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田舎暮らしには栗の土台!


先週末焦げるような暑さの中、トラックに荷物を積んでの出張にいって来ました。
大阪から2時間強(正確にはトラックなので早くて2時間半)、北は日本海の近く舞鶴市まで行ってきました。
もちろん仕事で行ったわけですが、大阪より明らかに涼しいだろうと期待していたところを大工さんに聞くと、「涼しいのは夜と明け方だけや。しかも涼しいんやのーて、さぶい(寒い)!!」とおっしゃっていた通り、やはり昼間は日差しがきつかったです。

今回は、古い民家の改造のお仕事で伺ったわけですが、やっぱり古い家は現在の普通の家とはぜんぜん違いますね。
欅(けやき)で造られた玄関、藁と丸太を巧みに編んだ屋根(何度かの改造で隠れてしまっていますが・・)、そして立派なごろんぼ(丸太)の梁。
やっぱり現在の家とは違う雰囲気が満点です。


舞鶴民家1




 解体作業中の民家。










舞鶴民家2



 欅の玄関構え。

 年月を感じさせる風化具合です。







こんな家は、機能性や快適性は「普通の」考えで行くと犠牲になっているのかもしれませんが、やっぱりこんな造りの家がいいなぁ・・・と思うのは私みたいな人だけでしょうか!?
いや、そうでもないからこのような古い民家が人気だそうです。
書店などでも田舎暮らしの本などが売れているみたいだし、そういったテレビ番組も見る事がありますね。

今回の民家も早々に入居が決まるようです。
そのための改造であります。
一通り話しをしたあと中をじっくり見てみると、この家は裏面が急な斜面のために、冬に積もった雪が斜面にもつもり、暖かくなるにつれて溶け出して床下に浸水してくるという事例で床組みから柱の足元まで、見事に腐ってしまっている状態でした。

舞鶴民家3


 写真右手のブロック積み基礎の側が裏面です。

 ブロックは後から積まれたようですが、それこそ後の祭りだったようです。






そして積み上げられた床組みの解体材。
原型を残してはいますが、殆どが手で触ると「ボロッと」崩れてしまうくらいにもろくなっています。
芯材部分はかろうじて残っていますが、芯材よりも耐久性の劣る白太(辺材)が多かったこともあるのでしょうが、多量で永年続いた雪解け水の威力にやられたことをまざまざと見せつけられました。

私が写真におさめていると大工さんがふと、「やっぱり栗はちがうでなぁ・・・まだまだいけるでぇ。」とそばで言う。
ん?!栗??
もしや?!と思い、はずされていない部材を見てみると・・・


舞鶴民家6



 確かに栗。と思う。色変わってるけど、多分そお。

 この湿気でぴんぴんしてることが何よりの証明。






切口を見てみると、ちょっと白太も入ってたみたい。

クリの土台



 写真左上の薄茶色の部分が白太(辺材)。

 腐りきってはいないけど、変色は始まっています。






そりゃそうだ、大きい栗材はとても貴重。
だから少々の辺材があっても丸太に近い状態で使ったんだろうな。
栗といえども、辺材は耐久性に劣る。ちょっと朽ちている部分があった。

それでも芯材はしっかりしているし、部材としてもまだまだ大丈夫。

舞鶴民家4



 周りの桧が腐っている中で、ところどころに栗が残っている。

 どうして混在しているのか?!やっぱり予算の都合か?材が間に合わなかったのか?




弊社でも今までに、「土台」という基礎の上にすえる住宅部材としてクリの木を販売したことがあります。
といっても、2回位かな。
はっきりいって、家の土台に桧よりも量が少なく高価であるクリを使おうという方は、少なくとも都会では殆どいない。
見えなくなってしまうような部分にお金を使う人は少ないし、尚且つ住宅を手がける人も、クリの良さを知る人が少ない。
だから、土台なんか隠れてしまうのに、そんなとこにお金使わんと、内部のキッチンとかにつかいましょう!となっちゃうわけ。

隠れちゃうとはいえ、土台は文字通り「一番下で家を支えている」部材。
湿気もうけるし、重さにも耐えないといけない。虫も来るし、耐久性を求められる部材です。
でも、今の人はそこは気にしていない。
見えるところばかり。
と思ってしまうこともある。

私の自宅の土台は青森ひば。
クリと迷ったけど、青森ひばの香りに惹かれて決まった。けど、どちらも日本産材としてはとても耐久性の高い樹種。
青森ひばは耐久性、耐虫害性が高く、ヒノキチオールという成分を含むすぐれた樹種です。

それでも、やっぱり高価。周りからは「土台にそこまでするの?!」と嘲笑交えたお言葉をたくさんかけられました。
まぁ、木の虫・木の馬鹿がすることだから、より馬鹿さ加減がひどく見えたのでしょう。
でも、やっぱり適材適所。
木の特性を活かした家にしたい、それが後々のメンテナンス性や家の長寿命化につながると思うからです。

脱線しましたが、そういう意味で言ってもやはり田舎の家は良くできていると思います。
松の大きな梁にクリの土台。桧の大きく太い柱。
ただ、住環境が良いだけではなく、そういった素材を活かしている良さがあるのが特徴だと私は思っています。

この民家ほどではないにせよ、やはり木造住宅の適材適所は守って行きたいものの一つであると思います。
装飾も住宅のよさではあると思います。でも、やはり住むことを目的とした場合、コンピューターの計算上の強さだけではない、素材の力を活かした家作りを心がけてもらいたいと思います。
お施主様のためにも、です。

そのための、本物の材木屋。
素材の特徴を活かした提案ができる材木屋が家作りのお手伝いをしたいと考えています。
急に、土台はクリで!とはいかなくても、素材の良さを活かした建築のお手伝いができると思います。
一本のクリの土台を眺めながら、そんなことを考えていた舞鶴出張。
実はもうちょっと続きがあるんです。

それは次回に。クリ続きではなく・・・環孔材続き?!でお届けしますので、お楽しみに。



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