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中から割れたがるシカモア?!


ここ最近、テーブルや天板用の木材の在庫が減っていたので久しぶりに新しい材を入れてみました。
近頃は、自分の中での材としての魅力と価格面の魅力のバランスで丁度良いものがなかなか無く、在庫放出ばかりしていましたので、いつもはあんまり手を出さない変わったものも入れてみました。

それがこちら。

プラタナス 4


残念ながら、離れてしまうと色も木目もはっきりと見えないので仕方なしにこれくらい近づいて・・・
はっきりとした色や濃い木目があると良いのですが、こういった薄い色でしかも木目も優しいものは、控えめ過ぎてみてもらいにくいのが難点の一つかな。
そう思っていると、木目以上に主張してきたのが「割れ」。

木材の割れというと木が立木として成長している時に吸い込んだ水分が、木材となった時に放出され乾燥していく過程で生じる乾燥割れは、いつの時代も我々材木屋を一喜一憂させるに値する、「割れるなよぉ、ねじれるなよー・・・」という願いを起こさせるものですが、この板材、ちょっと普通の割れとは感じが違うので、特有の性質なのか興味のそそられるところです。
それはこんな感じ。

プラタナス 2

画面の左右方向に2本の筋が入っているのが見えるでしょうか?
これがその割れです。
因みに弊社に到着した時は無かったものです。
完全に乾燥割れだと思しきもの。
しかしながら、通常は写真に見えている「かすがい」という金物の間がパックリと割れてくるので、わざわざ金物でその部分(つまり木の中心部分の木材の性質上割れの出やすいところ)が開かないように保持されているのですが、そこをわざと外すかのように、材木屋としては意外なところから真っ先に割れが出始めました。

普通はこうやってパックリと・・・・(涙)

干割れ


良い例えになり過ぎな位、いい感じに板目の中心(つまり芯の部分)で割れてくれています。
もう、裂けていると言った方がいいような位です。
こうなるから、さきほどのように「かすがい」なるものをうちこんであるんですが、私の知識不足ですね、本当に意外な割れ方の先の木材。
住宅の柱や梁などで用いられる「高温乾燥」という過程を経たものには、さきほどのように木材の表面からではなく、内側から割れが走る現象が見られます。
内部割れなどと言われるものもそうですが、それは表面に割れにくい層をつくってから内部の水分を抜いていく手法を用いるから、通常であれば表面から乾き始めて内部に割れが走るところを、内部から割れが出始めると言った具合です。

プラタナス 3


割れのメカニズムを語り出すと話がそれてしまうので、それはまた別のコラムにするとして、つまりは人工乾燥で無いものでこのような割れが、しかもいくつも入るのは珍しいのではないかと思います。(同じ様な割れでも上の写真のように表面にも達する割れが入ることは他でもたまに見かけますが・・・それでも材の中側から割れてきているんです。)

変わったやっちゃなー、こいつは。名前、なんちゅうーねん。
そう聞いてみたくありませんか?!

この板材の樹種、一瞬見た時は「?!ビーチ(ぶな)にしては白いなぁ・・・・」位で特別食指の動く様子は無かったものの、良く見てみると材名の表示には「シカモア」とあります。

シカモア

これほど悩ましい木も珍しいのではないかと思う位に悩ましいです。
もちろん、木自体に問題があるわけではなく、我々人間の分類とその名称区別自体に問題があるのですが、これ以上に悩ましい木材名も少ないのではなかろうかと思い、またこの「おもろい割れ方」をすることも手伝って今回からの樹種シリーズにてとりあげる事にしました。
割れから始まった興味が、ずっと以前から課題になっていたややこしい樹種名のお話につながりそうです。

割れについては私の個人的な推測では、今回の割れは芯を含んだ板材だから起きやすかったこと、ではなかろうかと推測してます。
この材だから特殊だったというよりも、芯を含んでいる材でしかもそこそこの厚みがあるために、木材の特徴である角材面での収縮率の違いが強烈に現れたからだろうと思います。
やっぱりちょっと脱線しますが、木材はその繊維(細胞)の方向により強さや伸縮の度合いが極端に異なるものです。
忘れないで頂きたいのですが、樹木は生き物ですから細胞を持っていて、工場で全種全方向同性能で出荷されるものとは全く異なり、一本一本はもとより使う方向によっても同じ木でも引き出される性質の違うという材料です。

これが、木材を使いにくいとされる理由の一つです。
強度にバラつきがあって困る、伸縮の方向性によって寸法のバラつきが出る、割れる、反る、などです。

これら、それぞれの製材面での性質の違いによって生まれる「木材の動き」が今回の様な割れ方のメカニズムに深く関わっていることは言うまでもありませんが、やはりセオリーを破って現れてくる物もあるもんです。
もしかして、弊社の保管環境の問題か?!!


そこで、次回はいよいよシカモアという名を含む、もっとも泥沼底なし木材天国にお連れする事にしましょう。
遠目ではあまり木目のはっきりしない樹種ですが、実は柾目面ではこんなに見事な斑模様を出すものもあります。
板目面でも注意深くみれば、私が勘違いしたような「ブナの木のような斑」がみられますから、判別の一助にしてください。

杢木

さぁーて、来週の木の虫ブログはー・・・・・

メープル、シカモア、プラタナス、これだけ知れば楽器も語れる?!の巻(仮称)です。
お楽しみに〜。



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