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新酒の喜びを木材にも

たまには、話題の時期ギリギリではなく、ちょこっと前位のタイムリーなタイミングで出したいと思っていたところ、やっぱりちょっとすぎちゃったな(汗)。

この時期の話題といえば何を想像するでしょう?!
現在はそうではありませんが、ひと昔ちょっと前のこの時期といえば予約しておいたアレを開ける日、なのであります。
お分かりでしょうか?この時期に予約しておいて「開ける」といえば、もうすっかり日本でもおなじみのワイン「ボジョレ・ヌーボー」です。(正式にはボージョレなんだろうけど、覚えた言葉が一番なじむのでこれで・・・)
世界中で、その地域の新酒が解禁されるのがちょうどこの11月の第三木曜日。

ヌーボー


世界中で一斉に解禁されるわけですが、日本のニュースや新聞もこぞって「お祭り」を毎年恒例の報道をし、そしてどこのスーパーマーケットでも予約販売を大きく打ち出すこのワイン。
果たしてお味の方は?!
毎年日照量が云々とか、熟成していて、とか言っていますが日本でもその日を待つ楽しみ+お祭り、という要素で蘊蓄を語りながら飲む印象がなくなったことも、普及に大きく貢献しているのかもしれないと想像しています。
これも、普及に力を入れた成果だと思います。

毎年やってくる新酒のお祭りですが、ふと木のことを思うと、そんなメモリアルなことがないなぁ・・・と気が付きます。
そこには、農作物はほとんどが1年やそれ未満、ながくても数年で結果が出ますが、木の場合は少なくても数十年経たないと結果が出ません。
殊更、木材の場合は推して知るべし。
安価で提供されている木材たちの多くは、40年・50年以上の時間をかけて育ってきたわけですが、新酒ならぬ「新木」のようなお祭りはありません(たぶん・・・)。

新しい木、といえば他社との差別化や目新しい物を使いたいという意向を持つ設計担当者や工務店さんからは、「なんか面白い木ないの?」とか「新しい木提案してよ」と言われることもありました。
つまりは、あまり使われていなくて木目も特徴的で、しかも安いもの(最後は大阪だけかなぁ・・・)のこと。
そういう意味で言えば、一時代を彩った木材や木質材料というものがあるように思います。

例えば、「ラーチ」。

ラーチ

(写真は、とってもきれいなピュアラーチ幅広無垢一枚物フローリング

これは、今になっては木造住宅に欠かせないものの一つになりつつありますが、構造部材に使用される合板の材料になる「カラマツ」のこと。
今までは「ラワンベニヤ」という主に熱帯産の節が少なく直径の大きな木材を原材料にしたベニヤ板が主流だったところを、技術と根性(?!)で節がありベニヤに仕上げにくい針葉樹をラーチ「針葉樹構造用合板」という形で普及させました。
初めて見た時のことは忘れません。

「外国に腐るほど生えてるんですわ。せやから、ラワンベニヤみたいに輸入量を気にしたり相場に左右されることなく安定供給できますわ。」

商社の営業さんからそう聞いていました。
腐るほど生えてるって・・・
大阪特有の「たいそうな」言い回しにしては、自信満々にそう言っていましたが、いまでは輸入ではなく自国の材料で、しかもラーチ以外で賄わなければならないほどに、材料となるラーチの入荷は減っています。
しかも、価格の下落を防ぐために出荷量を調整してわざと流通不安をあおって価格を高騰させようとするような生産調整(はっきり言っていいよね。誰でもわかってること。)もあって、思いっきり相場に振り回されている商材の一つです。
最初の安定供給はどこにいったんやら。
とにかく減っていることに変わりはありません。
腐るほど・・・だったのに。

その他、ロシアンバーチフローリングのところでお話しした、世に出始めた時の「バーチ単板」の反響の大きさや、代替材料として、こちらも「大きなものでも数量があっても誰でも調達できる」と思われるほど有名だった「ブビンガ」、それから「ヒノキの半値がベイヒ(米桧)、ベイヒの半値がタイヒ(台湾ヒノキ)、その半値がスプルース」と揶揄されていたものの、今では中国人や台湾の人まで日本にて探し求めている「タイヒ」など、一時期をまるでお祭りのように彩った木材も、多くが輸出禁止や流通が途絶えるなどの結末になります。

木材で新しいものを求めるとなると、やはり安定供給ということは切っても切れません。
しかしながら、先に書いているように木材になるには数十年数百年かかる木材を常時供給できるようにするというのは、さすがに人類でもむつかしいところ。
もちろん、近年では世界でファルカタやアカシア、ラジアータパインなど、そして日本ではセンダンなどのとても成長の早い樹種を人工的に植えることで、安定して木材の供給をすることに成功しているというものもありますが、反対に、増えすぎて困ることやもともとの植生を乱してまで植え替えているという現状もあり、一つを満たすためにほかのことには目をつむる、というような状況があります。

販売戦略としてのお祭りの必要性は高く評価しないといけないかもしれませんが、やはり私は大切に一つ一つ販売していきたい気持ちが強いことを改めて感じます。
大量に提供できる木材をいつでも同じ価格で提供するだけでは、買ってもらう喜びを見出す部分はありません。
木を手にする喜びを感じてもらうために、大きなお祭りという「花火」ではなく、後から感じる「あぁ、選んで良かった」という家族の喜びが見たいのです。

最近でも、床に汚れをつけてしまった娘さんが、叱られるであろうパパの帰りを泣きながら待つほどに(本当らしい・・・)大切にしてもらっている御宅に伺いましたが、それほどに思っていただく価値をお届けしたいのですね。


そんなこんなで流行とは縁遠くなった私は、この時期にはヌーボーに少し金額をプラスして全く違うワインを買っています。

ワイン1


そう考えると、20代でお祭りを味わっていたころとはずいぶん変わったなぁ、、、なんてちょっと寂しくなったりしますが、まぁ、一時の楽しみではなくとっておきの楽しみに変わったということだと考えて、大切に味わう瞬間を待つのです。
そう、そのとっておきこそが「選んで良かった」です。

大切に育てられた木に初めて触れるときのように・・・


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