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たまにくる紫色の滑り台


昔っからたま〜に問い合わせがくることあります。
何かわかります?!これ。

パープルのレーキ 1

紫色のもの珍しい木材の板がくくられています。
これがほぼ完成品の形なのですが、板の表面に少し勾配(こうばい、角度)が付いているのがわかるでしょうか?!
これは、土木関係のお仕事で使われる「レーキ」と呼ばれる道具の先に取り付けて使用するもので、主に整地したりする時に使われるようです。

なので、勾配をつけて作業しやすくしています。
横から見るとこんな感じです。

パープルのレーキ 2

これに持ち手の棒をとりつけて完成になるわけですが、そういえば街中で夜中の作業や高速道路などでもみかける作業の方が使っている、あの道路を作る時にゴリゴリと地面をかいているトンボみたいなものがこれか?!と思うのです。

実は、この通称?!レーキと呼ばれるモノの先端部の相談は昔から忘れたころには必ずやってきていました。
昔はこんなに鮮烈な紫の木材ではなく、ほんと茶色い「木」という色目で名前も通った「ラワン材」(広義)にて使われていたはずで、実際弊社でもいくつか拵えていたもんですが、この斜め加工がうまくいくときといかないときがあり、レーキに限らず、近年は斜め加工は受け付けておりませんでした。

しかし、そこへタイムリーに現れた救世主である先輩材木屋さんが、何気なく普通にこれを作っていることを知り、今回のお客様の要望を伝えたところ、「できるよ。」のお返事を頂いて、安心して発注した次第。
求められる人ってのは、現れるものですねー。私もそういう人間にならなくっちゃ・・・

という経緯だったのですが、ここで昔はラワンだった、としていたのはここでも木材利用の問題点である、一時に利用しすぎて枯渇する、という理由から現在ではラワン材にての製作が減っているからです。
ラワン類を含む東南アジアの木材は、節が無く通直で大径木、という日本人が求める良質な木材の条件にぴったり当てはまるものが多く、大量に利用されてきました。
もともと、このレーキを製作依頼頂いた方も見本で持っていらしたのがいわゆるラワン類でした。
というよりも、ふた昔前までは洗面所の床や台所などへの利用も多かった「アピトン」材でした。
古い大工さんなどはその名を聞いただけでも懐かしくなるかもしれませんが、弊社でも、そのアピトンのフローリングというのは数十坪も在庫していたほどの定番商品でした。
それが需要にも供給にも陰りが出始め、今では殆ど見る事がありません。

少しだけ脱線すると、アピトンは別名クルインという東南アジアのメジャーグループであるフタバガキ科に属する樹種です。
アピトンは主にフィリピン産のもの、クルインはマレー語で Dipterocarpus 属の総称で用いられているようです。
見た目の似ているラワン類との違いは、樹脂道というものが存在すること。
そう、それがあるからこそ耐久性が高く、また耐摩耗性もあり重硬で、洗面所の床などには定番と言っていいほどでした。
しかし、その樹脂道の為、材面に樹脂が滲出することもしばしばで、クレーム扱いされだしたのが供給の陰りの見えだした頃でした。
シリカという成分を多く含む為、加工は優しいほうではありませんが、トラックの床板や車体などにも多く利用されてきた実績がありますから、もしかするとお持ちのトラックの荷台はアピトン製かもしれませんよ。

本題に戻り、その利用だけではないとは思いますが、資源量がへることの一因であったのは間違いないと思います。
そういった観点からも材を選ぶポイントにしていくのも材木屋の使命の一つですね。

さて、そのラワン材の代わりにこの用途で現在活用しているのがこのムラサキ君。
本当に鮮明なムラサキ色をしていて、まるで木材ではないみたいです。
普通木材と言うと、素直なかたは薄いベージュから茶色っぽい色合いを想像すると思うのですが、中にはこんな強烈な個性を持ったツワモノもいるんですねー。
その名はパープルハート。
紫色の心材、そのまま訳してもその通りというような名前を持った、想像通りの材です。
南方に多く自生するフタバガキ科の木材とともに有名で、植物学上ではそれ以上に多くの樹種を抱えるマメ科に属する木材で、この講では peltogyne 属の木材を指します。
というのは、もう御馴染だと思いますが木材は産地や港、国によって呼び名が変わるもの。それに南米には27種ほどあるそうですから、全部を特定するのも難しいものです。
それとともに、パープルハートと言っても全く別の木材を指す地域もありますし、またはこの種をヴァイオレットウッドというかと思えば、ローズウッドにもヴァイオレットウッドと呼ばれるものが存在しますから、ややこしいこと極まりなしです。

さて、その名が示す通り、このパープルハートはその独特な紫色の材色を利用されることも多々あります。
ご覧の通り、桧と比べるとその鮮やかさがどれくらいかお分かりでしょう。

パープルのレーキ 3


その色合いは木象嵌や化粧合板、その他アクセント材として利用されたりします。
だって、着色したような紫色ですもの。珍しがられるのも無理はない。
ただ、その鮮明な色も落ち着いてくる物で、経年の変化は否めません。色ばかりを目当てにしていると、数年後にはあれ?ということもあるかもしれません。

しかし、それ以外に利用されているのはウッドデッキ材です。
重さの目安となる比重は0.8〜1.0という、非常に重硬な材質は以外に乾燥が早く劣化が少ないという観点と、重硬材ならではの耐久性で屋外用途にも使用されています。
木肌は同じ重硬材でもイペの様には精ではありません。

パープルのレーキ 4


たまにはこういう風になることもあります。
そりゃ木材です。人間の削りに合わせて育つわけではありませんから、がっかりしないように・・・

で、何故そんなに重硬材を求めるのか、というと私もはっきりは分かりません。
もちろん、軽いと作業性が悪いことと、軽い材は総じて柔らかいですからすぐに使えなくなるのだろうというのは想像できますが、製作していただいた先輩曰く、桧などで作ると即燃えてなくなっちゃうそうです・・・
なるほど・・・
だからある程度の耐久性をもっている堅木でないといけないんですね。
勉強になります。

パープルのレーキ 6


出来上がった中には、如何にパープルハートといえども劣化した部分があるために加工されなかったものも一部含まれていました。
しかし、それが何とも芸術的。

パープルのレーキ 5


紫に燃え立つ炎の用でもあり、黒い雲を切り裂く稲妻の様でもあります。
自然の芸術ですね。
用途としては使えないけど、捨てません。
装飾に使えないか検討中!

久しぶりに御受けしたこのムラサキ色の斜め加工。
この滑り台でスルスルと作業がこなせたよ、と言っていただけると嬉しいんだけど。
今回は加工していただいた先輩に感謝です。
デッキや屋外用途としてのパープルハートの固定観念を見事に崩してくれました。
活躍することを祈って。



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