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うららに待つ(松)は桜に非ず・・・ 地松〜赤松と黒松 ァ

コテコテなだけなのかと思わせる松の樹脂。
実はちがうんですね〜。

樹脂を含む、特に針葉樹は広葉樹に比べて特有の「精油成分」を持っているものが多く存在します。
そしてそれらの中でも有用な成分を多く生み出しているα-pineneやβ-pineneなどの「ピネン」という成分は、松の pine を現していますから、松脂や精油に多く含まれています。
特にα-pineneは、就寝時には疲労回復、緊張時の脈拍の増加を抑えるなどの効果が実証されているのは有名なところ。
もちろん、適量がいいわけで、多いと逆に刺激になってしまうので注意。
だって、散々健康にいいと喧伝されているヒノキだって、人によっては精油成分が強すぎて、アレルギー反応があるくらい。
精油成分の多い針葉樹に限ってではないけれど、天然の産物は絶対安全じゃない。特に、彼らは人間の為にそれらを蓄えているのではない事をおぼえておいて、上手に活用したいものです。

前回に、松根油を使って戦闘機を飛ばすお話をしましたが、燃料になるというのはとっても大切なことですね。
固形、液体関係無く松の樹脂は良く燃える、という事です。
感じにも現れるように「松明」と書いて「たいまつ」と読みますね。
細かく言えば、樺の樹皮を燃やしている場合もありますが、基本的に大昔から松の樹脂はよく燃える上消えにくく、火持ちがいいというのが松が燃料として重要であった理由です。
もののけ姫で山側と争点になっていたのは、「たたら製鉄」に必要な燃料。
それも地松です。

薪1


いや、劇中ではそんなところには触れていませんでしたが、緑豊かな山々から火力の強い薪をどんどんと伐り出す。
木炭は現代製鉄で使われるコークスよりも還元力が大きく、鉄から酸素を効率よく取り除くことができ、純度の高い鉄ができると言われます。
高火力が必要な刀鍛冶にも松は必需なのです。

もののけの時代、火を得ることは大切なことだったでしょうが、鉄を作ることができるほどの強力な火力を持つ地松は、本当に宝だったのだと思います。
神殺しにまで及ぶほどに・・・・

又その火力は、陶芸の世界でも賞用されます。

温度の上昇が良くて火持ちがいい。
陶芸には温度が重要ですが、樹脂を含むとはいえ他の針葉樹では燃えはするものの温度の上昇が緩やかだったり、ヒノキの様によく燃えたとしても火持ちしなかったりするのですが、地松は全く異なります。
火持ちが悪いと、窯に薪を入れた尻からまた薪を入れる、という様な状態になってしまいますので、「3日3晩寝ずの番をする」ような窯焚きには、地松の薪が重要になってくるのです。

登り窯

火力だけではありません。
火力を追求するならば、化石燃料に頼ればいいのです。ガスや灯油、いや電気もあります。
しかし、地松の薪が好まれるのは火力だけではなく、焼き上がりにも違いが出るからです。
自然の脂によっていい具合に不均一に燃える地松の薪は、窯の中に何とも言えない自然の火の通り道を作り、それによって焼き物自体につく焼き色や釉薬の流れ方、灰のかぶり方、そしてその造形にまで影響するために、作者の手が及ばない次元に作品を高めてくれる「秘薬」のようなものなのです。

焼物1

針葉樹の筆頭はヒノキでゆるぎない、そう思ってしまいますが、地松の奥深さはヒノキのスケールを超えている様に思います。

さて、松の精油成分は実は、根からも抽出されます。
それは、根の周りにくる細菌をコントロールしているといわれます。
えぇ?!樹木がそんな事を考えているの?!と訝しく思ったそこのあなた!
松の驚くべきところは、火力でもその大きさでも勇壮さでもないんです。
私が思うに、この「根と細菌の関係」なのですよ・・・・・


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