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それは誰のせいなのか・・・漏れ聞く言葉


昨日温かな空気の中、街を車で走っていると少し規模の大きな新築の木造住宅が、上棟して2日後位の状態で大工さんが作業していました。
私にとっては見慣れた光景ではありますが、そこに通りかかった60歳代くらいの奥さま二人から聞こえる会話にふと耳を引っ張られました。

「家ってすぐ建つねぇ。早くできるもんやね。」という言葉。

確かに、最近の住宅建築は工事期間が短くなって驚くほど早く完成します。
以前に弊社工事で近隣ご挨拶に伺った際に、工事期間のお話をしたときには反対に「そんなにかかるの?!」と言われたことがあります。
それは、上の様に「すぐにできるもの」ということを視覚的な知識として持っておられるからだと思いますが、そう言われる位に「すぐできるモノ」になってしまっていると感じます。

施工2


そう、決められた「モノ」を「買う」というような状態になっていることが、「早い」要因の一つだということを、その言葉を発する人たちは理解していないことがいつも残念です。
弊社にて木材や無垢フローリングを選んでいただくときもそうですが、急ぎ過ぎると大切なことを見落としてしまいがちになるので、しっかりと余裕を持ったスケジュールで望まれる事を案内しています。
それは建築工事に入っても同じこと。

建築工事において、進行スピードを現在と昔で同じ様に比べるのは違う点が多すぎて無理だと思いますが、少なくとも現在の工事は「急がないといけない」事に変わりはありません。
それは、急いで早く済ませないと売り上げが残せないからです。
建築の場合の多くは、単に商品の動きだけではなくそこに人の作業というものが付随しています。
それは、商品代金以外に人が仕事をする作業料が必要だということを意味しています。

家は、商品である部材を組み合わせて出来るように思いがちですが、その部材を組み合わせていくのが職人さんです。
そしてその職人さんが多く必要になればなるほど、多くの作業料が必要になるわけですが、現在では出来る限りその作業料を減らせるように工夫され素早く作業できるような工夫が随所にあります。
商品の工夫だけではなく電動工具などもそのひとつです。
フローリングも手間のかかる無垢材ではなく、構造材は機械で加工されたものを組んでいける、手で一つずつうちつけていた釘がエアーの釘打ち機で楽に連続的に打ち込んでいける。
そのような形でどんどんと「スピード」を上げてきて、スピードが上がるにつれて必要のなくなった作業料の分が安くなり、住宅のスペックは大きく向上しているはずなのに、一棟の建築費自体は上がらない=その差をどこかで相殺しないといけない=作業料を減らして回転率を上げる、かかる費用を減らす、といったようサイクルになるのも、「早く建つ」一つの要因だと感じます。

早く建てたいのではなく、早くしないといけなくなった。その方が正しいかもしれません。
もちろん、職人さんにすれば素早く済ませた方が多くの仕事をこなせるために早く仕事をしたい気になりますが、その分手間のかかることや時間をかけなければならない丁寧なことは嫌がる様になるのは、当然。
そのため私の業務でいえば、無垢材の施工にかかる手間や時間を敬遠する人、加工を面倒だという人、無垢はすすめないでほしいという人、予算オーバーになるという人、様々います。

施工


建築に携わっている人の中には、きちんと丁寧に仕事をし時間をかける人も勿論いますが、先の奥さまが見た現場は、少なくとも「早くしないといけない」現場であることは言うまでもありません。

早い仕事が悪いのではなく、急いで無理に早く済ませることは良くない場合が多いために、できるだけ無駄は省きながら時間をかけられる、そしてその時間分の作業料に配慮できるようにお施主様が気を配ってもらえれば、きっといい建築が相応の時間で出来るはずです。

驚くほどのスピードよりも、安心できる住み心地のために「早く建つことに対する驚き」を、「時間をかけられる余裕」という感覚が作られる様な建築環境になる様に、お施主様含め皆で考えていくべきですね。
私は木がいい、無垢がいいと考えるからやはり木を使ってもらいたい。
その為に必要な時間や手間を説明するのも一つの仕事。
喜んでもらえる住宅づくりのために、お客様、少し時間をください!

信号ストップから出発までの間の短い時間に浮かんだボヤキになってしまったけれど、これが正直なところ。
誰のせいでもなく、誰でも変えていけるところ。
早く建つねぇ・・・からだんだん出来てきたねぇ・・・にしたいなぁ。




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