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ちょっとだけ、カヤのお話 

彫刻というと、材木屋としてはどうしても「桂(カツラ)、朴(ホオ)、木曽桧、樟(くすのき)」などを思い浮かべてしまいますが、同じ彫刻でも、仏像彫刻はまた少し異なります。

仏像の多くで材料として主眼に置かれたのは「香りを有している」こと。
それも、できる限り「本場に近い香り」であること。
いや、それは私の主眼ですが、日本に渡来した古い仏像の多くは「白檀(ビャクダン)」という、通常ほぼ日本には自生しない香木(こうぼく)で製作されています。
香木、というくらいですからやはり、香りがするのです。
それも、何とも言えない特有の香りです。

白檀に関しては、以前から幾度か記事にしていますので、そちらを参照していただくとして、それがもつ香りに関しては、今でいうとお線香の香りとでもいいましょうか。
お線香の多くには白檀の粉が使われていたりしますから、あの仏様の香りです。
そう、仏さまを連想させるあの香りこそ、仏像彫刻の素材に求められるものであって、香木を産することのない日本においては、とても貴重なものであったはず。
しかし、日本でも仏像を彫りたい(と言ったのか?)という思いに変わりはなかったのでしょう。

日本産の木材で、強い香りを発するもの・・・
そうなるとやはり限られてくる中で、クスノキやヒノキは今でも頭に浮かぶ人がいると思いますが、そこにカヤが登場するのです。

カヤ4

ヒノキと同じように彫りやすく、それにもまして「甘い香り」がどことなく、本場のビャクダンを想像させるに十分だったのかもしれません。
もちろん、それだけの理由ではなく仏像に関しては多くの調査結果や歴史推測があるので、深くは突っ込んでいかないようにしないと、お話の終わりが見えません。

少し前までは、貴重な仏像を壊すことができないので、色調が変わり香りも感じられない状態のままで、目の前の仏像の原材料がヒノキであるのか、ほかの樹種であるのかを特定するには難儀したようです。
クスノキかヒノキか、というと決定的な木目の違いがあるものの、同じく針葉樹であるヒノキとカヤとなるとなかなか外観では区別できなかったそうです。

そこに、顕微鏡レベルで区別できる決定的な違いを見つけたことで、今では容易に区別ができるようになったのです。
それは細胞レベル的な違いですが、普段の木材を見分けるうえでも、カヤを決定づける大きなポイントとなるものです。

それとカヤは、磨くと光沢が出ることもあり神々しい仏さま(神々しいはおかしい?!)にぴったりだったのかもしれません。


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