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眼下にうつるは雪か畏敬の眼差しか・・・ 石徹白のスギ


やっと逢えたね・・・

大阪の普通の男である私にとって、そんな綺麗なセリフは毛頭似合いませんが、この前でだけはそう言わせていただきたい。

その存在を知ってかれこれ10年以上。
意外と昔からほど近くまで行っていたにもかかわらず、逢いに行く機会がなかったのですが、今年になって一念発起!、というかやっと時間ができたので訪れる事ができたのが、超有名なこちら・・・

石徹白 5


巨樹の本はもちろん、巨樹巨木巡りを趣味とされる方の中には、この樹に出会ってから巨樹巡りに目覚めたという方も少なからずいらっしゃるほどの影響力?をもつこの巨樹は「石徹白のスギ」。
縄文杉発見までは、日本有数の杉の巨樹として注目を集めていたそうですが、「屋久島」というブランドと世界遺産登録の影響か、どうしても屋久杉の方に目がいきがちになってしまう傾向がありますが、それでもご覧の通り巨樹を見慣れている人間でも、その「力の限り生きてきた!!」と言わんがばかりの存在感には一目置くことでしょう。

石徹白 4


おそらく巨樹の写真集や関係本を少しでもみられていればご存知であろうか、と思ってしまうくらいに有名、と想像します。
何せ樹齢1800年です。
そして国の「特別天然記念物」に指定されている上に、白山国立公園に所在することも特別感を大きくしている一因でしょう。
有名にならないはずはない、と言ったところです。
特別天然記念物は、特別とつくだけあって通常よりも更に価値の高いものに用いられる称号。
大きいだけではもらえない「冠」です。

私が今まで紹介してきた中では、蒲生のクス杉の大スギがそれにあたります。
どれも存在感あふれる巨樹でしたが、今回も勝るとも劣りません。

石徹白 7

私の訪れた時は目前に現れたと思った途端にどしゃ降りの雨で、なかなかうまく撮影することが出来なかったことと、光の具合により目視とは違った印象の写真になっている部分もありますが、雨がなければもう少し樹皮が白骨化している様な印象を受けることでしょう。
それが余計に風格を感じさせている所以ではありますが、果たしてどれくらいの生命力を保っているものか・・・
木挽きさん(大きな鋸で、丸太などを人力で製材する職人さん)や有名な西岡棟梁などは、あおあおと葉が茂っている巨樹程、芯の部分が無かったりしている場合が多いといいますので、私は葉は元気がないようでも、樹皮が白くても、内部ははつらつとして、力をセーブしているのではないかという、明るい目測を勝手に決め付けてみていました。

石徹白 2


その存在感は巨きさもさることながら、おそらくその姿と自生地に由来するのだろうと思います。
一目見た瞬間に、白く聳える塔のように伸び、着生樹木が葉を茂らせているものの、本体の杉自体はどこか風化していく美しさの様なものをたたえているとすら思えてくるような、その佇まい。
そして、富山県、石川県、岐阜県、福井県をまたにかける「白山」信仰の歴史とともに、山中の巨樹とはいえ、アクセスし易い登山道の途中に位置することもあり、昔は険しい白山を超えていく際の祈りの神様として見られていたか、また現在では登山者を見守る存在としての山中での存在が、「特別」なのかもしれません。

私も余りにも「石徹白のスギ」として有名で、由緒を知らなかったのですが、この大杉は、ここへたどりつく手前(登山道に行く道の途中)に存在する「白山中居神社」という神社のご神木であり、その敷地内に位置するらしいということを予備知識を得ている途中にて知りました。
そういったところから、この杉にたどり着くための道も巨樹への道というよりも、古くから、それこそ命がけで白山登山していた時代から続く登山道の一部が、車の利用によって便利に整備された、といういきさつの理解になるのだろうと推察しました。

石徹白 3


脱線しますが、その白山中居神社はスギの巨木がボコボコ存在する驚きの神社で、しかもその裏山には浄安杉なる巨樹と、現世では珍しいブナの原生林がありますので、登山とまではいかずとも、石徹白のスギに会いに行くならばこちらもお勧め・・・といいたいところですが、浄安杉は境内から15分?!位は登山しますので、気を引き締めて・・・

白山中居神社


また、巨樹では良くあるエピソードにはなりますが、この石徹白のスギは、白山を開帳した泰澄上人が使っていた杖が大杉になったという背景を持っています。
この様なお話は真偽云々ではなく、巨樹を見上げながらゆっくりとその時代の事に想いを馳せる「きっかけ」として頭に入れる様にしています。
そんな伝説が残るくらいの大物だということです。

石徹白 6


私にとってこの石徹白方面は、毎年必ず4回は訪れている地域。
なのに、何故今まで逢いに行けなかったかというと、訪れるのはいつも冬。
そう、趣味のスキーのホームグラウンドがほど近い場所のために、毎回毎回いつかいつかと思いながらの日々でした。
なにせ冬季は雪がどっさり積り、道中の峠では冬用タイヤでもチェーンが必要になるくらいですから、スギまでの道のりは重機などで塞がれ通行止めになってしまいます。
そうでなければ、私の様な「病木」のものが無視して進んでいきそうなところですから、岐阜県さんは賢明です。
3月の末でも通行止めは続いているので、春に訪れる方は道路状況を確認してから向かわれた方がいいでしょう。

とはいえ、この石徹白のスギが白銀の世界に仁王立ちしている様を見てみたいものです。
緑多き時期は多くの人々を見下ろしているスギも、冬には静かに佇んでいることでしょう。
紅葉(黄葉)の巨樹や新緑の巨樹もいいものですが、冬の雪に囲まれる巨樹もとっても美しいものです。
冬の巨樹専門(その時期しか行けなかっただけ・・・)の私としては、白銀の世界の逞しく、または耐え忍んで立つ巨躯を見上げるのは、それこそ身が引き締まります。

柵の中には入らない決まり。
守りながら一緒に記念撮影。

石徹白 8



冬の時期の石徹白のスギはおそらく「白銀の王様」よろしく孤高の存在なのかもしれません。
目の前の広場に降り積もる雪の世界の白い巨塔。そんなイメージ。
今まで清内路のミズナラなど、雪景色の巨樹も多く訪れていますが、石徹白のスギも雪の中での美しさを見てみたいものだと感じてしまいました。

これからの季節は、登山者と巨樹信仰者の眼差しを多く受けることと思いますが、じきに冬になり、また神秘の銀世界に一人聳える様になりますね。
白銀の巨塔が少しでも永く、その存在に感動出来る時間を与え続けてくれるように祈って、さようならの一礼をする私でした。

石徹白 1



石徹白のスギ所在地

岐阜県郡上市石徹白160河ウレ山2

白山登山道入り口に駐車場、トイレあり。台数に限りがありますが、そこそこ広いです。そこから420段をあがる事になります。
頑張って登りましょう。

石徹白 9





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