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世界に一つは世界一?! 〜日置のハダカガヤ  

数か月前から組合誌の巨樹連載記事も始まり、拙ブログの中の記事との巨樹2本立て!になったわけですが、撮りためた巨樹の写真や当地に赴いた感想を、それぞれの媒体に合わせてお伝えしていきたいと思います。

さて、今日の巨樹はいつもとはちょっと違います。
何が違うかって。
巨樹古木を訪ねる、なんだけど確かに古木ではあるけども巨樹とまでのスケール感がないこと。しかし、それ以上に稀少性が高いことが理由です。
いや、稀少性という言葉すら適当ではありません。
だって、世界でただ一つ、この一本しか存在しないのだから・・・

日置のハダカガヤ3

国指定の天然記念物、「日置のハダカガヤ」です。
山の緑と畑の緑、そして空の青が美しい兵庫県篠山市に1本の超珍しい樹木が存在するのです。
名前から想像できる通りですが、「はだかのカヤの木」なのです。
で、超珍しいというのはなぜかというと、先に書いた通りなんと「世界にここだけ、1本しか存在しないから」です。
え?!1本だけ?!・・・そんなんなくなったら終わりやんか。
絶滅危惧種とか言った理由で取引が禁止されたり伐採が禁止されたりというのは、木材業界では聞く話ですが、そんなレベルではないのね・・・

日置のハダカガヤ5

磯宮八幡神社の境内敷地にあるハダカガヤ。
石碑の下の方に見える兵庫県の「縣」の字が、なんか妙にかっこえぇんですけど、それもそのはず。
天然記念物指定は大正時代。
巨樹巨木の多くは、昭和時代の調査によって指定されたものが多いと思われるのですが、このハダカガヤは植物学上大変貴重だということで、大正時代にはすでに天然記念物指定されたものなのです。
そりゃそうですよね。世界にただ一つだもの。
世界に1本しかないということは、自動的に世界一?!

日置のハダカガヤ11

カヤはスギやヒノキと同じく針葉樹の仲間。
通直な幹と緑に茂る葉は、どこか見慣れた樹形に感じますし、樹高や幹回りも驚くようなものではない為に、迫力には欠けるものの、「世界にただ一つ」という予備知識が、それを見る目を変えるのです。
知識がある方がいい場合もありますが、それがあることで観察眼が鈍ることもありますから要注意。
しかし、知らなければ「まぁまぁ大きなカヤの木やなぁ」で終わってしまいますから、ここは注意深く見なければ。

もともとカヤという木は、イチイ科カヤ属の樹木で鳥の大好物である甘い実をつけるイチイとは異なり、ある種イチョウの様なドングリのような、実をつける樹木です。
それは、カヤの木の学名は Torreya nucifera ですが、nucifera というのは「堅果を有する」という意味からも分かる通りです。

油気を有するその実は食用にもなり、また火が貴重なものだった時代には灯火油としても賞用されたというものですが、通常はその堅果は字のごとく堅い殻に包まれているものですが、このハダカガヤは殻がなく実が剥き出しであることから、裸=ハダカガヤと呼ばれています。
ゆえに、ハダカガヤは樹木の種名ではなくこの樹木の固有名詞、それも世界唯一の固有名詞なんですね。

日置のハダカガヤ19

右が通常のカヤの実。アーモンドの様ですが、右のハダカガヤは干しブドウのように殻がありません。
これが世界にただ一つのハダカガヤなのです。

もちろん、樹木それ自体の見た目には全く違いがないですから、初めに違いに気が付いた人は驚いたに違いありません。
いつも巨樹訪問をする際には、できるだけ地元の人とお話することにしていますが、この訪問の時もちょうどお話を聞くことが出来ましたので、その「昔話」を紹介しておきましょう。

日置のハダカガヤ10

いつからこれほどに立派な姿だったのかは定かではありませんが、少なくとも大正時代、天然記念物に指定される頃にはその稀少性は認識されていて、私が思う通り、この一本が枯れてしまえばハダカガヤは絶滅してしまうということから、様々な方がハダカガヤの種子を植えて子孫を増やそうとしたそうです。
しかし何度やっても、どうやってもハダカガヤの種子を用いているにもかかわらず、育つものは普通のカヤの木なんだそうです。
お話を聞いた方も、何人もがこのハダカガヤに上り直接とった種子をまいてもダメだった、と言っておられました。

不思議なものですが、今現在でもその実からハダカガヤを増やすことには成功しておらず、ただ一本が存在するのみである、と言われているのです。

ハダカガヤのもともとの来歴は案内板によると、天皇方に敗れた足利尊氏が都から九州に逃げ延びる際にこの地に立ち寄り、殻をむいたカヤの実を神前に捧げて武運長久を祈った時のものが成長し、ハダカガヤになったとされています。
という事は、樹齢約700年弱か?!

日置のハダカガヤ17

およそ700年間、唯一無二の存在であり続けているハダカガヤ。
成長が遅く、ゆえに長命と言われるカヤという樹種ですが、あとどれくらい元気で生き続けてくれるのかはわかりません。
その間にクローン技術などで、もしかしたら「第2のハダカガヤ」が芽生える日もくるかもしれませんが、私は生きていないかもしれません。

しかし、そうであってもなくてもきっと、ハダカガヤの命は消える事はないでしょう。
この地の人たちが大切に守り続ける限りは・・・・

日置のハダカガヤ9


日置のハダカガヤ所在地

兵庫県篠山市日置167

学校が近いので、児童には注意ですが駐車は可能です。

日置のハダカガヤ、今回はもう少し続きます。


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