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「地松ごろんぼ」から地松平角へ

前回の「地松ゴロンボ」からの続きです。

ごろんぼ3

今から15年ほど前には、弊社にも「必ず地松の梁丸太を使う工務店さん」がいらっしゃって、低コストの住宅であっても2〜3本は地松の梁丸太を組み込んでおられました。(「ごろんぼ」全盛期ですね・・・)
その当時はそれが当たり前で、その工務店さんの新築の時には弊社作業場には、通常の鉋や鑿の木くずとは異なる、はつりとられた松の皮が散在する独特の風景がありました。

それもはや15年以上前。
現在は通常の加工でも工場にて機械加工されるので、前回の様な凄い地松のごろんぼを見ることはほぼないですし、都会の住宅では湾曲した梁丸太ではなく、水平な床面を構成するための平角(ひらかく)と呼ばれる状態が求められるので、まずお目にかかる事はありません。
実際、私も今回の様な10mを超えるごろんぼを弊社に荷受したのは10数年前。
旧家の大改造工事で、新築するのと同じくらいに骨組みを触った住宅でしたが、その時以来です。
その時は工事現場まで車が入れず、集まった皆が方に担いで運んだわけですが、その日からおよそ1ケ月はまるで肩の骨が砕けたかの様に、材木を担ぐことができない状態だったのを思いだします。
ベンチプレスをバンバンとこなす大工さんも驚くほどに、材木を担ぐことには自信のあった我が肩でしたが、それを見事に砕く位の重量でした。

現在は「ごろんぼ」を使う住宅は殆どないものの、もちろん平角材とよばれる角物の梁材は多くの木造住宅にも存在します。
しかし、その樹種はというと多くが米松(べいまつ)材。
ご存知の通り、橙色に近いような色合いの樹種です。
正確には松ではないのですが、日本の松の代用として使用されることや強度的にも遜色がないこと、なによりも材の供給力が物凄く安定していることから、日本の住宅には欠かせない樹種になっていると言っても過言ではないでしょう。

そんな状況で、日本の木材の梁桁材を使って建築したい、やはり住宅には地松の梁が欲しい、国産材としてスギの梁桁はあるものの地松は乾燥材が供給できない、という理由で米松を使っている方もおられるはず。
木の虫戸田昌志としては、もちろん米松も好きですがやはり、求める方がいらっしゃるものはお届けしたい!
ということで、米松に替えて住宅用国産梁桁材として、安定的に、しかも乾燥材を供給できる地松平角を紹介します。

平角材3


もともと地松は先の様に、梁丸太や土木材としての活躍が多かったために、現在の住宅に求められる様な「乾燥材」という要求からは若干遠い位置にいる樹種でした。
しかし、近年の様に住宅部材は乾燥材が当たり前(少し前までは乾燥材の方が珍しかったが)になってくると、「地松=生木(未乾燥材)」という考えが常識的になったように感じます。

平角材4

そえゆえ、地松を使いたくても使えないジレンマがありました。
しかし本当は、欲しい時に乾燥材が使える「人工乾燥材(KD材)」として供給できる地松がある事は、まだまだ知られていません。
地松はよく知られるように、スギやヒノキと同じ針葉樹でありながらも比較的重硬で、なにより住宅の部材として求められる荷重に対しての粘りや、部材同士が力を受けた時のめり込み強さなどに優れている為に、本来はもっともっと日本の住宅には普及してほしい樹種なのです。

今までは、乾燥材が入手できない、地松はクセがあって使いにく、などの理由で一般的ではなかった地松ですが、乾燥技術の向上やこだわりを持って製材してくれる製材所のおかげで、米松やスギの平角材に加えて構造材としての選択肢のうちの一つに十分なりえる供給力を確保できています。
強度的に優れている為に、国産材であるスギの平角材に比べて、梁成を小さくできるというメリットもあります。

平角材2

地松はその強さだけではなく、視覚的な美しさも十分です。
脂分が強い樹種である為に、材面の光る様な美しさは見どころです。
そして、それを活かすために「脂を絞りとるような人工乾燥」ではなく、地松を愛しこだわりを持つ乾燥をしている為に、人工乾燥材にありがちな「艶が無くカサカサ」という事の無い、美しい地松KD平角材を実現しています。

平角材6


古民家の煤によって黒光りする迫力のある地松の梁って、すごくいいですよね!?
現在の住宅では「黒光り」はないでしょうが、年を追うごとに飴色を増すように深くなっていく色合いを楽しめるのは地松の特権です。
もちろん、天井で隠れてしまう住宅では堅牢な性質にて縁の下の力持ち(完全に天井裏ですけど・・・)的に活躍してくれるのですが、そのまま梁や桁を化粧として見せる住宅において、そのつややかな美しさを堪能できる「化粧梁」用も可能です。

見えないところの強さにこだわるもよし、その美しさを日々楽しむもよし。
力強くダイナミックな美しさを持つ地松の平角材がここにあります。
風格漂う住宅にふさわしい梁桁材であるこだわりの地松。
こうやって丁寧に乾燥養生作業が施されているのを見るとほれぼれします。
これは、オーバーサイズといって、大きめに製材しておいてから乾燥後に出る木の素性による狂いや寸法変化を削り落とすために置かれているもの。

平角材1

ただ、商品として入荷する状況がきれいなだけではありません。
また、プロモーションが上手で「いかにも優れている」といったコマーシャルが上手なわけでもありません。
しかし、ここには松を愛して、地松の事を考えて、そしてその地松を使う人の事を考えて製材されている地松があります。
それは、電話一本で発注して届く商品とは違い、こうやって丸太から製品になる過程と、そこにわいてくる想いをその場で聞くからこそ分かること。
これこそ、皆さんに、そして本当にいい家を建てたいお施主様にこそ使ってもらいたい、住宅の骨組みであると思います。

地松の事を思い、そして大切に乾燥させたこだわりの地松乾燥平角材。
十分に供給できる体制がありますから、迷わずにお尋ねください。

既報ですが、その地松乾燥平角材を体験する企画も開催しますので、足を運べる手刻みの大工さんや工務店さんは是非この機会に体験してみてください。

平角材5


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