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木がつなぐ「人と人」


材木屋で木を販売して一番嬉しい時は、そりゃ当然お客様に喜んでもらった時。
これはどんな業種でも同じことでしょうが、喜んでもらうといっても、材料を気に入って喜んでもらうこと、人柄で喜んでもらうこと、いろいろとあるのですが、まさか今回の様な形で喜んでいただく事になるとは、材木屋の新たな喜びを感じた瞬間を記録したいと思います。

それはある日の事。
外出から帰社すると、私の机の上に見慣れない緑色の封筒が置かれています。それもそこそこ厚みがあります。
なんだろう?!何かの勧誘や、名簿を参照して送られてくるどこぞのコマーシャルかと思っていたのですが、よく見てみると材木店さんの封筒になっています。
それも、結構遠く離れたところからです。

あれれ?!いつお会いしたかな?!と記憶の弱い頭を振ってみたのですが、どうも記憶の棚には見当たりません。
開ければわかるか・・・と、封を切ろうと手に取った瞬間、封書の中身のそれが木材である事がわかったのですが、その事を気付かせたのは手触りや重さではなく、「香り」でした。

帰社直後から事務所内に何か香る、と思っていたのですが、私の机の隣の社長のところにも香る木が置いてある為、今日は良く香る日だな(材木屋では、日によって香りのする木が違います。今日は桧、次の日は樟、雨が降ると米桧・・などなど。)とおもっていたのですが、実はその香りの正体はこの封筒でした。
それも、私の好きな香りで弊社倉庫でも香る物・・・・

実はこれでした。

神代のお便り














わかるでしょうか?神代樟(じんだいくす)です。
弊社の記事にて幾度か紹介しています、紀州にて河川より出現した巨躯を持つ神代樟。
それと同じ香りがします。


紀州有田川神代樟1紀州 有田川神代樟4







この距離感わかるでしょうか・・・これが紀州神代樟です。


実は、私の記事をご覧になった材木屋さんが、以前四国にて出た神代樟を製材したことを懐かしんでくださり、わざわざ達筆なお便りとともに36年前に出土したらしい神代樟の端材を送ってくださったのでした。

その時の神代樟もかなりの大きさだったそうで、仏像彫刻用に出荷なさったそうです。
確かに通常の樟とは違い、悠久の時、眠りについていた神代樟はどこか熟成したというか、円みのある香りを漂わせるのです。
仏様からの香りとすれば、涼しげな神聖さの中に円みのあるような芳香と感じ、仏像の姿をより身近に感じる事の出来るものになった事でしょう。

近年出現した神代樟とは若干色目が異なる様にも思いますが、いずれにせよ時を経たとは思えない素晴らしい芳香です。


芳香と言えば、以前にも弊社記事をご覧になった方から白檀を送っていただいた事があります。
その時も、商売ではないのですが幾度かのやり取りをさせていただき、送っていただいた次第です。
見知らぬ者同士が「木」という素晴らしいものを介してつながる。
その中に喜びを見出し、時には感激する。
商売でも、こんなに嬉しい事はありません。

今回も、弊社の記事をご覧いただいて昔を懐かしんでいただき、手紙まで頂戴しました。
そのお気持ちがとても嬉しく、人と人がつながる、「木がつなぐ人と人」を心に沁みて実感しました。



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