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ルーペで覚える樹種の見方


前回は少し趣味の関係のトピックスが大きかった為、珍しく興奮して連動記事を一つ飛ばすこととなってしまいましたので、今回、その続きのお話をしたいと思います。

前回の勉強会のお話は、ルーペを使い、木の木口面からその材質と特徴を見ていくことでしたが、それがよくわかる様でわからないのが面白いところ。
同じブナ科の栗(くり)、楢(なら)、樫(かし)の3種は何となく違いがわかってもらえたでしょうか?
難しい話をすると永くなるのですが、細胞の並び方や組織の表情でそれぞれの違いがわかるのです。
それをみるのがルーペ。

そして、前回の課題?!であった、この2つ。

木材セミナー 4














わかったでしょうか?!
似ていないのか似ているのか?
それともまったく関係のない樹種同士なのか?

どちらも丁度柾目材なので、もしかして仲間の木なのか?、と邪推頂いた方もいらっしゃるかも知れませんが、木目は関係ないとしても、良く似た樹種であることには変わりありません。
正解は、上が「日本の松」、下が「米松(べいまつ)」です。
え?!日本の松とアメリカの松とでこんなに色が違うの?!とおもわれるかもしれませんが、そういった疑問と気づきが木材には最も大事!!

私がこれを問題としたのは、私自身が若い時に疑問に思った事の一つだからです。
日本の松とアメリカの松は同じものなのか?!
素朴な疑問ですが、これがわからなかったのです。
先に書いたように、色も違うし木目も違う。匂いも違う。
なのに「松」の字がついているから同じものか?!普通はこう考えるでしょう。
しかしながら、これが木材の落とし穴。

木材には、商業名、通称、港湾名、学名、産出国によっての名称等々があります。
商業名と通称は、いわゆる「あだ名」に近いもの。米松もその一つ。
港湾名(正式な呼び方ではないですが、わかりやすく・・・)とは、輸入材などで経由した港で使われる(その国の)呼び方が、材の名称になっていること。
産出国の名称は、その国特有の呼び方の事。つまり、同じ樹種でも全く違う名前があるということです。これも輸入材、とくに熱帯産の木材に多く存在します。

これらが混在しているために、木材というのはわかりにくく体系化しにくい部分があり、だからこそ似たような樹種に似たような名前をつける商売の様なものができるわけで・・・・・

そのため、基準となる名前が必要になる事から、一般的ではないですが、「学名」が使われるのです。
学名は世界共通の名前。つまり、これを聞くときちんとどの樹種かがわかるのです(すくなくとも科目までは・・・)。
だから、私の記事でも何のこっちゃわからん学名を引用したりするわけです。

話は戻って木材の落とし穴ですが、もうお分かりですね。
そう、先の名称のお話の通り、日本の松とアメリカの松は厳密には同じ松ではないのです。
松という名前なのに・・・・
おかしいですよね。うん、おかしい。
因みに、米松は日本語で言うところの「アメリカトガサワラ」と言います。
アメリカのトガサワラ。
なんじゃ、余計にわからんぞ・・・・
そう、これだから米松という言葉が生まれるのです
本当の事を伝えるより、わかりやすく変えてしまった方がいい。そんな感じでしょうか。
しかしながら、米松材自体はとても優秀な材なので、その材質自身でもアピールできたことでしょうが、やはり最初はそうではなかったのでしょうか。

米松の仲間である「トガサワラ」という材は、日本にきちんと存在します。
別名「吉野松」。
でた、これも通称名。
材質の似ているトガサワラを「吉野の松」として販売した事に由来するとか。
で、そのトガサワラ自体も「サワラのような材質の外観がトガに似た木」という、なんとも理解しにくい、どないやねん!的な例えでついたそうで、この両者も別々の異なる樹種なのですが、名前を引用され、更に合体まで!!させられています。

つまり、名称というのはこんなものだということです。
接頭語のように、「○●オーク」とか「○●ウォールナット」なんちゅうのに注意が必要なのは、以前にも幾度となくお話していますが、それとも通じる今回のお話。

松と米松の違いはルーペにて確認できるのですが、それを試みる意味というのは、やはり材を正しく知るため、正確に知識をつける為であるのです。
そこまでせんでも、材料は売れるわい!!
そうかもしれません。

しかし、そういった情報や判断基準を欲する方もいらっしゃるはず。
だれもが、米松は松だと信じているはず。
そこに疑問が生じたときに、すっきりと判断できる手助けができるのが材木屋かな、と思います。

そういった意味を込めての今回の研修参加。
町の数百件の材木屋サンの中には、一軒くらい、アホみたいに材料を眺めルーペをかざす材木屋がいてもいいですよね。
そうした情報を持っている材木屋があってもいいですよね。

いらんやろ、アホやで・・・・

そう言われても、必要とされる事がある限り、おかしな材木屋「木の虫」は今日も材を眺めるのでした。



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