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その理由は 虫つかずと狼よらず 第二部「サカキ・榊」

おがらで感じる夏をお伝えした前回に引き続き、今回からは季節ではなく神仏を感じてもらおうというシリーズに転換?!していきますよ。

はたして皆さんのおうちには、どれくらいの割合で仏間や荒神さん(台所の神様)のスペースがあるでしょうか?
私もとっても好きな歌、「トイレの神様」にもあるように、トイレにも台所にも神様がいて、見えないしご利益が期待できるというものではないのに、とっても大切にしてきた日本人。
八百万(やおよろず)の神様という考え方のある日本人ならではの心内ですが、それでも住宅にかかわっていても、現在ではそういった考えもあまり聞かなくなったような気がします。
そのように、生活の中に神様との距離が近かった日本の中で、今でも神様を感じる木というとこのサカキで、花屋さんでお供えするために売られているサカキが花筒にあるお宅も少なくないと思います。

サカキ2

脱線しそうですが、今回はそう言った神様のそばにある樹木の一つである榊(サカキ)をクローズアップしてみましょう。

漢字では栄樹→よく茂る常緑樹、境木→神域(天津磐境)の木、賢木→神聖な木などの字があり、一般的に知られている榊は当て字のようで、日本人のこの木に対するイメージから作られたものだといわれています。
もっとも、万葉集などにも登場するこの「サカキ」は、昔に枝葉を神事に使ったものの総称だったということですから、やはり今使われる木編に神様と書く「榊」の字がもっとも適しているといえるように思えてきます。
もともと常緑樹というのは縁起がいいと考えられることが多いことをみても、結びつくのはそう難しくはなかったのでしょう。
今のように暖房器具もない時代に、寒い冬空にでも青い葉を茂らせる生命力の緑に神の存在を感じたのかも、しれません。
その名残からか、今でも枝葉を神前の玉串に使われるのは建築の際の地鎮祭などで目にする機会が多いものです。

地鎮祭

学名を Cleyera japonica 英名を Japanese cleyera
Cleyera というのは、長崎出身のオランダ商館館長で医者でもある Andreas Cleyer(アンドレアス・クライヤー)に由来しています。
中国名に、楊桐(または紅淡比)というものがあるそうですが、もしこの感じしか表記されていなかったら、桐の仲間か?と思ってしまうに違いありません。
木や木材というのはそういうもの。
まったく異なった樹種でも、世界が変わると似たような名前がつかわれていたりする・・・日本でもイヌ○○(樹種名)などの表記がありますが、もちろん外国の方が日本語を見ると同じ誤解をされることでしょう(というか、普通に勘違いしますから)。

ややこしいついでに出しておきますが、ツバキ科サカキ属であるにもかかわらず、神奈川地域の方言では「イス」と表現されるそうなので、あの日本でもっとも重い木のうちの一つである「いすのき」のことであると、勘違いしないようにしたいもの。
いや、冗談ではなくイスの木の赤味と白太の色合いをしらなければ、そういう名前がついているからには「イスの木だろう」と思うに違いありません。
木材にはよくあること、だから方言や別名をも知っておきたくなるわけです。
また、南近畿以西にて「カミシバ」という呼び方もあるそうですが、これはおそらく榊の材の用途の一つに「薪炭材」があり、シバ=薪という意味からきているのではないかと推測しています。
弊社でも昔から、お風呂屋さんへ譲る薪や自宅で使う風呂の薪などにする木を「シバ」と呼んでいました。
私も語源まで聞いた事がないのですが、生活の中で普通に聞いていたその言葉のニュアンスとしては「燃やす木」という意味でつかわれていたように思います。
燃やすというのは処分する、という意味ではなく燃料として利用するという意味です。本当に、生活の中にあった木の最終利用方法の一つですね。
それが「シバ」だったように思います。

サカキ 4

大きく脱線してしまいました。

アジアには、この種が1種あるのみというサカキ。
実は、日本で私たちが神事で用いているサカキには2種類あるのだとか。
1種だといっておいて2種とはどういうことか?と言われそうですが、関東以北ではヒサカキ族のヒサカキ(姫榊、非榊、 japanese eurya )が代用されることが多いといいます。
それは、そちらのほうが寒さに強いためだそうですが、「葉の縁に鋸歯がある」などという違いを気にしてみることはないと思うので、気が付くことはないかもしれません。
姫榊というのは、サカキに比べて小さいから、という理由からですがその名を聞いただけでかわいらしく感じるのは、日本語の妙ですね。

どうしてもその枝葉のほうに話が移るサカキですが、木材としてみたときには意外な一面もあるのです。
材質は散孔材(導管という組織が散らばっているもの)で淡褐色の材面でありながら、比重は0.68〜0.78という、どちらかというと重硬な部類だと想像できるような数値を持っています。
それは、その木材としての用途にも現れていて、器具の柄や櫛、としての利用があったと記録されている強靭硬固さを持っている材です。
もちろん、そのほかにもやはり神仏に関連した用途があり、私も実物を拝んだことがないのですが、お伊勢土産の伊勢参宮箸はサカキで作られているといいますし、笏(しゃく)としてもその用途があったことからも高貴な木材であることが想像できます。

サカキ 3

サカキの木語は「神を尊ぶ」。

サカキは、天照大神がお隠れになった天磐戸のお話にも、天香具山(あまのかぐやま)からとったサカキに飾りをするという場面があります。
神話の時代から続くサカキ伝説。
その続きは次回の樒へつなぐ・・・


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