る尺度が、単なる「木材生産を目指す」林業という言葉だけではない人と山とのかかわりを、意識せざるを得ない様に感じました。

春埜杉 11


植林の正式な記録としては、そうは古いものは残ってはいない様ですが、この地域の人々は相当古くから、この急峻な山々の「巨人たち」に信仰の心を抱いていたことは確かでしょう。

春埜杉は樹齢およそ1300年といわれ、大光寺開山の際に「植えられた」杉だそうですが、それにしても、人がこの山あいにまで足を延ばすことが出来るようになった時代に出会ったこの姿は、その人の目にどう映ったのか・・・
今の私では、その衝撃を推測することはできません。


春埜杉 8

それにしても、迫力はすごい、本当に神様みたい。

苔を抱いたその巨躯と、不規則につきだした大きな枝、遠目では整っている様に見えるものの、実際はゴツゴツとしたその幹。
見れば見るほど、特別な存在に思えてくる。

それは、おそらく訪問時の早朝は少し肌寒く感じる季節で、気温差によって少し靄の様なものがかかっている中、のぼりはじめた朝日をあびる姿から、どこか神々しさを感じたからなのかもしれません。
下界を離れ、自分と春埜杉意外には何もない様に感じる空気。

いや、実際は春埜杉が従える杉達が茂っているものの、冷たく張りつめた空気が春埜杉の神聖さを私の肌に刻みこんでくるようでした。


そうです、朝焼けに輝きだすその姿は、まさに春埜山を納める山の主、いや山の神。
刻々とその姿を朝日に赤く染めていく様は、まるで天孫降臨。
目の前の神木に、神様が降りてこられている様に感じるのは、おそらく私だけではないはずです。



春埜杉 



春埜杉所在地

静岡県浜松市天竜区春野町花島22-1 大光寺山門下

駐車場、御手洗いあり


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