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イスノキ(柞)フローリングの問い合わせ


私の記事をご覧いただいている皆さんは、相当勉強熱心な方なのでしょうね。
私がどうこうというのではなく、お問い合わせいただく木材の求めておられる樹種と用途が普通ではないですね。

というのも、以前から本当に何度も何度も頂戴しているのが「イスノキのフローリング」に対するお問い合わせです。
本当にこんなのどこで勉強されたんだか・・・
イスノキ自体、材木屋さんでも知らんのと違いますか?!
イスノキありますか?!、なんて聞くと「杉でいきはるの?桧の方がえぇのかな?!」なんていう答えが返ってきそうです。
私の様な、特殊な種類(ガン○ム風に言うとニュータイプ?!・・・いや、敢えてオールドタイプか・・・・)の材木屋なら話は別ですが、一般のお客様でイスの木を希望される、しかもフローリングにという希望がでるのは驚き以外の何物でもありません。

以前に黄楊の記事の時に少し触れていますが、イスノキはマンサク科の木で、別名をヒョンノキなどと呼ぶこともありますが、それはイスの木にできる虫こぶを吹いてならすと「ヒョーヒョー」となる事から来たといわれています。
英名も isu tree だそうです。和製英語のようですがなんかカッコいいですね。


漢字で柞、雅名で「結寿=ゆす」という日本の樹種らしい名前を持った木です。
その文字の通り、「寿を結ぶ」と書いて「ユス」と読むところから、縁起の良い木・お祝い木として用いることがあります。

イスの木 鈴


 イス(ユス)の鈴。硬質な良い音色が響きます。

 寿を呼び寄せてくれるのかな?!






そしてイスノキの最大の特徴?!は日本産材の中で最重量クラスの木材の内の一つだということです。
どれくらい重たいかって?!
ちょっと屈強な10代の男性でも、2m程の長さの15cm角の位になると到底運ぶことはできません。
寝かせてあるものを動かすことは何とかなりますが、自身で持ち上げて移動はできないでしょう。
肩に自信がある材木屋さんならば、なんとか肩に担いで運ぶことはできるでしょうが、かなりの重さです。。
ずっしりとした重さは私の様なマニアや、熟練の肩には心地よい刺激(?!)です。

材色はその重量に比例して、芯材は濃い色合いで、200年を超えるような樹齢の高いものは暗褐色で艶があり「スヌケ(*)」とよばれるものがあり、昔から木刀(樫の木も一般的ですが、その鑑賞用としての色艶ではスヌケが一番だそうです。)や櫛用材、装飾用工芸品、音響に影響する為密度のある木材が必要な三線の材料などとして珍重されていたそうです。
(*病気や傷などで芯材だけを残して立ち枯れした老木を指している事もあります。)


イスの木 1


 下に見えている薄板を見ると、白太と赤身の境がはっきりしている事が見てとれますね。








手にとって頂くとすぐに伝わるその重さと密度。
木じゃないように感じるのではないでしょうか?!
それにしても荒削りながら綺麗な艶です。

イスの木 2














また、佐賀の有田ではイスノキの灰をやきものの釉薬にするそうです。
その釉薬は、透明感があり風合いがとても良いそうです。
先のスヌケも、この柞灰を取る為に行っていたものだとも聞いています。
これはもはや、私ではなく弊社社長の出番ですね・・・

しかし、そんな優れた材料であるイスノキですが、どこにでも生えているわけではありません。
そりゃそうですね、どこにでもあれば皆さんにも知られているはず。
だから、材料として安定供給できるような種類の木材ではないということです。
杉や桧、松などの針葉樹は知っての通り日本に多くの蓄積がありますが、広葉樹でも特殊なものは、その樹種の林というものが無い場合もありますから、いつでも欲しい時に供給できないのが、建築やその他の用材になる樹種との大きな違いです。
また木材として出てきても、肝心の芯材の部分が非常に残念なほどに割れます。

イスの木 4
























なんでやねん!!と悔しくなるくらいに割れています。
アップにするとこんなんです。

イスの木 6
























自然のものだから仕方ないのですが、もったいなくてしょうがないですね。

話はもどってイスノキのフローリングですが、こんな状態ですのでまさか安定的に、または注文を受けて無垢のフローリングに加工するなど出来るような物ではない事がわかっていただけるかと思います。
もちろん、白太でも良いし幅寸法もバラバラでよい、というのなら出来ない事もないでしょうが、少し現実離れしていますね。
イスノキはフローリングに最適、という文言を目にする文献も多いですからもしかすると、そういったことを学ばれて探していらっしゃる方が多いのかもしれません。
しかし、確かに優れた特性を持っていても、原木が無い事にはどうしようもありません。
他にも、古い文献などには日本の優秀な樹種のお話が掲載されていたりしますが、それも時代錯誤、既に伐採されていないか数が少なく殆ど出てこない、というような状況になっている樹種もあります。
外国材ですが、台湾桧(タイワンヒノキ、タイヒ)もそうかもしれません。
巨大な丸太から、幅の広い柾目の盤や社寺建築用の大きな柱や構造材がとれたのですが、これも今は昔。
とっくに伐採出来ないようになっていますが、当時は稀少視されてはいなかったのでしょう。そこに行けばあるのだから・・・
それだけ今ほど森林資源に目を向けていなかったのかもしれません。

以前に、古いイスノキの無垢フローリングをみたことがありますが、5cm程の幅で長さも10数cmから60cmほどのものが点在していました。
樹種はイスノキなのかもしれませんが、皆さんのイメージで求めている「イスノキ」とは少し違っていました。

優れた特性を持った木材でも、枯渇してしまうような状況では利用することはできません。
タイワンヒノキや日本のネズコ、元祖ローズウッドの類や紫檀黒檀鉄刀木(タガヤサン)などなど・・・有名なお話では乱伐に次ぐ乱伐にあったというレバノンスギも・・・・

世界中にあり、人間に様々な恩恵をくれる木々達の天敵というのはもしかすると人間なのかもしれない、と何かの本で読んだ覚えがあります。
確かにそうかもしれません。
「あるうちに尊べ」、という精神が、一部の人間には足りない部分なのでしょうか。

適切に使えば枯渇することのない資源と言われる木材ですが、やはり需要が集中したり、植林や育林が難しい樹種は特に大切にする必要があります。

イスノキから脱線しましたが、それも含めて木材というものを啓発するのがこれからの材木屋の仕事の一環になってくるかもしれません。
大切に有効に使えるように工夫しながら、稀少な木材もできうる限りお届けしたいと思っていますので、頑張って集材したいです。
なかなか思うようにいかない、イスノキのお話でした。


イスの木 5















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コメント
1. Posted by 三宅 義弘   2016年01月26日 16:45
戸田様
はじめましてお便りいたします。
イスノキについていろいろ検索していましたら写真もついた解説で非常によくわかりました。
流通材ではない様で見た事も無かったのですが...
日本一重い木と言うのにひかれています。
いろいろ調べるとウバメガシの方が、、、オノオレカンバが、、、いやいや八重山黒檀の方が重い、、、

お聞きしたいのですが、戸田様の処にはイスノキの端材(15弌60弌250伉度)は残っているのでしょうか?
趣味でお箸や木のスプーンを作っています。
20×100×500个阿蕕い世箸覆良いのですが...
もし有る様なら値段もお聞かせ願えないでしょうか?
よろしくお願いいたします。
三宅
2. Posted by 戸田材木店より   2016年01月29日 09:59
三宅さま
初めまして、戸田材木店です。記事をご覧いただきありがとうございます。
樹木は木材一つとっても様々なものがあり、多様性がとても楽しいものです。
木のお箸やスプーンですか。いいですね。生活で手にするものに木があるというのはとてもいいことだと思います。

日本一重い樹種の中の一つであるイスノキですが、材はあるのですが、記事の中にも書いてあったかどうか、非常に割れが多いのです。
そのため、小さな材をとるにも大きな木材を割り続けていかないといけません。(手元にあるものは、ですが。)
そのため、かなりお高くなってしまいます。また、大きめの材から作ることになるので、そのままお買い上げでも同じ価格なのです。
長さ80cm×厚み約4cm×幅約13cmの丸太半割の様なものが最も小さいものです。裏には丸い部分があるので、表記寸法が全てつかえるわけではないことと、表面も丸み面も割れがあるのです。
そのような感じなので、もしそれでも・・・ということであれば、メールにてご連絡いただければ写真とともに回答させていただきます。
いかがでしょうか?!
よろしくお願いいたします。
戸田
3. Posted by 三宅 義弘   2016年01月30日 00:36
戸田様
返信有難うございます。
値段はどのくらいなのでしょうか?
余り高いと手が出ないかもしれません?
丸太の半割だと白太も多く赤みの心材はあまり取れないのでしょうか?
写真もメールで頂ければありがたいのですが...
よろしくお願いいたします。
三宅
4. Posted by 三宅さま   2016年01月30日 09:12
三宅さま
こちらこそ、早々に返信ありがとうございます。
お値段、サイズの割には驚かれるとおもいます・・・(汗)
赤身は多くありますが、ヘアークラックを含む割れもあったりします。
PCメールにてお送りしたく思いますので、下記までメールをいただければありがたいです。

selva-toda@lion.ocn.ne.jp

よろしくお願いいたします。
戸田
5. Posted by 片山義隆   2017年05月27日 17:22
5 戸田木材様

初めて投稿します
記事の中でいすの木は割れが多いとの事ですがいすの木のまな板(一般的な家庭用です)を製作は可能でしょうか?
又製作可能でしたら価格はいくら位になるでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
6. Posted by 戸田材木店です   2017年05月27日 17:43
片山さま
初めまして!投稿有難うございます。
イスノキ、いいですよね。特徴的な重さと木によっては深い色になる木目。
お話の場合は、割れもそうですがもまな板の場合は幅が不足なことが大きな要因でしょうか。当方あるもので20cm角位だったのではないかと記憶しているのですが、ちょっと足りない様に思いますね。
特徴的な杢のところで割れていたりもしますので、おすすめはできないかと・・・
イスノキでまな板というのは、初めてききました。お好きだからでしょうか、それとも重さからでしょうか・・・興味が尽きないところですが、実用まな板材としては難しいですね。
すみません。
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