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撞木の達人 木が伝える音の話


先日の新聞記事の「達人の作法」というコラムに、撞木(しゅもく。お寺の鐘を突く丸太状の突き棒。)のことが書かれていました。
私は、その材質のことが記事になっているのかと思い読み進めてみると、表題には「全自動撞木の開発者」とあるではないですか。

なんだ機械のことか、と思うなかれ。
過疎で住職の去ったお寺や、高齢化でつき手のいなくなった集落などには、その梵鐘の音色を響かせることができない寺が多くあったそうです。
もうすぐそこに大晦日が迫る日々ですが、梵鐘の音色は老若男女、日本人にはどこか懐かしく、また郷愁を呼ぶ心に残る音ではないでしょうか。
それがどんどん減っていく。
そこに、つき手がいないなら自動で鳴らせないか、と乗り出したのが今回の達人でした。
どうも、撞木を専門に手がける職人さんはいないようで、いわば今回の全自動撞木が初?!しかも、シェア100%だそうです。

撞木の材質は、鐘と撞木の重量のバランスから生まれる周波数が、遠くまで響き余韻の残る音を生み出すと言うことから、「桧や松」が最適だそうです。
一般的には、金属を打つんだから硬い木のほうがいいんじゃないの?と思ってしまいそうですが、そのあたりもやはり木材の奥深いところでしょうか。
もしかすると、桧や松の粘りのある柔らかさが、金属の硬さをまろやかな周波数に変えて響かせるのかもしれませんね。
すごい異材種コラボレーションです。

かわって、これも年末になると問い合わせのある「拍子木」ですが、今年も数組お問い合わせいただきました。
拍子木は、それこそ桧でつくることもありますが、やはりカンカンというだけではない、特別な硬質木材の「パシィーッ」という響きは、それはよく通り、同じ木材の出す音かと思うように異なるものです。

材としては、今では入手困難な紅木紫檀(こうきしたん)をはじめとする紫檀類のような唐木(からき)であったり、日本のものでは白樫が有名です。

手違い紫檀














それらはただ硬いというだけではなく、その音色は独特であり先に書いたような響きのある音を出すことで賞用されます。

つい先日も、本紫檀の細工残りをポケットに入れて社内を走っていたのですが、私のポケットからはカランコロンという独特な音と、硬質でありながらもやはり良い響きを持った音色が聞こえるのでした。

ポケットの本紫檀














たかが一つの木ですが、その木が生み出す用途は様々でその上、適した用途に使えば素晴らしい性質を発揮するのも木の素晴らしいところです。

撞木も拍子木も、適性がありそれを生かして永く使える木材の用途の一つでしょうね。
木が奏でる音の世界はこれだけではありません、当然楽器はその際たるものですが、単純な丸太、単純な角材が響かせる年末の音色に心を傾けるのも、この季節の楽しみの一つかもしれません。



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