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え?!在庫品はたたき売り?!

私たち材木屋というものは、在庫を持つことがとても大切「でした」。
でした、と過去形にしたのは、現在では多くの材木屋さんが在庫する事をやめて、大きな倉庫を持たないようになってきたからです。
そもそも以前の材木屋さんは、市場で大きな梱包や丸太をたくさん仕入れてきて、自社に在庫して商売しているところが多くありました。
もちろん、その中には自社に在庫しておくことで木材を使ううえでとても大切な「乾燥」という工程をすすめているという理由もあったのですが、現在は人工乾燥材が主流になっていますので、そう言う意味での在庫の必要性もないわけです。
もう一つ、在庫を持つ理由は稀少材や特価品が出ている間に仕入れておく、というものです。

在庫2


木材は生き物と例えられますが、工場で作る様に「次の生産はいついつ」というように、必要に応じてうまく商品調達出来る場面ばかりではないので、「こういった時に使おう」とか、「こんな現場があった時に無くてはならない」といった理由で仕入れておいたり、こんな木材(建材)がこの値段で?!という特価扱いのうちに仕入れておいて利益率よく販売するということも、在庫を持つ事で可能だったわけです。
もちろん、それだけが理由ではありませんが、在庫というのは商売上とても大切なものでした。

在庫4


でも、昔から疑問でした。
そんな大切なハズの在庫なのに、「在庫してるやつでえぇわ。安いヤツないの?!」という合言葉で、在庫品を安く販売する商習慣があるのです。
建築業界だけなのか、それとも大阪近辺だけなのか?!
先の理由でいけば、在庫品は高く売る事で利益を生み出すことができますし、いざという時の為に先払い費用と時間と場所と、管理の手間までかけて保管している物。
それを、「在庫品=安売り品」という式に当てはめていかれるわけです。
木材は、賞味期限のある食品などとは異なります。

もちろん、安く仕入れている物を大量に処分してしまいたい、という様なものならわからないでもないですが、折角在庫してきたものを安く売らなければいけないという、訳の分からないパターンは不思議の塊でした。
中には、今では入手できない様な材も「こんな古い在庫、処分価格でいいやんか。」と言われる場合や、すぐに入手する事ができない材木の乾燥材なども、頭から在庫品だから安くなる、と思われているケースが未だに多いです。

こんなこと言っては失礼なのは承知ですが、大切に「守(もり)」をしてきた材を処分価格で、という様な事を言われると、木を愛する材木屋としては、販売意欲は全く起こりません。

昔からよく亡き会長に言われました。

会長:昌志よぉ〜。材木屋(ざいもっきゃと発音)はなぁ、カネ貸して(売り掛け)金利をとらへん貸金業、大工さんらに加工場を提供して在庫もして土地代もらわん不動産業、ほんでなによりも重いもん(木材)運んでいって運賃もらわん運送業や。
どうにかしたいのぉ〜。
これでカネもらえたら、どんなけ楽か・・・
お前、なんかえぇ方法考え!

私:はぁ〜・・・・

その時は言葉の意味はわかっても、必死に業務をこなす中で実感としてなかったのでしょうね。今は本当にしみますね、この言葉も。
ふた昔前位までは、それでもなんとかやってこれましたが、これだけ世の中変ってしまっては、上の様な言葉が重くのしかかります。

その上で、べらぼうな金額を頂くわけではないのです。
材木屋をきちんとやっていくには、上の様ない目に見えていないお金がたくさんかかるのです。
材木屋だけとちゃうわ、と言われそうですが・・・
それだからこそ、在庫を安く販売することには大きな抵抗があるのです。

材木屋もスピードと量をさばく時代になって久しいですが、きちんと「材木屋」である為には、木を触り在庫を持ち、真面目に木材に向き合える環境が必要です。
インターネット環境も整って、様々な材が入手できるようになっています。
しかし、その材が届かないとか不足が出たとかいう時に頼れるのが在庫です。
なんでもない様な桧の和室用化粧柱やタモの挽き板、特殊なものでは木曽桧の柾盤やベイヒバの板材などなど・・・
今まで、在庫してたからこそお応えできた要望も数多くあります。

在庫1


その環境を維持するには、在庫も補充しながら販売するサイクルが必要です。
だから、みなさんにもきちんと木材を使ってほしいのです。
在庫を安く、ではなく価値を見出して購入してほしい。
そうすることで、また次の在庫をすることができ、優良な材が少しでも使いやすい状態に近づきます。

在庫品はたたき売りではありません。
材木屋が良い材を届け続けられるように、お互い喜べる価格で購入してくださいね。
喜んで在庫をお渡しできるように・・・

在庫3



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コメント
1. Posted by ウッディ・ヒロ   2016年04月18日 09:13
私も常常感じておりましたので、共感致します。
2. Posted by ウッディ・ヒロさま   2016年04月18日 13:18
コメント有難うございます。
自分の都合や会社事情ばかりを吐露する様な愚痴になってしまいがちですが、共感いただけて有難いです。
真面目に、材木屋として生き残っていけるように頑張ります。
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