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生きていた(?!)化石 「イチョウ」 其の参


さすがにはるか昔より続く歴史を持つ「生きた化石」イチョウ。
なかなか語り尽くすことができませんね。

第三回目は樹木としてのイチョウそのものについてです。

前回の記事にある様に、イチョウは社寺仏閣にも多くの巨樹を残しています。
ご神木として残っている物が多く、樹齢も高く見事なものを見る事が出来ますね。

薬師の大イチョウ







 あしからず、いつものごとく冬の巨樹めぐりですので、葉はありません。

 福井県勝山市の薬師の大イチョウです。











元々イチョウは、仏教僧により神聖な木として見られていたことも理由の一つだと思いますが、それと共に長寿や希望、統一のシンボルとして見られていた事も大切にされてきた理由でしょう。
それに伴ってかどうかは定かではありませんが、花言葉も「長寿・鎮魂」ということなのでやはり社寺に多いのは納得のできるところでしょうかね。

長寿や希望という言葉を用いる時、イチョウに関しては戦争時の広島への原爆投下爆心地から、一番近かったもので1130mのところにあった木が、翌年に咲いたそうです。他にも近くに合計4本残っていたそうですが、この事からも前回から続くイチョウの生命力を見てとれるものであると言われています。(爆心地近くの樹木ではたしか、桜もあり元気に咲いたといわれていたと記憶しています。)
当然、木が残っていてもあれほどの甚大な傷をもたらした爆撃には、それらの言葉を引用するのも不謹慎かもしれませんが・・・

さて、生活のなかでも銀杏は実用的に用いられています。
ぜんそくや咳、膀胱炎にきき生色でがんに効く(*)とされ、加熱したものは消化を助けると言われています。
毛細血管の血流を良くしてくれるので、記憶や集中力の停滞を防止しアルツハイマーや片頭痛の改善に期待されているそうです。
(*)医学的根拠の元での結果ではありません。あくまでも伝承としてのお話です。

ある程度、イチョウについて知ってらっしゃる方や植物に興味のある方ならば御存じでしょうが、イチョウの木にはオスとメスがあるのです。
男の子と女の子がいるということですね。
えーーっ!!、と思われる方も意外にいらっしゃるでしょうね。木にオスとメスがあるなんて。実際、私も無知なうちはそんなこと真剣に考えもしていませんでした。
さらに驚きなのは1896年(明治29年)、平瀬作五郎氏が「イチョウは精子を持っている」ということを発見されたことです。
花粉管が破れて精子が飛び出し、花粉室の液体の中を泳いで造卵器の中に入り受精する、というシステムだそうですが、とてもリアルな説明も、「イチョウの木がそんな活動しているのか?!」と訝しくなってしまいますが、それがシダ植物から裸子植物への進化の途中の状態といわれるイチョウの特徴かもしれません。

そして実を造るべく所(林内)では意図的に「ほとんどがメスの木」だそうです。その方が実がたくさんできるからだと思われそうですが、そうではなく、オスがたくさんいると実が出来過ぎて小さくなってしまう為に、わざとオスの数を減らしているそうです。
人間で言うともう、ハーレム状態ですね。なんとも羨ましいイチョウめ!!

基・・・

もうここまでくると、イチョウを木だとは思わなくなってきたのではないですか(笑)?!
さらにさらにイチョウにはもう一つ、人間の様な所があります。
さて、どこでしょう・・・

答えは「乳」です。

宗英寺のイチョウ
 少し垂れているのがわかるでしょうか。(画像クリックで拡大してみてください。)

 三重県亀山市の宗英寺のイチョウです。
 右側の彼も巨漢ですが(笑)イチョウは負けていませんね。(因みに私の友人。無理矢理連行!あんまり感動なし、私がっかり。)


一度でも老樹に会われた方ならなんとなくご存じか、もしくは異様に見えるかもしれないその「乳」を目撃されていることと思います。
正しくは内部に大量のでんぷんを含んだ「気根」というものですが、老木になると枝から地面に向かって垂れ下がってくるものがあります。
特に雄の老木の乳を煎じて飲むと、母乳の出が良くなるといわれその事から全国に、銀杏の大木のある「子安神社」が各地にあるのです。
そういえば巨樹めぐりをしていると、結構みかけますよ子安神社。

*乳の写真は後日の記事 「イチョウサイド(再度)ストーリー」も参照してくださいね。

とっても人間ぽい(?!)イチョウの話はここまでで、少しロマンチックなお話をしましょう。
前回、ケンペル博士がイチョウを日本に発見し欧州へ持ち帰ったことを書きましたが、実はかの文豪ゲーテさえも、そのイチョウをフランクフルトにて鑑賞し黄葉の美しさに魅せられたそうです。
そしてそのイチョウの葉を恋人に送っているそうです。
ゲーテが知ってか知らずか、イチョウの葉はしおりにすると「紙魚(しみ。本などの紙を食害する銀色っぽい体のすばしっこい虫)がつかない」といわれています。もしかすると、銀杏の葉を受け取った恋人は、そのイチョウの葉を好きな書物にはさんでは、ゲーテの事を想い浮かべたのでしょうか・・・・
そうかんがえると、あの葉がハートに見えてこなくもない・・・かな。

最後に、ほぼ日本中の街路にて目にすることのできるイチョウ。
それは、公害に強く病虫害に会うことも少ないことと、成長がある程度早いことが街路樹としての資質に合う事から用いられているものです。
とはいえ、成長が早い事によって大きくなりすぎたり、黄葉は美しいですが、その落ち葉がごみになる(私からするとけしからん考えですが、それでも近隣の方は迷惑なのでしょうか・・・)ということから早々と伐採されたり、これから黄葉という時に無残にも枝を「ぶった切って」しまっているのを各地で見かけます。
そのままにしておくと銀杏の潰れた時のなんともいえないあの匂いがあることも避けられない事情なのはわかります。
が、こういうときはやはり、木が生き物であることを忘れた人間の手前勝手で植えられた木々のことを想わずにはいられません。
また、古くは防火のためにも植えられたイチョウ。
生活に深く関わっていたんですねぇ。お寺などにも、本来はそういった目的で植えられたものも少なくないそうです。

本当の最後に、これだけ珍しくすごい特徴をもつ銀杏の中でも、特に珍しい種類が全国に数本あるのです。
それは「オハツキイチョウ」。

オハツキイチョウ 1













これは説明版のとおり種子が葉の上にできるもので、植物学上もとても貴重なものだそうです。

オハツキイチョウ 2




 巨樹というわけではないですが、会っておかないわけにはいきませんよね。








オハツキイチョウ 3



 ただ、結構葉が上に位置するため普通のデジカメではとらえづらかったのが残念なところ。







と、もうどこまで何を語ったかわからんようになるくらいに歴史のある木イチョウ。
結構近くにある木が、こんなに永い歴史をもっているということはなかなか語られないのではないでしょうか。
今年の秋は、是非これらの蘊蓄をかみしめながら(笑)、美しい黄葉をたのしんでくださいね。


追:後日談の「イチョウサイド(再度)ストーリー」も是非ご覧くださいね。



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