空を見上げて
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土と環境と生命力 〜胎金寺山口の天狗杉と奥の天狗杉 2〜

前回の天狗杉(口の天狗杉)からさらに奥。
その名も「奥の天狗杉」を目指します。

奥の天狗杉の存在は、他の記事を見て知っていたものの「口の天狗杉」ですら、道順などなく登っていったら出会えたという程度なので、更に奥に登っていくというのは、道なき道を行け!という様なもので一体どちらに向かえばいいのかわからない不安から、気持ちばかり焦り結局一度目は断念したのですが、なんとか普段はありえない「二度目のチャンス」で出逢うことができました。

胎金寺山口の天狗杉9

奥の天狗杉への道は途中から上の写真のような、かろうじて道(?!)なのかという状態になっていくところもあり、どこまで行けばいいのか?という不安感から相当な距離感を感じてしまうのです。
途中までは道らしき状態を維持しているも、目の前に再度人工林の整然とした林が見えたかと思うと道らしきものは無くなり、一気に不安全開!!
もうあかん、と思いかけるのですが山の上からのわずかな沢の流れを左手に見ると丸太橋がかかっている部分があります。

これを渡って更に登る、という事前情報は得ていたもののどちらにせよ完全に道は無し。
一度目は木橋を渡って左斜め前に向かったものを、二度目は右前方の視界の開けていない方へと足をすすめてみました。
するとしばらくして口の天狗杉の時の様に徐々に空が開けてくるのです。
それを感じて「もしやこっち・・・?!」と歩を早めるとありました!!

胎金寺山口奥の天狗杉1


おほほほほほほ・・・・

人間て不可解ですよね。
第一声がこれでした。
あえて嬉しくて、驚いて、さらに嬉しくて・・・
おぉ〜(驚き)+ほほほほ(喜び)の発音だったようです。

これぞ、山の主!!
天狗が潜む杉に違いないと思わせる様な迫力と、口の天狗杉にはない迫力が迫ってきます。

胎金寺山口奥の天狗杉6

一本のまっすぐとした出で立ちとはまた違う、力こぶを誇るかのようにつきだした枝を天にかざし、他の木々を圧倒する「場」に存在している。
周りには青草が映え、空の光りをうけている事で余計にこげ茶色の風貌が引き立つ上に、口の天狗杉と同様に周囲が開けていることによる存在感で、「来て良かったぁ・・・」の一言。

大きく違うのは、口の天狗杉は女優さん、奥の天狗杉は活力あふれる男性スポーツ選手、というイメージ(私の個人イメージ・・・)。
それは優劣ではなく、どちらも素晴らしいもののやはり印象がかなり異なるということです。
ここまで来る道でも見ることのできる人工林の針葉樹たちは、整然とお行儀よく同じ太さで林立しているのと対照的に、存在感に満ちています。
人工林が悪いのではないですよ。
対象的なのです。
生きてきた年月も、その重みもことなるので当たり前のこと。

胎金寺山口奥の天狗杉4

近くに寄り添うと、なおの事、おぉぉ〜・・・の声。
街中でも素晴らしい巨樹があり、太さでも抜きん出たものもたくさんあります。
しかし、感激するその感情はやはり口の天狗杉のところでも味わったのと同じく、「山」という生存環境が変化する厳しい世界の中で数百年に渡り、その変遷を共にして来た風格がある様に感じるからです。
それとともに、「この環境で、この場所だからこそ数百年の命を得たのだろう」という、偶然の産物でもある儚さすら感じ、根を下ろすと動き移動することのできない命である木々が、人間よりも遥かな時間を生きてくる何とも言えない想いが巡ってきます。

胎金寺山口奥の天狗杉3

まるで周囲の木々が、主の前に整列しているかのような整然とした景色。
もしそうだとしても疑いの余地の無い、巨樹と若木。

奥の天狗杉も、枝は相当な太さですが「口」と同じく、茂らせている葉の多くは遥か頭上の部分に集中しています。
というより、下部は枯れ枝の様相。
前回の通り、これが数百年の命の歴史。
そして、形式的な植林や人工林からえる知識や経験だけでは語れない、その土地の気候と土壌、そして「奥」の実生の運の良さです。

ここでも写真の通り、勾配のきつい斜面の底よりも少し上に位置している事が、数百年の命が始まったポイントだろうと思われます。
現在参加している勉強会で教わり、肌で感じなければなければわからなかったこと。
それがこのポイントで、「奥」の実生がただすごかったのではなく、周囲の環境を含めた状態が良い方向に向かい、今日の姿を見せていることが、山の状態を見る知識を持ってみる事で、確かな確信に変わるのです。

土を知り、水を知り、そしてその土地その山の状態を知れば、木々の生育に関係する環境を理解する事が出来、何が必要でどの様な状態を目指していくべきかが、完璧ではないにしろ見えてくる。
それを数百年単位で実証して見せてくれる存在、それが「口」と「奥」の両天狗杉だと思います。

どうしてこの斜面が出来たのか、どうして廻りの木々に抜きん出て生き続ける事が出来ているのか、また、この場所が開けている理由は何なのか?!
そんな事も語ることなく教えてくれている、そう感じます。

私は牛若丸ではないですが、天狗先生に弟子入りした様な気分。
山の事を少し、いや数百年の縮図を教示してもらった様な感覚です。

胎金寺山口奥の天狗杉5

立ち尽くす、こんな感じかなぁ・・・
冷静に、天狗様と対峙する。
いや、おこがましや。


人間も木も、環境には大きな影響をうけるもの。
それをはっきりと確認し、知識を見識に高める事ができた天狗杉との邂逅。
山とは、自然とは、やはり大きなものだと改めて感じます。
そして、巨樹古木だけでなく目の前に見えている単植生林や放置林などの様々な森の形にも真剣に目を向けなくてはならない事を再認識した次第です。

天狗先生のおかげで少し大きくなった様なつもりになり、「奥」に背を向け山を降りるのでした。

胎金寺山口奥の天狗杉2


奥の天狗杉所在地

文中にもありますが、口の天狗杉から更に上部、登山道らしきものが途切れるまで進むと左手に木橋があります。
それを渡り、更に茂みの様になっている方へ登り、空が開けている部分を目指していくと到達できます。
しかし、「口」とともに目印となる標識などが無い為に順次弊社ホームページの「巨樹古木をたずねる」に位置情報を掲載していきますので、参考になさってください。


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