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何気なく使われる世界で一番 〜バルサ〜


木材を一般の方に紹介したり、伝えたりする際によく言われるのが木工。
いろんなものをつくる体験をすれば、その材料への興味関心が深まるからですが、対象が子供の場合、中には工作が不得手な子が必ずいて上手くすすめない場合もあります。
実は、私もそちらの部類だったので遅れている子はとても気になるので見てあげるのですが、大人になって実際に遅れている作業を見ていると、決してその子が悪いのではなく、寸法の合わせなどをきっちりとしすぎて手間どっていたり、材がたまたま堅い部分で大人でもなかなか釘が打ち込めなかったりしているという理由であることがわかり、フォローしてあげるのです。

一方、木工と言えるかどうかはわかりませんが、私自身も経験のある子供向けのゴムで引っ張ってとばす様な、簡易組み立て式飛行機などに使われていた木があります。
おそらく、男の子の多くは何気なく子供の時の工作で使っているであろうもの、その名はバルサ。
どこからともなく、「エルサ?!」と聞こえてきそうですが、どこかの映画とは違い氷の魔法は使いません。あしからず・・・

バルサ4

しかしこうやって塊で見ると、木材だということを視覚的に認識するはずですが、工作などにされる場合には大抵数mmの板や数cmの棒状にされていたりするので、木材という感覚を無くしてしまいそうです。

私がバルサを初めて使ったのが飛行機製作キットだったと思いますが、やはりその頃から材木屋の息子としての目で見ていたのでしょう。
材木なのに、こんなに軽いのか?!もしかしたらスポンジみたいなものか?!と思った事を記憶しています。
いや、実際に持ってみてもそうですし触れた感触もまるでその通り。
木材だ!と思っている人間の先入観というのはおそろしいもので、掴んで持ちあげようとすると力を入れすぎて拍子抜けするくらいの軽さです。
もちろん、スポンジだと認識していると、目から入る情報の経験上で力の入れ具合を調節出来るのが人間のすごいところですが、バルサは木材に対するその「経験」という情報を遥かに上回る軽さ!といえば伝わるでしょうか・・・

その軽さは、大人であればこんなこともできるくらいです。

バルサ1

どうだ!力持ち!!
そんな絵面になっていますが、実はまったくそうではありません。
これはバルサの1mの角材をまとめた梱包ですが、力など必要ありません。
少し持ちづらいですが、こんな梱包でも軽々と持つことができます。
女性でも持てます。
やらせではありませんよ。
嘘だと思うなら、是非さわりにいらしてくださいね。その軽さを体感できますよ。

ちょっと木材のことを知る様になると、必ず聞く名前であるでしょう。
なぜならバルサは、「世界で一番軽い木材」と言われているからです。

英名 Balsa パンヤ科(アオイ科とされているものもある)の近似した数種ある Ochroma 属を一括して出荷されているものの商業名として使われているけれど、先に挙げたように、その名は木材のことを勉強しだすと早いうちに覚えるであろうものの一つです。
一般的には Ochroma lagopus が独立名で O.pyramidale や O.limonensis ・ O.tomentosa は同種の異名とされているようです。

その木材の芯材は白から淡紅色、辺材は黄白色ですが、おおむね黄白色のイメージが強いと思います。

南アメリカのアマゾン流域や中央アメリカ、西インド諸島にかけての熱帯アメリカに広く分布している材で、古くはエクアドルが代表的な産地となっていたそうです。
熱帯産の木材には、とっても樹高が高いものやとっても太いものなど、サイズの大きいものが多いのですが、このバルサは「成長が早い」という特徴を持っています。
排水のよい土壌を好み、十分に空間があるといった成長に適した土地で育った場合、5〜6年で樹高15m強、直径60〜70cm位になるといいますから驚くべきスピードです。

普通に育つと樹高は20〜40m以上、直径は50〜120cm程になるといますが、この成長の大きな開きが、「世界一軽い」と形容されるバルサの軽いだけではない、もう一つの特徴かもしれません。
上に挙げた様な、成長最適地と異なる場所で育った場合は極端に成長が悪くそのまま樹齢が高くなったものは、バルサという名前から想像するより材は重く、材にも色がつき価値は低くみられるといいます。
特徴的なその軽さと均一な黄白色が特徴な材だけに、その特徴がないと価値がない、ということか・・・
いや、いつも言っているように木の価値は人間が用途によって決める物です。私みたいなマニアは重くなったバルサというのも体験したい気になるのですが・・・
価値、というのはやはり商業的な意味合いが強いですから、木を使い尽くす、という意味では「それ以外の価値」を見出す必要性を強く感じます。
もちろん、それも私の仕事ですからこうやってどんどん紹介していくことが第一歩です。

バルサの成長の早さは本当に特筆すべきところで、造林されている地域での収穫伐採サイクルは4〜6年といわれていますから、驚くべき速さ。
日本では、建築用材として期待して造林されたスギが現在何かと話題になることが多いですが、それは40〜50年前に植えられたものなどが現在伐採期に入っているといわれますが、単純には比較できないものの、収穫伐採できる年月を考えれば、バルサはほぼ1/10の期間で行われているというのは木材という中で考えると以上に早いと考えられます。
もちろん、同じ用途ではないことなどは考慮すべきことは再度、言うまでもありませんが・・・


バルサはその軽さゆえの特殊な用途があるので、通常の木材で注目されるような特徴的な木目や、加工後の仕上がりの良さなどはあまり語られることがありません。
一般的には肌理は中庸から粗く、しっかりと仕上げると光沢はあるものの、この木目がきれいだ!、というようなアピールポイントにかけることは否めません。

バルサ2


しかしながらあの柔らかい感触と触り心地は、他の木材には無いものでそれだけでもアピールポイントとなっているからでしょう。

先ず、そんな使い方はされないでしょうが、白っぽい木材全般に言えるように、想像通り材の耐朽性は低いので注意が必要?です。
木材の耐朽性を左右する菌類や食害虫にはとことん弱いのです。
ただ、バルサは木材の特徴を具現化している樹種だという事もできます。

木材は、鉄やコンクリートに比べてその重さの割に強い、という比強度の高さをアピールしますが、バルサこそその筆頭でしょう。
スポンジのような軽さと感触がありますが、模型飛行機や実際の飛行機の部材にも軽量で強度がある部材として使われていたことを考えると、比強度の高さというものを表していることがよくわかるというものですね。



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