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式年遷宮に通じる心


皆さんは「式年遷宮(しきねんせんぐう)」ってご存知ですか?
そりゃ知ってるよ!、という方の方が多いでしょうか。

この前、趣味で買っている車の雑誌を見ているとこの言葉が出ていました。
車と伊勢神宮の遷宮・・・いったいどんな関係が?!と思い見ていました。

ここでまた一つ質問ですが、レクサスというメーカーはおそらくご存知ですね?
そう、トヨタの高級車ブランド(元は海外でのトヨタの高級車販売チャンネルになるのかな。)のことですが、そのレクサスが世界台数限定で市販する車があるのです。
高級なセダンではありません。ハイブリッドでもありません。
スポーツカーです。
それも「家が走ってる」、といっても過言ではない価格のスポーツカー。
その名も「LFA」。
この国産スポーツカーに、式年遷宮と同じような意味合いがこめられているのだそうです。

そもそも式年遷宮というものは、20年に一度(決まった年に行う為「式年」という)、新しい神殿を造り大御神さまの御移りを願う為に執り行う行事のことですが、20年に一度という理由としては、決して20年で材料の木が悪くなって使えなくなるからという理由ではありません。


神宮


 伊勢神宮発行の書物にも「なぜ二十年か」とかかれています。

 第一回の遷宮が行われた時には既に法隆寺が造られていたそう・・・





諸所ある理由を簡単にひとつに言いきることはできませんが、理由の中の大きな要素として「技術の継承」があります。

通常の住宅などの工事とは違い、社寺仏閣などはいつもどこかで同じような仕事があるはずがなく、また仕事がなければ材料の事を知る事も、またその材料の加工や据え付けの方法などを見聞きする事もできません。
建造物が末永く維持されるのはとても良い事です。
使用された木材も、その寿命(樹命)の分まで存分に働いてくれることでしょう。
しかし、それでは次に同じ様な社寺建築を望む時、また同じ技術を要する時に同じ様な仕事の経験がないと、その技術は伝承されず途絶えてしまう事になります。
ましてや、現在より寿命の短かった時代では20年が技術伝承のギリギリの年数だったのかもしれません。

少し話がそれますが、尊敬する法隆寺宮大工棟梁の西岡常一さんも最後の宮大工棟梁と称されています。
私の様な浅はかな者の考えでは、今でもお弟子さんたちがいらっしゃいますし、他にも社寺建築をこなされる方がいらっしゃるのに何故かなぁ・・・と思ってしまいますが、その中でもやはり技術の伝承や、その為の材料と対象建築物の有無が「宮大工棟梁」を継承できない大きな要因ではないでしょうか・・・

注)棟梁とは大工さんのことを指すのではありません。現在では棟梁というと大工親方をさしたり、大工さんの尊敬語として使用されていますが、それらとは全く意味がことなります。
詳しくは下写真の本で、西岡さんの声を聞いてください。


木に学べ



 バイブルのようなもの。
文庫で500円少々・・・安すぎる。









戻って式年遷宮ですが、こちらも技術伝承の側面の大きなものです。
木材の見方、使い方、加工の技術とその方法、そして神事についてもあるのでしょう・・・そういった事全ての伝承。
それと同じといえば少し大げさなのでしょうが、冒頭の話では「式年遷宮と同じようなコンセプト」を一つとして仕上げられたのが、その「LFA」だと解説されていました。

具体的にはエンジン、車体開発、サスペンション、その他のすべての技術が非日常的なスーパーカーを開発する上で大切な要素でありますが、それらは日常の生産開発業務では経験できないこと。
ましてや、たびたび訪れる事のない開発機会です。
レーシングカーはいろいろなメーカーが開発し、レースを行っていますが、公道走行する量産車とはまた異なるため、レース部門だけでは量産スーパーカーは生まれないということですね。

もちろん、機械的な部分だけではなく、生産者のハート(アツい気持ち)と、またそれを所有する方が乗って、触れて、見て、聞いて気持ちを昂らせる(アツくなれる)部分についても、やはり非日常を追い求める作業が必要ですから、そういった部分も、式年遷宮に対する敬虔なる心の部分と重ねてのことでしょう。

実際、LFAは私のような車好きからしてもフェラーリやポルシェとは違う、日本車としてのスーパーカーだと思いますし、その思いが伝わる車だと思います。

とはいえ、私たちの日常にはお伊勢さん、LFA共にそんなに関係のないことかもしれません。
それでも、現在はいろいろな部分で技術革新が進み、物が安くなり、画一化されていく中で、上述の両者のような伝承していきたい技術や残していくべき志を持てる場面が少なくなっていると感じます。

木材の利用も、木材を使う仕事がないと増えませんし、木材を知り利用する技術も伝承されません。
伐る事がないと人工林などは荒廃する場合がありますし、有用樹木を切り出してくれる人たちも少なくなってしまいます。
決して伐る事が完全に悪い事ではない事を、私たち材木屋が中心になり皆さんにも知っていただかないといけません。
その上で、技術の伝承、心の伝承を続けていき良いものを残していける風土を作っていきたいと思います。

車好きでない方も、一度「LFA」のこだわりをご覧になってみては?!
もしかすると、非現実的な中に、現実を見つめなおすヒントがあるかもしれません。
そう感じた趣味の時間でした。


カレラGT




 買えないものはこれで我慢!











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