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桐(きり) ~繁栄する成長と最も軽いの始まり~


私が日頃扱っている様々な種類の木材には、それぞれ様々なストーリーがあり、いろいろな個性を知ることができます。
そんな中、ストーリーよりも独特な個性が際立っている樹種というものも多くありますが、今回取り上げる「桐(きり)」もそのうちの一つではなかろうかと思います。
その理由は、「軽い」ということに尽きるでしょう。

桐 キリ 学名を Paulownia tomentosa 、英名もpaulownia (またfigwort prinsess tree )

日本語の読みは、木理(きり)と書く「木目が美しい」という意味の言葉から来ているというものと、植えて太らせてから一度伐るとそこから勢いよく葉が出て、それを幹として通直にして材とする台切りという方法によって、最初よりも栄えるということから「伐り=キリ」となったという説があります。
後者は確かに納得のできるところはありますが、通常でも成長が早いことで知られる桐が、一度伐ることによりさらに成長するというのはすごいことだと思います。
その成長が早いことと、さらなる成長をなすことから「繁栄する=縁起がいい」ということにつながっていくのが、次回にお話しする高貴な木材にもつながっていくのかもしれません。

桐2

学名の中の属名である Paulownia は日本植物誌を記したあまりにも有名なドイツ人医師シーボルト(植物の学名には多くのその名が出る)の後援者であったオランダのアンナ・パブロナ女王(Anna Pavlovna)にちなんだものであり、 tomentosa は密に細繊毛のある、ということに由来するものです。

一方中国名表記は、毛泡桐若しくは白桐であり、少しイメージがわかないところ。
それもそのはず、桐は世界で7種あるうちの6種が中国大陸にある(うち1つが日本)中国原産と言われている(一部大分県や鬱陵島に自生しているといわれるし、弥生・縄文の遺跡からも出土しているらしいが)ものの、中国でいうところの桐は梧桐(アオギリ Firmiana platanifolia)という葉っぱが桐に似ていて幹が青いアオギリ科の木を指していて、日本のそれとは異なる上に、桐には木材のお決まりである、「その名がついていても別樹種パターン」が多く存在し、先の梧桐をはじめとして、刺桐・針桐(ハリギリ、ウコギ科。葉の大きいところが似ているが枝に棘がある。木材でいうところの栓)や飯桐(イイギリ科、葉の大きさが似ていることと、葉で飯を包んだことに由来。)、油桐(トウダイグサ科、葉や実が桐ににていて種子から油を搾る)、緋桐(ヒギリ、キリ属ではないクマツヅラ科)など、同じ科属ではないのに、その名を名乗るものが多いことからしても、イメージだけではその樹種は語れないというところだと思います。

ややこしい話はここでいっぺんにしておきましょうか(汗)。
桐の学名分類においては様々な表記があります。
書籍によってや編者によっての違い、時代によっての違いが見られますが、従来はゴマノハグサ科 Scrophulariaceae というほとんどが草であるものの仲間に分類されていましたが、ものによっては最近になってノウゼンカズラ科 Bignoniaceae とされているものも出てきています。
話題のひとつとして、桐の材の心材が空洞になっていることから、桐は木ではなく草の仲間である、とされることもある髄芯をもっていることも特徴の一つになっています。

桐4

さて、材としての桐は言わずと知れた、日本で最も軽い木です。
なんでもそうですが、「もっとも○○」というと一つに限定されているように感じてしまいますが、生きている樹木では必ずしもそうではありません。
なにせ同じ樹種でも生育条件や環境によって異なることがたくさんあるんですから。
その証拠に、日本で最も重い樹種にはイスノキをはじめ数種があげられますから、いつも困る・・・いやいや、そのことを説明するだけで話題性に事欠かないわけですが、もっとも軽いものについては、この桐が一つの樹種として挙げられるために、不動の地位を築いています。
また、あまり意識されてはいないと思いますが、桐の持つもう一つの一番候補はその「葉の大きさ」です。
若木の葉の大きさは、日本の樹木の中でも最大のものの一つと言われ、幅94僉!というものもあったとか・・・
赤ちゃんなら隠れてしまいそうな大きさですが、葉が大きいということは光合成の効率や光を拾える確率も大きくなるでしょうから、その成長の速さの一因になっていることは確かなのでしょう。

木材として最も軽い、というのは木材の重さを知るために用いられる「比重」という言葉に置き換えると、水に沈む木材(日本で最も重い部類の木材)で、およそ1,0くらい。
それが桐の場合は平均0,3!たかが0,7ですが、比重という単位を知っていると驚きの軽さを持つ木材であることが理解できます。
まぁ、それでも用材の中では世界で最も軽いとされているバルサ(これはもう発泡スチロールそのもの)には及びませんが、その代わり、桐にはバルサにない強さをはじめ、様々な長所があります。
それを次回から少しずつ紹介していきましょう。

桐6


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