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地松シリーズの締めは海沿いにあり・・・ 〜南志見住吉神社の松〜

さぁ、超ロングラン企画となった地松シリーズも惜しまれながらも(!?)今回で一区切り(って、長すぎっ!!とおしかりをうける・・・)。

終わりを告げるのはやはり巨樹。
地松が少なくなっているとはいえ、全国には巨樹に数えられる地松ものこっているもので、以前に紹介の地蔵大松もそうですが、海岸沿いの黒松林を初めとして荘厳なその姿を現在に受け継いでいるものがあります。
前回、超幅広無垢一枚物フローリングとして紹介したのは赤松でしたが、今回紹介するものは海沿いの街に力強く生き続ける黒松の巨樹です。

樹木の違いを知るにつれて、昔の人はよく言ったものだ(現在では憚られることもありますが…)と感じるほどに、赤松の美しさと黒松の荘厳さにはやはり見入ってしまいます。
今回の黒松の巨樹である南志見神社の松は、本当に納得の力強さを感じさせるシンボルのような樹木でした。

南志見住吉神社の松1

ここは石川県。それも北の北、能登半島。
以前にも能登半島に所在する「高照寺の倒さスギ」をお伝えしていますが、石川ワンダーランドは奥深し!!
ヒノキの陰に隠れがちな秀逸材である「能登あて」を産するだけではなく、日本海側・太平洋側というありがちな概念にとらわれない(そういう自分が一番とらわれてる・・・)樹木をはぐくんでいる土地である能登半島において、荒波激しい北側に位置するこの「南志見住吉神社の松」は、残していきたい日本の風景、それを彷彿とさせるにふさわしい佇まいを持っていました。

いや、写真ではその迫力は伝わらないでしょう。
むしろ、いつもの巨樹という範疇にないようにすら感じるかもしれません。
巨樹というのは大きすぎる存在であったり、圧倒されるような存在感を感じるものですが、今回の黒松は圧倒というものではなく、「そこにあって欲しい」と思うようなそんな存在でした。

南志見住吉神社の松4

輪島市の指定天然記念物に指定されているこの黒松。
もとは2本あり、夫婦松と称されたそうですが1本が枯死し現在の姿になったそうです。
なんとも残念で仕方ないのですが、だからこそ、石川県随一の黒松であるというその存在を後世にも伝えていくべく、生き抜いてほしいのです。
黒松という樹種自体が、マツクイムシや海岸線の減少などにより減っていく中で、これほどの個体が残っていることが貴重であると感じるのは、マニアックすぎるとか言わないで下さいよ。
特別に樹高があるわけでもなく、異形を呈しているわけでもありませんが、もう地松としてそこにある雄姿だけで感動してしまうのは、贔屓目すぎるといわれても仕方ありません。

南志見住吉神社の松10

写真ではイマイチわかりづらいと思うのですが、樹高は数字上はそれほどでもないものの、松の力強さを体現したような「反りくりかえり」具合や、そののたうつ様な枝先までを収めようと思うとどうしても、アングルは縦方向になってしまうのでご勘弁を。
もともとが針葉樹でありながらも、スギやヒノキのように通直に育ちにくい樹種である松ですが、特に黒松はその生育環境からでしょうか、あらぬ方向へ向いているものも少なくありません。
時には、まるで大蛇の様に地を這うかの如く、地平に水平に幹を伸ばすものもあるくらいですから、その生育状況には興味がつきません。
それを鑑みると、この松はまだ大人しい方?かもしれません。

とはいえ、迫力十分に感じるのはやはりその反り具合でしょうか。

南志見住吉神社の松5

様々な環境を生き抜く植物に対して、「通常は」という一般常識は通用しないと思ってはいるものの、やはり通常はこんなにならないであろう、という様な想像をしてしまうのはやはり凡人だからでしょうね。
太い幹が、空に向かって伸びる先に見える枝は、本当にとぐろをまく蛇の様で一体どのような状況でこんな形になるのかと思わざるをえません。

南志見住吉神社の松8

幹に出来ているコブもそうであるものの、クモの巣かと思わせるように縦横無尽に走る枝ぶりが、何かを求めているのか、それとも唯一無二の存在になった証なのか、何とも言えない存在感を醸し出しています。
本来はおそらく、もっと根元の方まで大きな枝があったのかもしれませんが、折れてしまったのか除伐されたのか、失われているようでした。
もし、それがあったならば、周囲に大きな傘を広げる様な巨体として、さらなる存在感をもたらしたのかもしれないと思うと、少し残念な気もします。

どうしても見上げたくなる樹形ですが、松本来の姿も忘れられません。

南志見住吉神社の松6


角ばった亀の甲羅の様に割れる樹皮。
他の樹木とは少し違う存在感は、もしかするとこの特有の樹皮の存在も一役買っているのかもしれません。
ひだの様に裂け目が入るのではなく、四角や五角、時には六角模様の様に割れ、そしてその割れた樹皮自体の肉厚がコルク層の様にしっかりとしている事から、まるで鎧を纏った武者の様な、そんな印象を受けるのです。
どこか勇壮でありながら荘厳、そしてあらぶるだけではなく端正でもある。
西洋の騎士ではなく、大和武士です。
義をもって生きる、綺麗事かもしれませんが稀に樹皮の間を流れる樹脂が発する、「少し暑苦しく感じるも爽やか」な「アツい男」というような印象は、私の勝手な想像です。

でも、そんな印象を受けるからこそ、どこか憧れてしまうのはやはり本当のところ。


恒例の昌志スケールも、松の雄姿全体をとらえたいがために、私の姿がわかりにくいのはご勘弁。

南志見住吉神社の松9

今改めて見ると、樹幹に灯篭がかぶってるやん(-_-;)・・・
とは思いつつも、灯篭の右にいる私と比べると、この松の立派な佇まいがわかることでしょう。
これだけの存在感を持ち、そして高く伸びる樹高を誇るのはやはり貴重な存在。
見上げたくなる気持ち、わかってもらえるでしょうか。

もう一本の「伴侶」が居た頃は、さぞかし壮観だったんだろうなぁ・・・と今さらながらに思ってはいけないのだけれど、やはりこれだけ立派な存在が、もう一つあったのだということを考えると、余計な欲もでるというもの・・・


色々と想いを馳せながら、松枯れや黒松自体の減少が気がかりな中、やはりいついつまでも、そのあおあおとした枝葉を天の青空に向かって伸ばしていてほしい・・・
そう願って、秋の寒空を見上げる松道中となったのでした・・・

南志見住吉神社の松3


南志見住吉神社の松所在地

石川県輪島市里町9-6付近

社前は道幅が広いので路上に駐車可能ですが、邪魔にならない様に注意しましょう。

同じ境内左奥に、徳利型のケヤキもあります。
また、道路を少し進むと茂みの奥に、立派な椎の木「里の与兵衛の椎の木」があります。(里町9-60手前付近。案内板がありますが私有地と思われるので、立ち入りに注意してください。)


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