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フローリングの前に触れておかなければいけない、チークの話


木材が原材料になっている家具や楽器、建築材などの樹種解説でたまにみかけることがある「世界3大○○」という様な表記。
世界中で使われてきた、ということを強く印象づけるのにはとてもインパクトのある表現だと思います。
因みに、世界3大銘木として流布されるのが「チーク・マホガニー・ウォールナット」。

それぞれが個々の個性を持って、またその特殊な性質によって賞用されているのですが、その中でも材の木目の美しさよりも(もちろんそれもありますが)その特性を利用されている樹種といえば、やはりチークです。

チーク5


学名をTectona grandis

あまり聞き慣れないクマツヅラ科という科目の樹種ですが、木材としての知名度が高いのは先の形容でもお分かりの通り。
雨季と乾季のはっきりとした(雨が多いと木材の質的に劣ると言われる)熱帯アジア各地の季節風林を中心に分布する樹木で、木目はケヤキやタモの様な一部環孔材的な要素を持つ穏やかな表情。
マホガニーやウォールナットも優しい表情に、落ち着いた色合いがあり海外の洋風建築にとてもよく似合うのですが、チークはそれとはまた異なり濃い茶褐色
から金褐色と言われる様なシックな輝きを感じさせる木目と、何よりも無塗装の状態であるにもかかわらず、オイルを塗り込んだような油の様な手触りがあるのが大きな特徴。

チーク6


ウッドデッキなどの外構材として有名なイペや、世界でもっとも重い木として名をはせるリグナムバイタを触ったことのある人なら想像できると思いますが、それと似たネットリ感があります。
いや、似てはいるもののそれとも一味違う触感。
そう、まるで蝋燭をこすりつけた後の様な感覚。
その油や蝋のような感覚を感じさせるチークの材は、木製タールを含み鉄の錆や腐れを防ぐとともに、チーク材自身も塩害や湿気、酸にも耐え、摩耗しにくく、海中で木材を穿孔するフナムシにも耐えるためにもっぱら船舶用材として重用されてきました。

チーク1


そこで、チークに関するうんちくをひとつ。
ミャンマーやタイでは、チークの搬出に象が使われていたのですが、その時代でも製材所までずっとゾウというわけにもいきませんから、筏を組んで川運搬に任せていたようです。
すると中には6年かかって流れ着いたものもあるそうで、それでも腐らなかったといいます。
これにはもちろん、腐れのメカニズムが関係しているからだと思うですが、なかなか面白いお話ではありませんか。

その材質に関する逸話でいうと、チークは伐採前に地際の樹皮を剥いでそのまま乾燥させるといいますが、数年間そのまま置いていても伐採丸太の強敵であるカミキリムシが入らないという話があるのは驚き。

皮付きのままで木材を放置しておくと、皮と木質部の間から穿孔される確率が高いですが、数年間も問題ないというのは材木屋には驚きです。
ただ、後述する造林のおかげで単純林で育つようになり、造林地でビーホールボーラーなるチークにつく穿孔虫が多くみられるそうですから、増やし過ぎるのもいいかもしれませんね。


日本でいう木造の「浮宝=船」といえばスギですが、スギもここまで強力な個性を持っているわけではないので、船という用途に関してはやはりチークは最適な材の様です。
まだ海洋交易が盛んなころは、中国の新茶を運ぶ船が多くあったそうですが、その中の一隻「カティサーク」は総チークづくりだといいます。
どんなものかと想像もできません・・・
何故こうも船舶に好まれるかというと、チークは船舶の甲板材としての用途も有名ですが、その美しい材の化粧性も好まれ、豪華客船クィーンエリザベス鏡い忙藩僂気譴燭蝓海にとどまらず陸の豪華列車オリエント急行にも使われているほどに、稀に見る才色兼備?!な木材だからです。

オリエント急行


スギが出てきたついでに思い出しましたが、チークは屋根材にも使用されます。
もちろん、雨ざらしにも耐えるという耐久性からですが、家の耐用年数を超えて残るために再利用できる、とまで言われる今風に言うとサスティナブルな材料ということか。
一方のスギも、銘木として有名な屋久杉が屋根材として使われていたことは、意外と知られていないかもしれませんね。
木目が細かく油分に富む屋久杉は、一般的なスギに比べて格段に朽ちにくいことと、針葉樹なので鋸挽きせずとも山で簡単に割ることができる為に、人力で運ぶことのできない巨木は、その場で屋根用の割板にして搬出されていたのです。
現在はどこの家屋にしようされているのか定かではありませんが、以前は「屋久杉葺き」の屋根板があちらこちらにあった?!そうです。
チークにしてもそうですが、考えただけでなんとも贅沢です・・・・

しかし材のみならず、屋久杉級のチークも存在するようです。
世界最大のチークはタイにあるそうで、直径3,2m、高さ37m、樹齢1500年の古木だそうです。
1500年て・・・死ぬまでに会いに行きたいものですが、いつのことやら。

また、チークが銘木といわれるのは何も耐久(朽)性が高いからだけではありません。
強靭で茶褐色の木目が美しく、寸法精度の狂いが少ない事からあらゆる点で優れているために、銘木として称され最高級材(稀少材を排して)の一つとして好まれているのです。

チーク2


一つ興味深いのは、日本にもそのチークを使った建築があるという事。
それもお寺です。
えぇー?お寺にチーク?!と思われるでしょう。普通はヒノキ?となることでしょう。
しかし、そのお寺はチークだといいます。
実は私もまだ訪れたことのない、近くて遠い場所京都にある萬福寺です。
そこはなんとチーク造りのお寺でインゲン豆で有名なかの隠元禅師の開山で、1661年創建だといいます。
近いうちに見学に行きたいと思っています。

しかし、それ位優秀な樹種ですから木材としての需要が逼迫するのはだれもが予測できるところ。
その為に、天然林分布以外にも多くの国で植林がされてきました。
その国の一つがインドネシア。(天然林もあるそうだけれど・・・)
ミャンマーを始めタイやラオスといった主だった産地以外で、現在安定してチークを供給できる国として、知られています。
木材の常である、優秀な木材程枯渇の危機に瀕するという状況。
ブラジリアンローズやマホガニーも同じ。
その為に、造林されていたり材面や性質の似た代用木材が利用されるのが木材の世界。
そこでは、チークとは異なる樹種も○○チークという名前になったりして流通するわけですが、次回に紹介するネシアンチーク幅広無垢フローリングは、代用材ではなく安定して供給できるインドネシア産のチークを原材料としています。
もちろん、ちゃんとしたチークですから「しっとりねっとりの手触り」も感じる事ができます。

ただ、今までに列記した様な「チークのイメージ」を納得される様な知識を持った方には、若干イメージとは異なるかもしれませんが、それこそ天然の木材の世界。
産地の違いによる木材の違いとしての味わいを感じてもらいたいと思います。


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