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減りゆくことは、遷移か自然の摂理なのか・・・ 国産黒松、石山赤松を想う

数年前から、本格的にいろいろと私との関わりが大きくなった樹種である地松(じまつ)。
「地松」と言っているのは、「地=日本の」という意味があるからで、輸入される松類(日本で普及している建築構造木材である米松・べいまつなどの松ではないが、松と称しているものも含む)の木材と区別するために用いているものですが、その地松の現状については、マツクイムシ(マツノザイセンチュウ)の事を含め特集もしながら紹介してきました。
しかし、実際に日頃色々な樹種を扱っているものを、地松という特定の樹種に限って山側の事情を覗いてみると、言葉で言うよりももっと現実は厳しいものだということを、ヒシヒシと感じています。

昨年も、地松の注文材の検品を兼ねて生産地とその周辺の山に何度か行っていましたが、自分の目で見る光景は、想像していた以上の驚きでした。

先ずは山。

現実5

見ての通り、信じられないくらい集中的に常緑である松の葉が全体的に茶色に変わり、多くのものはすでに葉もありません。
写真のすべてが松ではないですが、このような状態が見渡す山の多くに広がっていたのです。

明らかにマツクイムシによる被害だと推測されますが、こんなに広範囲で全体に広がっているとは思っていませんでしたので、はっきり言ってショックでした。
いくら被害があるとはいえ、健全なもの中にいくつかの被害があるのかと思っていましたが、期待は大きく外れていました。

しかし、驚くのはまだ早かったのです。
別の場所で、訪問を楽しみにしていたところの一つである、海岸沿いの松林。
さぞかし立派な白砂青松を拝めるのだろうと思っていたものの、そこにあったのは無残な光景でした。

とても松林と言えるようなスケールの無い場所ながら、確かに地図にも有名な地名を冠して紹介されている場所に、涙のでるような光景が広がっていました。

現実4


現実2

あちこちに燻蒸処理されたのかと思われる、ビニールシートをかぶせられた松の無残な姿が。
そのそばには立ち枯れた立派な切り株がいくつも見られます。
松林だったことは、今ではそこからしか知る由がありません。



こんなにやられてるのか・・・・

小学生の頃見た、「風の谷のナウシカ」。

高度な文明社会が破綻した後の世界において、少数の人間と毒の胞子を出す植物が繁茂する自然界の対比に、大きなショックを受けましたが、その中の一場面で毒(と思われている)胞子の影響を受けた樹木を調べる谷の住人が、樹木に斧を入れた時の一言が「ここも・・・」。

ナウシカ1


写真の光景を見た時に、一番最初に思いだしたのがその場面でした。

アニメ版の「ナウシカ」においては、毒の胞子を出す植物は人間に有害だと考えられていたものの、澄んだ水と土で育てた植物は毒を出さないことを、主人公ナウシカはつきとめます。
そして思うのです。
人間が汚してしまった世界を、植物たちが長い年月をかけて浄化してくれているのだ、と。
そこにそのまま重ねることはできませんが、これほどまでに進むマツクイムシやナラ枯れのキクイムシの影響は、自然の摂理として働いているのかそれとも、人間のかかわるものではない森林の遷移の途上であるのか。

ナウシカ2


ナラ枯れになってしまった樹木から萌芽して更新したというお話や、マツクイムシに抵抗性のある松の生産などの取り組みも聞きますが、現在は両「ムシ」を有効に防ぐことができていません。


どんどんと貴重な存在になりつつある地松。
もちろん、現在は代替樹種があることで、建築意外でも出番の無い事も原因となり「ムシ」が広がっているのかもしれませんから、使えるところで使える人にはきちんと届けられるようにしたいのです。
特に、国産黒松は驚く様な減少を見せています。

どうにかして有効活用していきたい。
そう考えている時に頂いたお話が、次回に紹介する国産黒松一枚物フローリングと、石山赤松幅広無垢一枚物フローリングなのです。
伐らずに枯れるのではなく、伐って活用して山の次の世代にバトンタッチできるようにする。
山においては地松自体が、荒れた土地にも最初に根付く先駆種と言われる樹種ですから、もしかすると次の世代に場所を譲っているのかもしれません。
どちらにせよ、入手が難しくなってくる樹種。
大切に使っていきたいものです。

現実3



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