空を見上げて
トップページ » 木もやっぱりネームバリューが必要?! ノーベル木材賞(仮)

木もやっぱりネームバリューが必要?! ノーベル木材賞(仮)


色々と事情があって、ここ数日全く記事を更新できない状態が続いてしまったことに反省。
なんとか時間を割いていってはいるものの、忙しい、というものではなくて一日の決まった24時間のなかで確定的に時間を拘束されてしまうともう、他に削るところが無くなってきて「あぁ、今日も明日になってしまった・・・(日付が変わった)」という状態が日常的で・・・・

そんな弱音を吐く中、きちんと書いておきたい記事があったのですが、つい遅れてしまいました。
その記事というのは、私も親交頂いている森林ジャーナリストの田中淳夫さんが、Yahooニュースに出されているもの。
その題「森のノーベル賞に日本人のセルロースナノファイバー研究が受賞」でした。
さすがに読みたくなる表題です。
セルロースナノファイバーについては、セルロース=「食べられる」とか、ナノファイバーはカーボンファイバーの次に注目されている日本を代表する新技術である、など過去に何度かとりあげてきましたが、それらを含めた大きな意味でのセルロースナノファイバーとそれを取り出す技術などに対して、「森のノーベル賞」が与えられたという記事です。

実際の記事はこちら

以降、少し田中氏の文章を参照しながらすすめていきましょう。

賞の名は、マルクス・ヴァレンべリ賞。
森林や木材化学の基礎研究や利用技術の開発を奨励するために誕生したもので、ノーベル賞と同じく、スウェーデン国王から授与される!という。
だから、森のノーベル賞か・・・確かに印象に残るキャッチコピー。

受賞の内容は、田中氏の記事を参照してもらうとして(難しい表現もあるし・・・)、この受賞研究の中で、一つ私でも知っているうちのすごい事というのが
、セルロースを今までより遥かに少ないエネルギーで均一にナノファイバーにすることのできる様になったという点。(これが受賞内容の様だけど)

利用への可能性にとても期待されている(あんまり知られていないかもしれないけど・・・)このセルロースナノファイバー。
これを作るには、木材(もちろんその他の植物なども含めて。以下木材と表記)を構成しているセルロースという物質を、文字通りナノサイズのファイバーにしないといけないのだけれど、とっても優秀な物質であるセルロース・・・そんなに簡単にはファイバーになってくれないんですね。
だって、セルロースは木材を構成する代表物質。
簡単に言うと、このセルロースがリグニンやヘミセルロースという接着剤の様な役割と結びついているからこそ、バルサの記事でも書いたように「軽い割には強い」材料である木材が生まれるのです。
また、樹木が50m、100mという高さまで成長して自分を支えていられるのも、やはりセルロースをはじめとする細胞のおかげ。

栢野の大杉 2

それに、動物それも私たち人間も、有機物を消費して生命活動をしているのが当たり前乍、樹木は土中から水と養分(無機物)を吸収して光合成をすることで樹体という有機物を構成していくことのできる「無から有を生む」、まさに神がかり的な(神秘的な)存在であるんだから、やはり巨樹巨木に出会った時の神々しさは至極当然かも・・・・
そう考えると、樹木はとっても永生きで、とても大きく成長して、とても強靭でしかも、それが単純にいうと太陽と水と栄養分で作られるんだから、動くことも話をすることも無いかもしれないけれど、本当はすごい存在なんですよ


これも以前の記事で書きましたが、人間にとって分解が難しいセルロースを簡単に分解する存在として、菌類のほか特殊なエビ、身近なところでは白蟻がいます。
取り出しに手間と費用の掛かるセルロースが注目されているとしているところ、今回はそれらによるところではなく、「特定の酸化反応を利用したところ・・・」とあるので、いよいよ産業的開発や利用に拍車がかかる様なステージに、セルロースナノファイバー類が上がったことになる様子。

セルロースなんちゃら・・・と聞いて萌えるのは私のような一部のマニアで、今木材というとどうしてもバイオと名のつく燃料(エネルギー)系に走りがちですが、確かにそちらも一つの道ではありますが、燃やして無くしてしまうには惜しい存在、それが木材です。


しかしながら、本当のところ一番驚いたのはこの賞を設立したのがなんと、当社でも日頃製品を扱っている大手木材会社「stora enso社(ストラエンソ)」だというのだから驚き!!

エンソ


いや、皆さんにすれば何が驚きなのかお分かりにならないところでしょうが、この会社、日本で一時期偏った情報で悪い意味で有名になってしまった「ホワイトウッド」の製材品を日本に輸出している会社である。
建築現場ではほぼ、どこでも目にする白い木材がそれである。
私も日頃販売品目として取り扱っているから、「エンソ?!え?製紙?!」と驚いたのである。
そう、製材ではなく製紙、と出ている。
恥ずかしながら、北欧からホワイトウッドを輸出している会社の多くは製紙がメインの会社で製材品の比率は決して高くなく、その為今回の社名にも「製紙」がついていたという事。

ひぇえー、日本にも製紙会社の持っている森はあるけれど、日本を席巻している木材を輸出しているところの本業が製紙であるとは恐れいりました。
いや、驚いたのは製紙だからではなく、日本向けにじゃんじゃんホワイトウッドのシェアを拡大している会社、というイメージだったのに、この記事を読んで一瞬にして「なんていいことしてるんだ、この会社」と都合よくイメージ転換させられてしまった情けない私。

受賞賞金は3000万円とある・・・
うーむ、やっぱりすごい会社だ。
いやいや、そんな金額に関心するのではなく、日本もいい加減にホワイトウッド(最近も言われた・・・)を批判したり外材(がいざい=外国産材)という呼び名で悪者のように扱うのはやめて、こんな賞を創設して世界的に表彰するくらいの活動が必要だと感じるけど、無理かな・・・
その前に日本ではもうちょっと使う人と施工する人と販売する人と・・・えーっと、生産する人育てる人、みーんなが森や木材について意識を共有して高めないといけないな。

しかしながらとりあえず、受賞におめでとうございますと、更なるセルロースナノファイバーの技術革新のスピードアップを期待したいところです。




トラックバックURL
コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星